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■ライト夫婦
2009年02月03日(火)
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嫁が風呂に入ったと思ったら、すぐさまとしていたところ、乳やたわしのような物丸出しで飛び出してきた。

「あ、あなた、タマ買って来てくれない?」

風呂場の電球が切れたらしい。

「分かった。急いで買ってくるからそれまで待っててくれ」

「いえ、このまま入ってるわ」

嫁は脱衣所の明かりを頼りに風呂場に戻って行った。薄暗い中にぼんやり浮かぶ嫁の姿は、浴槽の溺死体みたいで火曜サスペンスな感じでいやであった。

すぐさまタマを買って来て取り付けると、娘・R(5才)と息子・タク(3才)が

「とちぎのおばーちゃんからでんわあったよ!」

と騒いでいた。どうやら母から電話があったらしい。かけてみると

「どこ行ってたんだい」

と言うのでこれこれこういう訳でタマを買いに行ったのである、と説明すると

「そーゆー物は嫁さんが買いに行くもんだよ」

などと言う。母、昭和の女。

「今時そんなこと言ってたらかみさん出てっちゃうよ。それに既にたわし丸出しだったし」

僕は理解ある男のふりをして話すと

「あ、そっけ(そうかい)」

母は栃木弁で答えた。それから母の用事を聞いて話が済み、

「R、タク、おばあちゃんにバイバイしよっか」

子供達を呼び寄せようとするとふたりとも

「さっきのでんわでバイバイしたからいいー」

僕がいなかった時の電話でバイバイしたからいいのだと言う。君たち、ドライなのね…。ここは孫としておばあちゃんに人懐っこく何度でも電話口に食らいつくのがベストである。さすればお年玉の相場も高値上昇するであろう。あとで教えとこ…。

それにしても母の言ったこと…。確かに僕の父も家の中では自分のちんこより重い物は持たないようなタイプであった。僕も釣った嫁にエサやらないことにかけては練馬区で5本の指に入る自信はある。

しかし切れたタマぐらいは買ってくるよ。母の時代とは違い、男女平等が叫ばれ、やもすれば男が1歩も2歩も譲歩しなければならないこのご時世。

「お前が買って来い」

なんて言おうものならそれこそ

タマの切れ目が縁の切れ目、でございます。

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