恋文
DiaryINDEX|past|will
山の頂上から 駆け下りた そのまま空中を滑ってゆく 朽ちかけた古城の塔が見えている
砂の上に湧き水が現れて みるみる川になった 真っ直ぐ底まで見渡せる透明な水 すっともぐって行った
海は果てしなく遠浅だった 漁師たちが帰ってくる影が黒い 少し沖まで歩いてみた
ホバリングする飛行機から降りてきた ロボットのような魔術師が わたしのマフラーに赤いリボンをつけたら 編み込みのショールになった それをもう一度触ったら 次にはニットのワンピースになった
貰って帰ったら雑貨店に女友達がいて いくつか化粧品を買ってくれた あとで教えてあげるね、って
山の上に 乗りかかるように 浮かんでいる 雲が縁が輝いて
ただ平穏に 過ぎてゆく
寝坊した朝 子供の声が聞こえている
世間は もう動いていて
わたしは まだ ちょっと まどろみたい
結局は 自分の勘と経験と
レシピを見つつも
えいやと やってしまうのがいいので
なんだか 水が多かったかな と 思ったって
できてしまえば ほら
おいしいじゃない
雨しぶきが しらじらと光る
傘が撓んで 進むのも覚束ない
ぱちん と はじけるように 傘の骨が折れた
湿った匂いが 立ち上ってくる
町の明かりは ぼんやりと
月のない空を 照らしている
風が まるくなった
曇り空だけれど
なんだか明るい
|