FILL-MIND [フィルマインド]心情記 

   
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2004年01月02日(金)  ■お見舞いと福袋と中華料理■

今年の正月休みは家族以外の人間とは会わなかった。正月休みというより、昨年一年間を通 してプライベートでまともに会った知人はほんのわずか、それも数回程度だったように思う。そこまで時間がないのはあまりに極端で、実の所仕事が忙しいというのは口実でともかく人と会って話す行為が億劫で避けて通 れるものはほとんど避け続けてきた。

何故、そんな現象に陥ったのかをつくづく考えて、結局、仕事環境が尋常では無いとしかいいようがないことに辿り着く。頭を使わなければならない比重が絶対的に仕事に埋め尽くされてしまった時、自分自身のことで やらなくていいことは徹底的にやらずに済まし、手を抜ける部分はとことん手を抜き通 し、それが習慣になってしまって今日に至ってる気がする。そんなことをやっていれば生活は荒れるに決まっていて、それこそ片付けられない人々に仲間入りしていたし、まったく引きこもりに陥っていた。

皮肉ではあるけれど逆接的に言えば、定時に通わなければならない仕事があってかろうじて、社会から脱落しないでいられたとも言える。 事実、今、私から仕事を剥ぎ取ったらきっと何も実がないカスだけの人間になってしまう。これではまるで一昔前の熱血サラリーマンだ。いくら厳しい時代とはいえ、そこまで追い詰められた環境で、決して創造的な享受を育めるとは思えない。 死神が肩を半分抱きかかえているような場所にきっと今私はいるのだろう。

それでも、毒を食らわば皿までのような究極な精神状態で、やらざるを得ないと自覚してその場所を選んでいるのは自分自身でもあるのだ。


正月二日目は、持病を患って入退院をくり返す叔母の入院先へお見舞いに訪ねた。ほんの30分くらいの訪問だったが、その叔母の孫娘も偶然見舞いに訪れた時間にぶつかり、再会のチャンスに恵まれた。その後、父親と伊勢丹に寄って、メンズLサイズ福袋を買ってあげた。最後は当初の計画通 り中華で贅沢を極めて締めくくった。 二人で豪勢に中華三昧な五皿をペロリと平らげたのだから、帰りは倒れ込みそうなほど満腹な家路だった。

そのわずかな親族との関わりを通して、何故、人は頑張っているのかの意味が、体に染み通 ってきたように思う。
すっかり弱ってしまっていた叔母も、芝居を続け舞台に立って活躍中の孫娘の彼女も、もちろん私の父も、皆、久しぶりに出会えたその表情は笑顔だった。 近況報告と、互いの気使いと、ほんの少しの希望が、そこには当たり前に存在していて、無条件に許されている場所だった。

母の一連の法事の際にも触れたのだけど、何故に血のつながりとはこんなにも暖かいのだろうかと考え込んでしまう。
この人たちに笑顔をまた見せられるように、次に会う時に恥じない自分でいるために今という時間に懸命でいなければならないのだと思えた。

公の休みはあと二日しかない。残りは多分、仕事に行くと思う。 年末やり残したままに投げ出してしまったものが山積みだから。
今は、こんな心境で仕事を迎えられるようになった自分を喜べればいいと、ほんの少しの励みを胸に、私の休暇は終りを迎える。




 
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