あたろーの日記
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2006年11月24日(金) 秘密プラン浅草編。

 旧暦10月4日。
 一昨日から腰痛で(女性によくある症状)、ジーンズのポケットにカイロを入れたりして、腰を温めていたら、腰、低温やけどしちゃって、ちょっと皮が剥がれて痛い。まぬけ。
 今日は会社は休暇を貰い、バスに乗り、浅草演芸ホールへ行った。バスに乗る前に、巣鴨の地蔵通り商店街にある郵便局に所用で寄り、同じく商店街の伊勢屋という塩大福の店で、助六を買う。昼食と夕食用の2食分。それと、コンビニに入って、カップ酒の小さいのを探したのだけど、あいにくと大きめのしかなくて、仕方なくそれを買う。と、お新香も買う。・・・うっかりしてたのだけど、今日は「4」のつく日で、地蔵通りは縁日。平日の縁日なのでさすがに若者は少なく、今日はもう、おばあちゃんばっかり。。。例によってなかなか道を進めない巣鴨の縁日でありました(汗)
 巣鴨でさっさと用事を済ませてバスに乗ろうと思ったのに、思わぬところで時間を喰ってしまい、浅草演芸ホールそばのバス停に着いたのは昼の12時を過ぎていた。昼の部は11時40分から始まっている。まあ、平日の寄席だからすいてるだろうな、と高をくくっていたら、とんでもない。入り口で、現在満席で立ち見状態と言われる。えー!そうなんだ!大失敗。だったらもっと早く来るんだった。と、それでも料金(『東京かわら版』を持っていくと200円引きの2300円)を払って中に入る。なるほどホール後方にずらりと立っている人達が。ちょうど、舞台に近い、前方の壁側がすいていたので、そこに体育座りしてしばらく聴いていた。そのうち、茨城から来たという団体客が、バスの時間なのか、集団で席を立って出て行ったので、うまく座れましたが、夜の部も立ち見が出るほど混んでいました。それにしても、他の寄席や落語会と違って、おばちゃん・おばあちゃん達の数が、圧倒的に多い。客の7割はおばちゃん・おばあちゃん達だ。さすが、浅草観音様のおそばであります。・・・巣鴨の地蔵通り商店街と、客の構成はほとんど変わらない。ちょっと違うのは、ウィンズがごく近いので、ちょっと荒れた(気分の)おじさんも混じっていることだ。+他の年齢層の観光客、+お目当ての噺家さんを聴きに来た落語ファン、といった感じです。
 おばちゃん・おばあちゃん達というのは、笑い方が素直で、笑い声に圧倒的なパワーがある。それと、よく頷くし、相づちを打つ。場内恐ろしい熱気だ。
 
 私のお目当ては、昼の部の、三遊亭歌之介、柳家さん喬、柳家三三、夜の部は、柳家権太楼。今日は三遊亭歌之介「爆笑龍馬伝」、柳家さん喬「時そば」、柳家三三「犬の目」、柳家権太楼「黄金の大黒」だった。初めて見た噺家さんで、ファンになりそうな人が、二ッ目に昇進したばかりの柳亭こみち。数少ない女性の噺家さんで、気っぷが良さそうでよく通る声で、なにしろ巧い。これから注目してみよう、と思いました。古今亭志ん橋「居酒屋」、実は昨日原宿から代々木まで歩いている時、iPodで聴いていたポッドキャストの「フジお台場寄席」の中にありました。昨日は歩きながら、志ん橋師匠の顔を思い出しながら、この部分で高座でどんな仕草をしてるのかなあ、なんて想像しつつ聴いていたのですが、まさか翌日に実際に同じ噺を見ることが出来るとは思っても見ませんでした。想像したとおりの身振り手振り(特に居酒屋の小僧さんの役)で、前日に自分の想像力で予習しておいて、翌日に現物を見るという、なかなか面白い経験をしました。
 ・・・古今亭志ん五「素人義太夫」ついついつい、ウトウトとやってしまった。あーあ。勿体ない。昼席の主任、トリだったのに。実は、来る途中、バスの中で、同じく志ん五師匠の「蜘蛛駕籠」を聴きながらウトウトしてしまったのです。なおかつ、以前、確か末廣亭でも、志ん五師匠の高座の時に居眠りをしてしまった気が。どうも、あの声は私を心地よく眠りに誘うようです。ほんとに、自分でも、どうしてか分からない。
 色ものではマジックの伊藤夢葉、曲芸の鏡味仙三郎社中、夫婦漫才のあしたひろし・順子(ひろしさんは84歳でダンスを披露!)、曲ごまの三増紋之助(この人ほんと巧いなあと思います)、あと、懐かしいところではものまねの江戸家小猫、それと、どこかで見たような気がするパックンとマックンが、プログラムにはないけど出ていた。
 時間がおしていたために、最後のほうは、春風亭小朝・林家いっ平ともに、ちょっと駆け足。いっ平「荒茶」はそれでも面白かった。加藤清正の髭で泡だった茶、想像しただけでもう。。。うう。。。
 全体的に、古典落語が少なかったような。。。客席のおばちゃん・おばあちゃん達にウケるような、著名噺家・芸能人のお笑い思い出話とか、世間話的な笑わせ話とか、あと、客席を引っかき回すような感じの話が多かったような。そういうのもたまにはいいけど、2人、3人と続いたりすると、さすがにうんざりする。それって、新作落語とはまた違うし、古典落語とも勿論違う。なんか、世間話でお茶を濁すような高座は、正直言ってつまらない。生意気言うようだけど、最初マクラで一山笑わせておいて、どんな噺に入っていくのかな、と期待させておきつつ、次第に古典落語に入り、練り上げたひとつの噺をじっくりと聴かせてくれる高座が、私の好みです。ただ、場内が爆笑すればいいってもんじゃない。ああ、いい噺をみっちり聴いたなあ、っていう満足感を抱いて寄席を出たいなあ。ほんと、生意気なこと言ってますが。

 浅草演芸ホールを出たのが21時。さすがに座りっぱなしで、お尻が痛い。助六とか日本酒をちびりちびりと胃袋に入れていたので、空腹感はなし。となれば、巣鴨行き終バスまで約1時間、演芸ホール近くの銭湯蛇骨湯に行く。ここは、都内にありながら、しかも公衆浴場でありながら、天然温泉だそうです。もちろん東京都の銭湯料金430円で入れます。江戸時代から続く歴史の長い銭湯で、お湯は地下水、茶褐色。屋根があるけど一応露天風呂も。中の熱い湯船に浸かり、腰の皮剥け部分がじりじり染みるのに耐え、次に露天風呂に行き、何十分も浸かり、最後にまた熱い湯船にじっくり浸かり、よい心持ちに茹で上がったところで、上がり、バスに乗って帰ってきました。
 いいですなあ、自分でやっていて、我ながらよいプランだと思いました。
 浅草演芸ホールで落語三昧の後は、近くの蛇骨湯で1日の笑い疲れた身体を温めて、ガラガラ空いているバスに揺られてのんびり帰ってくる。
 ガイドブックにはない私だけの秘密プランであります。
 


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