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沙夜



 お花見...夜の部(初めてのお○○○編)

夜は昼とは別の、桜の名所に連れて行ってもらった。
桜を見る前に、彼が予約していた日本料理店に入る。


普段、しっかり食べてからでないと飲めない私なのだけど
この時は、空きっ腹の食前酒でかなりいい気分になってしまい
その後のビールもグラス半分ほどしか口を付けていなかった。


店の女将が残り僅かになったビール瓶を手に取り
ちらりと彼と私のグラスを見て、そして彼に
「奥様にお注ぎして宜しいでしょうか?」と訊いてきた。


(ひえー、奥様!?)


咄嗟に言葉が出なかった私をよそに、
彼は穏やかに言った。


いえ、これ以上飲ませると寝てしまいますから。


なんなの、この大人っぷりは…。
余裕あるなぁと妙に感心してしまった。


大変美味しかったです。ご馳走様。


とか言う様も、そつがないんだよなぁ。
(にしても、2人きりでいる時と随分感じが違う…)


ねぇねぇ、『奥様』だって!

ねぇ。

やだー。夫婦に見えたのかしら。

なんでやなんだよー。

だって他に、恋人とか兄妹とか愛人とかには見えなかったのかしら。
…親子とか。


そんな年齢差、ないだろっ。

なんだかなー。
納得出来ないなー。



なんて、言っちゃったけど。
ホントは全然イヤじゃなかった。


食事の後、暗い川沿いを、手を繋ぎながら歩く。
しばらく歩くと、白いライトで照らされた、輝く桜並木が現れた。
それはそれは幻想的で、美しい夜桜だった。


ところであなたは気付いたかしら。
あの夜のもうひとつの夜桜。


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2003年03月30日(日)



 今週末、夢が叶う?

今週末は、彼と旅行です。
以前日記に「恋人と満天の星を見上げるのが夢」と書いたけど
もしかしたら、それが叶うかもしれません。


んが。


どうやら週末のお天気は全国的に良くないみたい。


宿泊先は、ずっとずっと前から、いつか行けたらいいなと思っていた所。
そこに泊まることも、私のいくつかある小さな夢の中のひとつ。
だから、たとえ星が見えなくたって泊れるだけで幸せ。
そりゃ見えたら、さらに幸せ度UPだけど。


でも、あまり幸せ過ぎると怖くなる。
幸せは続かない、と、心の何処かで思っているからかもしれない。


だから今回は、星空はお預けにした方がいいのかな。


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どよーん。



2003年04月07日(月)



 最悪〜、な(?)旅の始まり

土曜の朝。
天気は週間予報通りの、雨。
旅行の支度をしていると携帯が鳴った。


(あ、もうそろそろお迎え?)


電話に出ると、挨拶もそこそこに彼の悲痛な声が。


沙夜ー。最悪〜!!

なに? どうしたの? 車が変なの?


レンタカーを利用しての旅行だったので、
へんてこな車を宛てがわれたのかと思った。


免許証、忘れちゃった。。。

えっ? だめじゃん。
ええっ!? …ってことは、どういうこと?


車、借りられないんだってー。

え〜〜〜っ!?
なにやってんの〜〜。


ごめんねー。どうする〜?

どうするって、まさか旅行やめちゃうの!?

いや、そうじゃないけど。
電車で行く?


…もちろん行くよ!


というわけで急遽、ドライブでの旅が、電車での旅へと変更になった。


(あはは。やってくれるなぁ〜。波瀾含みな旅になりそう)


雨の中、傘を差して歩きながら、私はなんだか可笑しくて
ひとりにやにやしながら駅へと急ぐ。


駅のホームで彼と落ち合い、特急電車に乗り込む。
『電車の旅もいいよね?』なんて明るく話していた彼だったけど
内心、めちゃめちゃ凹んでいただろう。


この後は順調に…かと思いきや。
1時間もすると、次なる波瀾が私を襲った。


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2003年04月12日(土)



 “恐怖の・・・”

電車に乗ってしばらくすると、気分が悪くなってきた。


おかしいなぁ。
私、電車酔いなんて、今まで一度もしたことないんだけど…
すごく気持ち悪い。どうしてだろ。



彼の肩にもたれて、私はぐったり。


あー、この電車はね、振り子みたいに揺れるから
酔っちゃうんだよ。
大丈夫?



駅弁をパクつく彼の横で、私は“あ〜”とか“う〜”とか
唸り続けた。


次、乗り換える電車は大丈夫だからね。
気持ち悪いの、治ると思うよ。



彼の言葉通り、この“恐怖の振り子電車”を降りたら
少しずつ元気になってきた。
乗り換えた電車の中で、しっかり駅弁を食べる私に
彼は驚いて(呆れて?)「食べたね〜」と笑った。
(でも少しだけでしょ。半分はあなたの口に運んだもん)


なんだかんだあって、無事ホテルに到着。
お茶した後、“恐怖のプール”に行き、“恐怖の水着姿”を披露。


彼の犬かきを見つめながら、カナヅチの私は不安を感じつつ…


ねぇねぇ、もし私が溺れたら助けてくれる?

う〜ん。
一緒に溺れてあげるよ。


溺れちゃダメじゃん。


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そ、それ、全然大丈夫じゃないから(怖)


冗談とはいえ、爽やかな笑顔で言われると、びびるってば。


2003年04月13日(日)



 星空が一番キレイに見える部屋

私達が泊まった部屋はメゾネットタイプで、広めのテラスが付いてた。
そこからの眺望は素晴らしい・・・んだろう。天気さえ良ければ。


ここは、彼が「星空が一番キレイに見える部屋をお願いします」と
予約してくれた部屋だった。


夕食を終え、部屋に戻ってきても雨はまだ降り続いていて
私は星ひとつ見えない真っ暗な空を、恨めしげに見上げた。


(天気予報では、夜になったら晴れるってあったのになぁ…)


その後も、ちっちゃなトラブルが続いた。

彼が近くの温泉に出掛けて行ったのに
シャワーの故障で、水しか出なかったこと。

部屋のバスタブが、お湯を張っても異常に冷たくて
私のおしりが冷え冷えになってしまったこと。

彼がバスルームを水浸しにしちゃったこと・・・などなど。


今回の旅行は、何かに祟られているのかと思わずにいられない。


0時半。
テラスに出てみると雨は止んでいた。
空高く月が出ていて、ぽつりぽつりと星が見える。


星、見えるね。
でもこれじゃ都会と変わらない…。


月が出てると、ダメだよね。

うん。
それにホテルの照明も邪魔してる。


3時頃、目覚ましかけてみよう。
見えるかもしれないよ?


そうだね。


午前3時の星空に期待しながら、私達は眠りに就いた。


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2003年04月14日(月)



 満天の星空...1

PPPP... PPPP... PPPP...


午前3時。
彼の携帯の目覚まし音が部屋に鳴り響いた。
私はがばっと飛び起き、ベッドルームからリビングに続く階段を降り
テラスに出た。
彼も私に続くようにしてテラスに出る。


月は姿を消し、ホテルの照明もすべて消え、暗闇が静かに広がっていた。
無くしたものを探すような気持ちで、私は空を見上げる。


星…、見える。たくさん見えるよ。
さっきの10倍。
ううん、30倍? もっとかな?



私の目が少しずつ暗闇に慣れてゆくと、ぼやけたファインダーの焦点があうように
夜空の星はその数を増してゆく。


ね、すごい、すごいよ。
あ〜、こんなだったら、星座の予習してこれば良かった。
星がありすぎて、何が何だか分からないよ。



ほら、あれはさそり座じゃない?
下に向かってしっぽがあるでしょ。



ほんとだ。
アンタレスが赤く光ってるものね。



はしゃぐ私に、彼は「良かったね。星が見えて」と微笑む。
後ろから抱きしめられ、私は頭を彼の胸に預けるようにして天頂を仰ぐ。
そこには北斗七星があった。


冷たい風が少しずつ体温を奪う。
ずっと見ていたかったけど、部屋に戻った。


沙夜、おいで。


彼の懐に滑り込む。


(あったかい…)


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2003年04月15日(火)



 満天の星空...2

ふと目が覚めた。
あれからどれくらいの時間が経ったのだろう。


目を凝らし時計を見ると、午前4時を少し過ぎた所だった。
もう一度星が見たくなって、今度はひとりベッドを抜け出し
再びテラスへ出てみた。


3時の時より風が強く、森の木々がざわざわと音を立てて揺れている。
寒さに震えながら夜空を見上げれば、星の美しさにため息が出る。


空を凝視していたら、3時には見えなかったものが見えてきた。
ぼんやり白くて、雲のようなもの。
でもよく見るとそれは、おびただしい小さな星の集まりだ。


(あれは・・・もしかしたら天の川!?
 なんて綺麗。
 じっと見つめていると、吸い込まれそう…
 宇宙にはこんなにもたくさんの星があるんだ…)



あまりの星の数に圧倒され、恐怖さえ感じる。


しばらくすると、風の冷たさにぞくぞくしてきた。
これ以上は限界だと慌ててベッドに戻ったが…


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その後は・・・・・(泣)


『あまり幸せ過ぎると怖くなる。
 だから今回は、星空はお預けにした方がいいのかな』


などと私が書いたものだから、神様は星空を見せてくれる代わりに
幸せ過ぎて怖くならないよう不幸せもセットにして
バランスをとってくれたのかしら。


翌朝 彼に、天の川らしきものが見えたと報告した。


春でも明け方だと、夏の星座が見えるからね。それは天の川だと思うよ。

へ〜〜〜っ、そうなんだぁ。(感心)

いいなぁ、ひとりだけ見て。
僕も一緒に天の川見たかったなぁ。



ごめんね。私だけ見ちゃって。
今度は一緒に、暖かい所で、砂浜に寝転がって見よっか?(笑)


2003年04月16日(水)
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