★KINPEI★
◎ □イルミネーション ◎

アルは12月が大好き。

世の中クリスマスであちこち素敵な

ショーアップされてて。

お店に並ぶ雑貨もかわいいし

沢山のサンタは愛らしい。


素敵なイルミネーションが

あちこちで見られて

幸せな気分になる

この季節。


でも

アルは今まで

このシーズンを幸せに

すごした事が無い!!(>_<)


このシーズン直前に別れたりとか

終わった後に付き合いだしたりとか

極めつけはクリスマスに別れたりとか


そんなんだから

この素敵なシーズンを

大好きな人と満喫した事ないんです。


今年は大好きな人はいる

その人は忙しくて

一緒にイルミネーションめぐりとか

してもらえないけど


でも

サンタがかわいいよ

とか

ストリートジャズセッションが

かっこいいよ

とか

メールしたりは出来るから

ちょこっと幸せ。



練習の帰り

日向の帰り道で見られる

イルミネーションスポットに誘って見た

このころ

恋人っぽい事は半分くらい拒否されてたから

だめかなって思いながら

でもきれいなイルミネーションは

友達同士でも見に行くじゃんっ

とか

心の中で思いながら


そしたら 珍しくOK

練習の後 いけることになった。

でも、練習の後、

みんなでご飯。

そういうのはキャンセルしてくれないんだ。

早く行きたいのに

友達としゃべったり

いつも通りのゆっくり


行く気があるのかないのか

分からないまま

友達とも

おざなり


望んでない時間は

ただひたすらつまらないだけで



いいって言ったけど

もしかして

行く気ない・・

もしくは

忘れてる?


ドキドキしながら

時間は過ぎていく


日向は先に帰る気配は見せない

みんなと一緒に帰宅


いつものぎりぎり解散時間

こんなに遅くなるとは

思わなかった


今日はもう無理

明日は会社

タイムリミット

過ぎてる



やっぱり安易に喜んじゃいけないなぁって

思って

次の機会は多分もう無理

今日よりもっと状況が悪くなってるはずだから

今日行かれないんじゃ

次は無理


行きたかったけど

仕方ないかって思って。


日向はいけるなら行ってもいいよ

っていうレベルで


デートだって

その時間を大切にしてくれる訳じゃないんだ


期待しなけりゃ良かったなぁって

いつでも簡単に期待しちゃう自分を責めながら

でも

せめて

日向の口から

この結末を聞きたくて


忘れてたのか

行く気が無かったのか

行こうと思ったけど

抜けれなくなってしまったのか


それくらいは

約束したんだから

聞きたくて

とりあえず日向の帰り道についていく



そしたら


行こう



って

言われた




だってもうこんな時間。



電車だってなくなっちゃうよ

もう消えちゃったかも知れないよ



え?そうなの?



そうだよ。遅くなったら消えちゃうよ。



電車はまだ大丈夫。

時間はちょっとしかないけど

それでもよければ行こう



時間がちょっとしかないのは

なんで?

最初からそのつもりだったの?

聞きたいけど聞けない。

私はもう無理だと思ってたよ

諦めてたよ



いつも帰りが遅くて

体がキツイって嘆いてたじゃん

少しでも早く帰りたいって

言ってたじゃん


だから今日はもう無理だって思ってたよ


それでも 時間がわずかでも

一緒に見れるなら嬉しい。

思いは言葉にならないまま

「行く」

とだけ言う。



やっぱり

イルミネーションに近づくにつれ

すごく嬉しくなってくる


ドキドキしてくる

これだからクリスマス大好き


綺麗。



ちょっと寒いけど

日向がくっついて歩いてくれてる。


夜だから暗いし

なぜだか今日の日向はかっこいいかっこしてるし

帽子被って、絶対普通の男の人に見える!!

手を繋いで歩いてても

ラブラブしてても

絶対普通のカップルに見える♪


そう言ったら

ばかって言われた。

どうして??


だって今日の日向はすっごくかっこいい

最初遠くで見た時に誰かと思っちゃったもん

かっこよすぎて。

ドキドキして近寄れなかったもん

みんなみたいに

簡単にそばに寄れなかったもん

ほんと かっこいいvv



自分でも単純って思いながら

目の前のイルミネーションにうきうき


見に来るだけでも嬉しいのに

隣に日向がいるんだもん

こんな幸せな事無い



付き合ってくれてありがとう。

ふたりでイルミネーションの間を歩きながら

ぶらぶらと終点まで

そこからぼーとながめつつ

なぜだか茂みの影へ


日向がぎゅーって抱きしめてくれた。

心臓はばくばく

されるがまま


そしてこーなると

お互い理性が飛ぶ。


本当にぎゅーってしてもらうの

久しぶりだったから


友達として

隣にくっついて座ったりとか

友達として腕につかまったりとか

そういう一瞬のスキンシップは

あったけど

一方的にアルからだけだったし



恋人として

触れ合うのは

日向から私に触れてくれるのは

すっごいすっごい久しぶりだったから

止まらなくなった。


自分たちでも困っちゃうくらい

離れがたくなってしまって

気づいたら

イルミネーションが消えてた。


・・・。

しばし絶句な二人。

時計を見れば終電ぎりぎり


こ、こんなはずでは。

イルミネーションは

半分しか見ていないのに。

もう半分は見れないまま

消えていた。



一緒に見れなくて

悔しいような

でも、あの時間は

絶対絶対離れられなかった。

途中でその事実に気づいたとしても

「見たいね」

「うん」

で終わってたと思う。



ひなたが何を考えているか

分からないけど

やっぱり

アルは

日向が好き

っていうところで

この日も終わる。





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   − 2000年12月01日(金) −             next

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