青の階

2005年04月01日(金) このねこどこのこ

猫の死体と目が合った

のが一週間前の雨の日。
わたしは赤い傘で、とぼとぼ歩きながら郵便局に向かっていた。
猫は植え込みの影にひっそりと横たえられて
じっと道行く人を眺めていた。
しっとりと毛が湿っていて、
触るとぺたぺたしそうだった。
目は澄んでいたけれど
体は重力に逆らうことを忘れてどっしりと重たそうだったので
命が無いのは一目瞭然だった。
……猫、もしかして、まだ、いるかな
今日は、目、逸らしてなきゃ
とおそるおそる家を出て再び郵便局に向かったのだが
今日は自転車だったため、しかも薄着で結構寒かったため、
猫のいた植え込みに近付く頃には
そんなことはすっかり忘れていて、しゃーっと通り抜けてしまった。
そして家に帰ってから猫のことを思い出した。

あの猫はどうなっただろう。
誰かに見つけられて、運んでいかれただろうか。
それとも、まだいるのか。



2005年03月31日(木) 魂を探しに

大学の入学式が迫ってきて
毎日慌しく引越しが行われている。
電化製品は全部大学生協に注文したので
今一人暮らしの友達の家に遊びに行くと
大体どの友達も同じ型の炊飯器を使っているので面白い。
引っ越してから1月はほったらかしだった炊飯器も
今では毎日活躍している。

自転車置き場を黒髪の少年が歩いていた。
それは一目で最近越してきた人だとわかる歩き方だった。
まだ魂は受験生活から抜けきっていないような、そんな表情だった。
わたしも、あんな顔をしていたのだろうか。
今、わたしの魂はどこにあるのだろう。

夜になると昼の喧騒が嘘のように静かになって、
ちゃんとマンションに他に人が住んでいるのか心配になる。
京都のほうの空が、イルミネーションの反射で真っ赤に染まっているのに驚く。
一年前もそうだった。
今もそうだ。



2005年03月29日(火) A.S.A.P

多分わたしはわたしに期待しすぎてるんだと思う。

ひさびさに夜、寝付けなかった。
そういう時、うっかり眠たくなるまで寝ない決意などしてしまうと
翌日ちゃんと起きることができないので
仕方なく目を閉じて悶々と眠りが降りてくるのを待つ。
しかし、時計を見てしまうといけない。
もうこんな時間になってる…!とショックを受けて
ますます眠れなくなってしまう。
見ちゃだめだー、見ちゃだめだー、と思って
必死に目を逸らすが、
ついついふっと見てしまう。
早く寝なきゃー、早く寝なきゃー、早く寝なきゃ、早く。



2005年03月28日(月) 空腹

足りない、
なんか足りない、
欲しいものがあるわけじゃなく
気力も体力も無い
けど
何かが足りない、
足りないよ。

今は
遠いところに逃げたいし
お酒も飲みたいよ
また東京に行きたいな



2005年03月21日(月) どこかどこかどこか青い海へ

春休みももうすぐ終わる。
忙しくしていたようで
その実なにもしなかった2ヶ月だった。
GWは、夏は、どこか少し遠いところに旅行に行きたい。
距離的な遠い場所よりも、心理的に遠い場所がいい。
わたしの親しい友人たちに旅行に行こうと持ちかけても
必ずと言っていいくらい、いつも「温泉に行こう」と返される。
わたしたちは大学生なのだ。
まあ多少肩や腰が痛みはするものの、若さ満開ピチピチ(?)なのだ。
温泉も悪くないが、海とかちょっとひらけた大地などを目指してもいいんじゃないか。
大学生になって行動範囲が少し広がったので、
その分我侭になったのかもしれない。
そんなわたしが行きたいところはロタ。

暖かくて静かで海が青くて星が綺麗で、
どこかどこかどこか遠いところへ。



2005年03月20日(日) 花よさらば

先輩が卒業して遠い街に旅立って行った。
友達もこの春浪人生活を終えて、
東京の大学に進学することになった。
今までは春といっても親しい人は皆関西圏に住んでいたので
気軽に会うことができる距離にいたが、
これからの別れはもっと遠い別れになる。
距離など関係ないと思いながらも
どこか寂しい。



2005年03月15日(火) 僕の呪文も効かなかった

実家に帰ったり、友達と会ったり、免許を取ったり、
色々忙しくしているうちにあっと言う間に半月が経った。
高校時代の友人たち、外見はさほど変わっていなかったが
中身が驚くほど変わっていたので驚いた。
皆それぞれ恋人が出来たりして、
今まで恋には興味ないと言っていた子まで
恋愛ウキウキ生活を送っているようで少し寂しいような気分だった。
まあ、つまりはみんな大人になってきているということなのだろう。

20になった日、多くの人に祝ってもらった。
やさしい友達が一緒にいて、
携帯の着信ランプは青にひかひかしていて、
ビルの上にあるカラオケルームの窓から
三条の通りをきらきらと車が通り過ぎてゆくのを眺めていた。
20歳なんて想像もつかない頃、
その歳になったとき自分が「何か」になっていると思っていた。
他人に大威張りできるようなものが、何か一つぐらいはできているだろう、と。
けれど、わたしはただのわたしのままで、
光の中を歩いているほうのひとではなく、薄暗いカラオケルームの中のひとだった。
今、まだ、何も持っていない。

今までは、周りが見えないのが怖いと思っていた。
今は、周りが見えるのが怖い。


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