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2002年12月28日(土) クマの“出没”と“駆除”に思うこと

兵庫の温泉町で民家の納屋に体長1m程のツキノワグマが眠り込んでいるのが発見され、程なく射殺された、というニュースが報じられていた。騒音で無理矢理起こして山に帰そうとしたものの、民家の方向に逃げ出したのでやむなく射殺したそうな。

ちょっと待て、クマは眠ってたんやろ、気持ちよく眠っていたところをいきなり大音量で叩き起こされ、なおかつ目を開けたら大勢の人間に囲まれていたらそらパニック状態になって民家の方にも走り出しもするだろう。そこをダーンと撃ち殺されたクマはあまりにも可哀想過ぎる。

勿論、クマさんというのは我々が普段イメージしているようなかわいらしい存在ではなく、獰猛な害獣でもある(ただ、今回殺害されたツキノワグマは天然記念物に指定されていたような気がする)という事は忘れてはいけない。クマが入り込んだ納屋の近辺に住む方々はそりゃ恐怖だったに違いない。だけど、他に方法があっただろうに。どうしても、殺すしかなかったにしても、眠っている間にすぅーっと逝かせてやるぐらいの配慮は出来んかったのか。

麻酔銃の許可には時間が……――この手の話で必ず出てくる説明。確かに、麻酔銃の使用申請の許可が下りるには8〜9時間程度の時間を要するらしい。でも、今回のケースならば半日くらいそのまま寝かしておいてやっても大丈夫だろう。そもそも麻酔「銃」を使う必要もない。麻酔で深く眠らせて、簡単な檻に入れてから軽トラの荷台にでも載っけて山へ運び、道から外れたところの適当な場所に穴でも掘って放置しておけばそれで済む話ではないか。何故にまず射殺ありきなのか。

今回の一件は、近隣住民が避難してから警察官が総出で音を鳴らしてクマを山に帰そうとしたところ、クマが逆に民家の方向に動いてしまい、待機していた地元猟友会が待ってましたとばかりに鉛玉を浴びせた、と聞いた。真偽のほどは定かではないが、もし事実ならばとんでもない話である。何年か前にテレビで観た、山から道路に滑り落ち、母親のいる落石防止柵の向こうに戻ろうと必死でその柵をよじ登るもなかなか上手くいかない子熊をどうやってサポートしようか、と付近の住民や役場の人達や思案しているところへ駆け付けてきた猟友会が即座に射殺してしまった、というニュースの映像がオーバーラップしてくる。結局、猟友会のメンバーってのはただ動いている標的・獲物を撃ち殺したいだけなんとちゃうんか、とつくづく思う。

暗い話題の多かった2002年を締めくくるにふさわしい、本当にけったくそ悪い出来事である。


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