「風の谷のナウシカ」をみながら、おばさんが呟いた。
「あんたがまだこの仕事してたら…今頃どうなってたかねぇ？」…ほんと、どうなっていただろうねぇ。そしたら今頃は…なんだろう？
記憶にあったナウシカは古い写真のようなイメージだった。それが、すごいね！デジタル･リマスターとかいう技術。ものすごく鮮やか！蟲は鮮やかじゃなくてもいいなぁ、ちょっと怖いから。
何回、何十回とたぶん見たはずなのに、続きが気になってわくわくしちゃって、でも全部みてたら寝るのが遅くなっちゃうから途中でお風呂に入ったりしたんだけど、「金色の野」のシーンは大好きなのではずさずに。でもやっぱり全部見ればよかったなぁ、なんて思いながらうっかりDVD買いそうな気がします。
たった半年ではありましたが、アニメの仕事に携わったことがあるのはたびたび書いているのでご存知の方もいらっしゃるでしょうけれども。
当時、友達が流行の作品(エヴァンゲリオンとか)を手掛けている横で、あたしの代表作は稲中だったりするのですが(裏番組はTK MUSIC CLAMPでした)、最終回にリテイク処理しきれなかったカットがあるのが悔やまれます。それ以外にも微妙にではありますが、ストリートファイター�兇離謄譽喩如�怪盗セイントテールなどもやりました。…と、そんな仕事で食っていく気でいたのですが、なぜか印刷屋だったりします。こんなとき思い出すのが父の一言。
いつだったか。ひさしぶりの帰省。日曜日の夜。家族揃っての食事。傍らでテレビ。アニメ。
妙にしんみりと、泣いて。
「こういうのをみて、泣けるような人間に育ってくれて、嬉しい」と。
父も母も、頭ごなしにダメ！とはいわない人です。よく考えて、自分の思うようにしなさい。と、いつも言われていたような気がします。わがままもたくさん言いました。そのほとんどを、聞き入れてくれました。でも…困ったことにあたしは思慮深い人間ではないのです。考えることがだいっ嫌いなのです。
あの時。信じていたものの崩壊とか、裏切られてどうしようもない気分とか、襲ってきた絶望感とかで、なにもかもがどうでもよくなっていたので、せっかく声を掛けてくださった製作会社の社長の言葉を耳に入れるそんな隙間も、ぼんやりと穴だらけになっていて、そのまますっぱりアニメから足を洗ってしまいました。時々目にする同級生の名前を見ながら、後悔したことを思い出してみたりして。
いまは、いまの自分を悔やむようなことはしていないつもりだし、これからだって、いまを悔やむようなことはしたくない、と。思ってはいるんだけど…
※もしもBOX：ドラえもん小道具。
| 
