| 2012年03月27日(火) |
サンタンジェロ城・オペラ魔笛鑑賞 |
ローマ三日目は「サンタンジョロ城」見学は決めているものの、その他の時間は予定を組まずにもし疲れがたまってしまったらホテルで休んでいても良いかなと考えていました。というのも今夜はローマオペラ座で「魔笛」を観ることになっているからです。しかし朝起きてみると意外に元気でまだまだ歩き回るエネルギーがあるので結果的には大分歩き回ることになりました。
まず40番バスでサンピエトロに向かいました。朝早いのでサンピエトロ教会の「クーポラ登り」がまだ空いているだろうとの判断です。サンタンジェロ城やローマ市街を高い所から見ておこうという狙いがありました。私達の推測通りでキューポラ登りは空いていて私達夫婦が殆ど一番乗りだったみたいです。
エレベータである程度の高さまで登り、クーポラの上部からサンピエトロ内部を見渡した後、細い階段をかなりの段数を登ってクーポラの頂上近くまで行きました。そこからの眺めは非常に素晴らしく朝日に映えるローマ市内が一望されます。これから向かうサンタンジェロ城も上から見る事ができました。ローマには目立つ近代的な高層建築は全くありません。この光景は500年前も全く同じだったのでしょうしこれからも変らないのでしょうね。混雑する時間帯に見学に来たらさぞ大変だろうと想像しながらまだ人の少ないクーポラを後にしました。朝日をふんだんに取り込むサンピエトロ聖堂内部をもう一度見学してからサンタンジェロ城に向かいました。
サンタンジェロ城は「歌劇トスカ」の第三幕の舞台でありますし、ダン・ブラウンの「天使と悪魔」でも登場するローマの一風変わった名所です。古代ローマ時代には皇帝の陵墓だったようですがその後「城」に転用されました。城とするからには外からの攻撃を防ぐことを目的に補修したのでしょうが、結果的には中から出ることも難しいことになったために「牢獄」として活用されたようです。
入場すると見学者はまず城の地下に案内され城の地下から城内部の通路を通って屋上まで進みます。途中の広場には18世紀中ごろまで城の頂上に置かれていた大理石の天使(ミカエル)像が置かれています。現在頂上に置かれている天使は剣を持っていてもっと勇ましい姿をしています。一番上の屋上はカラヴァドッシが銃殺されトスカが身を投げる場所です。ここからの眺めは素晴らしく今度はサンピエトロの立派なクーポラと広場を見渡すことができます。帰りは城の部分から城壁に渡し橋で移って城壁を見学して降りてくるのですが、この渡り橋を外しさえすれば城は完全に城壁から分離されるようになっているのです。
サンタンジェロ見学の後は地下鉄でリパブリカまで戻って、宿泊しているホテルにも程近いリパブリカ周辺の教会・美術館を見学しました。狙いは「天使と悪魔」にも出てくる「聖テレーザの法悦」のある聖マリア・デッラ・ビットリア教会でした。しかし教会の午後のオープンまで時間があったので、近くの聖マリア・デッリ・アンジェリ教会と国立博物館を散策しました。
聖マリア・デッリ・アンジェリ教会はミケランジェロの設計したという古代ローマ建築を利用したモダンな教会です。16世紀に設計された建物が非常にモダンに見えるというのも天才の設計だからだと思います。ベートーベンの最後のピアノソナタのように未来を先取りしたかのようです。教会内部には大仕掛けの日時計が置かれています。この教会のホームページは英語版もあって現代的な感じのする教会です。聖マリア・デッラ・ビットリア教会では興味のあった「せいテレーザの法悦」を間近に見ることができました。しかし像が高いところにあってマリアの表情までは良く見えませんでした。
***ローマオペラ座***
ローマに入る前にナポリによってナポリの「サンカルロオペラ劇場」を見学しました。サンカルロ劇場は王宮の直ぐ横にある非常に立派な建物で内装も非常に豪華でした。イタリア統一前の歴史を振り返ってみると、ローマは長い間ローマ教皇の領土でした。そしてその勢力範囲はそれほど広くはありません。その教皇領より南のイタリア半島の半分程度は長くナポリ王国が支配していました。ナポリ王国の領土はイタリア統一前は最も広大なものであったのです。当時イタリア北部はというと「ミラノ公国」とか「サヴォイア公国」とか「ヴェネチア共和国」とか規模の小さい国々が乱立していたのでした。
こんな背景もあって、ローマオペラ座はナポリのサンカルロ劇場に比べると規模にしてその煌びやかさにおいても劣ると感じるのは仕方のないことだと思います。つまり王様のお膝元で長い伝統を持つ劇場(サンカルロ)と19世紀の共和国統一後に作られた新しいオペラハウスの違いは伝統の違いとして感じられたということです。更にローマカトリック、古代ローマ遺跡の街ローマは音楽においてミラノとかフィレンツェとの差を感じざるを得ません。もっとも敷居の高くないオペラ座は世界中の観光客が気軽にオペラを楽しむ環境であるというメリットがあるとも言えます。今回の「魔笛」も指揮者・歌手は他のオペラ劇場からの寄せ集めの公演です。そんなオペラ座もありかなと思います。ところで昨年暮れから「ムーティ」がローマオペラ座にきました。これから「ムーティ色」がでてくるのでしょうか。円熟したムーティとのコンビで大きく飛躍するのかどうか楽しみではあります。
今回の「魔笛」はコヴェントガーデンの人気演出の焼き直し版です。そうするとどうしてもコヴェントガーデン版との比較にならざるを得ません。どうしようもないことですが「ダムラウ」のような「夜の女王」は滅多にいるものではないのです。オペラでの出番は少ないものの「夜の女王のアリア」は魔笛で主要な見せ場の一つです。今回は残念ながら「ハイF」の音は殆ど外れていました。他の歌手が結構頑張っていたのに「夜の女王」でマイナスが大きくオペラ全体の評判を落としてしまった感じです。私はパミーナを歌った若い「ミューラー」さんの歌唱・演技が素晴らしいと思いました。この人はこれから大いに活躍するのだろうと思われました。タミーノ、パパゲーノ、ザラシュトラは非常に安定した演技だったと思います。予定外で平土間で聞くことができたのはラッキーでした。日本の大きなホールでは絶対聞けないような声の振動を感ずることができました。
今回オペラ座近くにホテルを確保しました。それは夜8時30分に始まるオペラが終了するのは夜12時過ぎになると思われましたし、終演が遅くなっても歌手の写真を撮ったりサインをもらったりすしたかったからです。予定通り、パミーナのミューラーさんからサインをいただき一緒に写真まで取らせてもらいました。イタリアでも夜12時過ぎの終演では楽屋口で歌手を待ち受ける人の数は少なかったです。頑張った歌手の皆さんには少し申し訳にような気がしました。この魔笛経験は今回のイタリア旅行の最後のイヴェントでしたが色々な面で非常に印象深いものでした。
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