un capodoglio d'avorio
passatol'indicefuturo


2003年12月22日(月) レミオロメン”朝顔”

・・・ダメだ、もう「抵抗」も限界だ。
ちっきしょー、悔しいなあ、こんなバンドを好きになっただなんて。
でもなー、最近ずーっと iPodクンでヘビーローテーションだったしな。
キライでヤダなところをあげつらうよりも、
何がどうしようもなくどかを捕まえてしまったのかを、
考えることにしたほうがいいのだろうな。

というわけで、白旗です・・・ハイ、認めます。
わたくしこと、どかは、レミオロメンにヤラれました。

「朝顔」はメジャー移籍後ファーストアルバム。
メディアでの露出も多くセンセーショナルに語られることが多かった理由は、
あの小林武史と共同プロデュースであるという事実。
もう、このへんからどかはむずむずしてしまうのだけれど。
鳥肌が立つというか・・・、ぞわーっ。
あーやだやだ。

レミオロメンというバンドのことは、結構前から知ってた。
でも、ずーっと、見てみないふりしてきたんだけど。
どかのいま、もっともキライなバンド、バンプと同じ匂いがしたんだよな。
あの「繋がること」を安易にかつ臆面もなく謳い上げるバンドと。
蛇足だけど、バンプをブルハっぽいという人もいるが、断じて違う
言っておくがブルハにはどうしようもない闇が奥底にあった。
危険で卑俗な欲望渦巻く闇があったからこそのあの歌詞じゃないか。

で、レミオロメン。
キャッチーなワビサビきかせたメロディアスなサウンドとか、
一度きいたら忘れられないような強力なポップ具合とか、
少しずつ耳に残る、ロマンチックでセンチメンタルな、
具体的かつ実際的なストーリー展開を見せる詞の世界。
「ああ、またあれ(バンプ系)か・・・」とガックリ来たし、
挙げ句「お前等はロック界の槇原敬之かあっ」と声を荒げたくなったけれど。

ヤラれ始めのキッカケって最初、なんだったっけ?
・・・ああ、そうそう、演奏力だ。
3ピースなのに、薄っぺらくなくスカスカ感もなく、
かつ3ピースならではの音の「隙間」を鳴らすんだなーって、
何かの曲を聴いてそう、思ったのが最初だ。
某バンプと違って、ギターもベースもドラムも圧倒的に、上手い。
シロップのような力強さではなく、もっと軽快なスピード感。
でも決して線が細いという印象は与えない、特にベースが好き。
アルペジオが美しいギターやシンバルが特に印象的なドラムもなかなか。
それで、へえ・・・、ナンパなだけではないのねーって。

でも相変わらず、先行シングルの「♪雨上がり」はピンとこなかった。
で、最近ラジオとか有線で良くかかる「♪電話」は少し、グッときた。
でも、まだまだ。
確かに言葉への感性は認める、オリジナリティはある。
ただのセンチメンタル野郎では、ないのかも知れない。
んじゃ、ちょっとだけ・・・とアルバムに手を伸ばしたのが間違いだった。
驚愕の名曲がひとつだけ、隠れていた、完全に致命傷だ。

それが4曲目の「♪ビールとプリン」。
これは、ヤバい、ヤバすぎ。

多分、個人的な経験とマッチしすぎているのが、敗因なのだろうな。
というかこの曲を聴いて初めて、あの頃の生活の真実を対象化させられた気が。
有り得ない、ああ、そうだ、そうそう。
あの時、指の間からすり抜けていく淡い明かりというのは、
確かにこんなかすかな「重さ」があったよ。
すげえ、このほんの「かすかさ」に反応できるほどに、
アンテナの感度を高くチューニングできる才能なのか。
うう、やられた、だめだ、負けだーっ。

きっと極めてどかの個人的な名曲なのだと思う。
なんていうことのない、ある日常の風景を切り取った小品な味わいなのだけど、
また特に感情的な表現や、抽象的なテーゼ、印象的な異化があるわけではない。
当たり前だ、そんな技術ではあの「かすかさ」は捉えられない。
パッと聴くとまるで切ないフォークソングのような佇まい。
でも、フォークというには、あまりに細かい、
まるで妙族の刺繍のような、細やかな「きめ」。


   何だか切ないから、テレビをつけてみても
   見るでもなく聴くでもなく、レンジが鳴って

   (レミオロメン「♪ビールとプリン」)


「朝顔」というアルバムを通して聴いたときに、
「♪雨上がり」「♪電話」という曲以外にもたくさん、
ポップで良い仕上がりの、でも実は見た目ほどに軽くない曲はたくさんある
(確かに「♪電話」のロマンチックなサビにはドキドキする、すごいね)。
そのなかで4曲目というのは、必ずしも、というかむしろ目立たない。

でも、どかはヤラれた。
近鉄奈良線の準急のなか、iPodクンを聴いていて突如、
あの「かすかさ」を再認識させられて、涙がこぼれてしまった。
空いている時間帯で、良かったあ、すぐ扉の端によって難を逃れられたし。
まだ、どかの中ではやっぱり、例えばシロップやハイロウズと比べなくても、
ナンバガやアートスクール、またはアシッドマンに感じている、
彼らの音楽や世界それ自体への信頼性は信用を持つことができないにしても、
このアルバムの4曲目、ひとつだけがどかの致命的な部分を掴んでしまって、
それで身動きがとれず、痛くて辛くて仕方がない。

これがファーストアルバムであり、
かつメンバーがあんなに若いということが、
にわかに信じられない。
いっそう、悔しいようー。
と、言いつつ、もっかい、リピートして聴いてしまう、白旗などか。


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