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■遊星からの文体X
2009年01月15日(木)
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息子・タク(3才)は字を一生懸命覚えている。

チラシの裏に難解な文字を書きまくって

「たっくん、勉強してるの」

と得意げに言う。

「ははは、偉いねえ」

「パパ、おてがみかいたよ」

「お、そうか、ありがとう」

彼の癖のある字体を読み取るのはなかなか難しい。解読してみると

「パパへ。なにしてるかわからない」

そうか。僕はそんなに影が薄いか。影は薄いがしょんべんは濃いぞおおおおお!

タクは貪欲である。ひらがなカタカナのみならず

「えいごもかけるんだよ」

とアルファベットを書くし

「パパ、漢字おしえて」

ともう漢字を覚えたい段階に来てしまっているようだ。なので「鬱」とか「?」とかめちゃくちゃ画数の多い漢字を仕込んでやろうと思ったが

「あれ…『うつ』ってどう書くんだっけ」

僕が書けなかったため「日」とか「人」とかの優しい漢字を書いてやるに留めた。すると教えたそばから

「あ、ここに「ひと」があるよ!」

新聞の「人」の字を見つけて大騒ぎ。字も覚えれば言葉も覚える。今、砂漠が水を吸い込むように何でも覚えてしまう時期なんだなあ…。

ところがある日、タクがいきなり

「せっくす!」

と叫んだので心臓が飛び出そうになった。思わず嫁も僕の方を見たが

「僕はそんな言葉教えてない!」

神に誓ってお下劣系は教えていないのだ。

「せっくす!」

「あのね、タク、そういうことは…」

「せっくす!えいごだよ!」

「うん。分かったからあまりでかい声で…ていうかどこで覚えたんだ?」

「たっくん、せっくす書けるよ!」

「まじで?」

タクは鉛筆を握りチラシの裏に書く。まさか、まぐわいのさまを書いちゃったりしないよなあ…と息を呑んで見守っていると、タクが書いたのは

「X」

だった。

「これ、せっくす!」

「うん、惜しいけどこれはエックスなんだ。ゆめゆめ間違いないように」

外で言うと大変なことになるだろう。

さて嫁と「X」でもするか。

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