狼森、笊森と盗森

2005年09月11日(日) 乙女バトンの日

以前、バトンを2本もらっていたのですが、日替わり連載中だったので保留して
ました;ちょっと遅れてしまいましたが、さくさく〜っといってみます。

1:今現在、気になる人好きな人恋人はいますか?
いないです。というか周りに男の人がいないというか
いても既婚者か、父娘っていうよりおじいちゃんと孫!ってくらい歳の離れた
人ばかりなので(笑)

2:それはどんな人?
つまりおじさん、おじちゃんばかりってことですよ。

3:好きなタイプは?
年上で面倒見のよい人かな。あと、おもしろいひと。

4:逆に嫌いなタイプは?
口うるさい人…あと、精神年齢が低いのはどうしようも;

5:異性でココに弱い!って所は?
優しいところ。あー、あと、なにかしても最後は許してくれるくらい度量が
広かったりとか…

6:好きな芸能人は?
ユースケサンタマリア。好きすぎてどこが…と一言でいいきれませんv大好き
あとはおひょい(藤村)さん、橋爪功さん、玉置浩二さん、明石屋さんまさん
など…あ、藤田まことさんもv…基本的に演技の上手い人が好きですなー。
外国俳優なら、ジム・キャリー。彼のでている映画は全部チェックしてます。

7:好きな人にカラオケで唄って欲しい曲は?
歌ってほしいというより、自分と一緒に歌ってくれると嬉しいです。
…つまり、アニソン必須(笑)

8:逆に唄ってあげたいのは?
上に同じく。いっしょに歌いたいです。
…だから、アニソンがOKな人じゃないと駄目ですな(笑)

10:好きな人にされて嬉しいコトは?
原稿手伝ってくれると嬉しいな(爆)

11:バトン回す10人
じゅ、じゅうにん?!いねぇーよ、どうすんだよ!
と、おたおたしても仕方ないので、いつものメンバーに愛をこめてv(笑)
あ、もしもうもらっていたらスルーして下さい。
>>だいすきv…皐月おとーさま
>>お願いします姉さん!…Nikeさん
>>きりきり働け!…けだまん
>>いつもお世話さまです…結城さん
>>おめでとうございます…あまなさん
それと…
>>陣中(笑)見舞いありがとう…愛さん
>>積みゲーの封を開けさせろ!…智明くん
いじょう7名さま、ごあんなーい。
ホントウはN沢おかーさまにも回したかったのですが、今現在、サイトも
日記もお持ちでないはずなので…(残念><)
明日は萌えバトンです。がんばろう。



2005年09月09日(金) アンケート〆の日

アンケートを一度〆てみました。
いろいろ状況も変わってきたので(日替わり連載第4弾があったりとか)
項目を変更しなきゃいけないものとかもでてきましたし…
当初はレスタクが独走だったんですが途中から票が割れまして(笑)
レスタクと士官学校に。そのうちにPARTY☆NIGHTが追いつき追い越し
いつのまにかぶっちぎりTOPでした。はい。
そんなわけで一位はPARYT☆NIGHT。たくさんの投票ありがとうございました。
がんばって更新したいと思います。
さてさて、今まで頂いたコメントのほうにコメント返しをつけたいと思います。
そのままコピペしてあるので、新しいコメントからですが…どうぞ!

・ハーゲンダッツ様
「BL系ではなく、ノーマル系の学園もの読みたいなーて思っちゃいまして」
>>学園モノは問題ないんですが、BLではなくノーマル系というのがサイト傾向
としてちょっと難しいかもしれないです><;(申し訳ない)それでもできる
としたらヘルハウンズ×エンジェル隊…かなかな?

・くめ様
「士官学校時代のレスターとタクトが見てみたくて仕方がないです」
>>これは拍手コメントのほうにもいくつか同意見が…ネタはなんとか固めてある
のであとはきっかけとやる気ですね。かならず、いつか、近いうちに!

・妖姫様
「レスタク最高ですっwレスタクだったら何でもいいですよぉw」
>>わかりやすいコメントありがとうございます。レスタクいいですよね!!
がんばって増やしますv

・るるる様
「レスタクサイコ〜」
>>最高ですよね♪いいですよね♪これからもがんばりますv

・匿名希望様
「タクトとレスターの知られざる過去が今明らかに!!なってほしいな」
>>これはたぶん、士官学校編のことですね。そうですね、なにか捏造したいです
いろいろ楽しそうですものね。管理人は学園モノが好きなので。がんばって。
はい!かならず〜v

・ルフラン様
「レスタク、エオタクも読みたいですが、飲み屋でフォルテさんと鉢合わせする
レッドさんも見てみたい・・・・です/////」
>>このコメントには管理人も大賛成です。見てみたいです。(なら書けよ)
PARTY☆NIGHTですね(設定参照)がんばって更新します!

・御影様
「今月のエオニア様が切なかったので」
>>これは、エオニア様が亡くなった回のことですね。確かにあの回のエオニア様
は切なさMAXでした。思えば可愛そうな人ですものね。がんばって、エオタク
も増やしますv

・vellun様
「エオタクも好きですが、レスタクが1番大好きなんで!!」
>>やっぱりレスタクは一番人気ですね。まぁ管理人もそこに転んだ人間なのでv
がんばってレスタクを充実させていきますよーv

・Niki様
「士官学校もイイですが、レスタクだったらなんでも!!(笑)」
>>士官学校とPARTY☆NIGHT、それとレスタク!っていうのがやっぱり競りました
ね。本当にレスタクは人気です。GA唯一の王道CPですしねv
士官学校でレスタクがあげれると一粒で二度美味しいですよね。がんばりたいです

以上です。コメントを下さった方々、本当にありがとうございました。
ここには書けませんでしたが、拍手のほうにもコメントをいただいておりまして
そちらもいつも楽しく読んでます。いつもありがとうございますv
若干、反応が返ってきにくいサイトですので、本当に嬉しいです。
これを励みにこれからもがんばりますよv



2005年09月08日(木) ゼノギアスの日

というわけで、ゼノギアスです。
最初にプレイしたのは随分と前になります。まだ学生でしたから(笑)
近所の中古ゲームコーナーに360円で売られていたのがはじまりです
(ちなみに同じ場所でペルソナを420円で買いました、魔人学園絵巻を
2000円で買ったのもここでしたね。今はもうないんですが…残念)
タイトルだけは聴いた事があったので、まぁ値段も値段だよなぁといって
買い、そのまま家でプレイ。戦闘がおもしろくて、話が気になってそのまま
完徹して翌朝までやってました…(ちょーん)で、学校に行き、その帰りに
攻略本を買って家に帰ってプレイ再開。その日が金曜日で、翌日の土曜日と
完徹でやりすすめて終わったのが日曜日。4日間寝ずにプレイしたゲームは
後にも先にもこれだけです。
当初、カップリングはシタ×フェイでした。というかフェイ受け。
個人的にイドが好きだったんです。かっこよかったし。世間はシグバルでしたが
で、まぁおもしろかったのはいいんですが、いかんせん設定が難しい。
難しい上に、続きが気になって完徹で進めていたので半分も頭の中にはいって
いなかったというか。100%理解するにはちょっと足りなかった;
まぁ時間があったら死ぬまでにもう一回くらいはキチンとプレイしたいゲーム
だなぁ程度の認識ではあったんですが、先日、うえださん関係の調べ物をして
いましたら実はビリーの声がうえださん!という事実にぶちあたりまして…
この機会にもう1プレイやりなおしておくかー、ということになったわけです。
で、再プレイしてびっくり。
まずフェイの声が、緑川さん!なんで気づかなかったんだろう?(爆)今なら
聴き間違えるはずないんですけどね。まぁ、初プレイ時は「なんだろう、この
暗い主人公」とおもってたわけですが(今にして思えば、典型的なスクエアRPG
主人公なんですよね。ネガティブ)そんなわけでフェイなんですが、もう最後
にはいいやつになるとわかっているので初プレイ時よりかは心を広くもって
プレイできました。
次、シタン先生。この人はかわりません。今も昔も大好きです。ただ、改めて
やってみると本当に腹黒いですよね。最強、いや最怖;恐すぎです。
絶対敵にはしたくないです。
ヒロインのエリィに関してコメントすることはないです。あえていうなら嫌い。
本当に嫌いなんです。なんだこの女;同人とかでなら別に嫌いじゃないんですが
ゲームやってると本当に虫唾が走るというか、気持ち悪いというか、気分悪い。
おいらの嫌いゲームヒロインの1位です。今も、昔も。ちなみに二位はSO2の
レナ。どっちもどっこいどっこいで嫌いというか苦手というか…ゼノギアスの
再プレイになかなか手がつけられなかったのも、彼女がいたからです。
バルト!こちらも声にビックリ。関智一さん!当時はまだ全然知りませんでした
バルトは大好きですー。初プレイ時、序盤で彼が仲間にならなかったらどうなっ
ていたことやら。暗い雰囲気を一掃してくれましたから。ほんと、感謝感激雨霰
そんなバルトですが、初プレイ時の印象は、バルフェイだったんですが、途中で
ビリーとコンビになっちゃった印象がありましたね。シタフェイだったおいらが
バルビリを覚えていたくらいですから…。まぁおかげで当時も俺はビリフェイは
探さなかったわけです。もし読んでたら再起不能だったことでしょう;
お次はリコ。嫌いじゃなかったんですがあんまり使わなかったなぁ。基本的に
スピード重視の戦闘が好きなので。キャラとしてはいいんですけどね。頼もしい
兄貴!って感じで。総統との話もいい感じでしたし。
そしてビリーです。ビリー。うえださん!昨日の日記でも書いたと思うのですが
カードゲームでの勝ち台詞が本当にいい!おっとり優しい感じで激萌えでした。
そのビリーの勝ち台詞が聴きたいがためにカードゲームを網羅した自分がいます
から!あぁビリーv顔がかわいくて、神父で、拳銃使いで、それに反比例した
あの口の悪さ!一人称が俺!攻略本のビリー紹介ページの横顔もかっこいいしv
どこまでもいい感じです。しかし最初のプレイ時ではすっかり忘れていた設定が
ちらほら。なんだ一晩3000Gって!自分を大事にしてー><ノシ。
個人的なツボ台詞はやっぱりバルトとの会話ですかね。
「君っていいやつなんだ…あ、あり…いや、まだ世話になったわけじゃないから
…言わない」プライド高っ!かわっ!なんだよそれは!!><ノシ
ベルレーヌとの会話も凄かったですしね「汚れてしまったねビリー」何だお前;
あともちろんセットでジェシー先輩も大好きですよ。親父最強。
エメラダももちろん好きです。かわいいですよね。大きくなるのも。萌え。
他には、シグルド、メイソン卿、マルーとサブキャラにも好きなキャラが多い
ですね。敵だとやっぱりカールでしょうか。ゴミ(笑)
カプとしては、やっぱバルビリで!ビリー受としてはあとシグビリですか。
ジェシビリはどうだろう、親子ネタは流石にちょっと;まぁビリーは受で。
あとやっぱりシタフェイは外せませんかね。というかシタン先生総攻でお願い
したいです。ケンカしながらも仲が良い二人はCPとしては理想かと。
いちいちつっかかりあってケンカするのがいいですよね。ソイレントシステムで
フェイがシタン先生に騙されたと思って殴りかかったときとかも
「落ち着いてください、フェイ」「…びりー?」「ちぇ、ビリーの言葉なら
聴きやがる」とか。フェイとバルトとビリー、3人セットででも好きです。
バルトとビリーの間にはさまれて、おろおろするフェイとか…好きかな。

どこまでもこった設定と、ぶっちゃけグロの分類にはいる描写がツボでして
改めてやるとやっぱり理解度は100%にいくんですが、それと同じく
前回はわからないで済んでいた部分も明瞭になっちゃってまぁ;血みどろ
具合は増えた気がします。
あとは音楽ですね。初プレイのときもEDの曲が凄くいい曲だったという事
を覚えていたんですが、改めてやるとBGMが秀逸。あちこちでべた褒め
されている理由がなんとなくわかりました。今ではサントラがすっかりおきに
いりになってます。だいたいRPG系のサントラは主題歌がいいなとかは
思うんですが、BGM自体をいいと思ったことがめったにない。付き合いの長
いゲームは別ですが(TOPとか)その点でいくと、やっぱりゼノギアスの
サントラは素晴らしいです。宗教音楽っぽいところがツボなんでしょうね。
お気に入りは日替わり連載のタイトルに使ったものが主ですが、その他にも
シェバトの曲とか、村の曲とか、ユグドラの移動音とかいろいろ好きです。

それにしても、できたらやっぱり全盛期のときにサイト周りしたかったな。
あの日に帰りたい(笑)今やってらっしゃるサイトさんは流石に筋金入り
というか、年季がはいっているというか、凄く上手いサイトさんばかり
ですがいかんせん数が…昔はもっとあっただろうということが予想できるだけに
悔しさ倍増です。旬って大事だよなぁ。
本当は今月、友達と外出する予定だったんですが、おいらだけ駄目になって
しまって(凹)前からきまっていたことだけに落ち込みっぷりが酷いんですが…
一番辛いのはやっぱり、探そうと思っていたゼノギアスの同人誌が探せないこと!
(そこかよ/笑)もう凄い楽しみにしてたのに(凹、凹、凹〜)
残念です…(しょぼくれ)まぁ他にも探したいジャンルがいくつかあったんで
すが(ハリポタとか)ジャンルとCP的に一番見つけられる可能性が高かった
のがゼノギアスなので…あぁ、くやしいなぁ…



2005年09月07日(水) テイルズの新主人公が…の日

テイルズの新作の主人公くんの声が、鈴木千尋さんだということでー
カイ中将?!
そうか、鈴木さんかー。といっても、声優さん的にPKOの中では一番馴染みの
ない方なので…PKOとブシロードでしか知らないし…GAにもでておられ
ませんしね(それは鳥海さんも一緒なんですが、他で見かけるので)
でも、グラフィックが凄く好みなので今から楽しみにしている次第です。
あ、そういえば子安さんもいるらしいですね。今回。前、実弟と予想をたてて
いたときに「そういえば子安さんはまだでてないよなー」という話をしてたの
で。まぁ、楽しみにしてます。
声優さんの話題といえば、先日、実弟が帰ってきたときに、CLANNADの
ことみちゃんの声が能登さんだ…という話をして、ヤツが落ち込んでいたんで
すが(笑)能登さんといえば本屋ちゃん。おいら的には「いいじゃん、合って
るんでない」と軽く受け流しつつ、他にも能登さんで調べたところ…
クロミエ
でした。すげぇビックリ。っていうか同じようなパターンで、シヴァ様の声が
藤林しいなーと気づいたときにも驚いてましたけどね;
そうか、クロミエか。黒ミエですからね、やつは。そうか…。(笑)
そして、声優さんといえば相変わらず、うえださん萌えを継続中(爆)
とりあえず、先日までやってたゼノギアスのトランプゲームのビリーの勝ち台詞
が凄いツボで、ツボで仕方なく…今のところあれが、ベスト・オブ・上田ボイス
ゼノギアス〜。ビリーの声だけを目当てに二度目のプレイをしたんですが、
やっぱりおもしろいですよね。設定が懲りすぎてて。設定マニアの俺としては
そこがいい。ヒロイン嫌いはあいかわらずですが…
更には、前回のプレイでノーチェキだったビリー中心にプレイしたので萌える
萌える。ビリーって美味しいキャラだったんですね。バルトが美味しいとは前回
も想ってましたが。バルビリってあったの知ってましたが、当時はフェイ受
だったので…あぁ、なんて惜しいことをしてたんだろうなぁ(無茶いうな)
まぁ、ゼノギアスについての詳しい語りは後日。
それにしても、GAからいろいろなところへ飛び火してます。
まぁGBのときも、神奈さんの声関連で、マクロス7とか飛んだんですが、GA
はそれ以上かも;GBのときは飛んでもジャンルにはまったりしませんでしたが
今回はジャンルにはまったものがいくつかありますからね;
「せんせいのお時間」とか「ゼノギアス」とか「SO2」(あ、これはでも元
からですね)とか…。作品として好きなのも多くあって「プリーティア」とか
「マサルさん」とか「ARMS」とか…(せんせいのお時間は別にCPにはまっ
るわけじゃないですが、もう作品自体を大好きになってしまったので)
「転生学園」もそうですし…数えてたらキリないですけど;
今あついのは、ゼノギアスです。ビリーがほんと萌え。バルトがレスターさんに
見えるからでしょうか?(キャラ的に逆だろう/笑)でも、それをいうなら
シグルドさんのほうが近いですけどね(そんなわけでシグビリも萌えです)
あとは、キャラでいうなら、やっぱり「せんせいのお時間」の工藤くんが好き。
当初、友人から借りたときはここまで好きになるなんて想ってませんでしたが
本当にいいですよ。というか、お時間のキャラはみんな好きなんですけどね。
(更に別格で関くんが大好きです/爆)いい子たちばっかりで羨ましい。
そんなわけで、お時間キャラの声優さんも若干チェックしてます。いろいろ驚
かされるのは岩田さん。いろんな意味で凄い人だなぁと想いました。えぇ。
そんなおいらの気がかりは、カズヤくんの声優さんですかね。個人的には彼の
声こそ、鈴木さんだと思っていたので(イメージ的にね)誰になるんだろうなぁ
と思いつつ…(キャラショーで発表されるかなぁ)



2005年09月05日(月) 一周年記念代打連載終了の日

というわけで、一周年記念代打日替わり連載としてやってきたこのシリーズも
本日で最終日となりました。
無事に終えられて一番ほっとしているのはおいらだとおもわれます。あい。
昨日も書いたんですが、9という数が嫌いなので、8話で終わります
というか当初、この話は4話で終わるつもりでした。
でも2話を書いた時点で6話に伸ばしました。シェリーさん視点の3話と
エンジェル隊登場の4話を作りたくなったので。
すると不思議や不思議、5話を書いた時点で先が見えなくなりました
いつ終わるんだろうなぁと想いながら書いてたら8話で終わったわけです
8は4の次くらいに好きな数字です。末広がり。いい感じ。
まぁなんにせよ…本当に終わってよかったよかった(はふぅ)

STARS OF TEARS

第8話「Small Two Of Pieces 〜軋んだ破片〜」


空を見上げれば満天の、星

Stars of Tears

まるで泣いているかのような

人はどこまでいけるんだろう?

きっと、どこまでもいけるはず

その向こう側にあるものを求めて

なにがあるのか、人はまだ知らないけれど

夜闇の道を歩く

月のランプをもって

星の煌きを数えながら

天の川を渡って

遥か遠くへ…

どこまでもいける、この銀河の果てでさえ





彼を最初に見つけるのは、いつだって自分だった

「タクトさん?」

エオニアのクーデター発生時、辺境惑星にいる彼を迎えにいったときも
ネフューリアとの決戦後、音信不通だった7番機から通信を受けたときも
エルシオールに翼が生え、新しい宇宙が作られたときだって
タクトを最初に見つけたのは、いつだってミルフィーだった

「タクトさん!」

駆け出す
本星トランスバールでのクーデター
結果はどうあれ、その過程でエオニアは一度、罪のない人々を巻き込んでいる
それゆえに、反政府組織がまだあちこちでくすぶっている状態であった
そこに先日のシヴァの銀河中継
燻りは燃え上がり、新たな火種となりかけている
もちろん、白き月に駐留していたエンジェル隊に、沈静の指令が下った
たまたま近場にいたミルフィーは一番にドッグへ降り
そして…
騒然とする紋章機格納庫
そこに、タクトの姿があった
フラフラと歩いている
それはおぼつかないが、自分がどこへむかっているのかは解っている足取り
真っ白の病院服
ずっと裸足で歩いてきたのか、足元が土で汚れている
「タクトさん!」
追いついた
手を伸ばす
一年前は届かなかった
「つかまえましたよ」
「…」
「どうしてこんなところにいるんですか?…タクトさん?」
この手をもう離さない
強く握り締め、前へまわり、顔を覗き込む
タクトは焦点が合っていない目のまま
「ないてる…」
「え?」
「あの人が…泣いてるんだ…おれ…」
いかなくちゃ
タクトは呟き、再び歩き出そうとした
両手でその肩を捕まえる
「タクトさん!しっかりしてください」
「あの人が…泣いてるんだ…おれ…そばにいなくちゃ…」
あの人
それは、たぶん…
「あの人って、エオニアさまですか?」
「…えおにあ?」
タクトはゆっくりと名前を反芻する
そして
何か考るように
「エオニア…おれ…エオニアに…謝らなくちゃ…」
「え?」
「ひどいこと…いった…おれ、まちがえた…間違えただけなんだ…」
俺は間違えた
決して犯してはいけない間違いを
まちがえた
話す順番を間違えたんだ!
俺は彼を傷つけてしまった!
違うんです、チガウンデス、ちがう…
傷つけるつもりじゃなかった
そんな顔をさせたいんじゃなかった
間違えた
傷つけた
後悔
絶望
幸せの壊れていく音
俺が自分の言葉で壊してしまった
涙…
「おれ…おれぇ…」
「タクトさん…」
泣き出す
子供
こどもがないている
ミルフィーはタクトを掴む手に力をこめた
そして
「タクトさんは、エオニアさまに逢いたいんですね?」
はっきりとした優しい声でたずねる
それはちょうど、本星で子供たちにランファが語ったとの同じ声音
タクトはうなづく
涙がパタパタと床に吸い込まれていき
「なにか酷いことを言ったから…エオニアさまに謝りたいんですね?」
うなづく
パタパタと涙が散る音
「他には何かありますか?」
「…おれ」
「うん?」
「おれ、エオニア様と、みんなと…白き月で…お星見がしたいよ…」
「お星見…」
年に一度の流星祭
人々は夜空を見上げて祈る
宇宙流星群のお星見
見た者、全員で同じことを願えば
どんな願いも叶うのだという伝説

”最期のあの日…私がタクトと交わした最期の会話…タクトはあの時…私に最初で最後の願い事を、した”

『できたら…その、一度、白き月へ帰りたいんです』

お星見をしませんか?

いっしょに…

間違えたのは、順番

「そっか…」
ミルフィーは呟く
タクトは本当に、ただ間違えたのだ
けれど、その言葉はタクトを失うことを恐れるエオニアにとっては恐怖だったろう
タクトは”白き月”へ”帰る”
いつか…

『私は駄目だといった…酷い言葉で傷つけた…白き月は君が帰ってくることを望んではいない…と』

タクトは間違えた
そうして悟った
自分のせいで彼を傷つけたこと
もうここにはいられないことを
そして
帰る場所は一年前になくなっていたのだと
心の拠り所を失って
どこにもいけなくなって
殻に閉じこもった
そういうことだったのか

「タクトさんは…エオニア様を恨んでなんていないんですね」
ただ後悔していただけなのだ
そうだ
だから自分たちは彼のことが大好きだった
いつでも、どんなときにだって
タクトは許してくれたから
誰も憎まず、なにも恨まず
どんなことだって許してくれたから
そんなタクトだから、自分たちは彼のことが好きなのだ
「エオニアは…いってくれたんだ…」
タクトが顔をあげる
ミルフィーを見た
まっすぐなまなざし
タクトの瞳は宇宙で出来ている
まるで、夜空をそのまま切り取ったような
この世でただ一つの優しい黒と
万物に等しく降り注ぐ星の輝き
「”幸せにするよ”って…”幸せ”にしてくれるって…」
彼の言葉が嬉しかった
たとえそれが冗談でも
本当に、嬉しかったんだ
幸せはもろくて、はかなくて、こわれやすくて
「みんなにも…誰にもいえなくて…でも、エオニア様だけが言ってくれたんだ
 ここにいてもいいって…ずっと傍にいてほしいって…俺はそれが、うれしかった…嬉しかっただけなんだ」
たぶんそれはタクトにかけられた最初で最後の言葉
その一言で救われた
ただ1人、エオニアだけがその言葉を口にした
だからタクトは彼についていったのだ
「わかりました」
一年前
タクトを救ったのは、他の誰でもない
エオニアのその言葉だったのだろう
だったら
「タクトさん、いっしょにエオニア様のところへ行きましょう」
ニコリと笑う
タクトは一瞬、きょとんと目を丸くし
そして
「あ…ありがとう」
おずおずと、感謝の言葉を口にする
笑顔に、笑顔を返した

「ありがとう、ミルフィー」

その笑顔は、タクトの笑顔
空っぽでもなんでもない
一年前のあの日、失ってしまったはずの

タクトを最初に見つけるのは、いつだってミルフィーなのだ





空の彼方にはなにがある?

Stars of Tears

幾百、幾千、幾万と流れる銀の光糸

人はどこまでいけるんだろう?

きっと、どこまでもいけるはず

その向こう側にあるものを求めて

なにがあるのか、人はまだ知らないけれど

人が人であるかぎり

その歩みが止まることは無い

今日が駄目でも明日

明日が駄目でもいつか

遥か遠くへ…

どこまでもいこう、この星空の彼方まで


「駄目です」
声は後ろから聞こえた
「ヴァニラさん…ちとせ…」
ミルフィーが振り返る
ヴァニラと、ちとせが並んでたっていた
”ど、どうやってごまかそう”
ミルフィーは必死で頭を働かせ出す
ぐるぐる
回る思考回路
ぐるぐるぐる
「そのままでは、風邪を引いてしまいます」
考えるミルフィーを置き去りに、ヴァニラは小さく呟いた
「へ?」
「ちとせさん」
「はい、ヴァニラ先輩」
ヴァニラにうながされ、ちとせはタクトのそばによる
その手には
「タクトさん、これを…」
ばさっ
音とともに、広がる
丈の長い軍服の上着
「ちとせ…?」
「はい、タクトさん」
ちとせに上着を着せられる
タクトはゆっくりとその名を呼んだ
ちとせはにっこりと笑顔で答える
袖を通す
少し余った
「レスターのにおいがする」
タクトの小さな呟き
その隣で
「ヴァニラさん、これはいったい…」
「出撃前、クジラルームにいたのですが…そこに副司令が」
「レスターさんが?」
「クロミエさんに呼び出されたそうです」

『もうすぐ、きっかけがあります』
静かな静かな、クロミエの言葉
『きっかけ?』
それは宇宙クジラの言葉
『タクトさんに元に戻って欲しいなら、そのきっかけを逃さないこと』
『…』
『さぁ、きますよ』
宇宙クジラがなく
とおく、たかく、はるか
その声とともに、緊急音を発するクロノ・クリスタル
『なんだ?』
『クーデターです。トランスバール本星が…』
『なんだと?』

「それで、宮殿に戻るとタクトさんがいらっしゃらないので…」
「そっか…」
「上着はクールダラス副司令からです。そのままで出て行ったろうから、着せるようにと」
ヴァニラはそういうと、タクトの足元に右手をゆっくりとかざした
ナノマシンが輝く
それは次の瞬間、光の収束とともに、一足の靴の形に固まっていた
「裸足では怪我をします」
「ヴァニラ…」
「はい、タクトさん」
ヴァニラの名前を呟くタクトに、小さな微笑をかえす
だがそれは、ヴァニラの精一杯の微笑み
「さ、ミルフィー先輩。お急ぎ下さい。わたしたちもすぐに後を追います」
ちとせが背中を押す
「うん!タクトさん、こっちです」
ミルフィーはタクトの手を引いて、ラッキースターへと駆け出した





自業自得という言葉が、ある
自らの業によって自らが得るもの
得るものといっても大抵は、悪いことなのだが
つまり
人を呪わば穴二つ
かつてはクーデターを起こす側だった
今では起こされる側になってしまった
「まったく…因果だな」
エオニアは溜息をひとつ
パラパラ
崩れかけた天井から、破片が飛び散る
危ない
パチパチ
肩の留め具をあけ、マントを外す
それを、後ろで縮こまっている子供たちに渡した
「これを被っていろ、それからなるべく頭を護るようにな」
「エオニアさまぁ」
裾を放そうとしない女の子が涙をためた瞳で見上げてくる
「だいじょうぶだ」
なるべく落ち着いた声でゆっくりとそういい、マントで視界を隠すようにした
見えるとなお、不安になるものも、ある
あの日…
自分がクーデターを起こしたときも
いや、それはもう考えまい
罪は償わなければならぬだろう
「いたぞっ!」
壁が崩れ、風通しのよくなった通路からそんな声が聞こえた
びくっ
後ろで丸くなっている子供たちが震える
それを優しく手でせいしながら
「隠れていなさい、声をだしてはいけないよ」
ゆっくりと言い聞かせると、立ち上がった
「エオニア・トランスバールだな!」
バタバタバタ
あわただしい足音
武装した人間が数人、とりかこむ
「いかにも、そのとおりだが?」
「お命頂戴、覚悟っ!」
それは何度も繰り返されてきたもの
遥か昔…
まだ銀河を繋ぐネットワークすらなく
太陽系の一つの、蒼く美しい惑星の中だけで人が暮らしていた
そんな古い、御伽噺のような時代にも、その言葉はあった
人は変われない
宇宙へ進み
銀河を支配し
一度文明が滅び
そしてふたたび、新しい世界へ旅立とうという今になってさえ
その言葉はかわらないまま
人は変わらない
「ここには逃げ遅れた子供たちがいる、この子達を巻き込むわけにはいかぬ」
「なにを…」
「命乞いか?」
「違う。逃がしてやって欲しいと、そういっている」
ざわっ
統率は少し乱れ
そして
「駄目だ、そういって機会をみて逃げ出すつもりだろう?」
自業自得
「理想のために犠牲は必要だ!」
人を呪わば…
わたしは
それはたしかに、かつて自分が信じていたもの
同じ理想
同じ理由
同じ理屈
なにもかもが同じ…
ではあの日、私が信じていたものは間違いだったのだ
実感
そして後悔
もう、おそい…
銃口が向けられる
せめて、私が一発で死ねば
この子たちにまでその凶弾が伸びることは無いはずだ
1歩前に出る
深呼吸を一つ
人は死ぬときなにをおもう?
走馬灯?
故郷?
愛しい人…
私は、私は、わたしは…わたし、は………

タクト

タクトに逢いたい

それだけを思った
それで充分だった

「エオニア!」

銃声と重なる、声
名前
君が呼んでくれる、わたしの…

「エオニアっ」
「タクト…」

バン、バンッ、バァン

続けて銃声が三つ
スローモーションで倒れていく人、ヒト、ひと…
そして、駆けてくるのは
「タクトっ」
軍服の上着を翻して、タクトが駆けてくる
私のところへ?
手を伸ばす
「よかった、まにあって」
捕まえた
タクトは腕の中でほぅっと、溜息をつき
そのまま笑顔をみせてくれる
「こ、皇国の英雄?」
「なんで…ここに…たしか白き月で療養中だったんじゃ…」
パンッ、バパン
「うわっ」
「なっ」
三度、銃声
そして

「”皇国の英雄”とくりゃ、次に来るのは決まってるだろ?」

6発の銃弾を全て的確に命中させたのは、軍帽にモノクルの背が高い女性

「ギャラクシーエンジェル参上!」

逃げる男たちを、ハイキックで蹴散らし見事に着地を決めたのは、チャイナ調の服をきた少女

「フォルテ!ランファ!」
タクトが振り返って名前を呼ぶ
「あいよ。さてとあたしらはもうひと暴れしてくるかね」
「そうですねフォルテさん。最近運動不足で」
「よっしゃ、いくかねぇ!」
「いっちゃいましょう!」
二人は息もぴったりに外へ駆け出していく
そのうしろにいるのは、クリーム色の耳を生やした少女が1人
「タクトさん、子供たちと皇王さまを頼みますわ」
「わかったよミント。みんなも気をつけて」
「えぇわかっておりますわ。では、またのちほど」
ミントは小さく、しかし優雅に会釈をするとフォルテとランファに続いていく

「助けに…きてくれた、のか?」
「当たり前じゃないですか…お怪我がなくてなによりです」
「タクト?」
「はい?」
抱きしめる
「うわっ、え、エオニア…さま?」
ふと思い出す
たしかさっきは
「呼び捨てでいい…」
「え?」
「私が、わかるんだな?タクト…」
瞳を見る
まっすぐな眼差し
私の愛した、宇宙の欠片
「…なさけないな…君に逢ったら、いわなくてはいけないことがたくさんあったのに
 いざとなるとなにもでてこない…タクト…タクトッ…」
「大丈夫ですよ」
「?」
「時間はまだまだたくさんありますから、ゆっくり思い出してくだされば」
「…そうか」
「はい」
「そうか…そうだな」
ポンポン
タクトが軽く背中を叩く
まるであやすように
ずっと
ずっと…

子供たちだけが、エオニアのマントの下から、その光景をみていた
「タクトにーちゃ…」
名前を呼びかけた、少年を、少女がとめる
いつもとは逆だ
少女は首を小さく横に振った
邪魔しちゃだめという意思表示
だから

ずっと
ずっと…
いつまでも

遠い約束
想いの行方は
子供たちと、そして星だけが知っている





空を見上げれば満天の、星
空の彼方にはなにがある?

Stars of Tears

まるで泣いているかのような
幾百、幾千、幾万と流れる銀の光糸

人はどこまでいけるんだろう?

きっと、どこまでもいけるはず

その向こう側にあるものを求めて

なにがあるのか、人はまだ知らないけれど

夜闇の道を歩く
人が人であるかぎり

月のランプをもって
その歩みが止まることは無い

星の煌きを数えながら
今日が駄目でも明日

天の川を渡って

明日が駄目でもいつか

遥か遠くへ…

どこまでもいける、この銀河の果てでさえ
どこまでもいこう、この星空の彼方まで



☆ ☆ ☆



後日談
 あるいは、とある歴史研究家のメモ書き

タクト・マイヤーズが本星と白き月、そのどちらへ帰ったのかは公式の記録には記されていない
改めてエオニアとともに皇宮で暮らしたという話もあるし
レスターやエンジェル隊とともに白き月へ帰ったという話もある
だが、時を同じくして彼は新造艦ルクシオールの艦長職につき
新しく結成されたルーン・エンジェル隊とともに、新世界開拓の任についたことなどにより
真相は有耶無耶のうちに消え、星だけが知るところとなったようだ

ただ、毎年の流星祭は白き月で盛大に行われたということ
そのお星見の席には、全員の姿がいつもあったこと等が
ハメを外したエンジェル隊の数々の武勇伝とともにいつまでも語り草となっている



2005年09月04日(日) あと一話の日

9という数は好きじゃないので(4は好き)明日で終わります。全8話。

STARS OF TEARS

第7話「夜空一杯の星を集めて」



「ないてる…」

小さな呟き

「あの人が…泣いてるんだ…おれ…」

聞こえないふりをする

あの男の気持ちが、少しだけ、わかった





空は高く済んでいた
いっそ清々しいまでに

タクト・マイヤーズが白き月へ帰還したという話題はあっという間に広まった
それは、一年前にトランスバール本星勤務が決まったとき以上の大騒ぎとなって
転地療養
その名目に異議をとなえるものはなく
そして、シヴァは一年前に開かれた議会の内容と結果を糾弾した。
次代の月の聖母は国民を前にはっきりとした声で告げる

白き月は本来、トランスバール皇国にとって尊敬と敬愛の対象である
敬意を払いこそすれ、従属させるなど正気の沙汰とは思えない
かつて初代白き月の聖母とトランスバール建国王は両方の発展のために手を取り合った
それはお互いが対等であり、その関係に優劣はなく、同じ未来を目指すためであったという
その意を、子孫である自分たちが踏みにじってなんとするか
エンジェル隊とエルシオールは白き月と皇国…ひいてはこの銀河の守護者である
その立場を脅かすものは、たとえ神であろうとも許されぬ
また逆に、エンジェル隊とエルシオールがトランスバール本国の意に逆らうことはない
一部の人間が邪推し、自分たちの立場が悪くなることを恐れ、エンジェル隊を分裂させようと画策した
それに異を唱え、1人で立ち向かった”皇国の英雄”タクト・マイヤーズは
この一年、エンジェル隊と白き月に対する人質として扱われた
我々を…銀河を命をとして救ってくれた”皇国の英雄”と”エンジェル隊”に対し、この行いは不当である

その言葉は、誠実さに溢れていた
誰もが幼き聖母の声に耳を傾け、考える
シヴァは、白き月とそこで働くもの、その産物であるロストテクノロジーは全ての国民のものであるということ
そして白き月は誰にも犯せない神聖なる領域だということを告げた

「立派に…なったものだ」
皇国全域に流されたその映像を見ながら、エオニアは呟く
その声は、少し羨ましいような響きがこもっていた
「エオニアさま…」
「いいんだ、シェリー…それに、あれは、一年前、私自身がいわなければいけなかったことだ」
「…」
一年前
あの日
自分はそういって、白き月をかばってやるべきだった
もちろん似たようなことは何度も訴えた
しかし、決定的な結果にはならず
そうやっているうちに、タクトは自分で決めてしまった
自分の進む道を
本当は、その時にタクトをも護ってやらなければいけなかったはずなのに
議会に進み出るタクトの手をとって
しあわせにしてやる、なんて口約束ではなく
必ず護ってやる、といってやるべきだった
それが最初のあやまち
そこからすべてが崩れてしまった
誰のせいでもなく
それこそが罪
「タクト…」
宇宙を見上げる
青から黒へのグラデーション
輝く星と
優しい光で出来た白き月
今はただ、君の平穏だけを願おう
どうか幸せでありますように、と





「にーちゃんを連れて行っちゃうのかよ?」
宇宙空港
数日の日程はあっという間にすぎ、何事もなく業務が終わり
そして白き月へと帰る日
乗船準備に追われる自分たちのもとに、彼らは来た
「君たち…」
あの日、タクトを救ってくれといった子供たち
「おにーちゃんともうあえないの?」
少年の後ろに隠れていた女の子が半べそをかきながら呟く
するとそれが感染するかのようにひろまって
「そんなのいやだよぉ」
「つれてっちゃやだぁ」
「おにーちゃんは?」
子供たちが次々と抗議をした
それに困った笑顔を返しながら
「ごめんね、でも…」
「よく聞きなさい」
「…ランファさん」
1歩前にでたのは、ランファだった
子供たちの視線にあうよう、膝を抱えて座る
そして
「あんたたち、あんな寝てるんだが起きてるんだかわかんないタクトとずっと一緒にいたいの?」
しぃん
子供たちの声が止んだ
ランファの声ははっきりとしていて
それでいてどこか、優しい
「残念だけど、タクトはここでは治らないの。だから、白き月でキチンと治さなきゃ駄目なの」
「治ったら…にいちゃんは帰ってくる?」
少年はランファの瞳を真っ直ぐ見上げてたずね返した
ランファはその瞳に優しく微笑んで
「もちろん。その時はあたしたちが責任をもってタクトを連れてくるわ」
「また、一緒に遊んでくれる?」
「お話も…してくれるかなぁ?」
「あったりまえでしょ。その時は、あたしたちも一緒に遊んであげるわよ」
「ほんとー?」
「本当、ほら、約束よ」
ランファは小指を差し出した
少年がおずおずと自分の指も差し出す
小さく結んで
約束をひとつ

ゆびきりげんまん うそついたら はりせんぼんのーます

声は高らかに空へと吸い込まれていく





泣いている
誰かが
ずっと
ずっと…

「?」

「どうしたました?ミントさん」
足をとめたミントに、ヴァニラが尋ねる
「…いえ」
小さく首を横に振り
「いま、なにか聞こえた気がしたのですが」
「そうですか」
「気のせいですわ、たぶん…さ、早く参りましょうか」

泣いているのは、だれ?

「…」
「ミントさん?」
「誰かが泣いてますわ」
「?」
「小さな…子供?」
「さがしてみましょう」
ヴァニラは小さくうなずくと、とことことあちこちを探し出す
「あー、ヴァニラさん。なんてお優しい」
ノーマッドは腕の中で感動に打ち震えている
「でも、私の耳にはなにも聞こえてきませんよ?ミントさんの幻聴…いえ、気のせいなんじゃないですか?」
「あら、こんなところに宇宙ゴキブリが…」
「いやぁぁぁぁ、たすけ…あ、いやな感触…」
白いものをブチリとつぶしたノーマッドを放り出し、二人はあたりを探索する
だが
「やはり誰もいませんわ。どこかの子供が迷子になったのかとも思ったのですが」
白き月宮殿の一角
一般人がそうたやすく入ってこれる場所でもないが
まったく人がいないわけでもない
パティオ風の中庭
それに面するように回廊が取り巻き、客人用の部屋が等間隔に並んでいる
だが、今は一室をのぞいて全て空っぽであることも
「まさかとは思いますが…」
ミントは小さく呟いて、唯一使われているその部屋の扉をあけた

「ミントに…ヴァニラか。どうした?」
「ごきげんよう、クールダラス副司令。タクトさんの具合はいかかがですか?」
「変わらずだが…」
「…」
タクトは小さく微笑んだ
若干、人の区別がついているらしく、エンジェル隊、レスター、そしてシヴァやシャトヤーン
エルシオールクルーなどには嬉しそうに反応を返す
ミントはタクトに小さく微笑みかけながら
「ところでレスターさん。誰かこの部屋にいらっしゃいませんでしたか?」
「いや…」
「では、子供の声をきいたとか…」
「…俺はこの部屋からでてないからはっきりとはいえんが、子供の声なんて聞こえなかったぞ」
「そうですか」
「どうしたんだ?」
「ミントさんが、子供の泣き声を聞いたそうです」
子供?
レスターが怪訝そうな顔をする
二人はキョロキョロとあたりをみまわし
改めでだれもいないことを確認すると
「誰もいらっしゃいませんわね…やはり、気のせいでしたか」
「…」
「お騒がせ致しました、これで失礼いたしますわ」
「はい」
「では、タクトさん、レスターさん、また」
「失礼します」
「あぁ…」
二人は小さく会釈をすると、部屋をでていった
「子供…か」
二人が去った後のドアをみながら、レスターが呟く

泣いているのは、だれ?





「ないてる…」

小さな呟き

「え?」
レスターが顔をあげる
今、声が…

「泣いてるんだ…」

それは、錯覚かと思うほど小さな、声
小さく…けれど、はっきりと
「あの人が…泣いてる…」
「タクト!」
慌てて、クロノクリスタルを医務室へつなげる
『はい?』
「ケーラ女医?すまないがすぐに司令室まで、タクトが…」
『わかりました』
事態を察知したのか、ケーラの声はすぐに返事をかえし、それと動じに通信も途切れた
「タクト?俺がわかるか?」
肩をつかむ
だが、反応はない
タクトはただただ、同じ言葉を繰り返していた
「泣いてる…おれ…」
「タクト?」
「あの人が…泣いてるんだ…おれ…」
あの人?
ふいに、彼の顔が浮かんで消えた
…ぎり
歯軋りが一つ
「しっかりしろ、タクト!もうじき白き月へ帰れるんだぞ?」
出航まで、もうわずか
けれどタクトは…
タクトの心は
「あの人が…泣いてるんだ…おれ…そばにいなくちゃ…」
「アイツはお前をっ…」
言葉がでなかった
そこへ
『クールダラス副司令?』
クロノクリスタルの通信音とともに、声
ブリッジのアルモから
『もう出航しますが…』
レスターはタクトを見た
変わらない
タクトはなにも変わらない
数日前、トランスバール皇宮のあの白き月の見える部屋で出会ったときから
何も変わらずに…
「…っ」

部屋をあけて入ってきた自分たちにただ微笑んだ
まるで作り物のような笑顔で
形だけは、一年前と変わらないまま
からっぽの微笑み
”タクト!”
誰の声も届かなかった
”ちょっと、返事くらいしなさいよっ”
”タクトさん?”
自分はもちろん、彼女たちの声すらも
”タクト、どうしちまったんだい?”
”タクトさんの心が聞こえませんわ”
誰がなにを話し掛けても反応を帰すこともしないで
ただ笑っているだけで
”タクトさんっ、いや…そんなのいやですっ”
”タクトさんっ”
抜け殻のように
まるで子供のように
”無駄だよ、にいちゃんはもうずっとこうなんだ”
子供が呟く
”俺たちが話し掛けても、なにしても、なにもいってくれない…心の病気っていうらしいんだけど”
こども…
”エオニア様に俺たちは頼んだ、にーちゃんを元気にしてくれって…でもエオニア様は自分には無理だって”
泣く子供
”にーちゃんを助けられるのは、にーちゃんの天使たちだけだって…だからお願いだよ、にーちゃんを助けて!”

泣いているのは、だれ?

『クールダラス副司令?』
「あ?…あぁ」
生返事をかえす
ケーラ女医はまだこない
タクト
タクトは…

「あの人が…泣いてるんだ…おれ…」

聞こえないふりをする

あの男の気持ちが、少しだけ、わかった

駄目だ
タクトをもう、ここには残して置けない
「わかった、出航してくれ。俺もすぐにブリッジへ戻る」
『はい』
通信はきれた
一年前の後悔が胸に蘇る
『けっきょく、あたしらの負けだったってことだねぇ…あたしらが”タクトを諦めた”から…』
フォルテの言葉が頭をよぎった
そうだ、もう俺は、タクトを諦めることはできない
たとえタクトに恨まれようとも
これ以上、タクトを犠牲にするわけにはいかないから
この信念だけは、貫き通さなくては
それが、一年前の罪への贖い

もう諦めない





泣いてる…

誘われるようにベットを降りた

泣いているのは、だれ?

騒がしい声

「大変ですっ」

喧騒にまぎれて聞こえる、泣き声

「いそげ、情報は?どうなってるんだ?」

たくさんの人の声

その中でも、確かに聞こえる、泣き声が、ひとつ

いかなくちゃ

「本星…トランスバールでクーデターです!」

見上げれば星空

夜空一杯の星たち

STARS OF TEARS

まるで泣いているかのような輝き

おかえり、おかえり、おかえり

そういう風に瞬く綺羅星

いかなくちゃ

星たちに誘われるように、光に導かれるように歩く

いかなくちゃ

あの人が、泣いているから

夜空一杯の星を集めて



2005年09月03日(土) 本当は今日で完結…の日

全6話の予定だったんですが…まだ何話か続きます;

STARS OF TEARS

第6話「海と炎の絆」

「なるほど、そういうことだったのね」
通信画面の向こうで、金色の髪を揺らめかせ…ノアは笑う
「どうりでここしばらくお兄様の様子がおかしいと思った
 でも、そういうことなら、どうしてまず最初に私に相談してくれなかったの?」
「…すまない」
エオニアは小さく謝った
そして
「お前もタクトを気に入っていたろう?だから…」
「お兄様はちょっと勘違いしてるわね」
ノアは彼女にしては珍しく、仕方ないという風に笑った
クーデター時、エオニアとその周囲また自分の表層心理にまでエオニアの妹という洗脳をしていたノアは
真の敵ヴァル・ファスクとの接触により黒き月管理者としての機能を取り戻す
それでも、当初の刷り込みなのか、未だにエオニアのことを兄と呼んでいた
「私はタクトも好きだけど、お兄様のほうがもっと好き…欲をいえば、お兄様とタクトが一緒ならいうことないわ」
「ノア…」
「でもそうね、済んだことを言っていても仕方ないし。私もそろそろトランスバールに帰ろうかな」
大戦時
EDENのライブラリでその仕事のほとんどを担当していたノアは、そのままずれ込むようにEDENに残っていた
用事があるときはこうして通信を飛ばせばいいのだし、何ヶ月に一回は視察にきたエオニアと顔もあわせる
なにより銀河一の知識がつまったライブラリでの仕事は、ノアにとっても魅力的なものだった
大戦で黒き月もなくなってしまったし、それ以前にEDENが自分の故郷でもある…600年という年月は経ってしまったが
「まぁ、とりあえず近いうちに一度帰るわ、お兄様」
「あぁ…」
「ルシャーティとヴァインもトランスバール本星のほうにはまだいってないっていってたから一緒に。
 それと、一応こっちでもタクトのことは調べておくわ…まぁ精神的なものからくる症状だと治療法を見つけるのは難いけれど…」
そこまでいって、ノアはふと表情を変えた
笑顔を浮かべる
「きっと大丈夫よお兄様。だから元気だして?ね」
クーデター時には想像もつかなかったノアの優しい笑顔に、エオニアもつられて微笑をこぼした
ありがとう、ノア
短い言葉に精一杯の感謝をこめると、軽い挨拶とともに、通信を切る
沈黙だけが残った





「あれ?クールダラス副司令?!」
「フォルテさんたちまで…ん?あれ、誰だ…」
「え、ねぇ、あの人って…」
ざわっ
エルシオールが停泊している宇宙空港のドッグ
夜も更けようかとしている時刻に現われた意外な人物にクルーは騒然となった
「副司令!」
クルーを代表するかのように、夜勤だったらしいココがタラップを駆け下りてくる
「どうしたんですか?いったいなにが…それに、マイヤーズ司令まで…」
「話は後だ」
レスターは短くそういうと、カツコツと軍靴の音を響かせタラップを上っていく
「ココ、悪いんだけどあたしらはエルシオールに泊まるよ。手続きを頼む」
「はぁ…それはかまわないんですけれど…」
「悪いね、あたしもちょっとバタバタしててさ、落ち着いたら改めて説明するから
 エルシオールに泊まるのはタクトとレスター。それにエンジェル隊が三人。今日のところはあたしと、ヴァニラとちとせだ」
「わかりました」
察しが早いココは、気持ちを切り替えると小さく頷いた
「助かるよ。それと…まぁ無理だと思うけど、なるべくタクトのことは騒がないようにみんなに通達しておくれ」
「なにか…事情があるんですね。わかりました、出来る限りのことはやってみます」
こういうとき、フォルテはエルシオールが自分たちの母艦で良かったと実感する
元来エルシオールのクルーたちは軍人ではなく、月の巫女とよばれる研究者で構成されているのだ
それゆえに、こういった事態のときは融通が利く
さらにいえば、1年以上も共に戦ってきたという連帯感があった
仲間という言葉がここまでピッタリくる関係には、これから先、たぶんもう出逢えないだろう
「ただ、流石にマイヤーズ司令ですので…完全に抑えるのは無理だと思いますけどね」
「仕方ないねぇ…」
二人は困ったように笑いあった
いい意味でも悪い意味でもタクトは人気者なのである
「じゃぁ、あとは頼んだよ」
フォルテは颯爽と笑うと、コート状の軍服を翻らせてタラップを上りだす
ふとみれば、すでに情報が飛び交っているのか、エルシオールのクルーもそうでないものも、ざわざわと群がっている
騒がしい夜になりそうだねぇ
フォルテはふぅと苦笑をこぼした

エルシオールの廊下を音を立てて歩く
夜のせいか、それともタクトを抱いているせいか、音は高く響いた
曲がり角や踊り場、それぞれの持ち場から、各クルーたちがその様子を盗み見る
心配そうに覗き込み、通り過ぎれば、その後姿をやはり不安そうに見送った
噂は風よりも早く広まっているのか、寝巻き姿のものや作業途中の者まで多種多様
司令室のあるAブロックへのエレベータ前で、ふとレスターは足をとめた
そして
「ちとせ…すまないが、何か飲み物と食べ物をもってきてくれないか」
「あ、は…はい!」
「悪いな、その…あの部屋にはそういった類のものは置いてないから」
レスターはバツが悪そうに呟いた、今、急に思い出したのだろう
エオニアたちの話が本当なら、タクトは今日何も食べていないことになる
「いえ。…あ、ミルフィー先輩に今日のおやつの残りがないか聞いてみます」
『最期はわずかな菓子と処方される栄養剤だけに…』
シェリーの報告を思い出し、ちとせは短くそういうと、自分たちの部屋がある住居ブロックのほうへ駆け出していった
その後姿を見送りながら
「ヴァニラはついてきてくれ」
「はい」

『お菓子?あ、そうか…』
クロノ通信の向こうで、ミルフィーは呟く
そして
『うん、いいよ。どれでも好きなのをもっていって。冷蔵庫にいろいろ入ってるから』
あたしの部屋の解除キーはわかるよね?とミルフィーの問い
「はい、大丈夫です」
ちとせははっきりとした返事をかえし、ミルフィーの部屋の前までつく
ありがとうございます
そういって、通信を切ろうとした、そのとき
『ちとせさん?ミントです』
「ミント先輩」
『お菓子がいるなら、飲み物も必要ですわね。私の部屋の冷蔵庫にアイスティーが作り置きしてありますの
 それもどうぞお持ちになってください』
「は、はいっ」
『それと、部屋に置いてある駄菓子も好きなものを持っていってくださって構いませんわ』
『ちとせ、聞こえる?』
次はランファだ
うしろで、ミントがランファさんまだわたくしが…と文句をいっている声が聞こえた
ランファはそれを無視し、まだ少し残った涙声で
『あたしの部屋の冷蔵庫に、スポーツドリンクがはいってるわ。それももっていって
 …辛いヤツもあるから、間違えないようにネ』
「はい、先輩方ありがとうございますっ」
『いいのよ…あのバカのこと、よろしく』
「はいっ!」





部屋をでてからタクトはずっと不安そうな顔をしていた
”もう、笑わなくていいんだ…”
そう言ったときから、表情よりあの笑顔は消えている
だが、その不安顔も、エルシオールに近づくにつれ薄くなり
その白銀の船体を見てからは、少しばかり嬉しそうに見えた
勝手な話だと思う
「勝手な話だよなぁ」
同じことを思っていたらしい、フォルテがやりきれない声で呟いた
そして
「重くねぇ?副司令殿、あたしがかわってやろうか?」
「結構だ」
抱きかかえ、連れ出し、エルシオールまで
かれこれ30分以上はこのままだが、重いとは思わなかった
むしろ軽い
軽すぎて、正直にいえば、少し怖いくらいに
ヴァニラは無言でベットの用意をしている
エルシオール各船室のベットは備え付けのものから希望で持ち込んだり、オプションをつけたりと
自分でカスタマイズして使うタイプのものだった
タクトは面倒くさがりで、在籍中は簡単に運べる程度のものしか持ち込まなかったし
その部屋をそのまま受け継いだ自分も、ベットなどといった大きな家具には手をつけなかった
流石に、備え付けられたままのベッドでは硬いし長く寝るには向かない
余っているマットレスと毛布をもらってきて下に引き、ついでとばかりに貰ってきたシーツをかぶせる
白いシーツが波をうち、皺ひとつなく張られた
ポンポンッ
軽くならして完了
「できました」
「すまないな…ありがとう」
ヴァニラに礼をいい、タクトを布団におろしてやる
ぎゅっ
怖いのか、しがみついていた手に力がこめられた
「…大丈夫だ、タクト」
安心させるように、小さく微笑みを浮かべてそういってやる
そのまま、無理に引き剥がすようなことはせずに、落ち着くまでまつ
「…っ」
「だいじょうぶ、ここにいるから…」
軽く背を叩く
親友からお母さんに昇格(降格?というかその位置付けはどうかと自分でも思う)
なんだか自分が一気に歳をとった気がする
…どっと疲れた
酷い話だ
「ほら、わかるか?お前のベットだ…」
「…」
穏やかな声でいってやれば、タクトはふと不思議そうな顔をした
おずおずと片手を伸ばす
それは手近にあった枕にふれ、そのままシーツをなぞる
随分と時間がたったような
そうでもないような
ほぅっとタクトが溜息をついた
もう大丈夫だろう
スプリングが音も立てずに沈む
そのまま、包んでいた掛け布をひろげてやる
「あんたは今夜、どうするんだい?」
フォルテがふと気づいたように聞いてきた
さて…
「付き添う…タクトを1人にするわけにもいかんしな」
ここまではさして抵抗も見せなかったタクトだが、急な環境の変化が影響しないともかぎらないし
それ以前に、こんな状態のタクトを1人で放っておけるはずもなかった
「…そうか」
「ヴァニラ…すまないが、明日になったらケーラ女医とタクトをみてやってくれ」
「はい」
流石に今日はもう夜も遅い、彼女も寝ていることだろう
ヴァニラはこっくりと頷いた
そこへ
コンコン
ノック音
次いで几帳面な声
「烏丸ちとせです」
「あぁ、ちとせかい。今あけるよ」
フォルテが歩いていって、扉のロックをあけた
軽い空気の入替音とともに黒い影
その人物は、カラカラと銀色のワゴンをひいて部屋に入る
「すみません、遅くなりました…とりあえず、いろいろもってきたんですが…」
「ありがとう、ちとせ」

タクトはカットされたサヴァランを一つと、マロンクッキーを二つ食べた
アイスティーをストローで飲む
「本当に少食になっちまったんだねぇ」
それ以上はなにも食べようとしないタクトに、フォルテがしみじみと呟いた
かつては、ミルフィーの料理からちとせの和菓子までフルコースを網羅していた姿からは確かに想像がつかない
「残ったのは、冷蔵庫にいれておきますね」
ちとせはそういうと、普段あまり使われていない冷蔵庫へむかう
その後姿に、すまない、と声をかけ
さて、これからどうするかな。と思ったそのとき
どんどんっ
「ん?」
どんどんっ
「なんの音だ?」
扉を叩く音
だが、不思議なことに音は遠い
人がノックする音ではなかった

「うきゅぅー」
「あの声は…」
ヴァニラは何かきづいたのか、近づいていくと扉をあけた
ぽんっ
開く扉から、なにか黒いボール状のものがとびこんでくる
それは
「子宇宙クジラ!」
「うきゅーぅ」
子宇宙クジラはそのままの勢いで、タクトの布団まで飛び込んだ
ぽんっぽん…
小気味良い音がして、タクトの膝あたりに転がる
「きゅー」
「…」
「きゅっきゅっ…きゅぅぅー…」
タクトは不思議そうに、膝の上の黒いボールをみつめていた
子宇宙クジラは、涙を浮かべながら何かを訴えている
「子宇宙クジラ…」
手を伸ばしたのは、タクトが先だった
「きゅー」
「…」
小さく笑って、子宇宙クジラをなでてやる
ゆっくりゆっくりやさしく
「きゅぅぅぅっ」
子宇宙クジラが鳴く
嬉しいからなのか、悲しいからなのか…
それはわからなかったけれど





明日も仕事があるのでとりあえず解散となる
視察期間はまだ数日あるし、その間、タクトをどうするかも考えなくてはいけない
一番いいのはローテーションを組むことなんだろうが
エルシオールのクルーたちにも説明しなければいけないし
もちろんウォルコット中佐たちもこのことは知らないだろうから、報告の必要があるだろう
考えることは山のようにあった
「ふぅ…」
溜息をつき、立ち上がる
考えても仕方ない
その時にならなければわからないこともあるだろうし
まずは目先の問題から片付けよう
「とりあえず、簡単なモノだけでも買出してくるか」
歯ブラシ、タオル、etc
宇宙コンビニならこの時間でも空いている
ちらりとタクトをみた
子宇宙クジラをこねまわしている
大丈夫だろう
「タクト、俺は少しでかけてくるからな」
一言だけ言い残して、部屋を出た

「おや、副司令どの」
コンビニ帰りに声をかけられた
夜も更けたエレベーターホール
ベンチのひとつに腰掛けて、フォルテは缶を持っているほうの手を振っている
「寝ないのか?」
「寝る前に一杯やろうとおもってね。あんたは買出しかい?」
「あぁ…」
「タクトは?」
「子宇宙クジラがみてる。大丈夫だろう」
そりゃー頼もしいや
愉快そうに笑われた
「…まぁ、あれだよ…これでもさ、実はちょっと、安心してるのさ」
カラン
缶がひとつ空になる
それを抜群のコントロールで缶専用ダストボックスに放り込んだ
「…」
「不謹慎だと…思ってくれてもいいよ」
「いや」
プシュ
新しいプルトップの開く音
炭酸の抜ける音
二酸化炭素のにおい
飲まなくても喉の奥に蘇るにがみ
「一年前のあの日、あたしらはタクトに捨てられたと思った…大きな戦いが終わって、やっとこれでいつもの日常に帰れて
 あんたやタクトや、他のやつらといっしょにまた騒がしい毎日に戻れるってね…けど」

『俺…エオニアについていくよ』

「タクトだけは違った。あたしらとの日常ではなく、エオニアをとるといった…」

『ごめんね、みんな』

「何一つ弁解しなかった、相談も、なかったんだろ?」
「あぁ…」
「ま、あんたに言わないことをあたしらにいうわけないんだろうけどさ…それも原因のひとつだねぇ」
相談して欲しかったのだ
どんな些細なことでもいいから
けれどタクトは誰にも相談どころか、そのあとで弁解すらもしなかった
ただ一言
ごめんね、と繰り返すだけで
「その時思ったんだ、”あぁ、タクトの日常にあたしらは必要ないんだな”って…
 そうおもっちまったら全然駄目さ、今にして思えば、あの時、あたしらは”タクトを諦めた”んだろうね」
「…タクトは」
「ん?」
「タクトは自分のことは全部自分1人で決めるからな、小さなことも大きなことも、全部1人で決めちまう。
 そして、一度決めたことはなにがあっても譲らない…そういうやつなんだ」
普段、へらへらふらふらとなにもしないのはそのため
タクトは自分の一番の武器を理解している
神様は二つのモノを与えました
揺らぐことの無い意志と
銀河最強の思考回路
だからこそ、普段はそれを使うようなことは極力避けている
そして、それは辛い幼少時代を、誰にも頼ることなく生きてきた証でもあった
「まぁ、それが今回は仇になっちまったんだが」
「…タクトは自分で自分を閉じ込めちまったんだね…あそこにいるために」

どこへいけばいいんだろう?
死ぬことはできない
でもここにはいられない
帰る場所も失くしてしまった

「バカな司令官殿だよ、本当にね…他人は上手く使えばいいんだ…自分に都合よく…使い捨てて切り捨てる…
 情をかけるなんてもってのほかだ…それが出来ないやつは…人の上にたつもんじゃない、とくにこんな軍隊の中ではね」
ぐいっ
呟きとともに、残ったビールを喉に通す
「あぁ、タクトもそれをわかっていたさ…わかっていてそれでも…地方艦隊の閑職からこの艦にきたのは…
 それだけ…エンジェル隊やエルシオールが特別だったってことだろう…あいつにとってな」
「…」
カツン…カツン…
プルトップを弾く音
カツンッ…
「けっきょく、あたしらの負けだったってことだねぇ…あたしらが”タクトを諦めた”から…」
タクトは信念を貫いた
エンジェル隊に恨まれても
レスターに絶交だと言い渡されても
白き月に帰れなくなったとしても
それでも、皆のためになにひとつ弁解せずに旅立った
その結果…自分で自分を否定することになってしまったけれど
あたしらは諦めた
タクトを諦めた
信じることを諦めた
説得するのを諦めた
全部、諦めてしまった
その結果が…コレ、だ
なんだ、この喪失感は?
なんだ、この後悔は?
どうして
どうして、ずっと憎ませてくれなかったのだろう?
こんなことになるくらいなら
ずっと恨んでいられる方が、マシだったかもしれないのに
「いや…違うな…あたしらはそれでも、タクトが好きだったんだよ…だからやっぱり、あれは裏切りだったんだ
 あたしらの悩みはなんだって聞いてくれて、あたしらの不安は何だってわかってくれたくせに、自分のことは何も言わなかった
 それでも良かったのさ…ずっと一緒にいてくれるんなら、それでもあたしらは構わなかった…けど…けど、タクトは
 エオニアをとった…エオニアと一緒にいっちまった…ヒデー話だよ…」
プシッ
新しいプルトップの開く音
炭酸の抜ける音
二酸化炭素のにおい
「最初の頃は、タクトは確かに情けないヤツで本当にこれでいいのか?っていつも思ってた…
 けれど戦っているうちに解ったんだ。あいつは、人の力を何倍にも、何十倍にもするブースターみたいなやつだって
 それがわかると逆に不安になった…あたしらにタクトは必要だ…けど、タクトにあたしらは必要なのか?」
わからない
「タクトは1人で立って、1人で生きてる人間だ…だから他人を必要としない…
 けど、あたしらにはタクトが必要だった…あの信じてくれる瞳が、いつだって”大丈夫”って言ってくれる言葉が
 どんな戦いのあとでも”おかえり、おつかれさま”って迎えてくれる笑顔が…」
わからない
わからない
「けど、あたしらはタクトに何をかえしてやれた?それが怖かった…いつ捨てられてもおかしくないと思った
 だから一年前、あたしらは裏切られたと同時に納得もしていたんだ…」
「そうでもないさ…」
「?」
「タクトは確かに1人で生きている、だが、1人が好きってわけじゃない…逆に、あいつほど他人を好きなやつはいないさ
 けれど、そういったアイツの内面にまで気づく人間はわずかだった…俺や、ウォルコット中佐みたいにな」
「…」
「士官学校で出逢ったとき、すでにあいつはそうだった…そばにいると自分の実力以上の力がだせる…
 だが、そのことになかなかきづけない…気づかないうちに、いつのまにか離れていっちまう…
 俺はたまたま気づいた、他人を必要としないって点では俺も…一緒だったからな」
天才やら、神童などと呼ばれた学生時代
顔や名前を覚えきれないほどのクラスメートの中で
ただ1人
タクトだけを選んだ
タクトだけは自分と同じ
いや、自分以上に…自己というものを持っていたから
自我というものを把握していたから
周囲に流され、影響を受けるその年頃で
自分を完璧に把握していて、自分の意志をきっちりと理解していて
自分というものに向き合っているのは、タクトだけだった
「タクトはそれをわかっていたと思う…だから、もう後戻りできないことを承知で君たちの司令官を引き受けた
 その後も…自分が断ればそれが叶う立場にいながら、あいつは君たちのために全力を尽くした…
 …それは、君たちがタクトにとって自分よりも大切な人間だったからからだろう」
「…」
「俺はもう行くぞ。明日も仕事があるしな…あまり飲みすぎるなよ」
プシュッ
エレベーターの音
カツコツと硬い軍靴の音を響かせて、レスターは姿を消した
残されたのは、煌々と輝く夜間灯と、自販機の灰暗い照明、いくつかの空き缶と、フォルテ
カラン
空になった空き缶が再びダストシュートに投げられる
空中を弧を描く軌跡を見つめながら
安堵の溜息をひとつ

「…タクトが…あたしらを見捨てたんじゃなくて…本当に、よかった」


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