un capodoglio d'avorio
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2002年08月18日(日) フキコシミツルとロイヤル室内バレエ団 「フキコシ・ソロ・アクト・ライブ」

三茶のシアタートラム、ネコバス氏とマチネ観劇。
「ロイヤル室内バレエ団」つってもこれは、
元「ワハハ本舗」出身の吹越満の一人芝居で。
芝居、なんだろな、コントに近いけど、
でもコントと芝居の境界って微妙で楽しい(「ワハハ」自体その境界)。
例えば今、最もチケットをとるのが難しいお笑い「ラーメンズ」は、
コントを限りなく芝居に近づけたもので、
この一人芝居は舞台役者・吹越さんが限りなく芝居をコントに近づけたもの。
でも、これは芝居だと思うんやな、ドカは。

吹越さんで思い出すのは野田芝居の「Right Eye」と「贋作・罪と罰」。
とくに「贋作」が面白かったなあ。
筧利夫と野田秀樹はとても相性が悪く、やはり「贋作」でも筧さんはイマイチで、
で吹越さんが主役の筧さんを食うくらいの身体のキレで熱演してた。
筧さんの狙いすました身体ではなく、少しはずした不条理な身体。
そしてそれは今回の一人芝居でも炸裂した・・・
笑ったよお、もう、ホンマにい。

のっけの「顔面ネタ」にはイマイチ乗り切れなかったが、
「双子の兄弟ネタ」はもう、本当に大好き!
役者の身体を前方より複数のライトで照射し、
舞台後方のスクリーンにシルエットを二体映す芸なんだけど、
本当に良く練られてて、時折の下ネタも楽しくて。
というか、観てるヒトはあんまし意識しないだろけど、
あれは役者、すごいきついと思う。
だって野田が言うところの「スローモーション」で20分くらいもたすんやもん。
できません、普通の鍛え方の身体では、あれわ。
そんなキツサをおくびにも出さないで、嗚呼。
次、中盤らへんにあったネコバス氏お気に入りの「手ネタ」。
スクリーンに映された「手」の形が何の動作なのか、
クイズの回答者になった吹越さんが悩みつつ当てていくという「芸」。
パントマイムが冴えてたなあ、楽しい。
あと終盤の「鬼ネタ」も好きー。
これは何のことはない「カフカ的不条理変身一人芝居」なんだけど。
息子の学芸会を見に行きたいリーマン親父が、
なぜか鬼になったり、桃太郎になったり、
豚になったり、蠅男になったり、一寸法師になったりする、
そんなのをデリンジャー銃のような早台詞と、
機敏なモーションで見せる「芸」。
これも凄いなあ、役者だなあと思う、少し筧さんチック。
もうずっと台詞を言いつつ身体を移して20分間、
少しもキツサを顔には出さず、すげーカッキー。
たくさん大笑いもしたんだけど、見とれてる時間も多かった気がする。
引き込まれた、あのスピードを支える不条理な身体に。
「芸」だ「芸」。

結構「デジタルビデオ実況」
とかスクリーンやら、
小道具を使っての一人芝居なんだけど、
それが決して逃げには見えない(野田の「2001人芝居」のように)。
なぜなら、吹越さんはちゃんと身体を張ってるからだ。
吹越さんのは「ネタ」じゃない、だからこれはお笑いじゃない。
お笑いを下に見るわけではなくて、質の違いで。
あれを「ネタ」と呼ぶのは違和感がある。
研ぎ澄まされた身体、あくまで身体を張って練り上げた「芸」を見せる、
でも見てる人に感心させるのではなく、あくまで笑いをきっちり取る。
決してキツサを表に出さないからそれが出来る。
「芸」だよなあ。
たっくさん、気持ちの良い笑い方が出来た、うん。

その後吉祥寺で、ごっつい美味しい串カツを食べる。
幸せー、おいしー、わーい。
今日は、良い日だ。
こんな良い日もあるんだ、たまには。
ガンバロウ、いろいろ。


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