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■アメアメクレクレ
2008年07月31日(木)
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嫁から聞いた話をひとつ。

ある日、スーパーで特売があった。なんか庶民の目を引く特売だったらしく、大庶民である我が家の嫁も当然の如くそのスーパーに行った。

そこには他にも我が家のような大庶民が殺到しており、レジは大行列が出来ていたそうだ。待っている間、一緒に連れて来た息子・タク(2才)は

「なに買ったのォ?これなあに?こーひー?パパのこーひー?にがいのォ?」

いつものようにベラベラと喋りまくっていたが、嫁達の前に並んでいた男の子は待ちくたびれてぐずっていた。一緒にいるのは、母親ともおばあちゃんとも見れるオバチャン。始めこそ男の子をハイハイとなだめていたが、だんだんと口調が荒くなってきて、

「あーもう!わかったから!」

とうとうぶち切れ、近くの商品棚にあったキャンディーの袋をむんずと掴み、なんと、ばりりりぃっと開けてしまったではありませんか!

「ほら!これやるからもう少し待ってなさい!」

キャンディーを受け取った男の子はそれで大人しくなった。しかも返す刀でオバチャンはくるりと振り返り、

「ボクも食べるかい?」

タクにもひとつあげようとする。嫁はこの時考えた。虫歯予防のため、普段はチョコやキャンディー類はあまり食べさせないようにしている。できれば断りたい。

しかし強引矢の如しを絵に描いたようなオバチャン、そして既にちゃっかり手を差し出し受け取り体勢万全のタク…、このふたりを前にして断れなかったのだそうだ。

「…すごいオバチャンだね」

この話を聞いて、こう答えるしかなかった僕。

「勿論あとでお金払ってたけどね、オバチャン」

「タクにダメって言うわけにもいかんしなあ」

「そうなのよ。タクは別にぐずってなかったのに、キャンディーあげないことで泣かれちゃあねぇ…」

人の好意も良し悪しである。それにこれはよそさまのことだけれども、子供にするべきことではない気がする。静かにするべきなのにゴネれば何かを貰えるから騒ぐ、お金を払うのは後でもいいのだから先に商品に手を付ける…このように解釈してしまうのではないのだろうか。

飴と鞭という言葉があるが、飴も鞭もそれぞれ与えどころが大切なのだと言えよう。…なんて偉そうに語っているが、僕は別に普段そこまで考えているわけではなく、

「ぎゅうにゅうのむー!」

どんな飲み物よりも牛乳大好きなタクには言われるがままホイホイ与えている。

飴と乳である。

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