un capodoglio d'avorio
passatol'indicefuturo


2003年05月08日(木) 「イエローケーキ」

普通で平凡なこと。
なんか怒りも度を超すと、切なくなるのね。

4月上旬、イラク中部、ザファラニヤにある、
「イラク原子力エネルギー委員会」の原子力関連施設から、
あるドラム缶が近隣住民によって「略奪」を受けたらしい。
当時、その地域は米軍によって制圧されていたことは確かで。
そのドラム缶には「イエローケーキ」が入っていた。

 
 <イエローケーキ>
 天然のウラン鉱石を製錬してつくる酸化ウランの粉末。
 酸化ウランの純度を天然鉱石の1%から40〜80%に高めてある。
 放射性物質ウラン235の割合は、0.7%。
 黄色の粉末状をしていることから、この名で呼ばれる。


兵器として使われた劣化ウラン弾のウラン235の割合ですら、0.2%。
イエローケーキは遙かに放射能レベルが高い。
地域住民はイエローケーキの容器のドラム缶を、
飲料水や食用油の容器として数週間にわたって家庭で使っていた。
「略奪」の際に飛散した精錬ウランを大量に吸い込んだ者が多数いる他、
ドラム缶に残っていた「黄色い粉末」を洗う前に舐めていた者もいる
(新聞に「苦くて不味かった」と娘のコメントが載っていた、
 というか、このコメントをとった記者の常識も、有り得ない)。
もちろん、洗ったくらいで放射能が落ちるはずもない。


・・・


どう考えてもこれは「良い、悪い」の問題である。
悪いのは誰だ?
戦争中、水道が行き渡っていない地域の住民が、
自宅の飲料水の貯水用にと、ドラム缶を「略奪した」ことが悪かったのか?

さっきテレビであるイラク人判事が、
アメリカ系ネットのインタビューに答えてこう言った。
「前体制の時には圧力がかかって正しい裁判ができない時もあった」。

例えばこの二つのニュースは、つりあいがとれると言うのだろうか。
「正しいことをするにはある程度の犠牲はやむを得ない」と、
ラムズフェルドはいみじくも語った。
ある程度とは、ラムズフェルド自身が死んだ後、
何世代にも渡って残る後遺症のことを指すのだろうか。
「結局あの国は、広島や長崎のころと何も変わっていない」
そういう批判に対する言葉を、ブッシュは持っているのだろうか。

・・・

その施設が「略奪」を受けている最中、
施設の前に止まっていた戦車の上で、アメリカ人兵士はボケラーッと
ひなたぼっこをしていたらしい。
その兵士はまさにエノラゲイの機中にあって、
スイッチを押したも同然だ。


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