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■ラブミー・カレンダー
2008年09月03日(水)
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娘・R(5才)の夏休みが終わった。

ずっと壁に掛かっていたRの夏休みカレンダーもその役割を終え、幼稚園に提出するという。そこには1日ごとにカレンダー付属のシールを貼るスペースがある。天気のシールとうんちのシールである。

Rは毎日天気を確認してはシールを貼り、うんちが出たと言ってはシールを貼っていた。そして空いたスペースに嫁が書いた「今日はどこどこのプールに行きました」などのコメントが残っている。まさにRの思い出がいっぱい詰まったメモリアルカレンダーである。

僕もこのようなカレンダーを使い、まぐわった日に温泉マークのシールでも貼りたい。しかしあまりにも貼る機会がないため逆に悲しいメモリーになりそうである。

「パパ、みてみて」

幼稚園に持って行く前にRがその総決算を見せてくれた。カレンダーの最後のページに、大きな絵があった。この夏一番の思い出をRが描いたのである。それは、

「これは、みんなでプールに行った絵なのよ」

とのことであった。そうか。やはりプールなのか。この夏一番遠出をしたのは海だけれども、Rと息子・タク(2才)は海は怖がるばかりであった。せっかく遠出をしても近所のプールの方が思いっきり楽しんでおり、張り合いがなかった。

小さい子って海よりプールなんだな…と考えると、そういえば僕も思い当たる節がある。もともと海なし県の栃木に生まれ育ったので、小さい頃は海に行ったことがなかった。初めて見たのは今のRよりもっと遅かったのではないだろうか。

初めて海を見た時のことはよく覚えている。いきなり青一面の大海原がドカーンと目の前に広がり、初めて見るゆるやかにカーブする水平線に吸い込まれそうになった衝撃。大自然のあまりのスケールのでかさにやはり僕もしばらく海が怖かったのだった。

あの幼き日の驚きと感動…。忘れておったわ。水平線よりもビキニギャルのオパイに目が行くようになったのはいつからだろうか。

「ねえパパー…」

僕が惚けているのでRが腕を引っ張った。おおそうじゃ。Rのカレンダーである。Rはカレンダーの1日1日を指差して説明する。

「これはー、うんちが出た日でー、これはー、うんちが出なかった日でー、これはー、うんちが出た日でー」

「ちょっと待て、君の夏休みはうんちしかないのか」

そんな説明だと、まるで夏の思い出が脱糞の有無しかなかったかのようではないか。2008サマー。シット・オア・ノット。5才の娘の思い出がそれだけとは悲し過ぎる。

わっかい娘が♪だっぷん。お色気ありそで♪だっぷん。

ともあれRの夏休みのカレンダーは、最後のページの絵と、

「これ、貼ったのよー」

とRが得意気に話す、ひときわ大きな

「よくがんばりました」

と書かれた金メダルシールによって締め括られていた。

幼稚園が始まると夏の思い出に浸るまもなく運動会の練習が始まる。なかなか園児も忙しいなあ…と感慨に耽っていたら

「金メダルシール、たっくんもはりたかった!」

横からタクが突然ダダをこね始めた。余程そのシールが気に入ったらしい。

「たっくんも幼稚園に入ったら出来るようになるよ」

ないものはしょうがない、と必死にあやしても聞く耳持たず

「たっくんのしーるは?たっくんのシールはぁあああ?」

とうとう「うわーん」と泣いてしまった。

「今朝むちゃくちゃ早く起きたから寝不足で不機嫌なのよ…」

と嫁は言うが僕は違うと思う。タクはこう言いたかったに違いない。

そのカレンダーのシール、おれんだー。

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