march forward.
りりかの独り言。

2002年11月17日(日) 粉々

今日、水族館に行こう!って言われて。

でも、ライラが来てるってしったら、妹も母も、会いたいってもちろん言って。

あたしは、あいつに謝った。



「ごめん」

「いいよ、仕方ないよ。そうだよね、俺ばっかり、ライラを独り占めしたら、だめだよね!」



明らかに残念がってたけど。






あたしは、実家にライラと帰った。

母も妹も、大喜びで。

ライラは、上がお姉ちゃんのせいか。

男の子にしては、おとなしいってよく言われる。

でも。

1ヵ月半会わないうちに、幼稚園の影響かな?戦いごっことかするようになってて。

あたしの弟と一緒に暴れてた。




夜。

だんな様が迎えに来るって言うから。

あたしは家に戻る。

だんな様は、家のまでライラを乗せて、すぐ帰るって言った。




だんな様が迎えに来て。

ライラに「楽しかった?」って聞いた。

ライラは「うん!ママのばーばの家に行ったよ。遊園地も行ったよ」って。

それで、ライラが持って来たカバンには入らなかった、あいつに買ってもらったおもちゃを、大事そうに抱えてた。

「どうしたの?ばーばに買ってもらったの?」

「ううん、H君に買ってもらったの」





そのとき。

だんな様がいきなり、取り上げて。

アスファルトの上に、叩き付けた。

プラスチックで出来ているおもちゃは。

粉々になった。



一瞬だった。



あたしも、ライラも、何が起こったのか分からなくて。

ぽかーんとした。

間をおいて、ライラの泣き声で。

あたしは我にかえった。



「何・・・。何するの!!?」

だんな様はライラの手を引っ張る。

ライラは泣き叫んで、だんな様の手をほどこうと必死になる。

そして、あたしに手を延ばしてくる。

あたしは、ライラを抱きしめた。

そして、だんな様の手から離した。

ライラはあたしにしがみついて大泣きで。

あたしは、もう一度言った。

大声で。

「何してんの!!!??」




目の前に光が走ったような感じがして。

殴られたんだ、と分かったのは、一瞬後。

あたしは、呆然として。

痛いとか、そんなのより、びっくりして。




「お前は・・・!」

また振り上げられた手は。

今度はあたしは顔をかばったから、腕にあたって。

その腕が反動で、抱えてたライラの頭にあたって。

あたしはライラにあたらないように、抱きしめた。

何度か殴られて。





あたしは、ライラを抱き上げて、部屋に逃げようと走った。

すぐに髪の毛を摑まれて。

あたしはそのまま、道路に仰向けに転んだ。

ライラを抱いているから、手とか付けなくて。

後頭部を思い切り打って。

そのまま、頭をボールのように蹴られ。



めまいがした。



ライラだけは離さないようにって、抱きしめて。

ライラもあたしにしがみついて。

でも。

力が入らなくて。

だんな様が、ライラを抱き上げた。

ライラは最後まで、あたしの服を掴んで、「やだやだ!!」と泣き叫んで。

結局、ライラはだんな様に取り上げられて。

あたしは、立ち上がった。




口の中が、血の味がした。

硬いものが口の中にあって。

手のひらに出して見たら、歯が欠けてて。




「まさか、本当に会わせるとは思わなかったよ。どこまで、俺をバカにしたら気が済むの?お前はもうちょっと、頭がいいと思ってたよ。普通は出来ないだろ」


ライラは泣きながら、「ママがいい、ママがいい!」といい続けてた。

だんな様は無理矢理車に乗せて。

「暴れたら、外に投げるぞ!」とライラに怒鳴って。

最後に、こういった。


「子供の事は、もう忘れろ。もう、会うな、連絡もするな。お前はお前で、好きにしろ。俺もしない。もう、これで、お前とは一生会うつもりもない」






あたしはその場に座りこんで。

粉々になったおもちゃを拾った。

アパートの住人が窓から覗いてて。

「大丈夫ですか・・・?」と恐る恐るあたしに声を掛けた。

あたしは、返事する元気も無く。

部屋に戻った。





鏡を見たら。

髪の毛はぼさぼさで。

片目は切れたらしく、真っ赤になってて。

口も腫れてて。



頬が熱かった。

涙は出てなかった。







粉々になったおもちゃを見ながら。

あたしは、試されたんだと。


やっと、分かった。


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