←ちょっと奥さん、押してって!日曜日と月曜日は栃木の田舎に帰っていた。
僕の祖母に会いに母と嫁と子供達で老人ホームに赴くと、祖母はタオルを折り畳んでいた。
「おばあちゃん、来たよ」
耳のそばで大きめの声で言うと
「よく来たねえ」
とニコニコと笑う。
「僕だよ!かじりんだよ!おばあちゃんの孫!」
来る度に言うけれども祖母はおそらく僕のことを誰だか分かっていない。あまり会いに来れないのが申し訳ないのだが…。
祖母を囲んでせんべいを食べた。髪切ったの?きれいになったね、などと他愛のない話をする。娘・R(5才)と息子・タク(2才)がリスのようにポリポリと食べているのを見て
「いい顔してるねえ。かわいいねえ」
祖母は目を細めてと笑う。今日はご機嫌なようだ。
「うん。かわいいでしょう。僕の子だよ。おばあちゃんのひ孫だよ」
タクなどはお調子者なので祖母の前で
「ぷっぷー。ぷっぷー」
などとふざけた踊りを披露し、それをまた祖母はニコニコ見ている。かつては僕の母がRとタクを可愛がっているように僕も祖母には猫可愛がりされたものだが…と、祖母と並んでいる母を見比べてしまった。
もしかしたらいずれは母も…と考えると月イチ程度しか実家に顔を見せられないことが親不孝に思えてきた。だからといって
「だったら来週も栃木に来ていいんだよ。いや、来週と言わずずっと栃木に住んでいいんだよ」
と悪魔の囁きをする母は卑怯だと思う。実家の周りには職がねーべよ。ま、まあ、あまり老後が安泰過ぎるとボケやすいって言うし…と都合良く考えることにする。
老人ホームはとても綺麗で祖母の部屋も清潔そのものであり、よくケアが行き届いているように思えた。
「いい部屋だよね」
と思ったままのことを口に漏らすと
「ま、老後の沙汰も金次第」
などと母が言うので、悠々自適の母なんかより今の生活でさえカツカツの僕自身の方が厳しい老後が待ち構えているのことに気づき、にこやかな祖母とは正反対にリアルな現実の暗さに包まれてしまったのであった。
祖母の老人ホームを後にして、このようなところに入れたら何の憂いもないのになあ…などと考えつつ、祖母が終始ニコニコ顔で良かったという安心感と共に、理想的な老後のためまだまだ頑張らねばならぬと身が引き締まる思いもしたのであった。
すなわち老後の憂いを断つ。なんつって。
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