暗黒系処女  2003年07月04日(金)
03.06.03(Tue) yu-kidrug729

ノイズはただの雑音ではない。


私が物心ついた時には、南極の空に巨大なオゾンホールが空いていた。私は一人でメルツバウを聴き、荒くざわめく心を、ギザギザと掻き立てては慰めた。
エレクトロニカの驚異と真実。
地球温暖化の痛みが、この胸に沁みる。ああ。

いやっ。

ううん。いや俺は真剣に苦しんでるので。そこ、
君も悶えなさい。
ううっ。

はぁっ。

っあっ。苦しいよガイア。
何なんだよ複雑系って。
畜生ガイア。

汚染してやる。

うそだ。やらないよ。ガイア。地球を愛するのは困難だ。実感できない。どこに地球があるのか。自分がどこに存在し、生きているのか。それを実感できない。真に意味あるものは何処にある? 

ちんどん屋の後腐れ。

人生皆不埒。地球を守ろう。石油を使わずにばっかり頼ろうよ。

臨界事故を恐れるな。

ウオー。東海村に続け、世界各国。



・・・話を戻そう。日増しに文章が難解になるので、実際俺も疲れる。はぁ。ひたち。ひたち。インスパイア・ザ・ネクスト。頑張れ俺。新しい時感覚への目覚めはノイズの衝突や勃発から始まる。ノイズ、それは分類不能な奇跡だ。





空き缶を足で

グシャ

と踏み潰す時と、ブロックを落として

ゴシャ

と押し潰す時とで、当然その音や響きは異なる。

グシャ 

や、

ゴシャ 

を、繰り返しては、最も

ピン、

と来る瞬間を探していた。

無限の中に、確実な有限が在る。

私はそれを確信した。その割に投げ遣りで、よろしくないと思う。頑張れ俺。まだいけるぞ。全てが

カチッ

とハマる瞬間、その刹那へ向けて。



毎日毎日、同じような角度で太陽が落ちてゆく。夕焼けに照り映えるアルミ缶は、次々にいびつに凹み、太陽光が乱反射を続ける。

いびつ、

それこそが全てだ。

予定調和を超えろ。予期されたシステムの45度斜め向うを狙え。そして、軽やかに逸脱せよ。私は小学校のプールに、ウンコ入りのオバサンカバンを投げ込んだ。それは沈殿した。白く丸い固形塩素よ、それを何とかするがいい。ウオー。エンソー。



レディオヘッドも、ベックも、ビョークも、私の鼓膜を何の抵抗も無いままに通過した。

黒いものが欲しい。


一人で病院に行くのが普通になる歳の頃から、何かが大きく変わり始める。再骨格、臨界目的地、歪曲射精、ハンダ検定準2級。イオン。虚脱。ゴー。ゴゴー。黒い処女。ゴゴゴォオオオオ。破壊的な気配。防衛と虚脱の感じ。

私は思考が停止する。


ああ。夕焼けを見ながら虚脱。明日を待ち望みながら床の間で虚脱。風呂場の隅でいつまでも虚脱。人生の至る所で大切なものを放り出したまま虚脱。アミノサプリ飲んどけ。



私が暗黒系処女を求めるのには理由がある。清冽にして、強靭。無限にして、
恐るべき限界。
黒くしなやかなカオスの縁が、美しい黒髪のようにしなりながら、音にならないほど小さな摩擦熱で、
世界を擦りゆく。
今この瞬間にも私は、己の言葉と、遠い記憶との

衝突事故

を待ち望んでいる。

新しいノイズが

また生まれる。私はそれを言葉で繋ぎ、世界の稜線を描く。量子論が崩れ、新しい次元が生まれる。



暗黒系処女。実験に次ぐ実験。そして攻撃と回復。渇望、傑作、明日の天候、神秘の再構築。それらが無理なく、私達の身に対し、等身大の音量で現れる。イナフ・グレイト・トゥ・キープ・リビング。


未だ見ぬ、ありえない瞬間との、衝突事故を、私は望んでいる。




日本はたった今現在、改革に取り組んでいる真っ最中だと言うけれど、それは何処で、どのようにして、可視されるのか、私には解らない。ドリルの音が聴きたい。アルファロメオの光沢を見たい。疾走するうちに微細な砂粒で傷付く。
また新しい音が生まれる。
それは聞こえない。
譜面付きの音楽とは訳が違い、決して定型的可聴のために作られたものではない。
初めての恋愛感情と同じ。
突発的な衝突事故
として、ノイズは私達に現れるのだ。だが収録は可能だ。その出逢いをハッカーのように、そして恋人のように、私達は待ち望む。



アンダーグラウンドが口を閉ざす。

私はこの皮膚という皮膚に、処女膜を感じることがある。何処にも明確には所属しないが故の、葛藤と無知。曖昧な自我は処女膜を形成する。
ノイズはイドラにもエスにも関係無く、
ありきたりな日常で不意に、
毎日を織り成している時間感覚そのものに、突き刺さり、新しい記憶を現像する。








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