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■父さんこのイモ何のイモ
2008年09月06日(土)
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「Rちゃん、明日いもほりなのよ〜」

娘・R(5才)の幼稚園イベントで、わざわざ大型バスで埼玉まで芋掘りに行くという。都会っ子ってすごい。僕の故郷栃木などはイモ畑なぞちょっと歩きゃそこらじゅうにあったのに。

Rからそんな話を聞いた日の夜、仕事から帰って来てぼーっとしていたら、背後から嫁がそーっと近付く気配がした。すわ曲者、と気付いた時には既に遅く、

「うわあああ!なにすんだよう!」

なんと僕のズボンの裾をまくり上げるではないか。スカートめくりは子供の頃毎日のようにやったもんだが、ズボンめくりなんて初耳である。

「なにすんだよ!痴漢!えっちすけっちわんたっち!たっちたっちここにたっち!」

必死こいて抗議をすると

「あっ!これだ!」

と僕の靴下をつまんだ。

「何が『これだ』なんだよ」

「この靴下を芋掘りの時にRの靴の上から履かせるの」

「はあ?」

「泥よけのためよ。この靴下朝から探してたのよ。これが一番薄いから」

「はあ」

「見つからなくておかしいなあって思ってたら、チッ、履いてやがったか」

「そりゃ履くだろ。履いちゃ悪いか」

何が悲しいって、中4日のダルビッシュ並の主力ローテーションで履いている現役バリバリの靴下を、いともあっさりRの芋掘りの犠牲にされるとは…このことである。親というものはスネを囓られるだけでなく靴下も没収されるらしい。それでも愛しいRのためである。

「明日は父の臭いがたっぷり染み込んだ靴下でイモを掘るがいい…」

「バカ、これから洗うのよ」

僕は強制的に靴下を脱がされた。なんならその他も脱いで種イモを見せたかったが明日Rが掘ってくるイモはそれよりも比べ物にならないくらい大きいだろう。つか普通に長靴履かせないのか?

翌日、Rはいつもより早く起きて元気よく出掛けていった。結果その晩の夕食に、4日ぐらいため込んで出した一本糞レベルの大きなサツマイモがどーんと出された。Rが大きな成果を挙げたのはめでたい。しかし困ったことに

「…僕、サツマイモ嫌いなんだよね」

と嫁に言うと

「あなた何言ってるの!Rがあの小さな手で一生懸命掘ったイモを…食べないなんて!」

八王子のジャガイモのような顔をして怒った。

「でも…」

僕のメシとして出されたのは、ドンブリ飯と松屋並のガッツリギトギト肉料理、そしてイモ。自衛隊のメシみたいである。

「量的にも無理だよコレ!」

「いや、ちょっとでいいからさあ」

じゃあちょっとだけよーん、と食べてみると、やはり僕はサツマイモの甘さと、始めパサパサ後からねっとりの食感がダメであり飲み込むのに苦労したけれども、翌朝起きたRにはニッコリ笑って

「とてもおいしかったよ〜」

ごめんよお前の父ちゃんは大嘘つきや…。

玄関にはRが穫ってきたサツマイモがゴロゴロとある。

「Rちゃん、これ全部手で掘り掘りしたの?手痛くならなかった?」

と聞いてみると横から嫁が

「手にもあなたの靴下をかぶせさせました」

僕の貴重な靴下が2足も犠牲に!つかそこは軍手だろ!あ、サイズがないのか…。まあ大量のイモと、Rの貴重な体験の前では、親父のくたびれた靴下2足の価値などは屁のツッパリにもならないだろう。

サツマイモだけに屁がつきものということで…。、

これを全て掘ったというのはなかなかの労力を凄い。、

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