GW中はやたら暖かかったのに今週はまた微妙な気温で
薄着で大学に行ったのは失敗だった。
後悔しながらも、貴重な空き時間、
薄暗い食堂にこもる気にはなれなくって外のベンチで友達同士喋っていた。
わたしは森博嗣が好きで、
そしたら友達の中にも森博嗣が好きな子がいて、
二人で意気投合してにこにこしていた。
「すべてがFになる」
「冷たい密室と博士たち」
「笑わない数学者」
「封印再度」……
交互にシリーズものの題名を言い合って笑う。
「何かが抜けてる」
「『詩的私的ジャック』だ」
同じものを知っている、喜び。
でもこの子は英語の副題まで覚えていたので
さすがにちょっとびっくりした。
日曜日は二村英仁のヴァイオリンコンサートに行ってきた。
大好きなバッハのシャコンヌを聴いて、胸がときめいた。
バッハがなんて深くて崇高なのか改めて思い知った。
会場についてからサイン会があることを知って
当然迷うことなく演奏会が終わった後に長い列に並んだ。
音が好きです、とか、おつかれさまでした、とか
言うことはいくらでもあるはずなのに
本人を前にすると言葉が一つも出てこなくて、
わたしは鯉のように口をぱくぱくするだけだった。
何か言えばよかった…。
| 2005年05月07日(土) |
あの時確かに、恋に落ちた |
45秒はわたしをとりこにするには充分すぎる時間だった。
ずっと習っている割にはわたしは全くヴァイオリニストに詳しくなく、
知っているヴァイオリニストといったら
パガニーニと五嶋みどりぐらいだった。
「だった」、というか、今でも大体そんなもんだ。
だから彼のCDを試聴したのも本当に偶然で、
ブラームスのハンガリー舞曲第5番を練習していた時
練習の参考にプロの演奏を聞こうと思っただけだったのだ。
目的のハンガリー舞曲より先に、他の曲を選んでヘッドホンを耳に当てた。
シャコンヌ、
その初めの重音を聴いた時に震えたのだ。
あの時確かに、恋に落ちた。
| 2005年05月06日(金) |
水の憂いに濡れる午後 |
女友達二人が、すごいけんかをしているので
みんな心配している。
口もきかない、目も合わせない。
Zは親友が欲しいのだ。
相手のことを大切にして、大切にされて、
いつもなによりもその人のことを優先して、
あらゆることを相談できて、
あらゆるときにつながっていられる、
そんな親友が欲しいのだ。
そしてわたしの顔を見ながら、
シィラはいいね、Aと仲いいもんね、と言うのだ。
でもそんなんじゃない、別の友達に一時間前に言われたばかりだ、
Aとシィラは仲良く見えるけど、そんなに一緒にいるわけじゃないよね、と。
外からどう見えるかじゃないだろう。
一緒にいる時間じゃないだろう。
Aと仲良く見えなくたっていい。一緒にいれなくたっていい。
重要なのはそんなことじゃない。
わたしのことをただの友達としか思ってなくても、
なんとも思って無くても、
いい。
そんなの問題じゃない。
小さい頃は花火が苦手だった。
手に持った細い棒の先端から白い光が勢いよく噴き出してゆくのは、
その光が赤い粒となってアスファルトの上を転がるのを見るのは、
ほとんど恐怖だった。
きっと動く火が怖かったのだと思う。
ゆらゆら動くロウソクの静かな炎と対照的に
花火の火は勢いを持ち、明るく火花を散らして燃えるから。
浴衣に火の粉が燃え移りそうで、不安で、
花火を持つ手を遠くに伸ばして体から火を遠ざけていた。
そんなことを思い出しながら花火をした。
怖がりのわたしも今では花火が大好きで
指と指の間にはさんで一度に沢山の花火を振り回したりする。
あんまりみんなが一斉に花火に火をつけるもんだから、
煙がどんどんどんどん空に向けて立ち昇ってゆく。
真っ暗だった空が煙のせいで白く濁った色になる。
そっと、隣の友達から火をうつしてもらう瞬間が好きだ。
橙色に染まった手元、触れそうで触れない指、
一つの火を、同じものを、共有している気持ちになる。
すっくとひとりが立ち上がり、
ガンマンのように筒を持つ手を上空に向けた。
一発、二発、三発、四発…
打ち出し花火がきらきらきれいに尾を引いて琵琶湖の水面に流れて消えた。
| 2005年05月04日(水) |
スローテンポできらきら流れる |
友達が、シロツメ草を踏みつけるのがかわいそうだから
草むらの端を歩こうと言い出した時
バイト三昧の生活の男がわたしと同じ本を沢山読んでいると知った時
いつもへらへらしている奴のライダー姿を見た時
お洒落な男の車のBGMがバッハの「無伴奏チェロ組曲」だった時
その後部座席に放り投げてある漫画が「ヨコハマ買い出し紀行」だった時
胸がぎゅっとなる気がする
いつもはにくったらしいと思ってる子に対しても、
とてもやさしい気持ちになれる
こんな日は、いつまでも夜が終わらなければいいと願う
そうすればずっと楽しくて幸せな気持ちが続くのに、と
| 2005年04月27日(水) |
グッドナイト、オフィーリア |
とある講義で、
「ヴェニスの商人」のシャイロックが
アントニオに肉一ポンドを要求したのは、
はたして本当に違法なのかそれとも合法なのか…
という話があってなかなか面白く聞いていた。
その時代のイタリアの法律を考慮すると合法なのでは、とか
公序良俗に反するので違法なのでは、とか
学者の意見も様々のようだ。
それはともかくとして、
友達がシェイクスピアを読んだことないとか言い出したのでドッキリした…。
ロミオとジュリエットは読んだことあるだろう!
そういえば中学の時の文化祭の劇が「オフィーリア」だったっけ。
わたしは衣装係で亡霊の衣装を縫った記憶がある。
黒い長いローブ。
隣のクラスの男の子がよく授業の前に小説を読んでるので
最近あたし雑誌か漫画しか買ってないなあ、とちょっと気になって
いそいそと生協で本を買ってきた。
どこにいくにも文庫本を持っていた中学の頃が懐かしい。
時間は今だってちゃんとあるのに、全然使えてない。