告白。ただ、どうしようもない、告白。

2003年04月27日(日) 落ちたったで!

本当に、一瞬時間が止まったように感じた。

姉が、階段の上の空間に踊った。

一瞬、周りが止まった。

次の瞬間姉は落ちた。

綺麗に落ちた。


私は姉の腰の部分を真横に水平に蹴った。(これは意図してじゃなくて偶然なんだけど)
姉はバランスを崩すことなく立ったままの態勢で階段の上の空間に踊り、そして立ったままの態勢で階段に着地した。
もっとごろごろと派手に体をぶつけたりしながら落ちると思っていた私は唖然とした。

階段に着地した無傷の姉は叫んできた。

「落ちたったで!
 どうや落ちたったで!」

どこか勝ち誇ったような声で叫んできた。


瞬間、私は自分の部屋へと逃げ帰った。
すぐにタンスの組立に取りかかった。
手が震えて止まらなかった。
組立手順を何度も間違えながら作業を続けた。

カナヅチで叩いていると、また姉の声が聞こえてきた。

「アンタなにしてるん!?
 阿呆なことしてるんちゃうやろな!?」

姉は、私がタンスを組み立てているのを知らない。
ガンガンとカナヅチを叩く音が、私が荒れて何かを壊している音に聞こえたんだろう。

あはは、それもいいや。

姉の声を無視して、不必要なほど力を込めてカナヅチを振る。

姉が何か叫んでる。
母が姉に説明してる声。
タンス買ってそれ組み立ててるだけや。


暫くすると、二人の声は聞こえなくなった。


私は11時50分ごろバイト先に電話した。
すみません、今日遅れます。

バイト先には午後2時前についた。
数時間前、姉に殺意を持って行動した人間が、もう何事も無かったように接客をしている。

あはは、なんて滑稽。


私は、いたって正常。

おかしいのは、全部、姉。


そう思ってた。
全部全部姉の所為。

そう思ってた。



* * * * * *



兄。
兄のこと、全く書いていませんでした。
居ます居ます、ずーっと家に居ますから。
姉の躁病の時もちゃんと現場にいましたよ。
ただ、描写できない、というか。しようがない、というか。

兄は、完全に傍観者でした。
普段は部屋に居るかどこかに出掛けているかで、姉や私たちの関係に直接は関わってません。距離を置いて見ていたのでしょう。
私が居間をめちゃくちゃにしたときも、見ていました。
少し面白がるような顔で、見ていました。
私が母に「入院させたら良いのになんでさせへんの!?」と言うと、兄も「ほんまやで。」と軽く同意していましたが。
あ、居間を片付ける母の手伝いはしていましたね。あはは。

…んー。
自分の意志を出さない人だなぁ。
兄は何を感じていたんだろう。


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深海 [MAIL]

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