東京憂鬱檸檬模様  2004年09月12日(日)
東京を去る、と決まった途端、人が多いだけのクソ忌々しい都会も、何故か新鮮に思えてならない。憂鬱だ。

憂鬱な時には、アートだ。
フランス映画の女優の方が百倍は憂鬱だと思うが、私だって憂鬱だ。ゴダールを観るまでもない。鬱だ。

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というわけで私は★リンク;『東京都写真文化美術館』 へ向かった。


昨晩、むちゃくちゃな集中力で荒れていたから、台風が爪痕を残したような体の状態で、つらかった。


令嬢(アート・文芸の盟友)を呼んで
展示は『エドワード・ウェストン+アンセル・アダムス展』。


令嬢「あー 滝やー」

私『ねー。ザー。


そんな会話が続いた。


写真は風景。うねりや曲線の形状が反復される。
うねり愛好者なのだろうか。

展示物以外にも、他の写真集も置いてある。
★リンク『岡田敦(あつし)』 の写真集は群を抜いてインパクト超!

ミッフィーの群れ、向精神系の錠剤、血の詰まったコンドームが、透明なガラスのような描写で襲い掛かる。

★リンク;大阪芸術大学・写真学科卒業生ページ  

にも掲載されているので参考に。


令嬢はつぶのたくさんあるものがダメなので
「いやああああ」。
ごくろうさまです。


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赤坂周辺を散歩。
巨大なホテルのビルで店を回る。

時計や指輪の店で、裸体がうんと張り詰めた指輪を店員に紹介される。
アダムとイヴらしい。
裸体のおっさんである。
確実にいらない。

店員「関西の方ですか」

私『ええそうです。関西弁やっぱりわかりますか』

「ええ、すぐに(微笑み)」

『商談では失礼になる相手も居るから、標準語に直せってよく言われてます』

「あら。関西弁の良さもありますのにね」

『全くです ははは』

「ほほほ」


店員、私の首から提げたカメラを見て、また話し掛けてくる。

「これからどちらに撮りに行くんですか?」

『いや まあ いつも身に付けてるんです』

「ご趣味ですか?」

『や。これ系の  まあ アレですね』

「あら。じゃあ写真のお仕事を?」

『や。何というか。まあはっきりとは言えないんですが。まあそっち系の。


「まあ」


店員が明らかに返答に困ったあたりで店を出ました。
最初に商談がどうのと言っておいて、撮影が仕事であるかのようにうそぶくので、
やましい隠し事をしてる人のようでした。
この性格、直さんと・・。


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こんな憂鬱な日には、読書でしょう。


渋谷に移動し、★リンク;『渋谷古書センター』 へ入る。


アート系の古本を見る。
恐ろしく素晴らしい本を発見しましたよ。

『麻薬禍(まやくか)』
本が、あほのように太い上に、『太陽にほえろ』級のくそ熱い刑事ドラマばりの写真が。

麻薬Gメンの張り込み、刑事の踏み込み、逮捕劇、取調べ室など、どれも超一品のドラマ写真。

劇団から人間を借りてきたに違いない。

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そして渋谷を夜遅くまで堪能した。
蕎麦屋に入り、酒を飲んで、ごまの入った蕎麦を食った。


道を歩いてて、高級な寿司屋か飲み屋の写真があった。
それは、カウンター越しに
店のおやじと中年男性の客が笑顔で話してるシーン。


私はむらむらとするものがあって、

『これは店主が客に引退を勧められてるところです』

と言うた。


『もう、潮時だよ親父さん』
『むむ、そうかー』


素人の出演してる広告写真ほどむらむら来るものは、なかなか無い。

私の意味不明な言葉を聞いて
令嬢は笑った後で

「そう! なんでか解ったわ!」と大声を上げた。

え゛えっ。
何ですか。


「みんな具体的な話しかしないから、あたし嫌なんやわ!」


「あたしはそんなずっと具体的な話ばっかりしたくない」


「だって おかしな面白いこと言う人って ほんまおらんもん!」



そこからは、具体と倒錯、表現の作法、凡庸さと華麗さ、演技、などなど、色々とせつない身の上話が続いた。


「なんも面白くないやん!」

「あたしだって、そんな賢いって訳じゃないけど、」


「此の世に賢い人がいて、賢くて優れたものを残してて、それが面白いんだってことぐらいは私は面白がれるから、」


「そういう感覚の無い人と一緒に居続けるのが苦痛なんよ!」


私は感涙にひちひちと泣き、檸檬のせつない味を脳裏に感じ、


『その通り! そうなんすよ! 貴様等は昆虫か!!!!
とマツキヨ前やパルコ横で吼えた。

さんざんに吼えた。
蕎麦屋で飲んだ日本酒のせいではない。
私もそうなのだ。


渋谷の若者たちにぶつかりながら、時にはどぜう鍋の店の看板に気を取られつつ、私達は歩きに歩いた。


憂鬱。
具体的な自分の話なんてしたくもないし、
そんなの
自分のことなんて興味無いから
話すことすら出来ない
のに。

どうしろと言うのさ。
勝手にしてよ。
あたしら所詮は パプーなのさ。


そんな感じでやさぐれてしまいました。

HMVで視聴しまくり。
金も払わず、聴くだけ聴く。
しかも夜の10時。
親が知ったら「あんたは不良だ」と泣くでしょう。


駅に着いたら着いたで、

★リンク;小悪魔をアピールするヴィダル・サスーン

の広告がJR渋谷駅をなまめかしく占拠しているよ。ははは。

しょっぱいなあ。
古いフランス映画に出てくる女優さんって、どうしてみんな小悪魔なんだろう。

ブリジット・バルドーとか。

(※バルドー;小悪魔だった人。美人)

ふとんかぶって寝ました。
ぐう。




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