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■怪傑熟女たち
2008年08月04日(月)
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栃木の母が中野に来ていて、今夜泊まりたいというので迎えに行くことになった。

何故中野に来ているかというと、

「きよしくん(氷川きよし)のコンサートで中野サンプラザに来てるの〜」

なんだそうだ。母は「きよしくん」の大ファンで何かというとコンサートに行っており、老後の人生を謳歌しているのだ。今回もこのくそ暑いのに栃木くんだりからわざわざ来ている。ぶっ倒れやしないだろうかと少し心配だったので、待ち合わせの時間より少し早く中野に到着した。

母からの連絡が来るまでどこかで時間を潰そうとうろうろしていたら「メイドバー」なる看板が。萌え萌えの可愛いメイドがいるのか、それともメイドイン冥土のような地獄の使者のようなモンスターが待ち構えているのか、入るか入るまいか汗を垂らしながら唸っていると

「今終わったよ〜」

との母からのメールが来、ほっとしたようながっかりしたような心持ちで駅に向かった。

駅で母と落ち合うと、母ともうひとりのおばさんが立っていた。

「いつもお世話になってる『きよ友』(氷川きよしファン仲間をこう呼ぶのだそうだ)なのよ」

「どうもこんばんは〜」

「ど、どうも。母がお世話になりまして…」

唐突に紹介されたこの方は、母とよくつるんでコンサートに行くんだそうだ。三重に住んでいて、あるコンサート会場で知り合ったのだという。なんだかネット友達みたいである。

「息子さんがこのへんに住んでていいですねえ。私は夜行バスです」

三重の方はそんなことを言った。夜行バスで三重…。僕でさえ夜行バスは疲れてかったるいのに、母とそう変わらなく見えるその年だと相当キツイのでは…と思った。

帰りがてら母にそんなことを話すと

「できるだけ節約しないと行けないからねえ」

アーティスト関連のこと以外は生活費を切り詰めるバンギャみたいだ。母はつらつらと「きよ友」活動を語り始めた。

「お母さんはね、さっきの人ともうひとりの人と3人でいつもコンサートに行ってたんだ」

「あ、そう」

「でももうひとりの人はいなくなっちゃってねえ…」

「なんでよ」

「男ができたんだよ」

「その人、年いくつなの!?」

「57」

「うわあ…」

年がいくつになろうともそういうことはあるんだろうけれども…頭では分かっていてもヴィジュアル的には想像したくない。

「その男の人と知り合ってから『女の喜びを知りました』とか言っちゃってきよし君活動やめちゃったんだよね」

57で女の喜びを知る…今まで知らなかったんだろうか…とか、どういう風に知らされたんだろうか…とか様々なことが頭の中を駆け巡ったが、細木数子が乱れ狂うという熟女エロ的ビジュアルが浮かんでしまい、即思考停止した。

家に着くと嫁が既に娘・R(4才)と息子・タク(2才)を寝せていた。ふたりともすやすやと眠っている。

「明日この子達と遊ぼうかね」

母は僕らの隣の部屋で寝てもらう。デリケートな嫁は母が隣にいるとやらせてくれない。すなわち、

母はコンサートを満喫できたが、
僕はインサート出来ないのであった。

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