3夜と3.5夜は一緒に読んで貰ったほうが幸せなので一緒にUPします。 えぇ、いいんです。いつものことですから(笑) 先日の日記でもかきましたが、書いててすげー楽しかった…vvv ジローちゃん、ほんとにでてないんですけどね;跡部と忍足がくーろーいー 黒くてすげー楽しかった。やっぱり攻様はこうでなきゃね。うんうん。 むしろ本命は3.5夜の方です。3.5夜、ほんとに楽しかった。 というわけで、一緒に読んでやって下さい(ぺこり) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
氷帝学園までの道程をこれほど遠く感じたことはなかった 濃い霧が、まるで行く手を遮る様にかかっている …ふぅ 道の半ばでため息をひとつ 大した距離はないはずなのに、なぜか遠く とおい…
芥川くんと連絡がとれなくなって、一月がたつ
夜が来る! 第3夜:Walk on the misty-road
「来ちゃった…」 正門にまでたどり着いたところで、 自分でも驚いた声がひとつ おかしいな 家族以外では、人にも物にも、こんなに執着したことはなかったのに 逢えないから 連絡がとれないから そんな理由のために、自分から誰かに逢いにいくことなんて なかった 今までの僕なら、それがたとえ、青学の仲間であろうとも こんなはずではなかったのにな そんなことを、少し思ったりもするけれど けれど 顔を上げる 豪華なだけではない、校内と校外を隔てる役割として、しっかりと造られた正門には 氷帝学園 中等部 の文字 僕はここまできた 僕は変わった 君に出会って 君が僕を変えたんだ だから ここまできたよ、芥川くん
一つ深呼吸をして、僕は氷帝学園の正門をくぐった
着ているだけでステイタスといわれる氷帝学園のブレザーの中、普通の学ランは目立つ せめて夏ならば、まだ目立たなかったのにな そんなことを思いながら、むけられる視線の中を歩く 下校時刻をだいぶ過ぎているが、校内にはそれなりに人が残っていた 大して深くも考えず、テニスコートを探す いくら広いといえど、テニスコートの面積だってかなりのものだ だったら、設置場所もある程度限られてくるだろう その考えのとおりなのか、たまたま運がよかっただけなのかわからないが 10分ほどでテニスコートまでたどり着いた
壮観
その言葉がふさわしい、光景 たずねた理由が理由でなければ、鞄からカメラをとって1枚撮りたいところ 「すごいな」 広いうえに、数も取られ、遠めにも整備が完璧なことがわかるコート まるで軍隊を思わせる様で、きっちりと練習をこなす部員たち 何組かのグループにわかれ、各自のメニューを凝らしている 数はかなりのものなのに、だらけた様子もなく、洗練とされた印象 さらに (あれが準レギュラー…) 時代の氷帝学園を支えるべき人材にふさわしく、他とは一線をきすグループがひとつ そこでやっと、見知った顔をみつけた 近づこうと足をすすめるのと、目的の人物に誰かが話しかけたのが重なる 「?」 短い会話をかわしたあと、彼がこちらを見た どうやら、見つかっていたらしい
「青春学園の不二さんが、うちになんの御用ですか?」
声にこもっているのは、あからさまな、敵意 表情にも けれど、それにはかまわずに
「こんにちわ、日吉くん…部長になったんだって?」
まずは、軽く挨拶 彼は表情も声音も変えず
「何の御用ですか?」
短く、もう一度、繰り返した
「…芥川くんに逢いにきたんだ。どこにいるか知らないかな?」
会話をするつもりがないと悟ると、無駄な努力はやめる 今日の目的はそれだけなのだし、余計な手間を省きたいのはこちらも同じ 彼は、鉄壁のように崩さなかった表情を、一瞬
嫌悪で歪めると
(え?) 「わかりませんね。先輩たちは引退されたので」 「…でも、指導に顔をだしたりしない?」 引退といっても氷帝学園は大学部まで持ち上がりのはずだ 余程のことでも起こさない限りは、そのまま進学するのが常 まだ時期も早い 自分たちでさえ、暇をみつけては指導にテニス部を訪れている 「いいえ。失礼、部活中ですので。…お引取りを」 だが、日吉の言葉は硬く かたい おかしい 僕は彼にここまで恨まれるようなことをしただろうか? いや、そんなことはない、ありえない 彼とは関東大会、そして全国大会で顔をあわせただけだ 対戦すらしておらず、個人的に会話をしたのはこれが初めてといってもいい 「お引取りを」 形式だけで、軽く頭をさげ、彼はきびすを返してその場を立ち去った
胸騒ぎが、ひとつ
次に見つけて声をかけたのは、レギュラー専用といわれる部室からでてきた 「鳳くん、だったよね?」 「青学の…」 彼は弾かれた様に僕を見ると 「どうして、ここに…」 「芥川くんを探しているんだ、知っていたら教えて欲しいんだけど…」 前例もあるので、余計な会話を省いて単刀直入にたずねる 彼は 彼も
奇妙に顔を歪めた
「…ぁ」 「長太郎!」 開きかけた口と、声が重なる 「宍戸さん」 たっているのは、宍戸亮 彼は、まるで試合のときのような眼差しで僕を射抜くと 「青学の不二周助…なんのようだ?」 「…芥川くんを探しているんだけれど」 ザッザッザッ 土を踏む足音 どこか、怒りを含んだように聞こえる 怒ってる? なにに? 日吉同様、彼らとも面識はない 一定の距離まできて、宍戸は足をとめる 鳳がその隣に立った 宍戸の服装は氷帝学園のジャージ姿 軽い汗の香りに、運動していたというのがわかる 部活にでていたのだろう じゃぁ、どうして先ほど、日吉は自分に嘘をついたのか? 答えは一つしかないが、理由はわからない 「…帰れ」 彼は挑むような口調で一言 「帰らないよ、芥川くんに逢うまでは、ね」 「逢えるとおもってんのかよ?」 「…どういう意味だい?」 「てめぇが…」 「宍戸さん!」 鳳が、宍戸の肩をひく 彼はふと我に返ると 「…っち」 「帰ってください」 しまったという顔をして一歩宍戸がひけば、かわりに鳳が前にでた 「…理由を聞いてもいいかな?」 「帰ってください、ジロー先輩は…本日はお帰りになられました」 「…」 「…」 泣きそうな顔 嘘であることなんてばればれだけれど (何が起こってる?) わからない わからないことが多すぎて 「…そう、なら仕方ないね」 ひとまず、下がる 「…」 「部活中にごめんね、じゃぁ、失礼するよ」 彼はペコリと頭をさげて、いまだに僕をにらんだままの宍戸と連れ立っていった
胸騒ぎが、する
なんだ? 何が、起こっているんだ 見えない何かが、僕の心をふさぐ 息苦しさを覚えて、立ち止まった 空にむけて深呼吸 その刹那…
「…あれは」
夜が来る、校舎の片隅 茜色にそまる窓にひとつ きらきらひかる、金色の………
「ジロー!」 「うん?あー、岳っくん」 「めっずらしー、おめーが起きてるなんて、明日は雪でも降るんじゃねー?」 「雪かー、いいなぁ、雪」 ぱこん 軽い音がひとつ 「本気にすんな、冗談にきまってんだろ」 「ふーん」 「ったく。ところでジロー、ちょっと頭貸せよ」 岳人は今、ジローをたたいたばかりのものを机の上に広げる 科学の問題集 「んー」 「84ページ。物質を構成する基本粒子の構造、物質量の概念の項目」 白黒のコントラストが白紙に美しい 二人は頭をつつき合わせて、岳人の問題を解いていく 「で…ここがこう」 「あぁ、そうか」 カリカリカリ 人気のない教室に響くのは、シャープペンの芯が紙に写る音と二人の小さな問答だけ カラリ 扉が、ひらく 「なんや、二人ともこないなところにおったん?」 「あ、忍足」 「侑士」 一度小さく顔をのぞかせ、次はしっかりと中にはいってくる コツコツ 同じ上履きなのに、なぜか忍足の足音は二人のそれよりも大きく聞こえ 「なにしとるん?…あぁ、科学か。…これ岳人のクラスの課題ちがうん?」 「うるせぇ、クソクソ侑士」 げしっ 容赦のない蹴りが、綺麗に忍足の右足にきまった しかしさすがなれたもの、表情ひとつかえずに 「課題は自分でせないかんよ?…ジローも、あまり岳人を甘やかしなや」 「忍足やきもち?」 「この場合、ヤキモチ妬くんは俺やのうて日吉やろ?」 「うっせーこのアホアホコンビ、おい、ちょっとこっちこい侑士!」 がしっ ずるずるずる 岳人は忍足の腕を掴むと、小さな体で、大きな体をずるずる引きずって教室をでた その様子を、ぼんやりとジローはみつめ そして 「ふぁ…」 小さく欠伸をすると、手に持っていたシャープペンをコロコロと机上に転がした
「不二が?」 「そ。日吉のところにきたらしいぜ?…ジローを探しに」 教室をでて、すぐの曲がり廊下で、ジローがついてこないことを確認すると、岳人は口を開いた 「それで教室でお勉強会しとったんか?」 「そ。ジローがまだ校内にいてくれて助かったぜ。いくら不二でも、校内までははいってこねーだろうし」 「なるほどな、さすがは岳人や」 「ん?」 「鳳と宍戸も部室前で逢うたらしいで?不二に」 「…!」 「鳳が取り繕って、帰っていったらしいけど。日吉も逢うてるとなると、そのすぐ後くらいやったんやね」 「あいつ…」 「岳人の機転のおかげで助かったようなもんや。おおきにな」 忍足は小さく笑うと、自然な動作で岳人の頭をなでた 「うるせーよ、俺らにできることっつったら、これくらいしかねーんだ、当然だろ?」 「それでも助かったんよ」 「…で、こっからどーすんだよ?」 「とりあえず今日は、跡部が車出す言うとった」 そこまできいて、岳人はほっと安心した顔をすると、忍足の手が届く範囲から逃れる その数秒後 「先輩」 「日吉!」 しめしあわせたかのようなタイミングで日吉が現れた ナイス連携 忍足は心の中で感心しつつ、岳人を日吉にあけわたすと、ジローのもとへ戻る
「ジロー?」 「ん?」 教室に戻ると、ジローはぼんやりと外を眺めていた 「なに、みとるん?」 「いや」 ジローは緩く首をふる そして 「霧がでてきたなと、思って…」 「あぁ、ほんまやな」 視界をさえぎる様に、ジローの前に立つ 同じようにのぞいてみるが、心配の種はみあたらなかった …気をつけるにこしたことはないけれど 誤算はひとつ まさか、あの不二がここまでジローに執着するなんて その気質からは考えられないこと てっきり彼のことだから、しばらく連絡を絶てば諦めると想っていたのに いや (ジローのせいや…) 彼は人をかえる たとえば、跡部を変えたように たとえば、自分を変えたように あの不二さえも変えてしまったのだとしたら (まぁ、保険をかけといて正解やったな)
「ジロー、帰るぞ」 「跡部」 ガラリと遠慮なしに扉が開き、跡部が姿をみせる ジローはにこりと笑うと、鞄をとって席をたった そのまま駆け寄る 無邪気に笑顔をふりまくジローをはさみ、跡部と忍足は小さく笑った
「気のせい、か…」 彼が見えたような気がしたのだけれど 窓はかわらず窓のまま 夕陽にそまって茜色をするだけで … ずっと見上げる僕を、霧風が吹き抜けていく あぁ、もうじき夜が来る…
あたりが暗くなるまで待ってみたけれど けっきょく、君をみつけることはできず 僕は再び、霧に埋もれた道を戻りだす 心のどこかで、ひたすら警鐘がなっている けれど それもいつしか、深い霧に包まれて聞こえなくなったしまった
| 2005年12月01日(木) |
拍手ありがとうございました…の日 |
はい、先日は大量の拍手、どうもありがとうございました。かみぃです。 …いや、本当はついに借りてしまった劇場版テニプリの話(リョーガ いいよ、リョーガツボだよ、と言ったら「うん、絶対そう言うと想った」 って言われたこととか、CPは塚リョで!って言ったら「うん、それも 言うと想った」って言われたりしたとか、ジロと小西さん役のキャラ (アニメみてないからよく知らない;)が一緒にクイズでててそれだけ で激萌えだった俺はやっぱりレスタク好きなんだな、とか、銀華もとい ミチルちゃんがいないか目を皿のようにしてリモコン片手にみてたとか etc…)をしようかと想っていたんです。いたんですが なんかいっぱい拍手キター!当たり前ですが、燐葉堂拍手では過去最高 となりました。いや、もう、ほんとにありがとうございます。 GAの日替わり連載のピークと同じくらい頂きました。感謝感激です。 まぁ、あれですよ、これは… 昨日UPした「夜が来る!」第2夜の影響ですよね? ちなみに本日、第3.5夜まで書きました。個人的に、3夜と3.5夜は お気に入りです。ジロちゃんの出番はあまりないのですが ”受キャラのいない間に奸計を巡らせる攻様s” っていうのがツボですので…策士ダイスキvどんでん返し大歓迎です。 まぁ、そんなわけで、気力もやる気もチャージしたところで 第2.5夜をどうぞ ------------------------------------------------------------------- 「あれ?おかしいな…」
何度かけてもつながらない 「寝ちゃったかな?」 時間はまだ早い、けれど彼ならそれもよくあること それを思うと、電話の向こうで幸せそうに眠る姿が浮かんだ 別に大した用事でもないし 声が聞けるかと、ちょっと期待していた分、残念でもあるけれど
「…仕方ない」
あきらめて、用件だけ綴った簡単なメールを一つ打ち パタン と 携帯 を 閉じた …
夜が来る! 第2.5夜:Break beat
暗い部屋に音 「メールや」 忍足は、ジローのオレンジ色の携帯を確認してつぶやいた 「相手は?」 「不二周助」 ふん 思ったとおりだ、と続く言葉を省略する 「へぇ、今度の金曜デートやて…これで、完全に決まりちゃうん?」 報告を聞きながら、俺は死んだように眠るジローへ手を伸ばした くるくるのくせ毛を指に絡める 「つまらねー奴にひっかりやがって」 「そない言いなや、不二はいい男やで?」 「はっ、俺とジロー以外はどいつもこいつも一緒だ」 もちろん 「てめぇもな、忍足」 「随分な言われようやね」 忍足は表情の読めない顔をすると、携帯を近くのテーブルの上に無造作に置いた 「でも、ジローがこないになったのは俺らのせいやろ?」 「…」 「俺らがくだらん争いなんぞしとるから、横からさらわれてもうたんちゃうの?」 そうだ、それは否定のしようがない
最初に見たとき、あぁ、こいつは敵になる、と思った
俺にとって、ジローは色つきの世界だ 他のモノに色はなく 俺はジローにだけ、色を感じる 同じ幼馴染の宍戸にさえ抱かないもの
俺はジローの閉じられた瞼に触れる
汚れのない瞳
幼い頃 俺は夜が好きだった すべての視線が消えるから 当時からすでになにかと目立っていた俺が、唯一、孤独になれた時間 尊敬、畏怖、興味、嫌悪、期待… そんな俺をとりまく煩わしい物が、なくなるわずかな世界 居場所は夜 すべての人が眠りにつく瞬間だけに存在していた ジローに出会ったのは、そんな時間 俺が初めて認識した、世界の色は
綺麗な夕焼けの色
漆黒の世界にあって 真っ暗な夜にあって 俺が始めて意識した色は、太陽の色 夜を呼ぶ光 ジローがいうに、俺が笑ったのはそれが最初だったらしい
大丈夫 コノ瞳ダケハ大丈夫 コノ綺麗ナ瞳ハ 俺ヲ美シク映シテクレル
悪意に満ちた世界は 見るも無惨にくずれおち いつのまにか 俺とジローだけが完全な形で残ってた 汚れのない瞳だけが救い
世界には俺たち二人だけが残ればいい
残れば良かったのに
「てめーさえいなけりゃ、こんなややこしいことにはならなかったんだよ」
奴はジローを俺とおなじまなざしでみている 誰も気づくわけないと思った ジローのその色に気づいたのは、自分だけのはずだった だったのに…
「それは俺のセリフやで?」
最初に見たとき、あぁ、こいつは敵やな、と思うた
「跡部さえおらなんだら、今頃、俺とジローは仲睦まじくやっとった」
狂気はしんしんと・・・ 静かに、でも、確かに、降り積もって
ジローの瞳は鏡でできとった 俺は、ジローを見て、俺自身というモノを始めて知覚する たとえば 樺地が能力を写し取る鏡やいうんなら ジローは心を映し出す鏡 せやから ジローを幸せにするんは、俺やったはずやのに
俺の狂気はゆるやかに育つ
興味が想いに変わるのに、時間はかからなんだ 好意と殺意は同じ量だけ俺の心に染みていく ジローが笑うたび その瞳に俺を映すたび 俺の名前を呼んでくれるたびに じわじわと
けれど、そのそばにはいつも跡部がおって
一発でわかった 俺がジローに抱くものと、同じものを跡部ももっとる 向こうも、もちろんこちらに気づいたらしく それからは、ただ、ただ、けん制しあう毎日 跡部が幼馴染いう特権をもつなら 俺は転校してきたいう事実で好奇心を誘う 跡部がその財力をちらつかせるなら 俺は策略で先手をうつ ジローをはさんで、俺らは対極におった …まぁ、ジロー最大の”テニス”いう要素で勝てへんのは、けっこう痛手やったけど そないな日々も楽しくなかったいうなら嘘になる 時間だけは、売るほどあまっとる学園生活 恋愛はゲームや 落とすんも、落とされるんも 奪うんも、奪われるんも これ以上はない、究極の暇つぶし 相手にとっても、不足はなかったしな それに このゲームの賞品だけは、なんとしてでも手に入れたかった
跡部のことは嫌いやないけど 俺は先にジローに出逢ってしもうた 出逢ってしもうたんよ だから、悪ぅ想わんといて? 跡部のこと、嫌いやない でも、違うんや 跡部の瞳じゃ俺は見えへん 見えるのは、醜い俺自身だけ ジローは違う ジローだけが違う その瞳は、俺を、なによりも色鮮やかに映し出す 跡部も同じやろ? 俺と自分はホンマによう似とる 嫌いやない けど、違うんや 俺は 俺が 欲しいんはたったひとり
唯一、穢レノナイ、コノ瞳ダケヤ コノ瞳ダケハ譲レヘン コノ綺麗ナ瞳ハ 俺ダケヲ美シク映シテイレバ良インヤ
興味のなかった世界は 極彩色の美しさい生まれ変わり いつのまにか 俺とジローだけが完全な形で残る 汚れのない瞳だけに写るのは俺だけ そして俺の瞳に写るのは
俺をその瞳に映してくれる、ジローだけ
まぁ、今は仕方ない 自業自得 跡部との恋愛ゲームにうつつをぬかして ジローをおざなりにしてしもうた、俺らのミス だから、いまだけはあきらめる まずは、ジローに元の位置へ戻ってもらわんと 俺と跡部のちょうど、中間 そのあとで
いや、これは、まだ内緒や
人間、一度に欲張ったらあかんな まずは、目先の問題から片付けんと
「ジロー、早よぅ目、覚まさんかな?」 「ジローだからな」 「起きたらきっと喜ぶで?なんせ、俺と跡部がいっぺんに手に入るんやから」 「当然だ」 「それにしてもほんまよう寝とるな」 「………」 「…まぁ、ええか」 「あぁ」
夜はまだ始まったばかり
ネギ先生がっ よかった、よかったよネギ先生、ほんとーによかった(><) 今週号のマガジンは、スプリングフィールド親子好きにとっては たまりません!過去話、ナギ生存確認、に続く永久保存版第3弾です! もう、ね、本当によかった。よかったですよ。サウザンドマスター万歳 演出過剰上等!クウネルさんよくやった!(笑)ありがとーv コノ調子で、次は、モノホンとの親子再会をお願いします!赤松先生! (でもネギま!が終わるのはいやなので、もっとあとでいいです)
さてさて、マガジン関係はそんなほのぼのいい話系でございましたが 本日の「夜が来る!」第2話はうってかわってちょいダーク。 跡部も忍足もジローも黒いv鬼畜最高vかいててすげー楽しかったv そして、この話でわかるかと想いますが、リサイクル元であるGBの 「夜が来る!」とはこの時点で大きく軌道がかわることに。まぁ、あれ です…ジロー男前だよね(笑)蛮ちゃんよりも男前だよ…(笑) まぁ、前作をしってる人も知らない人も、これはこれとして読んで下さ れば幸いですvではではそんな2話目。GO! --------------------------------------------------------
二人は笑っていたから…
夜が来る! 第2夜:The lost time
わからなかったんだ だって ふたり、は笑っていたから…
「…あれ?」 混濁としていた意識が覚醒していく 暗い部屋 部屋? しまった、まーた寝過ごしちまった… ”いま、何時だろー…” そんなことを思っていると
「やっと起きたのか、ジロー」 「おはようさん。ジロー」 声がした 窓のほうから 月の光が逆光になっているけど、そのシルエットを俺が見間違えるはずもなく 「ったく、よくそんなに眠れるな」 呆れた顔でそういうのは 「あと、べ?」 物心つく前からの幼なじみ 「ん?どないしたん…まだ眠いんか?」 仕方ないなという顔でそういうのは 「お、し…たり?」 仲がよいチームメイト たらり… 残暑まだ厳しい時期だというのに、なぜか 冷たく冷や汗が落ちた
何かがおかしい けれど寝起きの頭は上手く働かなくて 月の逆光に負けないように、目を凝らして2人を見つめても答えはでない 2人はいつもどおりの幼馴染と仲間 跡部と忍足 変わらない、ふたり…?
奇妙な違和感
何故か2人から目を反らすことができない けれど、ふと、2人の向こうに見える月が目に入る あんな月は見たことがなかった そこで気が付く
ここ…どこだ?
俺の部屋じゃない 部室でも、ない 跡部の部屋でもなければ、忍足の部屋でもないし っていうか、俺の最後の記憶は不二の部屋でとまっているのに 「ジロー?どないしたん?」 俺の名前をいつもの調子で呼んで、忍足が覗き込んでくる いつのまにか、窓際からここまで移動していたらしい 眼鏡越しに見える瞳は、夜のようにまっくろ まっくろ 見ていると底なしの闇に落ちていくような錯覚がして、ゆるく首をふって逃れる 「…な、んでもねー。…あんさぁ、忍足…ここ………」 どこだっけ? その慈朗の問いを
くちゅっ
忍足の口付けが、ふさいだ
「ん…ぅ……っ…」 ゾクッ 「は、ぁ…お、おしたり?」 呟き 離れた唇の隙間からこぼれるおとすように それは、忍足のする普段の挨拶となんらかわりなく 変わらないはずなのに 瞬間 背筋をのぼった感覚は… 「なんや?ジロー」 微笑む顔は、いつもの忍足の笑顔? 「なに口にキスなんかしてんだよ、挨拶にしたってやりすぎだろ?」 否定するように軽口が漏れる 気づかれるな 悟られるな 俺は怯えてなんかいない 震えてなんか そんなことありえない あっては駄目なんだ だから、いままでどおり この距離を、保って… 仲間で、友達で、チームメイトで… いままでも、これからも それは、俺の望み
「挨拶?」
壊さないで 崩さないで
「なにいってるん?挨拶で男にキスなんてするわけないやんか?」
なのに、嘲けた笑顔が全てを否定する
「愛しとるよ、ジロー」
力が抜けた はいらない 体のどこにも ただ、意識だけが取り残されて いっそ手放してしまえば楽だったろうに
「忍足、てめぇ、一人で突っ走ってんじゃねぇよ」
跡部の声が、俺を繋ぎとめた 反射的に俺は跡部へ視線を送る 影になる忍足のむこう 月明かりで浮き上がる跡部の顔 俺の知らない貌…
「あとべ?」
確認するように声をかける 「あーん?」 口調はいつもの俺様 表情はいつもの自信顔 けれど、まとった雰囲気だけが異質 跡部や忍足が俺のことを知らなかったように 俺にだって知らない二人が…? 「どうした、ジロー?」 跡部はそういって、忍足とは反対側にたつと、キスを… 「やっ、あとべ…嫌…んぅ」 ふさがれる 「ジロー」 「はっぁ…っ、跡部まで、なんで…?」 跡部が綺麗に笑った 残酷なほどに、美しい この距離は、変わることがないと思っていたのに 幼馴染で、親友で、憧れで… いままでも、これからも それは、俺の願い
「なんで?」
変わらないで 変えないで
「愚問だな、愛してるからにきまってるだろう?」
跡部は笑顔で否定した
「愛してる、ジロー」
もう一度くちづけ 今まで繰り返してきたキスとは全然、違う 不二が俺にするような、深くて苦しくて背筋がぞくぞくして、そのまま食われてしまいそうな 呼吸ごと喉の奥へと押し戻される 逆流する空気に、肺が痛んだ 痛イ いたい 「跡部、ジロー苦しそうやで?…かわいそうに、泣いとるやんか」 「うるせぇ、黙ってろ」 「酷い奴やなぁ、自分」 何気ない会話 いつも、部活や教室で交わされるのと、なにひとつ変わらない けれど俺にはまるで字幕映画のように聞こえてみえた
「…あいしてる?」
ぽつりと繰り返す言葉 どこかで聞いた言葉 「ん?あぁ、なんだ、知らなかったのか、ジロー」 「気づかんかったん?なんや、悲しいわぁ」 …しらない そんなことは、しらない しりたくない しりたく、なかった… 「だって、二人とも…いつもいっしょだったし…俺は、ふたりが…」 「あぁ、それは牽制だ」 「けんせい?」 「そや、俺は跡部を、跡部は俺を…ジローに近づかんように監視しとったんよ」 かんし…
二人との会話をBGMに、俺は愛しい人のことを想う
不二 ごめん ごめんな、不二 あれはウソ 二人に、ばれてもいいなんて そんなのは、ウソだった 壊したくない 崩したくない 手放したくない いつまでも変わらずにいたい 仲間で、友達で、チームメイトで… 幼馴染で、親友で、憧れで… いままでも、これからも それは、俺の望み それが、俺の願い
…もう、遅い
二人はどこまで知っているんだろう? どこまで… 俺が男としてること 相手が不二だということ ここ最近は、遊ぶように体をあわせていたこと 二人はどこまで知っている?
「なんで、今更…?」 「あ?」 「なんで、今更、そんなこと、いうんだよ」 「今更て、なにが?」 「知ってんだろ?俺が…不二と…付き合ってるって…」 「…」 「なんで…俺の心が変わった後で、んなこと言うんだよ!」
遅い 遅いんだ 俺の心はもうここにない 不二にあげてしまった 戻ってはこない ここにあるのは、抜け空だけ ただの泣殻だけ 二人に答えられるものは、なにもなく
「…そうか、不二か」
え? あぁ、俺は… 「予想通り、か…おもろないな」 忍足は笑っている 「まぁいい。確認は、とれた」 跡部も笑っている 俺は…
もう 終わり なんだ
「ウソ、だ」 「あーん?」 「ウソ…だよ、不二とつきあってるなんて嘘…だから…」 俺は左手で跡部、右手で忍足にすがりつく 願うように、祈るように 「嘘?」 うなづく 俺は手に力をこめた 自分の体は自分が一番よく知ってる どうすれば、一番よく魅せれるのかもわかってる 甘えるように、媚びるように 先にかかったのは 「へぇ、そうなん?それにしては、ずいぶんと…」 ぴしっ ボタンが弾かれる のぞく肌には、たぶん、昨日の情事の跡が見えるはずだ 「仲良いみたいやね?」 「不二だけじゃねーもん」 「それにしては、ここしばらくは、ずっと不二やったみたいやけど?」 「…そんなこと」 ない、という俺の言葉を跡部がさえぎる 「二ヶ月」 「…?」 「ほとんど日替わりで相手をとりかえてたお前が、二ヶ月だ。これはただのきまぐれか?」 知らず 指に力がこもった 「そう、だよ。いちいち取り替えるの面倒になってさ…」 「そうか…」
しっかりしろ 俺はこころでつぶやく しっかりしろ 自分で蒔いた種だろうが 俺がしっかりしなくてどーするよ 不二 不二だけは…俺が、護らなきゃ これは俺の問題だ …俺が、二人の想いに気づいていれば 俺の愚行が招いた結果だ …俺が、簡単に名前を口に出さなければ 俺が巻き込んだ… けれど、だから… たとえ、もう俺たちが終わりだとしても たとえば、もう俺は御終いだとしても お前だけは護るから…
「忍足」 「わかっとるよ」
跡部が忍足の名前をよぶ 忍足はゆるく笑うと、なにかを鞄から取り出す
俺はわからなかった
「?」
だって …笑っていた
忍足が取り出すのは、携帯がひとつ 月明かりに移される色は、オレンジ
「俺、の…」
二人は笑いあう 俺が今まで見たことのない程、綺麗で
「ジロー…俺らの前で、今、これ…壊し?」
残酷に
「な、んで…」 「新しいのは買ってやる。どのみち、たいしたメモリーもはいってねーだろ」 「でも、それ…気に入ってんだけど…」 「なら、同じものを買えばいい」 淡々と語る跡部 忍足が俺の手に携帯をわたす 「…っ」 痛いくらいに強く、上から握りこまれた 「ジロー、大人しゅう、言うこと、聞いておいたほうが…ええで?」 低く囁く ゆっくりと言葉を侵食させるような速度で 俺は…
おれは…
「な、んで…?友達、とか…も、はいってんだ、困る…」 両手で携帯を握り締めた 家族と レギュラーのみんなと 千石や福士、丸井くんに仁王…そのほか、何人かの他校の友達と そして 不二のナンバーが入った、俺の携帯 もちろん、覚えてなんていない とうぜん、控えてなんていない 無くなったら困る 連絡が取れなくなる 声が聞けなくなる 俺は強く強く握り締めた これは、大切な絆のひとつなのに 「ジロー」 跡部が名前を呼ぶ 俺は震えた もう隠すことはできなかった 怖い こわい、こわい、こわい… 怖くて仕方ない 「ジロー、わからんの?跡部も俺も…」 忍足が耳元で囁く ドクン 心臓がひとつ際高くはねた 俺は、わからなかったんだ だって ふたり、は笑っていたから…
「それで”許してやる”って言っているんだぜ?」 「それで”勘弁したる”言うてるんやで?」
視線が痛む、酷く… どこかで感じた… この視線は… あぁ 双つの視線 ひとつは酷く懐かしく ひとつは酷く冷たくて それは、俺の、とてもよく知っているもの おつきさまの視線
アレハ 跡部 ト 忍足 …
俺は最後にもう一度、携帯を握り締めた パクッ ふたをあける 画面が見れなくて 目線を跡部と忍足にむけた すがるように、たすけをもとめるように 返されるのは笑顔 二人とも笑っている かわらない二人の笑顔 ほんの何時間か前までは むけられるのが嬉しかった微笑み けれど、いまは… だけど、もう… 俺はそれに笑顔を返すことはできなくて できなくて…
「ジロー」
名前を呼んだのはどちらが先だったろう?
覚悟を決める 俺は二人をみたまま いつもとは逆方向へ力をこめた キシッ 軽く一度軋ませてから
バキッ…ン
骨を砕くような音 くだく、くだく、くだく、くだく 壊れろ、壊れろ、壊れろ、壊れろ 徹底的に 砕けて 壊れて…
パキ、ボキ、 グシャ、ガシャ…
音がじょじょに小さくなって 欠片がどんどん細かくなって それでも俺は砕いた 壊した お気に入りだった、ストラップまで壊したとき ふと
俺はなにを壊しているのかわからなくなった
パラパラ 細かい破片が床に散る きらきら それは月明かりに反射して鈍くひかって
あぁ、これは俺の心だ
俺は俺の気持ちを壊す 壊れてしまえばいい、砕けてしまえばいい もう、なにも感じないように 全部、ここに捨てていく 俺と不二の時間のすべて… 不二を愛していた俺も 不二に愛されていた俺も それは、これからの俺に必要のないものだから こわして、くだいて、すててしまおう ばいばい ごめんね ありがとう さようなら…
「もういい、ジロー」 跡部はご満悦に笑って、俺の手を救いあげた 忍足は満足そうに笑って、塵となったそれを始末していて 俺は
「…ねぇ、跡部、忍足」
「あーん?」 「なんや?」
俺は………
「明日さ、携帯いっしょに見にいかねー?」
俺は笑う
「いいぜ」 「ええよ」 「…嬉C〜。あ、そうだ。なぁなぁ跡部、俺さ、牡蠣食いたい。牡蠣!生のやつ」 「あぁ、そういえばもうそんな時期か…わかった」 「マジマジ?へへ、やりぃ♪」
俺は笑う
嘆かない 悔やまない 悲しまない その資格がない
「「ジロー」」
二人の声がステレオで聞こえて、俺は微笑をかえした
伸ばされる手 交わされる口付け 与えられる熱
どさっ 音をたてて、ベットが軋んだ もつれこむように、押し倒される 「んっ…ぅ」 唇が塞ぐ ぐちゅ、くちゃ…くちゅ 音をたてての、ディープキス 息が… 「んっ、ふ…んんっ…」 「「ジロー…」」
跡部を壊したのは、俺 忍足を壊したのは、俺
不二を巻き込んだのは、俺
(ごめん…不二、ごめん)
跡部に抱かれて、忍足のモノを銜えながら 俺は俺にすら聞こえないくらい小さく、不二に謝った
(ごめんな、跡部…忍足…)
それから、二人にも かつて、それを望んだのは自分であったはずなのに 今、想っていた彼らは、愛していると… そのうえ、組み敷いて… 今までで一番、近くにいるのに こんなにも二人が遠い 胸を占めるのは愛しさではなくて罪悪感 ごめん…
きれいなおつきさまがみえる ゆらゆらゆれている まるで壊れた振り子のように 淫らなリズムで ゆらゆらゆれるおつきさま 俺は二人の上で、交互に腰を振る あぁ、それにしたって
なんてきれいなおつきさま おつきさまがみている
”気をつけて…”
意識を失う瞬間 いつかの不二の言葉が遠く聞こえた あのきれいなお月様よりも遥かに遠い その距離に
俺はもう、二度と不二には逢えないのだと、悟った
| 2005年11月29日(火) |
夜が来る1.5夜の日 |
順調に「夜が来る!」の二本目をお届け。 って、これ別に日替わり連載のつもりはないんですけど、ね?ね…(笑) 今日は、2話にうつる前の閑話休題です。 ちなみに、もう2話まで書き上げてあるんですが、いろいろ凄いことに なりました(笑)あ、サイトの方にも順次UPしていきます。 とりあえず、ひぐらしのように日記よりも先にあっちがUPということに はならないかと… この話、C†Cシリーズとは全く関係ありませんが、おおむね、おいらの 中での不二とジローのつきあい初めはこんな感じです。 っていうか、ジローは絶対に、あの試合のあと、不二をナンパしたと 想うんですよ。声をかけるのはいつもジローから。 「なぁなぁ、不二!ナンバー交換しよー」 「うん、いいよ」 そして日本人特有の社交辞令ではなく、本当にテニスしようと週末に 電話をかけてくるジロー。他に予定もないからと付き合う不二。 …そんな不二ジロが萌えなのです −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
君が僕を見上げる そして、微笑み 時間は等しく流れているのに、受ける印象は刹那 君が、惜しみなく与える、愛を 酷く、心地よく、思う。 鮮明なシルエット 反らさない瞳 綺麗すぎて、胸が苦しい。 恋しく、尊く、愛しい・・・ どうしても、そらせず、手放したくないと願ってしまったのは
君が本当に
真実だけの存在だから。
夜が来る! 第1.5夜:You and I
「そうだなぁ、じゃぁ、一回犯らせてくれたらいいよ」
敵意むきだしの、まるで刃物のような、僕の言葉
傷つけばいい、罵ればいい、諦めると良い
願うのは破滅、絶望、そして孤独
「…」
君が…
「マジマジ?!そんなんでいいの?」
還してきたのは、極上の、笑顔
僕の悪意をまるごと飲み込んで
かわりに心を満たすモノは…
「うひゃー、やっぱ不二は強ぇーなぁー!」 「芥川くんもまた強くなったよ…今日は3ゲームもとられちゃった」 ストリートテニス場からの帰り道 疲労したカラダに少し冷えた空気が心地よく 闇の香り あぁ、もうじき、夜が来る 「ねぇ、芥川くん」 「んー?」 少し前を歩いていた彼の、ラケットがでているリュックを、つかんだ そのまま引き寄せる 「うわっ…と」 「今日は僕の家に泊まっていかない?」 「へ?」 肩越しに きょとんと僕を見上げる瞳に見えるのは、茜色 ゆらりと、ヒカリが混ざる 「なんで?」 「たいした意味はないよ、どう?」 「んー」 彼はゆっくりと首を動かすと 「また、テニスしてくれる?」 … 「もちろん、いいよ」 「じゃぁ、行く」 僕は手を離した すとん 重力が軽く彼のカラダを地面に届ける 「不二の母ちゃんって、料理上手い?」 「うん、上手いと思うよ」 「マジマジ?!すっげー楽しみ〜♪」 彼はそういうと、再び歩き出す 独特のリズムを刻む足音 あぁ、まるで歌っているように 「芥川くんてさ、テニスしてくれるなら誰とでも寝てるの?」 悪意を一つ、軽く放ってみた 彼は 「おぅ。なんでもするぞ」 「ふぅん」 迷いもなく打ち返す 「本当に、テニスがスキなんだね」 「当たり前じゃん、こんなおもしろいこと、他にないC?」 ふぅん 僕は軽く悔しくなった 彼がどうこうというのではなく 僕の隣を歩いているのに、僕のことを考えていない君が 僕と同じ速度で進んでいるのに、遙か遠いモノを想っている君に なんとなく、負けてしまった感が拭えないだけ これは、ただの、対抗心だ 「でも、誰でもいいってわけじゃねーよ…強ぇーやつじゃねぇと」 「じゃぁ僕は気に入ってもらえたのかな?」 「あったりまえじゃん、不二、強ーもん。今日も負けたし」 「ふふ、ありがとう」 「次は勝つぞー!」 まるで誓うように両手をふりあげ、君は駆けていく なんだかおいて行かれるような気がして、僕は
がらにもなく、そのあとについて走った
「不二のテニス、スキだよ」
それは、氷帝学園が開催地枠で全国大会へでられると発表された翌日のこと もちろんその話は、青学のほうへもきていて それ以前に、僕らは単純に約束として今日もストリートテニス場でテニスをした 「全国出場おめでとう」 「サンキュー、へへ、できたらまた戦いてーな。不二と」 全国楽しみと君は笑う 「今、一試合おわったばかりじゃないか」 「おぅ!けどさ、やっぱ…背負っているモノがある試合とそうでない試合は違うC」 くるくるとラケットを指で起用にたてる 亮ちゃんの真似 「そうかな?」 「ん。ほら、関東大会のさ、切原との試合、あれなんかもう、すっげードキドキした」 背負うモノ 僕、が? 「考えたこと、なかった…な」 「不二は誤魔化すの得意だかんな」 「…」 「そういう奴は他にもいるけどよ、けど、不二みたいに自分まで誤魔化してる奴は滅多にいねーな」 パシッ 僕は 「不二?」 「誤魔化す?」 彼は不思議そうな顔で僕をみあげる 僕は彼から取り上げたラケットを少し強めに握った 「ぼくが?」 「…うん」 君が僕を見上げる そして、微笑み
「本当は、テニスが好きでたまらないってくせに、一生懸命書隠そうとしてる」
「…ずいぶんと、わかったような口を聞くんだね」 「わかるよ」 パシッ 彼は僕からラケットを奪い返した 「テニスをすれば、わかる」 ボールは嘘をつかないよ、と 彼は真っ直ぐなまなざしで僕を射抜いた 「不二のテニス、スキだよ」 「僕、じゃ…なくて?」 「不二もスキ。っていうか、それは切り離せるものじゃねーC?」 不二のテニスは不二だけのもの それ以外はありえない この世界でたったひとつの… 「スキだよ」 と、君は笑う
テニスのためならなんでもするその顔で テニスのためなら誰にでも抱かれるその体で テニスのためなら自分すらどうでもいいというその心で 僕に微笑む けれど、一番不思議でならないのは その笑顔を、どこか愛しいと想っている僕がいること
「ねぇ、芥川くん」 「ん?」 「僕と、付き合ってみない?」 「不二と?」 「そう」 彼はあの日、あのときとかわらない笑顔で 「いーよ」 「本当に?」 「おぅ。いったじゃん」 彼はテニスをしているときと同じ笑顔でもう一度
「不二のこと、好きだよ。ってさ」
君が微笑むたびに あの日 僕の悪意をまるごと飲み込んで かわりに心に生まれた感情が育っていく
「君は、凄いね…」 「そーか?…そーだなぁ、俺はテニスに関しては誰にも負けねーから」 「…」 「試合とかそういうんじゃねーよ?そうじゃなくて…」
立ち上がって一歩踏み出す 僕は自然とその後ろ姿を目で追った あぁ、なんて大きな背中だろう? じきに夜を来る、夕焼け空が彼を彼の好きな色に染めて
「この指で」
彼は右手をあげた
「この手で、手首で、腕で、肩で、胸で、腰で、足で…髪の毛の先まで」
照らされるシルエットは克明
「この身体と、心と、俺のもっているもの全部をかき集めて」
掻き寄せて、抱きしめて、全て併せて
「脈のかわりに、鼓動のかわりに、心のかわりに、俺を構成するもの全部をラケットに変えて打つ それをなんて言うかは知らねーけれど、それだけは、誰にも負けるつもりはねーよ」
僕はきっと敵わない
君が僕を見上げる そして、微笑み 時間は等しく流れているのに、受ける印象は刹那 君が、惜しみなく与える、愛を 酷く、心地よく、思う。 鮮明なシルエット 反らさない瞳 綺麗すぎて、胸が苦しい。 恋しく、尊く、愛しい・・・ どうしても、そらせず、手放したくないと願ってしまったのは
君が本当に
『真実』だけの存在だから
「あぁ、そうか…」 「うん?」 「わかったよ」 「不二?」
溢れてくるこの想いの正体 彼に抱いていた、不思議な感覚の実態 彼は… 根本的な価値観が、違う 彼は自分を知っている、知っていてそれでも行動を起こす 素早く、あと腐れなく、迷うこともせずに ただその心の想うまま、その魂の導くままに だから、その行動についていくことは、至難の業だ 手を離してしまえば、それだけで、失ってしまう そして二度とは手に入らない けれど留めておくことはできなくて その自分への無頓着さをみせつけられてなお 彼の事を信じて、疑ってはいけないのだ その瞬間に、失ってしまう だから 「君の隣にいるということは…常に試されているということなんだね」 絶対の信頼を 絶対の絆を 「大変そうだ」 そしてなんて楽しそうなんだろう 僕は、少しの哀れみと、羨望をこめて、笑った 試合前のような高揚感 「不二?」 彼は不思議そうに僕を見る 僕は彼にほほえみをかえす
僕は君に敵わない その想いに届かない けれど 君と僕 こうして触れあえる距離にいて、微笑みが届く場所にいて、同じ時間にいるのだから 僕は少しだけ、僕を誤魔化すのを止めにする 僕は少しだけ、僕自身と向き合ってみる 君の微笑みから生まれたこの感情と 君が微笑むたびに、育ったこの想いを一緒に いつか、分かれる日がくるまでは いつか、分かれる日がきても… この想いを君が受け取ってくれるというのなら
君ほど綺麗ではないのだけれど
僕の『真実』は全部、君にあげるよ
おおぅ。ジャンプにジロちゃんがいる。ちょこっと見ただけでしたが いましたよ、しかもしゃべってたv(つか、起きてる…)なんか嬉しい。 個人的には、チョタと宍戸さんに引き分けて もらい、跡部さま(たぶん相手はリョーマだよね?)に勝って頂いて 不二vsジロで決戦 が良いです。駄目ですか?そうですか…いいと思うんだけどな………
さてさてさて なんの前触れもなく、新シリーズの1話目をUPします。シリーズ名は 「夜が来る!」 はいはいはい、すいません、これはあれですGBで…雪蛮で、ね? 出だしこそリサイクルっぽいですが、2話からの展開はかなり違うモノに なってます(現在進行形)なるはずです。なるといいな… 本当は、4話ポッキリの完全リサイクルにするつもりだったんですが、 そういえばGBでやったのも「余談とか後日談とか書きたい」といいつつ 書けなかった(完璧に完結していたのでスキがなくなった)ことを 思い出して、だったらもう元から余談とか織り交ぜた感じで書けばなんと かなるかなぁ、なんて…というか実は、銀ちゃんのポジションを跡部と 忍足、どっちにするか決められなかっただけなんですけどね(というわけ で、あのポジションは二人のものです/笑)この時点で纏めるのは諦め。 不二ジロ←跡部・忍足。ってところですかね。ジロちゃん遊び人。男らしさ は損なわないつもりで書きたいんですが…どーだろ? 跡部と忍足が悪です。ジロも悪です。っていうかこの話で一番いい人人は たぶん、不二です。この時点ですでになんかもう終わってる気もします。 不二ジロ…なんかすでにカップルとしてできあがっている話ばかり書いて ますが、個人的にはむしろ、跡ジロor忍ジロ←不二。みたいな感じで 不二のほうから片思いで、略奪愛な感じが好きです。略奪愛ダイスキ。 まぁ、物書きなら御託よりも作品で勝負!つーことで、とりあえず1話目 どうぞ!
おつきさまがみてる…
夜が来る! 第1夜:The Blue Moon
「?」
視線を感じた ここ最近、毎日だ… 流れる意志の源流をたどれば 夜にぽっかり、おつきさま
「どうして僕を選んだの?」 「…どーいう意味ぃ?」 「ふふ、大したことじゃないけどね。…どうして、僕を選んでくれたのかな…なんて」 ちょっと疑問に思っただけなんだ そう、苦笑するので 「そうだな…最初は…似てたから、かな?」 そんな風にこたえる これはホント 涼しい顔で底を見せないところとか 優しいところとか テニスが強いところとか ミステリアス?なところとか 「僕は身代わり?」 ひどいなぁ、といつもと変わらない笑顔でつぶやく 変わらないはずの笑顔が違って見えるのは、雰囲気からか それとも俺が不二の笑顔を読めるようになったからなのか 「…最初は、っていったC〜」 とりあえずフォローをいれておいた すると、微笑みが深くなった あぁ、笑ってる 不二の笑顔を読めるようになったのはいつだったかな 「じゃぁ、今は?」 わくわくと おもちゃつきのお菓子のおまけを開けるときのような表情 「それは、不二がよくしってんだろ?」 あー、なんか眠くなってきた そういえば俺は寝ようと思ってたんだった 欠伸をひとつすると、不二がキスをくれる 「…うれしいな」 呟きと、返されるキス 「ん…んぅ」 繰り返される口付け 伸ばされる手 震える体 そして、心 「…あっ、…おれ、眠いんだけど」 「かわいいな、芥川くんは…」 「…も、一回…すんの?」 「誘ったのは君だよ」 勝手なこというな 俺は誘ってなんかいないよ、眠いんだから 不二が勝手に誘われただけじゃんか あぁ、でも 体を重ねるのは気持ちいい SEXはもともと好きだけど 相性がいいというなら文句なし …不二とは、たぶん一番相性がいいんじゃねーかな? 今までで一番…キモチイイ… 最初に誘ったのはきまぐれ それこそ、ほんとうに、アイツに…似てたから SEXが気持ちよくて 何度も体を重ねて 気がついたら好きになってた どっちも… 心よりも先に体なんて、ある意味、俺らしくていいんじゃね? ふと
「?」
視線を感じた ここ最近、毎日だ… 流れる意志の源流をたどれば 夜にぽっかり、おつきさま
「でも、今だに信じられないな…」 「なにが?」 「芥川君が…どちらとも付き合っていないっていうのが」 僕はてっきり、どちらかが恋人同士なのだと思ってたよ。…と そーかな? 皆が皆、同じことを言う まぁ、俺だって時々、不思議におもうくらいだもんな 「跡部とはただの幼なじみだし、…忍足は跡部が好きなんだよ」 「…へぇ」 「挨拶程度でキスはするけど。…俺だけじゃねーし」 「本当に?」 「嘘ついてどーすんだ?…不二も、毎日見てれば、わかる」 なんだかんだいいながら、いつも一緒なんだ、あの2人 跡部が忍足をどう思ってるのかまではしらないけどね まぁ、時間の問題なんじゃねーのかな? 氷帝じゃ常識中の常識デス 「そう…まぁ、いいや」 クスクスクス 自分から話題をふってきたくせに 「いいんだ?」 「うん。どのみち僕達が恋人同士ってことに変わりはないからね」 うぉ、すげーなぁ その自信と笑顔はいったいどこからくるのか まぁ、不二らしいし、俺もそういうところ大好きなんだけどさ …けど、答えてやるのはしゃくなので、話を飛ばす 「…ふぁ…んー、眠いよ…ねむい…不二、寝て良い?」 「駄目」 「えー、マジ?…あーぁ俺、明日は一日中寝ずっぱりだよ。跡部に怒られたら不二のせいだかんな」 「ふふ、いいよ。そのときは僕がきちんと説明してあげる」 「…いらねー」 火に油じゃんか、怒られるのは俺なんだぞ、まったく 俺の気持ちを知ってか知らずか(まぁ、ぜってー知ってるにきまってるんだけど) 遠慮しなくていいのに、と不二がおかしそうに笑う あぁ、遊ばれてるなぁ、俺… 「でも、そうだね。二人に知られるのは困るのかな?」 「あ?」 「僕もまだ、そこまで覚悟はできてないしね」 「…なんで不二は二人を巻き込みたがるんだよ?」 「…怖いから、かな。彼ら、容赦とか手加減とかしてくれそうにないから」 それは 「その言葉、そっくりそのまま不二にリターン」 「かえされちゃった」 不二は小さく肩を竦めて苦笑をひとつ 「…二人とも、たぶん、なにもいわねーよ。興味ねーんだ」 男同士の恋愛にはチョタと亮ちゃんとか、日吉と岳っくんとかで慣れてるはずだし 現にその二組には、なにもいわないし、偏見なんかも持ってる風にはみえねーし たぶん… 少し驚いて、でもいつもの笑顔で一言 ”…そうか” ”へぇ、そうなんや” それで終わり 俺はそういう人間だ 俺はそういう存在だ いてもいなくてもいっしょ 跡部景吾にとって、芥川慈朗というのは、ただの幼なじみでしかない 忍足侑士にとって、芥川慈朗というのは、その程度の仲間でしかない …そのことを 悲しい と 思っていたときも あった けれど… 辛くて、苦しくて、狂いそうだったときもあったのだけれど 「まだ、彼らのこと、好き?」 好き? 「…好き、に決まってる…でも、もうそれは前のような好きとは違うけどさ」 「へぇ…」 「っていうか、今にして思うと、俺が好きだったのは跡部や忍足じゃなくて、俺だけの特別な存在だったのかもしんねー」 「…」 「跡部は幼馴染だけど、亮ちゃんとも幼馴染だし、忍足とは仲が良いけど、岳っくん程じゃねーし…」 俺は寂しかった? 寂しかっただけなのかもな そんなこと、知りたくもなかったし、認めたくもなかったけれど 「俺のことを一番に考えてくれるヤツなら誰でも…」 良かった、という言葉は続かずに消える 不二が 何も言わずに、くしゃくしゃと頭を撫でてくれたから 子供の頃のまま、ご褒美をくれるような跡部の手でもなく 悪戯のように遠慮なくひっかきまわす忍足の手でもなく ただ、優しいだけの不二の手 「僕は君のことを一番に考えるよ」 「…知ってるC」 「芥川くんは?」 俺はちらりと不二をみあげて 「わざと聞くなよ、知ってるくせに」 ふふっと不二が笑う その笑顔が好きだ いじわるに優しいその表情が大好き 「俺は言わねーぞー」 「…言って欲しいんだけどな」 「いわない」 「どうしても?」 覗き込んでくる瞳を見つめ返す そして 「…不二の思ってるとおりの答えでいい」 溜息をひとつついたところで 話を本題に戻そう 「っていうことで、ばれるならばれてもいい。でも、説明すんの面倒だからさ、そのときは不二からヨロシク」 「あぁ、いいよ」 不二はそういって、微笑みながらキスを 「んっ」 「君が望むことなら、僕は、僕の全てで、それを叶えてあげる」 「…不二」 「覚えておいて?君の願いは、僕の願い…君の幸せは、僕の幸せ」 思いのまま、願うまま、こころのまま、信じるままに、進めばいい 「…さんきゅー、不二」 その優しさと、微笑が嬉しくて、申し訳なくて ご褒美のようにキスを返した
「愛してる…」
先に言ったのは、俺だったのか、不二だったのか
不二…
そりゃ、確かにさいしょは身代わりだったかもしんないけど 今は、本当に好きなんだ 体を重ねてみればわかる 小さな仕草とか 柔らかな表情とか 嗜好とか 俺に触れてくる指が キスを繰り返す唇が あつい、あつい、熱が… 重なるたびに気持ちよくて 嬉しくて 戯れのように何度も、何度もSEXして 気がついたら溺れてて そしたら、なんか、お前のことしか考えられなくなってて 前はぐるぐる苦しい場所を巡るだけだった二人のことも もとのように、幼なじみとチームメイトとして見れるようになった それは、やっぱり 俺がお前を好きになったからだと思うんだ 感謝、してる ダイスキ 大好きだよ、不二…
「?」
視線を感じた ここ最近、毎日だ… 流れる意志の源流をたどれば 夜にぽっかり、おつきさま
「でも、芥川くん…気をつけて」 不二が少しだけ声色をかえていった もしかしたら、同じ視線を感じているのかもしれない どこか、刺す様な… 痛いほどに、感情のこもった視線 おつきさまの視線 不安がわきあがって… ふと、窓が目に入る 月がぶれて、双つに見えた …まさか、ね それはまるで、責めるような視線だったと思う こんなことをしている俺を嘲る様な そして いつか、どこかで、感じたことのある視線 双つの視線 ひとつは酷く懐かしく ひとつは酷く冷たくて それは、俺の、とてもよく知っているもの なんだっけ? けれど、結論を出す前に 思考はゆるゆると霧のように夜の闇に溶けていき、霧散してしまう なにも考えられない からっぽの俺の頭と心に響くのは不二の声 「きっと、彼らは…僕と同じ夜をもっている…」 「え?」 「…僕は、君の、その自分への無頓着さが心配なんだよ」 「不二、考えすぎ…」 「芥川くん」 「…ふじ?」 「気をつけて…」
思いつめたような不二の瞳に、一つずつ月をみた 双つの瞳に、双つの月 「?」 視線を感じた ここ最近、毎日だ… 流れる意志の源流をたどれば 夜にぽっかり、おつきさま あぁ
おつきさまがみてる…
宍戸とジロちゃんの話ですが、おいらの中で宍戸さんは受なので、百合CP です。(それ以前にCPといえるほどの内容の話じゃなかったり) 読む分には大喜びで読みますけどね。宍ジロ。書くのは無理かな。よほど ネタでも浮かばぬ限りは…ひぐらしでもそうでしたが、なかなかよいポジ ションにいらっしゃいます。 …ジロちゃんの漢前度がまたあがったような気が; 不動峰戦後のお話。ジロちゃんのセリフは、寝起きテンションで、心持ち ゆっくりとうえださん声をイメージしながら読んで下さると雰囲気でる かもしれません。
俺が目を覚ますと、亮ちゃんが負けていた
【わかんねーなぁ】
「亮ちゃんが負けた?」 寝起きの頭でぼんやりと言葉を反芻する 『そうだ』 「ふぅん」 『ジロー…』 「…ん?」 『…いや、なんでもない。ともかく、5位決定戦にはお前も出す。準備しておけ』 跡部はそういって、電話をきった ふぁ。 欠伸をひとつ んー 「負けたの?」 「…」 亮ちゃんは答えない 学校の屋上 空は青 挽春の日差しに誘われるまま、うとうとお昼寝モードでいたらいつの間にか亮ちゃんがきて なにもいわずに、背をむけて俺のとなりに転がった 生き物は、背中にものがあると安心するんだって そんなどうでもいい話を思い出しながら、俺は夢の世界へ 目に映るものが俺の好きなオレンジ色に染まる頃、跡部から電話がきて目を覚ます 俺が目を覚ますと、亮ちゃんが負けていた 亮ちゃんの肩は震えている 俺は少し考えてから、亮ちゃんに手を伸ばす ポスン 抵抗もなく、亮ちゃん自慢の綺麗で長い黒髪に俺の手が収まった いつもは俺や跡部ですら、なかなか触らせてくれないのに 「重症?」 「うるせぇ…」 言いながらも元気がない 「ふぅん」 「…んだよ、ジロー…なにかいいたいことがあるんなら言えよ」 「べつにー?」 「…」 「わかんねーなぁ…あんさぁ、亮ちゃん?」 「あ?」 「なんで落ち込んでんの?」 パンッ 乾いた音が、ひとつ 「馬鹿にしやがってっ!」 「…馬鹿になんて、してねー」 「馬鹿にしてるだろうがっ!負けたんだぞ、俺は!」 うん、聞いたよ っていうか、それって大声で言うことじゃないし …あ、なんかほっぺたが痛くなってきた じんじんしてくる 「別にいーじゃん。次、勝てば」 「次があるわけねぇだろ!」 はぁ? なにいってんだろ、亮ちゃん 「あ、なに…亮ちゃん、テニス辞めんの?」 「…やめねぇ」 だろうねぇ 態度にも表情にもださないけれど、亮ちゃんテニス大好きだもん だからこそ 「わかんねーなぁ」 俺は首をかしげる 「わかんねぇのはどっちだ?!」 あー。うるさいうるさいうるさい すぐ傍にいるんだから、そんなに怒鳴らなくても聞こえるって 「負けたんだ、負けた…もう、レギュラーにはいられねぇ!」 あぁ ここは氷帝学園 俺たちはテニス部レギュラー 伝統と掟 「…っていうか、亮ちゃん。激ダサ」 「っ」 パンッ 痛い 今度はすぐ痛みが走った 「いてーなぁ、もう」 「黙れっ」 「黙らねーよ。なぁ、亮ちゃん。そんなに負けた負けたって言ってる時間があるなら、練習でもすれば?」 「てめぇ…」 「俺を殴る元気があるなら、特訓でもなんでもすればいい」 さすがに3発目は遠慮したいので、先に手をうつ 案の定、亮ちゃんの手は握り締めたところで止まった 「したって…意味、ねぇ…」 「なんで?」 「負けた奴は、二度とレギュラーには…、知ってるだろうが…」 あぁ そういえばあったなぁ、そんな話も けどさ 「わかんねーなぁ」 「…」 「だって、亮ちゃん…それって”今までは”だろ?」 「あ?」 亮ちゃんが俺を見る 絶望でつぶれた瞳に、かすかな光 「”今までは”そうだったかもしんねーけど、亮ちゃんは違うかもしんねぇじゃん」 「…おれ、は?」 「亮ちゃんが一番目になればいいじゃねーの?。レギュラー落ちから復活した、最初の人間にさ」 すぅっと亮ちゃんの瞳に灯りがともった それは真っ赤な夕暮れのせいだったかもしれないし そうじゃなかったのかもしれないけれど 「そのほうが、亮ちゃんらしいよ」 「最初、の…」 亮ちゃんはそこまでつぶやくと、飛ぶように屋上から駆け出していった 俺はその姿を見送って、しばらくぼんやりしてから ふぁ…と、欠伸をひとつ 背伸びをして、たちあがる
「ふあーぁ、良く寝た…」 「寝すぎだ」
おおっと 「跡部」 「宍戸はいったか?」 「おぅ。亮ちゃんだもんよ」 跡部は小さく笑う そして 「樺地」 「ウス」 名前をひとつ呼べば、後ろに控えていた樺地が俺のかばんをもってくる 「ジロー、コートへこい。相手をしてやる」 え? 「マジマジ?跡部、どーいう風の吹き回しだよ?!」 意外な跡部からの申し出に、俺は一発で覚醒 うわ、うれしー 明日、雨でもふるんじゃねーかな? 今日はてるてるぼうずを作って寝よう 「ふん。五位決定戦は絶対に負けられないからな」 「あー、そっかそっか。勝たねーと関東いけねーのか」 覚醒した頭が働きだす 「亮ちゃんの帰ってくるところ、なくなっちまうもんな。そりゃ大変だ」 でも、まぁ単純でわかりやすくていいじゃね? 勝てばいい。それだけだからさ 跡部は少し驚いた顔をすると、満足そうに笑う なんだ、跡部もやっぱり亮ちゃんが帰ってくるって思ってるのか 俺たちってどこまでいっても幼馴染なのだと確信する。 「そういうことだ。てめーの腕が鈍ってねーか、俺様がじきじきに確かめてやるよ」 跡部はそれだけいうと、さっさと先へいってしまう あわてて後を追いかけた 「いくぞ。もたもたするな」 「おぅ!」
俺たちの夏は、まだ、はじまってもいない
幼なじみ3人で最強なのは、ジロちゃんという話。
| 2005年11月26日(土) |
さてどうしたものか…の日 |
昨夜、我が家に遊びに来たJACKちゃんと、柳紫晏ちゃんに 不二ジロを描かせました 書いて貰ったんじゃないです、書かせて強奪しました。Sorry!(笑) とても満足ほくほくです。ありがとーありがとーありがちょーv でも、おいらも二人に搾取されたので等価交換。等価交換(言い聞かせ) 「かけないよ、難しいよー」「髪型どーなってるの?」「資料、資料ー」 「ごめん、ここで勘弁してください」…etc。そんな阿鼻叫喚の地獄絵図 でありました。遠慮ないリクエストの嵐。お二人のファンに見つかったら 俺、間違いなく殺されてますよ(笑)でもいいんだ、しあわせだから。 この調子で、不二ジロをがんばって収集していきたいと思います。 えぇ。不二ジロのみ等価交換OKです。もし「わたしも!」という男気溢る る方がいらっしゃいましたら、拍手かメールでも下さい。純粋に不二ジロ 下さるだけでもいいです(爆)不二ジロ。若干言いにくいので、もう、 フジロとか自分の中で呼んでます。なお、四苦八苦するおいらたちの横で 楸は一人で最強チームをプレイしてました。彼女だけ平和(笑) おふとんに埋もれていた、我が家の夏樹(パピヨン)も平和でした。
今日はSSを1本。いや、2本書いたんですが、UPするのは1本(苦笑) 樺地&ジロです。CPじゃないです。短いです。SSSです。 やまなし、おちなし、いみなしです。やおいじゃないですけどね。 書きたい情景があって、そこから始まった話なので。あ、ちなみに 樺地大好き!な、楸に捧げます。欲しかったらもっていって良し! もう1本は宍戸とジロと跡部の幼馴染トリオです。これもCPというには ちと弱い内容で、短いです。明日UPします。まぁ、明日はちょっと 用事があるので今日の夜あたりにUPしますけれど(日記じゃないという ツッコミはスルーの方向でお願いします)
たくさんいる人々の中で その人は、いつだってきらきらしている だから、ずっと傍にいたいと思う たくさんいる人々の中で その人たちは、いつだって優しかった だから、ずっと一緒にいれたらと願う たくさんいる人々の中で 彼は…
【泣くな、樺地】
パッと、はじかれたように動いたのはジローだった 誰もが動けない中、ジローだけが駆けつける そして
「泣くな、樺地」 「………」 「お前は泣かなくていいんだ」 「…ウス」
大きく背伸びをして、ジローは樺地を抱きしめた 誰も動かない うごけない それは酷く神聖な光景で
「ごめんな、俺の気持ちが移っちまったのな?」 「…」 「それはお前が悲しいんじゃない、それは俺の悲しみだ」 「…」 「それはお前の涙じゃない、それは俺の涙だ」
ごめん、ごめんな樺地 泣かしてごめんな ジローはそういって謝る
「わりーな、樺地…でも」
ジローは小さく笑った
「俺のかわりに泣いてくれて、ありがとな?」
よしよし 頭をなでる よしよし ご褒美のように よしよし 感謝と敬愛と流せなかった涙をこめて
「俺のために泣いてくれて、ありがとな」 「…ウス」 「綺麗なお前には辛いだろうけど、純粋なお前には難しいだろうけど、樺地」 「ウス」 「その気持ちを忘れるな」 「ウス」 「その気持ちを忘れないでいてくれよ」
祈るような、願うような、ジローの言葉 どうか君だけは…とすがる思いで 樺地はひとつひとつうなづいて答える ジローは笑う
跡部はなにも言えずに二人を見ていた
たくさんいる人々の中で その人は、いつだってきらきらしている だから、ずっと傍にいたいと思う
忍足に岳人、宍戸に鳳、日吉や滝はなにがなんだかわからずに二人を見ていた
たくさんいる人々の中で その人たちは、いつだって優しかった だから、ずっと一緒にいれたらと願う
ジローは笑う
たくさんいる人々の中で 彼は… 彼は、いつだって笑うから どんなに悲しくても笑ってくれるから まるで笑顔をわけてくれるかのように 誰にもきづかれないように 誰にもさとられないように 誰も気づかない 優しい彼らでさえ気づかない 誰も悟らない きらきらまぶしい跡部さんですら悟れない ただ、笑顔だけを分け与え 笑顔の裏で、涙は微笑みに昇華する それを思うと涙があふれた あふれてとまらなかった
ジローは笑う そして言う 抱きしめてくれながら ずっと頭をなでてくれながら 笑顔のままで
「泣くな、樺地」
書きたかったのは、静かに涙する樺地・それを慰めるジロちゃん・二人を なにもわからず見守る氷帝レギュラー。でした。
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