コトバトカゲ  2008年07月31日(木)
血液に当たった太陽の光が織り成した影。揺らめいて一言、二言、何かを言ったかのように見えた。まるで言葉。そう感じた瞬間から、言葉の力は目に見えないところで動き出して、誰よりも早く、「何か」を呼び起こそうとしていた。
裏切りの化けていた鬼? 悲しみの化けていた精霊? 澄んだ白い肌の中に走る、青く脈打つ血管に、太陽が差し向けた光がやって来る。それは確実に影を落とし、生まれた影はあらぬ姿の何かを映し出す。見れば見るほどまるで何かの文字、記号のようで、気もそぞろになって意味を見出そうとする自分を止められない。悪魔に囁かれ、唆されてゆく瞬間。自分の中に自分でない者を呼んでしまうのはこうした、ふとした出来心や迷いごとにある。

そうして一人のはずの自分というものの中に、記憶したはずもない誰かが住まうようになり。出会ったこともない騎士や妖術師がうろつき。見たこともない獣や魔神がうっすらと心の闇に紛れて足音を微かに立てる。わざと。





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