フ チ な し 



夢見るキリン。

2002年11月02日(土)


木下サーカスが、私の町へ やって来た。

大勢の人が出入りする赤いテント。
観客達の歓声と楽しく、そして怪しげな音楽。
最後の舞台がハネた後、客も家路につき、
駐車場も閉鎖される。
辺りは、シンとしていた。

写真機を片手にテントの裏側に回ると
「ソレ」はこちらをジッみていた。


キリンだ。

(キリン以下、彼とする)

暗闇のなかでも、その首は一目で彼だとわかる。
フェンスで囲まれたテント小屋の端っこ。
はみ出た首で外界を眺めていた。
半分くらい諦めに似た退屈が瞳を占拠している。
そんな風に見えた。

何枚かシャッターを降ろすが、
彼は身じろぎもせず、ただ静かにこちら伺う。
数分後、遠のく姿を確認して、私は引き上げた。

その帰り「高層ビルの光の下で夢見るキリン」を
頭の中でしばし想像してみた。悪くなかった。








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