度々旅
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予備校時代に一緒だった友人から数日前に届いたはがき。「ヒマでヒマで死にそうなら、死んでしまう前にほんの少し時間を下さい」という、文章。裏を見ると、写真展のお知らせ。3年くらい連絡を彼とはとっていなかったような。こういうのって、良いなと思った。彼から葉書が届いたのは、これで2回目だ。前は「NYの飯はまずい」の一文がつづられた葉書が、アメリカから突然届いた。アメリカに旅行で行ったのか、留学なのかもわからなかったけれど、イキなことするなと思った。 彼が、写真をいつ始めたのか、本職でやろうとしているのか何も知らないけれど、あたしに見てほしいと思ってくれたことが嬉しくて行ってみた。もちろん、その写真展には彼はいなくて、私も見た後に彼に感想をわざわざ伝える気もなくて、ただ記帳の時にだけ、「今の私」を伝えながら自分の名前を描いてきた。 なんだか、不思議だなと思った。そして、友情だとかいろいろ語るような関係よりも、私には非常に心地よくて、互いの今を本人不在で交差させているかんじが良かった。現実世界で場と時を共有しなくても、はっきりとはわからないものを互いに交換しているようで、あたしと彼それぞれが持っている箱の中には、同じカブトムシがいると感じれた。 その帰り、初めての白金から逃げるように歩き出した。そして、東京タワーを見つけて、初めてついでに下まで行ってみた。それから、大門まで歩き、そこから電車で新宿へ。食事の後に、末広亭の前をとおり、久しぶりに深夜寄席に行きたくなった。深夜寄席は、昼席や夜席などと違い、名が知られていない芸人が多く出ている。時々当たりがある。客が普段よりも少ない。そして、客席と高座には妙な緊張感が流れている。こちらは、寝ないように頑張ろう、笑おうという気迫が漂っていて、高座からは、寝るなよ、勉強させろよという無言の圧力みたいなものが感じられる。その妙な雰囲気が好きで行っていたようなものなのだけれど、久しぶりに行った深夜寄席は、結構人が多くて驚いた。ちょっと、かつてのような雰囲気とは変わり、気を使わずに笑えるようになっていた。
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