KENの日記
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2013年01月19日(土) ベッリーニのオペラ「清教徒」

妻の参加している合唱団のピアニストの方が伴奏に参加するということで、ベッリーニのオペラ「清教徒」を聞いてきました。演奏した団体は「フレスカリア(Frescaria)」と言って、若手歌手の方が「誰でも気軽に楽しめるオペラ」「低価格でも上質の舞台」をコンセプトとして運営している団体です。今回の公演は「フレスカリア」の第16回目の公演でした。公演は東京都北区の滝野川会館の大ホール(もみじホール)で行われました。そこは京浜東北線上中里から行ける所なので自宅からは比較的便利でした。土曜日の夜の公演ということもあり満員御礼という訳には行きませんでした。

今回初めて聞く「清教徒」なのでストーリーを調べましたので記載しておきます。

(時代場所)
17世紀中頃清教徒革命真っ盛りの(チャールズ一世処刑後)のイングランドのプリマスに近い城塞。

(登場人物)
グワルティエロ・ヴァルトン卿(Ba):議会派の城塞主、議会派軍司令官、エルヴィーラの父
ジョルジョ(B):エルヴィーラの叔父、議会派の退役大佐
アルトゥーロ・タルボ(T):国王派(スチュアート王家)騎士、エルヴィーラの婚約者
リッカルド・フォース(Br):清教徒軍大佐、アルトゥーロの恋敵
ブルーノ・ロバートン(T):清教徒軍士官、リッカルドの親友
エンリケッタ(S):チャールズ一世の王妃(フランスアンリ4世の娘)、カトリック信者
エルヴィーラ(S):アルトゥーロの恋人

チャールズ一世:王権神授説信望者。増税等の圧制のために議会から1628年の「権利の請願」を突き付けられる。一旦これを受け入れるも再び専制政治を開始。この間に国教統一を目指して清教徒を弾圧。王権の制限をめぐってる議会は国王派と議会派に分裂。チャールズ一世が議会派議員を逮捕すると内戦(清教徒革命1641)が勃発した。最終的にチャールズ一世は議会派の勝利によって処刑されることとなる。とは言ってもイングランドの王制がその後ずっと否定されたという訳ではない。今でも王制は継続していることは留意すべきである。

第一幕第一場

17世紀のイングランドの夜明けの城塞。清教徒(ピューリタン) 軍と王党軍の内乱で清教徒軍が国王(チャールズ一世)を処刑して優位にある。王党派の騎士アルトゥーロは清教徒軍の司令官の娘エルヴィーラと相思相愛で結婚となり、清教徒軍の城は祝賀会。猛々しい兵士たちの声を縫うようにして賛美歌が聞こえてくる。その中にはエルヴィーラの声もあった。

一同は間近に迫ったエルヴィーラの結婚を祝う。そこに現れたのは悄然とした様子のリッカルド。彼は、戦いに出かける前にヴァルトン卿からエルヴィーラとの結婚を約束されていたのだが、戦場から戻ってみると、その約束は一方的に破棄されてしまったのだった。エルヴィーラは、王党派の騎士アルトゥーロを愛しており、ヴァルトン卿は他の人を愛している娘に結婚を強要できないと言うのだった。リッカルドは二人の結婚を嘆く。(アリア「今、どこに逃れようか」、「おお、永遠に君を失った」)

第一幕第二場

エルヴィーラの部屋。敵方の青年との結婚は許されず、リッカルドとの結婚と誤解していたエルヴィーラに、伯父ジョルジョはリッカルドとエルヴィーラの結婚を望んでいた父親を説得した一部始終を語る(アリア:娘よ、我が胸に泣け) 。すぐにもアルトゥーロがやってくるだろうと告げたので大喜び(アリア:私は美しい乙女)。そこへアルトゥーロの到着。アルトゥーロ到着の知らせが響きエルヴィーラは大急ぎで出てゆく。広間には、ちょうどアルトゥーロが到着したところで、花嫁姿のエルヴィーラに愛を誓ったアルトゥーロは、皆と一緒に結婚式の準備をする。

第一幕第三場

城塞の大広場での祝賀会。ヴァルトン卿だけは所用があるといってジョルジョに代わって教会へ同行してくれるように頼む。ブルーノが連れてきたいわくありげな婦人に対してイギリス議会への同行を求める。彼女は、実は処刑されたチャールズ1世の王妃フランス王女エンリケッタで、長い間この要塞に幽閉されていたのだった。アルトゥーロはこの城に処刑された国王の王妃が幽閉されていることをジョルジュから知らされる。エンリケッタを見たアルトゥーロはそっと近寄って何かお役に立てないかと尋ねる。

偶然そこにきたエルヴィーラはエンリケッタにヴェールの着け方を教えて欲しいと頼み、ヴェールを残して去ってゆく。千載一遇のチャンスにアルトゥーロはこのまま脱出しようとする。リッカルドに見つかるが、リッカルドはアルトゥーロに決闘を挑みに現れるが、止めに入ったヴェールの女性がエルヴィーラではなく、エンリケッタであると知りそのまま何も言わずに逃がしてしまう。そして戻ってきたエルヴィーラはリッカルドから花婿のアルトゥーロは囚われの女性(エンリケッタ)とともに逃げていったと知らされ、裏切られたと思い込んで衝撃のあまり錯乱してしまう。

第二幕

城内の居室。発狂したエルヴィーラを心配する人々に、叔父のジョルジョは日頃の彼女の様子を語って聞かせる。最高議会でアルトゥーロには死刑の宣告が出た。狂乱しているエルヴィーラを前に、リッカルドもジョルジョも涙を隠せない(アリア:あなたの優しい声が)。ジョルジョは、アルトゥーロとエルヴィーラを救えるのはリッカルドだけだと説得する。あのときリッカルドはわざと二人(アルトゥーロとエンリケッタ)を逃がしたのだった。そのせいでエルヴィーラは狂ってしまった。自らの行為を恥じたリッカルドは、二人のためにできる限りのことをするとジョルジョに約束する。しかし翌朝には清教徒軍と王党派軍との戦いが始まろう徒していた。リッカルドもジョルジョも、ただ祖国のためだけに戦うと誓うのだった。(アリア:ラッパを吹き鳴らせ)

第三幕

戦いは清教徒軍の勝利に終わる。エンリケッタを無事に逃がし辛くも逃げ延びたアルトゥーロは、エルヴィーラが彼への愛を歌っているのを聞き、それに応えて愛の歌を歌おうとするが、追っ手の兵士たちが迫ってくるので慌てて身を隠す。アルトゥーロの声を耳にしたエルヴィーラが城から走り出てきて、彼を探し始めアルトゥーロはその前に走り出ると跪く。アルトゥーロが連れ出した女性が王妃だったことを告げのと、エルヴィーラの誤解も解けエルヴィーラは一旦正気を取り戻す。リッカルドたちがやってきてアルトゥーロを捕まえ、リッカルドがアルトゥーロに死刑を宣告するとエルヴィーラは正気を取り戻しアルトゥーロとともに死ぬと誓う。そこへ使者が到着しスチュワート家は滅び、罪人達は赦免されたと高らかに告げる。晴れて許されたアルトゥーロとエルヴィーラは、一同の祝福を受ける。

歌劇「清教徒」には魅力的なアリアが散りばめられています。エルヴィーラの「狂乱の場」、二重唱「ラッパを吹き鳴らせ」、第三幕のエルヴィーラ・アルトゥーロ愛の二重唱」などなど。どれも大変高度な歌唱力が要求されます。これらの注目のアリアについて、今日の公演ではかなり好演されていたと思います。私としてはリッカルドの歌に最も引き込まれました。二幕の二重唱もリッカルドの歌は素晴らしかったと思います。三幕の最高難度のアルトゥーロのアリアですが、さすがに「ハイF」は出さずに「ハイDes」で代用されました。それでも安定して「ハイDes」を歌い上げていたことには関心しました。

個々のアリアが魅力的なのでオペラ全体を見通すことが後回しになってしまいます。私はこの「清教徒」の肝は「ジョルジュ」だと思います。舞台回し的な役割を担っています。第一幕ではエルヴィーラの婚約相手をリッカルドからエルヴィーラが本当に愛しているアルトゥーロに差し替えるべく努力して成し遂げるところ。第二幕では失恋の痛手を負ったリッカルドを力づけて立ち直らせて戦いに向かわせる「美味しい」場面を与えられています。

従ってこのジョルジョの役には全体を支えるような存在感が欲しいと思いました。今日の公演では安定した歌唱で善戦はしているものの聴衆を唸らせるところまでは行っていなかったような感じが残りました。ジョルジョの人物像に関してもう一段の人間的掘り下げが欲しいところでした。実はその他の登場人物は比較的単純な人物増ではないかと思われました。

全体通して終わってみれば大変清清しい印象が残りました。それは若い歌手の皆さんが全力で取り組んだ姿が随所に現われていたからだと思います。(追記)伴奏はピアノ+弦楽四重奏+リード(クラリネット+サックス)で行われました。力演だと思いました。金管楽器が欲しいと思いました。




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