狼森、笊森と盗森

2005年12月16日(金) 絶望した!の日

絶望された

やっとマガジン読みました。
そうか、11月4日生まれは絶望なのか…そうか………
いや、絶望先生好きですよ?
現在のマガジンで、ネギまに続いて好きな漫画だったりするんです
ネタに思い当たる節があったりすると嬉しくなったりもしますし
(前回の忍足とかさ/笑)
えぇ、うん、いやぁ、でも、それにしたってまさか
ピンポイントで狙われるなんて思ってなかった



2005年12月15日(木) ジ・アビスの日

テイルズ・オブ・ジ・アビスきましたーv
まぁ、諸事情で、まだプレイしてないんですけどね。あぁ、はやくやりたい♪
特典DVDは笑わせてもらいました。ただ、あれですよ、TOPキャラが
クレスだけか…だけかぁ…クラースさんがいない…いにゃい…TOSの方は
ロイドが主人公なのか、ゼロスが主人公なのかわからないくらいのゼロス贔屓
っぷりでしたね。人気順かな?とも想ったのですが、だったら、クラトスが
いないのはおかしいか…TOD&D2の方は、まぁ、リオン=ジューダス
ですし、個人的にハロルドがいたのがvなにかにつけては、ダジャレを言おう
とするクレスが…クレス…
とまぁ、とてもおもしろかったです。笑えた、笑えた。
しかし、欲をいえば、TOD2からのOPアニメが収録されて欲しかったな…
あれは、定期的にだしてほしいです。いや、もう、ほんとにね。まじで。

今日は、落書きを更新。描き溜まっていた宍戸さんとチョタと岳っくん(リベンジ)
に色をつけてUPしました。明日はキノコな下克上少年です。がんばろう。
(滝はどーっすかな)

昨日に引き続き私信。
>>おいらの方は、燐葉堂のほうから張るよ〜(よろずサイトだからね)そっち
からはどこへはってくれてもOKです。ただ、マガジンサイト(IHATOV)
は更新状況が微妙なので、よろず(燐葉堂)かGAサイト(AngelicLovers)
のほうがいいかも。まぁ、おまかせするよv



2005年12月14日(水) 一服の日

日替わり連載が終わったので、一服です。
明日からまたバリバリ更新しますよーv
…と、いいつつ、アレがね。くるんですよ。アレが。どーすっかな…
まぁ、諸事情はおいておいて
ついにはじまりましたね、GA3rd!
いろいろ判明したことですし、このあたりで一発、フライングSSでも
書きたいものですvカズヤ×タクトでね!
とりあえず「凄く可愛いけど、女の子じゃないよね?」って言って
怒られたかけたタクトが萌えました。萌えます。最高vvv
ラストのスライムから、カズヤに助けてもらってるといい。いいな。

と、ここで拍手私信。
>>柳紫晏さま
リンクの件は了承っす。うちからも貼るよ〜v…と、いいつつ、どこに
貼る?燐葉堂(庭球)の拍手ってことは、そこでいいかな?かな?
忍ジロに一票ありがとう♪勉強がんばれv

拍手。やっぱ、名前は文章のうしろにつけるんですね?!なるほど。
でも、身内にはともかく、ロムってるサイトさまでは恥ずかしいので
匿名希望拍手ばかりになりそうです…。

つーか、マガジン読めませんでした;
我が家で唯一いける範囲のコンビニにはいらなかった…orz
福井県は大雪ですよ。雪は好きなんですが、不便でいかん。
いろいろ出かけたかったのに。な。



2005年12月13日(火) 夜が来る!完結の日

「夜が来る!」最後の1話をお届け致します。
ここまできたらどうか最後の最後まで、お楽しみいただければ幸い。
…は、こんばんわ。かみぃっす。
自分で書いておいてなんですが、今回の不二のイメージはおいらの中の
不二とは若干違います。なんつーか、今回はキャラが設定に食われている
感がなきにしもあらずというか(はっきりしろよ)
むしろ立場が逆だと、おいら的にはスッキリするかもしれません。
それこそ、今回ので忍足と跡部が宍戸や岳っくんについた嘘な話の
方が不二ジロとしては…ごにょごにょ………

まぁ、まぁ、ではでは、最終話をどうぞv
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後日談

 

夜が来る!
月籠り:A Night Come's!

 

「…と、まぁそういうわけだよ」

「へぇ、そりゃー良かったっすね」
「これも、越前と福士くんのおかげだよ。ありがとう」
「…あー、そりゃいいんだけど…いえ、いいんですが…」
「うん?」

「なんか、聞いた話とだいぶ違うような気がするのは、俺だけ…ですかねぇ?」

「跡部ー、あとべー、フグ!フグ食べてぇ!」
「あーん?ったく、仕方ねぇな」
「あぁ、俺、美味い若狭フグ出す店知っとるで?」

「…」
「…」
「…」

「あ、でも鮟鱇もいいかも」
「まぁ…西のフグ・東のアンコウっていうくらいだからな」
「なら両方にしたらええんとちゃう?」

「…手、腰に回ってますよね」
「回ってますね、撫で回してますよね」
「…っていうか、けっこうやばいとこさわってない?」
「そうですね、なんつーか、エロいさわり方ですね」

「…」

「不二先輩?」

「じゃぁ、アンコウは鍋にして、フグは刺身で食う」
「ま、妥当なとこだろうな」
「ねぇ」
「あん?なんや、不二?」

ベリッ

「不二?」
「僕の芥川くんに、ベタベタ触らないでくれるかな?」
「あーん?」
「なんや、嫉妬かいな?えらい、心が狭い男やねぇ」
「不二ぃ?なんで怒ってんだ?」
「…」
「この程度、氷帝じゃただのスキンシップやのになぁ」
「まったくだぜ」

「スキンシップで、パンツの中にまで手いれるんですかね?」
「…さぁね(どーでもいい)」

「そもそも、どうして君たちがここにいるんだい?」
「あーん?俺様たちがどこでなにをしてようが勝手だろうが」
「そのとおりや」
「俺が呼んだの」
「…芥川くんが?」
「そ。今日は、越前と福士に御礼するんでしょ?だから、跡部と忍足にいいトコつれてってもらおうと思って!」
「あぁ、なんだ、そういうこと」
「おぅ!」

「別にいいのに…てか、むしろ二人っきりにしてほしいんだけど」
「ま、まぁまぁ、いいじゃないっすか」
「…」
「俺は美味いもん食えるの嬉しいっすけど…」
「…いくならいくで、早くして欲しいよね」
「…はいっ、そうですね」

「ん…メールや」
「誰から?」
「岳人らからやね。跡部、あと6人追加な」
「…?!(まだ増えるの)」
「あーん?ったく、仕方ねぇな」
「わぁい、みんなでご飯。たのしみだC〜」
「…」
「不二?」

「不二先輩もまだまだだね」
「はぁ…(芥川、罪な奴だぜ…)」

「不二ー?」
「…ふふ」
「?」
「だいじょうぶ、僕は負けないよ」
「おぅ!なんかしらねーけど、がんばれ、不二!」

「ったく、じゃぁいくか」
「そやね」
「越前ー、福士ー、いっくよー」
「はーい」
「はいはいはいっ」

空は闇よりも濃い群青
おつきさまがみてる

夜が来る
何度、夜が来ようと大丈夫

 

「いこうか?芥川くん」

「おぅ、いこう、不二」

 

だって僕らは、同じ夜を迎えるのだから



2005年12月12日(月) 空白の日

「夜が来る!」最終話です。まだあと1話ありますが、それは後日談
なので、ストーリーとしてはここで一度おしまいです。
管理人的には、とても楽しく、かつ
不二が鬼畜じゃなくて残念
な感じで書いておりました(笑)不二、やっぱ不二は鬼畜がいい(爆)
次は不二ジロ祭なんですが(やるんだ;)この前から言ってるように
ジロ←不二な話にしたいので、ジロの本命を誰にするかが悩みどころ
まぁ、跡ジロか忍ジロだと想うんですが、どっちがいいですかね?
(いや、どっちの要素もたぶんはいるんでしょうけど)希望のある方は
拍手にでもパチパチしてやって下さいなv
そして、まったくどうでもいい話ですがミントの第1弾キャラソン
「恋するレシピ」はブンジロな曲だと思います。

♪甘いものに目がない 貴方のために 久しぶりに 腕をふるってます
 伝えきれない気持ち 手作りにして 今度こそは きっと手渡します

 こねて、のばして、まるめて…ラッピングをして あ・い・た・い
 貴方の驚く顔を 浮かべてにやけてる(パタパタ…)

ね?(ね?って…)
ジローはたぶん、料理できると思うんですよ。神様に愛された手首だから
(それは別に手先が器用というわけじゃない…あ、でも技術の成績は
いいんですよね?)基本的に、手を使うこと全般は得意なんだろうなぁと
思います。ヴァイオリンも弾ける。きっと弾ける(笑)そしたらチョタと
合奏とかしてほしい(チョタジロも大好きです)
あー、ブンジロも書きたいなぁ
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人は闇に怯えるくせに
夜を手放そうとはしない

夜が来る

全てを柔らかく包み隠す
終わることない夜が
その闇から目をそらすことはできず…
蒼冷めた光をシルエットに
偽りで創られた毎日が
全ての時間が、音を立てて壊れ、止まる

闇は怖い
自分の輪郭がほどけて、解けて、
消えてなくなってしまいそうな気分にさせられる
それでも、人は
夜が来ることを拒めない
拒まない

そして、今日も…



「不二…」



夕暮れが駆け足で去っていく
夜が来るのが早くなった

「もうすっかり冬だよな」

そうか、もう、そんな季節なんだ
岳っくんの言葉に、声にもせず納得と自覚
寒い

「すっかり寒くなりましたからね」
「あー、俺、さみーの嫌いなんだよな」
「あぁ、なんやそんな感じやなぁ、宍戸は」
「鍛え方が足りねぇんだよ」
「…ウス」
「でも、ほんと冷えてきたからね」
「そうですね」
冷たい空気は、なぜか美味しい気がする
だから、冬の大気は嫌いじゃない
寒露甘露

「じゃ、また明日」
「おぅ、気ぃつけてな」
「寄り道しねーで帰れよ」
「んだよ、クソクソ跡部!バカにしやがって」
「先輩、帰りますよ」
「ふふ、それじゃぁ」
「…ウス」

手を振って別れる

今日も一日はおしまい
おつかれさま
ごくろうさま
また明日
ばいばい



不二はいいました

『僕にまかせて?』

まかせる?ってなにを
尋ねても答えは返ってきません
帰ってくるのは、笑顔ばかり

『やられっぱなしっていうのは、性にあわないしね』

それは、トリプルカウンターを持つ不二にとてもよく似合う言葉のような気がしました
…気がしましたが、この場で使う意味はわかりません

あの日
福士とリョーマのおかげで、不二と再会できてから一週間
変化はこれといってなし
かわったのは、電話
不二は別れ際、自宅と携帯のナンバーをくれました
でも、一度もかけてはいません
二人の目がどこにあるかわからないし
不思議と、その番号は手元にあるだけで幸せな気分にしてくれたので

道徳の教科書にあったな

一切れのパンを心の支えに生き延びた泥棒の話
”パンはいつでも食べることができる”
そう想い、自分を騙し騙し、生き延びてみると
実はそのパンはパンではなく、木片だったというお話

あぁ、きっと今の俺なら、その泥棒の気持ちがわかる

話はずれましたが
けれど、さてはて、ジローには不二の考えがさっぱりわかりません
なにを
どう、するつもりなのか?



もどりたい



本当に、たったひとつの、願い
不二はそれを叶えてくれるといったけれど

だから、みんなが幸せになれる方法を探そうね?

そう、言ってはくれたのだけど
複雑にからみあってしまった糸のような状況をどうするのか
どこから攻めるのか
どこから護るのか
壊すのか
崩すのか
かばうのか
まもるのか

わかりません
けれど、確信はどこかにありました

不二は


不二なら、きっと…



「こんにちわ」



それはもう清々しいほどに、いっそのこと、直球ど真ん中ストライクでした

 

夜が来る!
鎮静の月:Square of the moon

 

「不二周助?!」

誰かが叫ぶ
それとほぼ同時

ぐっ

「っ?!」

背後からのびた忍足と跡部の手が、俺をひきづりこむ
どさっ
岳っくんと亮ちゃんが受け止めて、くれた
視界から、不二は消えて、見えるのは二人の背中だけ

「…なんのようだ?」

「芥川くんに逢いにきたんだ」

不二はいつもとなんら変わりのない涼しい声で言葉を返す

「…ジローは渡さへんよ?」

「………」

不二

不二、逃げて

俺は祈るように
願うように

君が望むことなら、僕は、僕の全てで、それを叶えてあげる

…不二

覚えておいて?君の願いは、僕の願い…君の幸せは、僕の幸せ

不二

思いのまま、願うまま、こころのまま、信じるままに、進めばいい

”もどりたい”

あぁ、バカだ
俺はどうしてあんなことを願ったんだろう?
不二、不二…
逃げて


「最初はね、君が、傷つけば良いと想った」

え?

「あ?…てめぇ、なにいって…」

「傷つけばいい、罵ればいい、諦めて欲しかった…だから、バカなことを言った」

願うのは破滅、絶望、そして孤独

”そうだなぁ、じゃぁ、一回犯らせてくれたらいいよ”



「でも、君が還して来たのは、極上の、笑顔で…」

”マジマジ?!そんなんでいいの”

悪意は丸ごと飲み込まれ
変わりに心に生まれた感情
かわりに心を満たすモノ

それは、なにひとつ特別なことじゃない
特別なことなんてそうそう起きるわけが無い
だって、そう言ったのは不二だけじゃなかった
何人も何人も、同じようなことを俺にいった
俺はただ、テニスがしたかっただけだ
俺にとっては、日常茶飯事

誰も不二を止めようとしない
とめられない
俺を心配そうに抱きしめる岳っくんも
すきあらば殴りかかろうとしていた亮ちゃんも
チョタも、日吉も
滝も、樺地も
忍足と
跡部ですら
とめられずにいる
逆にとめられたのは、俺たちのほう
俺も…
ただ、ただ、不二の言葉を耳にする
ペンは剣より強し
そんなことをいうけれど
本当に強いのは、言葉
力ある声
だから、動けない
うごかない

「敵わないと思った、僕は君に適わない…この願いも叶わない」

その想いに届かない
けれど
君と僕
こうして触れあえる距離にいて、微笑みが届く場所にいて、同じ時間にいるのだから

「僕はもう、僕を誤魔化すのを止めにする、僕は、僕自身と向き合う
 …そして、ここにきたんだ。僕の『真実』を、君に伝えたるために…」

君の微笑みから生まれたこの感情と
君が微笑むたびに、育ったこの想いを一緒に
いつか、分かれる日がくるまでは
いつか、分かれる日がきても…

この想いを君が受け取ってくれるというのなら

君ほど綺麗ではないのだけれど

僕の『真実』は全部、君にあげるよ





「僕は芥川慈郎を愛してる」





「不二っ!」





俺は2人の手を振り解き

「ジローっ」

跡部と忍足の声を振り切って

そこへ、いく

俺がずっと願っていた場所へ

不二は変わらない笑顔で俺を待っていてくれた
微笑みに決意を
俺は不二の目を見る、まっすぐに
言葉にしなくても、不二の言いたいことがてにとるようにわかる
言葉も、声も、いらない、なにか・・・
それはたしかに、二人の間に、空気のようにあって

本当に、いいの?

うん

本当に、ほんと?

うん

ごめん…そして
ありがとう

俺は小さくうなづくと、不二を背に振り向く

跡部と忍足

二人の姿を視界に捉えると胸が痛んだ
その後ろに、他のみんなの姿も見える
けれど

しっかりしろ
俺はこころでつぶやく
しっかりしろ
自分で蒔いた種だろうが
俺がしっかりしなくてどーするよ
不二
不二だけは…俺が、護らなきゃ
これは俺の問題だ
…俺が、二人の想いに気づいていれば
俺の愚行が招いた結果だ
…俺が、不二の想いに気づいていれば
俺が巻き込んだ…
けれど、だから…
俺は逃げない
不二を護る
そして…

「ジロー、帰って来い」

汚れのない瞳だけが救い
世界には俺たち二人だけが残ればいい
残れば良かったのに

「わかっとるんやろ?ジロー」

汚れのない瞳だけに写るのは俺だけ
そして俺の瞳に写るのは
俺をその瞳に映してくれる、ジローだけ

誤算はひとつ
まさか、あの不二がここまでジローに執着するなんて
その気質からは考えられないこと
てっきり彼のことだから、しばらく連絡を絶てば諦めると想っていたのに
いや
(ジローの影響か…)
ジローは人をかえる
たとえば、自分を変えたように
あの不二さえも変えてしまった

気持ちはわかるが納得はできない

「ジロー」

2人は同時に名前を呼び
2人は同時に手を伸ばした

大好きな2人の声
大好きだった2人の声
愛しい2人の手
愛しかった2人の手

俺は首を横に振る

もうその手をとることはできない
それは、哀しくて、寂しくて、辛いことだけれど
けれど…

「ごめん、跡部…忍足…俺………」

「あーん?ジロー…てめぇ…」

「お願いだよ、許して跡部…不二はなにも悪くない…許してよ、忍足
 最初に不二を誘ったのは俺なんだ…俺が巻き込んだ…俺が悪いんだ…」

「あかん…」

「忍足…」

「あかんよ、俺かて、ジローのこと好きなんやから…許せるわけ、ないやろ?」

「そうだ、これだけは譲れねぇ」

二人は声を、想いを、そろえる

「愛してる、ジロー」

…あぁ、なんて残酷で愛しい言葉
でも
でも、それじゃあ

「じゃぁ、なんで…もっと早くにいってくれなかったんだよ?」

「…ジロー」

「なんで…俺の心が変わった後で、んなこと言うんだよ」

2人を悪者にできたら
全て押し付けてしまえたら
でも、それはできない
だって、喜んでる俺も確かに存在していて
もしくはいっそのこと、あの時、全部奪って欲しかった
完全に血肉まで二人と分けあえたら
愛の結晶とはいかなくても、完全に俺は二人の所有物なのだという事実があれば
俺だって、あきらめもつくというのに
あきらめもついたのに

「遅いんだ…俺の心はもうここにない…」

不二にあげてしまった

だって俺が不二にあげられるものは、それくらいしかない

「芥川くん…」

不二

たった一人で迎えに来てくれた
俺は一度、不二をあきらめたのに
その手を振りほどこうと、思ったのに
自分が誠実だとは想わない
けれど、これはあんまりだ
あんまりだ
まるで、他のこと全てを忘れたように俺は生活していた
しようと、していた
その俺が、いまさら…
けれど不二は
不二が
つないで、はなさず、あきらめず
俺を放さないでいてくれたから
俺はもう迷わない
何度も繰り返した絶望が終わる
笑顔と言葉とこのぬくもりで

俺の望み

”もどりたい”

簡単な話だ
簡単な話だったはずだ
絡まった糸はほどくよりも、断ち切ればいい
切ってしまえば、それで終わり
言えば、よかった
不二はたった一言いうだけで、すんだんだ
跡部と忍足の嘘
それを暴露し、本当のことを言うだけで、終わるはずだった
たったそれだけのことで、みんな崩れる
岳っくんも、亮ちゃんも、チョタも日吉も、滝も樺時も…馬鹿じゃない
どちらが本当か嘘かなんて…比べるまでもないだろう
そうすれば、二人は御終い
本当は、それだけの
本当に、それだけの話だった
跡部と忍足はみんなの信用を失って
壊れて
崩して
なくなって
俺たちはゼロから新しいものを作っていく
そのほうがずっと楽だ
そのほうがずっと簡単だ
…少し寂しいけれど
…とても、悲しいけれど
けれど
俺は
跡部も忍足も護りたいと
そう、願った
望んでしまったから
不二は何も言わない
そしてきっと、もう言うつもりはない
誤解されたまま、憎まれたまま、恨まれたまま
世界中を敵にまわそうと
俺の祈りを叶えてくれるのだろう

たった一つの言葉だけを俺に届けてくれた
たったそれだけのことで、みんなを止めてくれた


不二の『真実』は受け取った


”君が望むことなら、僕は、僕の全てで、それを叶えてあげる”


その誓いは、まだこの胸に生きている
だから、どうか
君は幸せでいてくれますように
思いのまま、願うまま、こころのまま、信じるままに…

君のことばかり考える
君の幸せばかりを願う
君のことばかりを想うよ

不二の気持ち

ごめん
巻き込んで、ごめん
ありがとう
こんな俺を、愛してくれて

だからこそ

俺は逃げない
これは、これが、俺の選んだモノだから

「ジロー…」

特別なことなんてなにもない一日だった

朝起きて、学校へいって、授業を受けて
お昼を食べて、授業を受けて、部活をやって
いつもどおりの夕焼け
いつもどおりの帰り道
特別なことなんてなにもない
ただ、不二が来てくれただけ
そして、俺の欲しい言葉をくれただけ
なにひとつとってもあたりまえで
あたりまえすぎて…
でも、それは世界を引き換えにしてもいいようなこと

それだけでよかった

特別なことなんていらない

愛してる

ありふれた愛の言葉
けれど、その大切さを、重みを、想いをわかってる
俺たちだけが、その意味を知っているから

「好き、だよ…俺、不二が…大好きなんだよぉ…」

誰よりも
何よりも
愛してるんだ

「ジロー…」

想いはうまく言葉にならず
口から紡がれない代わりに、熱となってこみあげてきて
ぼたぼた
音をたてて、瞳から零れ落ちる
俺は知らず、泣いていた
それでも足りない

「俺…また、前みたいに…もどり、たい…よぅ…」

もうウソはつけない

「不二がいて、跡部がいて、忍足がいて…みんなが…そんな毎日…に…」

帰りたい
帰りたい
帰りたい

俺のたったひとつの望み

こんな願いはイジワルだ
こんな望みは愚かだ
それでも、祈らずにはいられない

「跡部、忍足…ごめん…ごめん、なぁ…」

壊してしまったのは俺

自分からそれを望んだくせに
跡部からの愛を
忍足からの愛を
望んだのに、俺は2人を見ようとしなかった
知っていたら巻き込むことはなかったんだ、誰1人として
みんな仲良く暮らしました
物語はハッピーエンド
誰もが笑顔で手を触れる
そのはずだった
間違えたのは、俺

世界が壊れても、幸せにしたかった人間が2人いる

1人は、物心つく前からの幼馴染
もう1人は、中学に入ってからのチームメイト

独りだった
他人から
なにかを与えられても
俺は、独りだと思ってた
たとえば、どんなにみんなと仲良くしても
亮ちゃんとテニスしたり
岳っくんと遊んだり
チョタと出かけたり
日吉の練習につきあったり
滝と勉強したり
結局のところ、その孤独感は拭えなかった
俺は最後には、1人へ戻る

だけど
跡部が
忍足が
跡部と忍足が、いて
2人が
俺を見て笑ってくれたり
俺の名前をよんでくれたり
それだけで、もうどうでもよくて
それだけで、幸せになれてしまう日々があって
俺は
2人に
優しさ
ぬくもり
愛おしさ
想い、すべて
今まで、俺に与えられてきたもの
その全てを
分け与えて
そして
そのとき、はじめて
独りじゃなくなっていることに気が付いた

人は、与えられるだけじゃ駄目なんだ

与えること
与えられること
そして、独りじゃないということ
それは、きっと何よりも大切なこと

愛されるだけだった俺に
愛することを教えてくれた幸せ

幸せにさせてくれる人ではなく
幸せにしてあげたい人は?
そうきかれて、真っ先に思い出すのは2人のこと

彼らを…跡部と忍足を幸せにしてあげたかった

世界が壊れても、幸せにしたかった人間が2人いる

2人…いた………

けれど、いまは…一人しかいない

不二しか、いない



「ジロー…」

「不二が…テニスできなくなったら…俺も、テニス、やめる」

「…った」

「不二が死んだら…俺も、死ぬ」

「もういい!」



天使はいない
神様もいない

だから、奇跡なんて起きない

ううん

それでも起きるから、人はそれを

奇跡

と呼ぶんだ



「跡部…」

「わかった、もういい…」

だから、泣くな

そう言って跡部の手が、俺にふれた
あぁ、暖かい
そう思って見上げると跡部の瞳からも、涙が溢れている
その瞳は、確かに俺が知っている綺麗な蒼で

「ごめんな、ジロー」

泣かしてもうて、ごめん

そういって抱きしめてくれたのは

「忍足ぃ…」

忍足の頬から、滴った雫が俺の頬にぶつかって、溶け、消え、混じる
あたたかい…

夜が来る
色あせてしまった、夢のあとさき…
集めて、紡いで、取り繕って
終わらない夜が包む
指先に触れる、誰かのあたたかさ…
仮初めだとして
そのぬくもりを、手放さないで…
瞳閉じて感じて

「どうか、していたな…お前の言葉が届かなかったなんて」
「跡部は悪くねーよ」
「堪忍してや」
「忍足も悪くねー」
悪いことがあるとするなら、それは一つ

それだけは
「跡部…忍足…」
「わかってる」
「これ以上、悪者になるんは、今後いろいろと不利やしな」
二人は少しだけ困ったように笑った
それは、いつもの二人の、綺麗な笑顔とは比べものにならないけれど
比べものにならないほど
愛おしい
あぁ、還ってきてくれたんだ
どこかでそんなことを想った
久しぶり
久しぶりに二人と話した気がする


絡みつく鎖がゆっくりとほどけ


「ジロー」

「うん…」

「あと一つだけ、お前を傷つける…いいか?」

「…」

「嫌やったら、逃げてもええよ?」

二人を見上げる
俺の大好きな瞳
俺の愛したまなざし

「だいじょうぶ」

俺はうなづいた

だいじょうぶ
だって、後ろには不二がいるから
そして、二人のいいたいことが、なんとなくわかったから
それは俺にしかできないこと
俺にしか受け止められない言葉


「愛してる」


解き放ちたる、心と…そして、想いの流れ着くままに…

「…うん、ありがとう。俺も二人のこと、大好き」

かつて望んだ幸せはこんなところにあった

こんな近くにあったけれど

「でも、ごめん…ごめんな、二人とも」

「わかってる」

「もう行き?」

二人は同時に俺を手放してくれた

二人の笑顔に見送られる

俺は微笑みを貸して、振り向く

人は闇に怯えるくせに
夜を手放そうとはしない

全てを柔らかく包み隠す
終わることない夜が
その闇から目をそらすことはできず…
蒼冷めた光をシルエットに
偽りで創られた毎日が
全ての時間が、音を立てて壊れ、止まる

闇は怖い
自分の輪郭がほどけて、解けて、
消えてなくなってしまいそうな気分にさせられる
それでも、人は
夜が来ることを拒めない
拒まない

全てを柔らかく包みこむ
終わることない夜が
その闇から目をそらさないで
蒼冷めた狂気に打ち克って
偽りで創られた眠りから目覚めよう

だって、そこには…



「芥川くん」



「不二」





そこには、誰よりも愛おしい、君がいてくれるのだから




2005年12月11日(日) 閉幕の日

GAミュージカルは本日で千秋楽ですよね。
今回もおもしろかったのでしょうか?それにしても、再演かぁ…
最初はそれこそ「はぁ?」とか思ったんですけどねぇ。すごいなぁ。
さてさて、夜が来る!も残すところあと少し。
それと、拍手で質問がきたのでお答えしておきます、「夜が来る!」の
タイトルは、アリスソフトの18禁美少女ゲームからです。
(サブタイトルはBGMの曲名から拝借しております)
というか、当サイトの小説タイトルはだいたい18禁ギャルゲー絡みです。
I'veの曲名とか多いです。I've大好きです。
すいません、管理人、かなりのゲーマーです。ゲーム大好き。とりあえず
プレイ中じゃないゲームはないってくらい、なにかゲームしてます。
(それは単純にクリアが遅いだけじゃ、っていう意見は無しの方向で)
ジャンルもCSのRPGから、PCの18禁までなんでもします。
というか、エロゲー大好きです(BLはあまりしませんけどね…心動かされる
ものがいまのところないので;)どちらかというと、純愛系の泣きシナリオ
が好きですが、鬼畜エロばりばりの陵辱系も遠慮なく好きです。欲をいえば
男の子キャラがいい感じなのが…v(デモンベインとか、家族計画とか萌え
ましたしね。ランスとか大好きだし/笑)
そんな俺は、テイルズ・ジ・アビスを心待ちにしていますです。はい。
でも、ゲーム始めると、本気で更新しなくなるので。ね。えぇ。
がんばります。
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忘れてください



夜が来る!
第7.5夜:Fighting under the blue moon



「…それが、君のお願い?」

一つうなづく
不二は少し考え
考えてから

「いいよ」

一言
表情が崩れた
それはほんの一瞬

「けれど、条件がある」
「条件?」
「そう…」

ギシッ
ベットの軋む音
不二は真っ直ぐに、俺を見つめた

「僕のこと、今、ここで…嫌いだっていって」

「え?」
「嫌いだっていって、振ってくれ」
「…」
「違うの?そういうことじゃないの?僕のことが嫌いになったから、別れたいんじゃないの?」

イジワルだ
そんなことを想った
不二は確信犯

「…」
「嫌いだ、もう顔も見たくない、二度と目の前に現われるな、君が君の言葉でそう言ってくれたら」

忘れてあげるよ

その願いの通り
その望みの通り
君の想うままに

小さく息を呑む
目を反らすことは許されない
逃げることも

「…き」

言葉は三文字
たった
それだけで終わり

あとは日常へ戻るだけ

跡部がいて、忍足がいて、氷帝のみんながいる
不二は不二をまつ青学のみんなのところへ
帰る

そしてもう二度と逢うことは無い

悩むことは無い
苦しむことも無い
悲しむことも無い

巻き込んじゃいけない

不二のことだから自分がいなくてもきっと幸せになれる
跡部も忍足も幸せになれる
俺だって…

「…きら」

嫌い
きらい
キライ

たった三文字
それだけでいい
それだけでみんな幸せになれる

なにを迷うことがあるのだろう?

もう他に選択肢は存在しない
不二と別れて
俺は戻る、かつて望んだ日常へ

きらい
たった三文字
それだけで、終わる

終わってしまう

不二の目が自分を取らえている
そらされることなく、言葉をまってくれる
早く告げなくちゃ

嫌い

嫌い
きらい
キライ…



ぽたっ



言葉の代わりに、涙が溢れた

「…っ……〜っ…」

声もなく、泣く
涙がとまらない
泣くことしかできなくなっていた

「ごめんね」

小さく不二の声が聞こえて
その胸に俺の頭を収めてくれる
そして涙が止まるまで、抱きしめてくれた

嫌い
なんて
言えるわけが、ない…

あぁ、俺はこんなに不二のことが好きなんだ
たった一つのウソもつけないほどに
流す涙が愛の量なら、俺は干からびて死んでもいい

「でも、君の本当の望みでなければ、意味がないんだ」

「俺…」

「うん」

「俺…また、前みたいに…もどり、たい…よぅ…」

もうウソはつけない

「不二がいて、跡部がいて、忍足がいて…みんなが…そんな毎日…に…」

帰りたい
帰りたい
帰りたい

「…ごめ…ごめん、不二…ごめん…っ」

「謝ることはないよ。もう、わかったから」

君の本当の気持ち

こんな願いはイジワルだ
こんな望みは愚かだ
それでも、祈らずにはいられない

「好き、だよ…俺、不二が…大好きなんだよぉ…」

こんなに、愛しているのに

俺が壊してしまう
巻き込んで、しまう
…君の幸せを、誰よりも願いたいのに

「その言葉だけで充分」

「…不二」

「僕も君が好きだよ?」

だから
不二は微笑む
だから、みんなが幸せになれる方法を探そうね?

「無理だ、だって…跡部と忍足が」

一度目は許してくれた
きっと次はもう駄目だ
不二は2人の怖さを知らない

「不二は知らないんだ、二人が…本気になると、どれだけ怖いか」

「大丈夫だよ」

「大丈夫じゃない!」

跡部は俺や亮ちゃんに危害を加えるやつを許さない
自分に敵意をもつ人間に容赦はしない
そして、何でも出来てしまう

忍足は自分のモノに手を出されるのを由としない
自分に悪意をもつ人間は排除する
そして、それができる頭をもっている

「自分だけじゃない、跡部は…跡部が怒って下手をしたら家族にまで被害がいくんだ」
「…」
「跡部を怒らせて、住んでいられなくなって引っ越した人間を何人も知ってる」
「…」
「跡部を怒らせる…跡部を敵に回すっていうのは、そういうことなんだよ…」

怖くて口に出せななかったこと
誰よりも家族想いの不二に
それは、きっと出来ない

「忍足だってそうだ…、忍足にとって他人を陥れるっていうのはゲームみたいなものなんだよ」
「…」
「忍足を怒らせて、精神的にも肉体的にも、テニスができなくなって部をやめた人間は何人もいる」
「…」
「2人とも、容赦なんてない…してくれない…」

あの日
あの夜が来た日から
ずっと怖くて仕方のなかったこと

かつてソレは自分を護るためにあった
けれど、今は足枷となり檻とある
諸刃の刃物

「駄目だよ、不二…俺、不二がいなくなったら生きていけない」
「じゃぁ、いっしょに死のうか?」

不二はむしろ、笑いながら

「な…不二の馬鹿っ!…なんで、わかってくれないんだよ?」

「芥川くんこそわかってないよ」
「…っこのわからずや」
「どっちが?」
「俺の気持ちも知らないで、おれは不二が…」

「どっちが?!僕は君がいないと生きていけない!」

「…っ」

どさりっ
押し倒された
勢いのまま

「きみがいない世界に意味なんてない!きみがいない世界ならいらない!!」
「………」
「君がいないなら僕は死ぬ、君が手に入らないなら僕は君をころして、あとをおう」
「…」

息を飲む
瞳は一度だって反らされなかった
あぁ、なんて綺麗



「…いっしょじゃないと意味がない、体も時間も別々でかまわない、けれど
こころがいっしょにいられないことに、ぼくは耐えられないんだよ」



だって、手を伸ばせば、今、ここに、君がいる
こうして触れて、熱をわけあえる
想いすらも

「…不二ぃ」
「芥川くんは勝手にするんでしょ?じゃぁ、僕も勝手にさせてもらうよ。僕は」

君を愛しているから

「不二、不二…ごめん、ごめんなぁ…不二」
「うん」
「不二が…テニスできなくなったら…俺も、テニス、やめる」
「うん」
「不二が死んだら、俺も、死ぬ…だから、不二」



もう俺のことを放さないで?



2005年12月10日(土) ラスト4話の日

夜が来る!第7夜をお届けします!あと4話(今日を含めて)
っていうか、当初、4話で終わるはずだったこのシリーズ
…×4倍ですよ;
半分くらいのところで、.5話をいれたことを後悔してました
いらないじゃん、せめて半分でいいじゃん、俺よ…
さて7夜と7.5夜は不二ジロです。むしろ前後編みたいな造りです
というわけでというか、実は明日、ちょいと日記をあげる自信がないので
一緒にUP。まぁそういうこともあります。一日お休みにしようかなぁとも
考えたのですが、日替わり連載だし。意外と負けず嫌いです。
ではでは、どうぞv
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世界が壊れても、幸せにしたかった人間が2人いる



夜が来る!
第7夜:Existed value



1人は、物心つく前からの幼馴染
生まれ付いての支配者で、俺様で、強くて、綺麗な人
彼に出来ないことはないし
彼に手に入らないものはない
けれど、彼は自分から何かを望むようなことはしなかった
出来ないことは無いということは、味気ないということ
出来ない悔しさも、試行錯誤の実感も、出来たときの嬉しさもないということ
手に入らないものは無いということは、なにもないということ
手に入らないという渇望も、血を吐くような祈りも、手にしたときの喜びもないということ
それでも世界に飽きもせず、生きていける彼を凄いと想っていた
自分だったら絶えられない、きっと飽きてしまう
だから…テニスと出逢えたのは彼にとっての幸運であり
彼のことを好きな、自分にとっても幸運であった
テニスは楽しい
もちろん、彼は持ち前の才能でドンドン成長していき
自分も、置いていかれないようにと後に続いた
まだ見ぬ強敵
うまくなっていく自分
かつて、彼が望みながらも叶わなかった全てがある
こんなに楽しいことは他にない

特別な人だった

幼馴染というだけではなくて
彼は自分の最初の世界だった
そして、最初に何かをしてあげたいと想った人

彼は優秀で、出来すぎていて、それゆえに多くの人の犠牲になっていたようなものだ
どこか諦めたような顔をしていた
なにひとつ、彼のせいではないというのに
王というのは、犠牲の代名詞だといったのは誰だったろう
象徴というのは、人々が作り上げた偶像でしかない
奉り、あがめ、心の支えにし、日々を生きる
だったら、その彼の幸せは誰が?

彼を…跡部を、幸せにしてあげたかった

もう1人は、中学に入ってからのチームメイト
天才というのがふさわしい、才能も、天運も、力もある人
いつだって飄々としていて
いつだってつかめなくて
まるで気まぐれのように、誰かのそばにいる
まるで気まぐれのように、俺のとなりにいた
不思議だと想う反面、納得もして
彼が望むのは、たぶん自分と同じモノ
きらきらまぶしい、たった一つの光
俺以外にそれが見えたのは、同じテニス部のレギュラーの中でも彼だけだ
ただ1人の理解者に好意を寄せるのは簡単で
俺たちは当たり前のように仲良くなった
薄情なようでいて、誰よりも情に厚く
興味がないようにみえて、誰よりも好奇心があって
世間に誤解されたままでも、彼が自分に構わなかったのは、自分というものがある人
彼は自分という存在を理解していた
人にも、モノにも、感情にも、世間にも流されない自分自身
確固たる意志を持つ彼を凄いと想っていた

特別な人だった

仲間や友達というだけではなくて
彼は自分の世界を理解してくれた最初の人だった
そして、何かをしてあげたいと想った二人目の人

彼は本音を見せない人だった
自分というものが在る分、世界を確立してしまっていた
そのくせ、1人は寂しいと訴える
境界線を完璧に引き、誰かがくるのを待っていた
完璧な世界の中で、1人は寂しいのだと叫んでいた
当たり前だ、人は1人では幸せになんてなれっこない
1人でつくる幸せに限界はある

彼を…忍足を、幸せにしてあげたかった



亮ちゃんには、パズルのように、チョタがいて
岳っくんは、1セットのように、日吉がいて
じゃぁ、俺には誰がいるのだろう?
いつも想っていたのは、そんなこと
いつも考えていたのは、そんなこと
くだらないと笑う?
たしかに、くだらないのかもしれない
けれど…



けれど、やっぱり、1人は寂しくて



独りだった
他人から
なにかを与えられても
俺は、独りだと思ってた
たとえば、どんなにみんなと仲良くしても
亮ちゃんとテニスしたり
岳っくんと遊んだり
チョタと出かけたり
日吉の練習につきあったり
滝と勉強したり
結局のところ、その孤独感は拭えなかった
俺は最後には、1人へ戻る

だけど
跡部が
忍足が
跡部と忍足が、いて
2人が
俺を見て笑ってくれたり
俺の名前をよんでくれたり
それだけで、もうどうでもよくて
それだけで、幸せになれてしまう日々があって
俺は
2人に
優しさ
ぬくもり
愛おしさ
想い、すべて
今まで、俺に与えられてきたもの
その全てを
分け与えて
そして
そのとき、はじめて
独りじゃなくなっていることに気が付いた

人は、与えられるだけじゃ駄目なんだ

与えること
与えられること
そして、独りじゃないということ
それは、きっと何よりも大切なこと

愛されるだけだった俺に
愛することを教えてくれた幸せ

幸せにさせてくれる人ではなく
幸せにしてあげたい人は?
そうきかれて、真っ先に思い出すのは2人のこと
だから俺は、2人のどちらかが、そうであればいいと願っていた
願うまま、暮らす日々は楽しくて、楽しいうちに…
でも

そのうち、跡部と忍足が2人でいる時間が多くなった

かつて、三人で帰っていた道
その道を、1人で帰る日が多くなり
ひとりぼっちで夕焼けを見上げて
たったひとりで、夜が来る瞬間を迎えて
俺は悟った

あぁ、また1人になってしまった

諦めなかればよかったのかもしれない
その時、俺が2人をしっかり見ていれば
こんなことには、ならなかった
けれど、無理な相談だ
零れた水は元に戻らないわけだし
俺が願ったのは、二人の幸せ
だから、2人が2人で幸せになれるなら、俺は諦めるのが一番良いにきまってる
そのことを、悲しい、と思っていたときもあったけれど
辛くて、苦しくて、狂いそうだったときもあったのだけれど
結局、俺は、あきらめた

幸せになってほしかった
亮ちゃん、チョタ、岳っくん、日吉、樺地、滝…
もちろん、みんなもそうだけど、それ以上に

世界が壊れても、幸せにしたかった人間が2人いる

2人…いた………



「…」
目が覚めた
あぁ、なんだ夢か

酷く懐かしい夢
そして、なんて残酷
2人のことを、こんな風に思い出すのは久しぶりだな
…うん、大丈夫

「不二…」

俺は覚悟を決めて、口を開く
「ん?」
「あのさ…あの時の言葉、もう一回、ききてーな」
不二は少し考えるそぶりをみせてから
「あぁ、いいよ」
そういって、微笑みながらキスを
「んっ」
「君が望むことなら、僕は、僕の全てで、それを叶えてあげる」
「…不二」
「覚えておいて?君の願いは、僕の願い…君の幸せは、僕の幸せ」
思いのまま、願うまま、こころのまま、信じるままに、進めばいい
「…さんきゅー、不二」
その優しさと、微笑が嬉しくて、申し訳なくて
ご褒美のようにキスを返した

ありがとう
本当に
それは勇気と生きる糧
大丈夫
もう、大丈夫

「不二、じゃぁ…俺からのお願い」

「なんだい?」

ありがとう
本当に
こんな俺を愛してくれて
こんな俺に力をくれて
俺は不二を見る
そして



「俺のこと、忘れてくれ」



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