狼森、笊森と盗森

2005年01月04日(火) 仕事始の日

今日は仕事始です。
今年も一年がんばりますv

と、いいつつ、学園ヘヴンをプレイ。
まぁ、可もなく不可もなくおもしろいです。
ただ、ヴィジュ・アらしい欠点が…ちらほら(巻戻しボタンが推し難い、とか)
下作業ができない、と、オート機能なし、と演出etcの設定変更なしという
ADVとしてはいささか致命的な不備もあるにはあるんですが、1キャラが
かなり短いので、なんとかがまんできる範囲…
あと、18禁のわりに、肝心のシーンが物足りなく感じるのは俺だけで…
(ごふごふごふ)←後日訂正:中嶋ルートはすごかったです(笑)
一番きになるのは、和希にーちゃんの歳!いくつなんだよ、あんたっ
ストーリーは、どれも、無難っちゃー無難…
キャラの関係と設定と、なんといっても雰囲気がいいので楽しかったです
ただ、上でもいったんですが、1キャラが短すぎなので、ちょっとついていけない
部分があちこちに…男性向けみたく、無駄に長いのもどうかと思うんですが
無意味に短いのもどうかと思われます…
あと、途中でなんとなく察してたんですが、主人公総受じゃないんですね(ふっ)
これで、彼と先生も攻めだ!っていうんならはまってたかもしれないんですが
まぁ、いっか。
ともかく、凄く楽しいゲームでした。これなら、18禁抜きでも楽しめたかも
しれないですね。


第10話「レスタクバナナのわだい売り」

銀河展望公園

「しくしくしく」
ベンチに腰かけて、さめざめと泣くタクトをかこむエンジェル隊
「これはまた、こてんぱんにやられたねぇ」
カカカとフォルテが笑った
「ったくもう、あんたがレスターさんに勝てるわけないんだから。馬鹿ねぇ…ほらっ、涙ふきなさいよ」
ランファはそういって、タクトにハンカチをにぎらせる
「こわかったですー」
ガタガタと震えながらいうのは、ミルフィーユ
「タクトさん、泣きすぎで水分が不足しています。補給してください」
ヴァニラは用意していたスポーツ飲料をさしだした
そこに
「あら?ちとせさん…」

ミントの声がして、全員がそこをみると、ちとせが立っていた
わずかに肩で息をしているところをみると、はしってきたようだ

「どうしました?」
にっこりとミントが笑顔でたずねる
全員が何事か…と、注目した

「あ、あの…そのっ…マ、マイヤーズ司令の…恋人って…」

「おれ?」
ランファからもらったハンカチで、涙をふきながら、タクトが首をかしげた
ちとせは、すぅ、はぁと呼吸をととのえ
そして、意をけっしたように



「マイヤーズ司令の恋人というのは…もしかして…クールダラス副司令なんですかっ!?」



一息で言い切った。
全員は
今更なにを…という表情をつくり

「うん、そうだけど?」

当の本人である、タクトがうなづいて、返答した。

「そ…そんな…」
ばさりっ
ちとせの手から、書類の束がおちる
「あ、ちとせ…おちたよ?」
状況をのみこまないミルフィーが、それを拾い上げ
「どーしたのよ、ちとせ?」
ランファがたずねた

「そんな…だ、だって…お二人は…その、お、男同士じゃないですか?」
「あー、うん…そうなんだけど…なんとなく」
照れたような笑いをこぼす
(ついさっき、あんだけ虐められたのも忘れて)
「そんな…」
一人、ショックをうけているちとせをおきざりに
「なんだ、ちとせは知らなかったのかい?けっこう有名なんだけどねぇ、タクトとレスターの仲は」
「まぁ、クーデター後の話ですし、エルシオールスタッフという枠もありますから、仕方ないでしょう」
「でもさー、けっこうわかりやすいとおもうけどなぁ。あ、もしかしてちとせってけっこう鈍い?」
「恋愛ごとに興味がなければ、意外と、気がつかないこと、かもしれません」
「お、ヴァニラがこの手の話題に加わるのはめずらしーねぇ」
わいわいがやがや
好き勝手騒ぎ出す

「はい、ちとせ。全部拾えたとおもうけど?」
そこへ、ミルフィーが拾い終わった書類をさしだした
「ちとせ?」
反応がないので、首をかしげて、もう一度名前をよぶ
「…そ」
わずかばかり、ちとせが口をひらきかけた
そのとき

『連絡します…マイヤーズ司令とエンジェル隊は格納庫に集合してください…繰り返し連絡します
ルフト宰相のザーフ級戦艦が到着しました…マイヤーズ司令とエンジェル隊は格納庫に集合してください…』

艦内放送が響いた
「ルフト先生が?」
タクトがパッとたちあがる
「お、やっと到着したのかい」
「いそぎませんと」
「ちとせ、なにぼーっとつったってんの?集合よ、集合」
バタバタとあわただしくかけだしていく
「は、はいっ」
条件反射で返事をかえし、ちとせもそのあとに続いた



2005年01月03日(月) 今日で正月もおわりです…の日

今日でお正月も終りです
みなさんはどんなお正月でしたか?
おいらは寝正月あらためGA正月でした(いつものこと)
明日からお仕事です
がむばります


第9話「べったべたサラダバー」

「ちとせが?」
射撃場
銃撃音と銃撃音の間に、タクトの声
「あぁ、落ち込んでたらしいよ?」
カシャンっ
パラパラ
硝煙の匂い
「どうしたんだろ?この前の、きにしてるのかなぁ」
「罰則なしっていうのはまずかったねぇ」
「え?」
タクトが首をかしげるのと、銃撃が重なる
タァンッ
タァン
休まずに2発
それは、綺麗に的に命中した
「あの子は自分に厳しそうだからね、なんか簡単なことでいいんだよ、トイレ掃除とかそういったもので
自分を許すきっかけをつくってあげるべきだったのかもね」
タァン
「なるほど…」
タクトは、的に吸い込まれるように放たれた弾をみながらつぶやく
タァン
「ところで、あんたのほうは旦那と仲直りしたのかい?」
「うっ…こ、これからしにいくところだけど」
「一人でだいじょーぶかい?なんだったら、フォルテ姉さんがついてってやろうか?」
タァン
最後の一発と、可笑しそうに笑うフォルテの声が重なった

「ちとせさん、ですか?」
「うん、元気がないってきいたんだけど」
ブリッジにあがる途中、コンビニでミントを見かけた
声をかけるついでに、話題をふってみる
テレパスであるミントなら、なにかいいアドバイスをくれるかもしれない
「…問題ありませんわ」
少し考えるそぶりをみせてから、ミントはにっこり笑ってそういった
「そっかぁ」
「えぇ、ちとせさんのことは、わたしたちにおまかせください」
「うん…」
なんとなく、拒否を感じて、タクトは歯切れ悪くうなづく
「それよりもタクトさんは、クールダラス副司令と早く仲直りなさったほうがよろしいかと」
ミントが話題をかえた
「ミ、ミントまで…わかってるったら」
はぁ、とため息
「ふふ、お二人にうまくいっていただかないと困りますものv」
くすくす
意味ありげなミントの言葉は、含み笑いに消されてしまった



ちとせはそのころ、ブリッジにむかって歩いていた
謎の通信文の報告書ができたのである
…口実であった
「やっぱり、先輩方のだれかなんだろうな」
小さなつぶやき
ここにきてから
自分がじぶんでなくなっていくような不安ばかりが胸をしめる
今もそうだ
「わたし…どうしちゃったんだろ…」
自問自答を繰り返しながら歩く
最初は、雰囲気からフォルテ先輩だと思った
けれど、あのときのミント先輩の言葉はフォルテ先輩に対したものだ
仲が良いというなら、やっぱりミルフィー先輩だろうか?
”ちとせも知ってる人だよ”というのは、自分、という意味なのかも
いや、あのミルフィー先輩がそんな遠まわしな表現をするわけがない
じゃぁ、これも違う
すると、ランファ先輩?
そうだ、だとしたら二人の過激なスキンシップの理由もわかる気がする
あ、でも、ランファ先輩は”あんな恋人ほしい”っていってたっけ
ということは違うのか
残ったのはヴァニラ先輩だけれど…

考えているうちに、ブリッジについてしまった
ドキドキ、する
すぅはぁ
深呼吸をしてから
なんとなく、手にもっていた書類を確かめる
よし
自分で自分に気合をいれて
扉を開けた



口論のきっかけは、たぶんどちらも覚えていない
「レスターのわからずやっ」
「どっちが」
エンジェル隊は普段からは想像もつかない、タクトの姿に呆然と
「そんなに俺のことが信じられないならっ、もうほっとけよ」
「落ち着いて俺の話をきけっこの馬鹿っ」
ブリッジクルーは今まで一度として見た事がない、レスターの姿に唖然と
「普段はなんにもいわないくせに、こんなときばっかりっ」
「…」
タクトが図星をついた
レスターがだまる
ざわっ
空気が動いた
”すごーい、タクトさんがレスターさんに言い勝った”
ミルフィーが声にださずいった
”ほんと、ほんと、これが惚れた弱みってやつね”
ランファもそれにうなづく

「なんとかいってみろよっ」
「………」

てごたえに、タクトがもう一押しした
誰もがタクトの勝ちと、レスターの次の行動に注目していた
そのとき

ぷしゅー
扉が開く

「失礼します、烏丸ちとせですが…」

最初にちとせが見たのは、レスターの腕だった
普段から長めの彼の腕が、さらにのび
誰かをつかんで
引き寄せる

「え?」
「なっ?」

二人の声が重なった瞬間

「んぅっ!!」

悲鳴すらあがらなかった
誰もが、その唐突の出来事に、ただただくぎ付けになる
農耕なディープキス
口論のとばっちりをくらわないよう、遠巻きに眺めていた全員にすら、その舌の動きがわかるほど
くちゅ…ちゅっ…ぐちゅ…
心なしか、そんな音まできこえてくる
「んっ…んぅ…ふっ」
しばらくして、自分の置かれている状況がわかったタクトが抵抗する
ばたばた
つかまれて思うように動かない手足をばたばたと
それが効かないと悟ると、精一杯突き放すように
だが、基礎体力が違いすぎるのか
レスターはビクリとも動かないどころか、逆にさらに強く抱き寄せて、キスを深いものにしていく
そうして、もうどれくらいたっただろうか
「んくっ…」
コク、ゴクッ、コクンと小さく、飲み込む音がして
やっとタクトからレスターの手がはなれた

「はぁ…はっ…ぁぅっ」
どさっ
タクトがその場に座り込む
それを
「うわっ」
ぐいっどさっ
引き上げ、司令席におしこむという一連の動作を流れるようにやると
「タクト…」
低い、低い、まるで地獄の底からのような、低い声で名前をよんだ
「は、はい…」
毒気をぬかれたのか、素直な返事
そのあまりの怖さに、まわりの人間は、体の芯に氷の線が一本はいっているかのような錯角を覚えながら
「これ以上…ガタガタ、くだらないことで、なにか言ってみろ」
にっこり
笑顔、だった
今まで、誰もみたことがない、すばらしい笑顔だった
”怖っ!”
全員の心の声がひとつになった
恐怖のまなざしを一身にあつめる中
にっこり、えがおで、ひとこと

「この場で、犯すぞ?」

かわいそうなくらい、ちいさくなって、震えながら、タクトは何度もうなづいてみせた
「どんだけ泣こうが騒ごうが、全裸にむいて、前戯なしでツッコムからな?」
「あ、あぅ…ぅ………」
「誰がとめようが何がおころうか、おまえの腹がパンパンに膨れるまで、なかだしするからな?」
「ひっ」
「ほら、立派な愛の告白だろーが?もっと喜べよ」
”鬼畜モード全開ですっ!!”
「あぅーえぅーあぅぅぅ…」
ついにタクトが泣き出した
そりゃそうだ、見ているこっちが泣きそうだからな
誰ともなく、そんなことをおもいながら、タクトに同情する
レスターは、涙をみて、ふぅとため息をつくと
「さぁ、おまえらも仕事に戻れっ」
見世物じゃないぞ
といいながら、パンパンと手をたたいて解散を促した
「エンジェル隊はその馬鹿をつれていってやってくれ」
「は、はいっ」
ミルフィーが返事をするよこで、
フォルテとランファがすっかり屍と化したタクトを引きづっていった



2005年01月02日(日) 初夢の日

みなさん、今日見た夢が初夢でした
なにをみましたか?
おいらは見たけど忘れちゃ今したー(駄目人間)


第8話「おろおろパスタ」
「もうしわけありませんでしたっ」

ブリッジにはいるのとほぼ同時に、ちとせはそういって頭を下げた
全員が何事かと視線をなげる
タクトは…

「おかえり、ちとせ」

にっこりと変わらない笑顔で、ちとせを迎えた
ちとせが次の言葉をつなごうとした、そのとき

「おー、タクトじゃないか。ひさしぶりだねぇ。元気にしてたかい?」
「おひさしぶりですわ、タクトさん」

フォルテ・シュトーレンとミント・ブラマンシュ
ちとせに続いて二人がブリッジにはいってくる
「フォルテっ、ミントっ」
タクトが二人にかけよる
かけよったところで
がしっ
フォルテに頭をつかまれた
「あぅー」
「あははは、元気そうじゃないか!司令官どのv」
ぐりぐり、がしがし
そのまま、豪快にあたまを撫でられる
「フォルテもあいかわらずだなぁ」
「フォルテさん、あまりいちゃつきますと、タクトさんの恋人ににらまれちゃいますわよ」
いつまでも止まない抱擁に、ミントがストップをかけた
チラリ
2人の視線が、レスターにいく
レスターは、我関せずといった感じで戦闘の事後処理に勤めていた
「お前の旦那も相変わらずなんだなぁ」
「んー」
そこへ

「フォルテさーんvミントさーんっv」

ブリッジの扉が開くのと同時にミルフィーユが飛び出してきた
そのまま、二人に抱きつく
「うわぁ…おいおい、ミルフィー…あんまりはしゃぐんじゃないよ」
フォルテが仕方ないねぇと苦笑しながら受け止める
「ミルフィーユさんらしいですわ」
ミントも少し困った風にみせながら、まんざらでもなさそうだ
ミルフィーは、えへへと笑うと
「あ、ちとせ。大丈夫だった?」
呆然とつったっているちとせに声をかける
だが
「………」
返事がなく
もう一度
「ちとせ?」
「っえ?…は、はい、ミルフィー先輩、すいませんでしたっ」
「?」
あわてて、頭をさげるちとせに、ミルフィーが疑問符をだす
助け舟はエンジェル隊のリーダーから
「なにいってるんだい、ちとせはよくやってるよ」
「ですが、私は生意気を言って命令違反を…罰則をうける覚悟はできております」
今にも泣き出しそうな悲痛な表情で、顔をあげる
「命令違反?おれ、なんか命令なんかしたっけ?」
タクトはのほほーんとかえした
「マイヤーズ司令っ!」
「お願いならしたけどね」
いったところで

「そうよ、それに元はといえばタクトの作戦が甘かったのが悪いんじゃない」
「ちとせさんは、なにも悪いことはしていません…問題、ありません」

やや遅れていたランファとヴァニラが到着する
ちとせは
「ランファ先輩っ、マイヤーズ司令は悪くありません、わたしが…っ」
「あのねぇ、ちとせ。タクトなんてかまうことないのよ?」
「そんな…そんなことをおっしゃらないで下さいっ、マイヤーズ司令はすばらしい方です
今回の指揮も見事でした、私が…私が生意気さえいわなければ…」
「すばらしいって…あんたちょっと、タクトのこと過大評価しすぎよ、この前から」
「ランファ先輩っ、わたしはっ!」
二人の会話は続かなかった

「うぇぇぇーんっ」

ミルフィーユが泣き出したせいだ
「ミルフィー?」
「ミルフィーユさん?」
「ミ、ミルフィー先輩っ?ど、どうされたんですか?」

「うえぇぇーん、やめようよ、ランファもちとせも、ケンカしちゃ嫌だよー」
声がブリッジにこだまする
「ミルフィー、な、なくなー」
「ミルフィーユさん」
「泣きやんでくださいまし」
タクト、ヴァニラ、ミントがおろおろとミルフィーをなぐさめる
「ケンカしちゃ嫌だよぅ、せっかく、せっかくエンジェル隊がみんなそろって、タクトさんもいるのにぃ」
えぐえぐえぐ
ボロボロ涙をこぼしながら訴える
「ケンカなんかしてないわよ、だから泣き止みなさいよ」
「そ、そうです、ミルフィー先輩、泣き止んでください」
「ほらほら、泣くんじゃないよ、ミルフィー」
ランファとちとせ、そしてフォルテも慰めに加わった
全員で頭を、よしよし、となでる
そうしてやっと
「ほんとに、ケンカしません?」
「してないわよ」
「はいっ、だから泣きやんでください」
「…うん」
グスン、グスン
鼻をすすりながら、やっとミルフィーは泣き止んだ

「タクト、うるさいぞ、そういうことは外でやれ」
流石の大騒ぎに、ついにレスターからクレームがつく
「わかったよ…じゃぁ、みんなティーラウンジにでもいこうか?エンジェル隊集合記念で俺が奢るよ」

「やったぁv」×6

全員の声がそろった…



ティーラウンジへの通路途中

「タクト、あんたの旦那、なんか悪いものでも食べたのかい?」
フォルテがピシピシと、愛用のムチを手で遊びながらたずねた
「へ?」
「いやにさっきの態度が冷たかったからさ」
「あぁ、うん…えーっと」
「ケンカでもしたのかい?」
「したといえばしたし…してないといえば、してない」
どっちなんだよ、はっきりおしよ、とフォルテがため息をついた
「まぁあんたたちのことだから心配はしないけど、さっさと仲直りおしよ」
「…うん、そうするよ」

「ミントさん、どうかしましたか?」
ヴァニラが、少し心配そうにミントに声をかけた
「え?」
「なにか、考えておられるようなので」
「…んー、ヴァニラさん。ちとせさんって、ずっとあぁですの?」
ミントは後ろを歩くちとせに声が聞こえないことをたしかめながら呟いた
「?意味がわかりかねますが」
「つまり、ずっと…タクトさんにああいう態度を?」
「それがどういう意味をしているのかわかりませんが、私たちが合流したときから
ちとせさんは、タクトさんに対する態度をかえてはおられません」
「そうですか…まだ間に合うといいんですけれど」
はぁ、と小さなため息

「ランファ先輩、ミルフィー先輩、すみませんでした」
「あー、もうその話やめやめ。きにしてないから」
「うんvねぇちとせ、なに食べる?私はねぇ…」
ケーキの名前を口にだしはじめたミルフィーの言葉をさえぎって
「あ、あの…ひとつ、伺ってもよろしい、ですか?」
「ん、なに?」
「なぁに?」
二人がふりむく
ちとせは、チラリと、先頭を歩くタクトをみると
「その…さっきミント先輩がおっしゃっていたんですが、マイヤーズ司令の恋人って…」
小さな声でぽつりと呟いた
「タクトさんの恋人?それが、どうかした?」
「いえ…っ、そ、そう、ですか…やっぱり、恋人…いらっしゃるん、ですね」
「あれ?あんた知らなかったっけ?けっこう軍内部じゃ有名なんだけど」
「ど、どのような方なんですか…?」
震える声をおさえて、絞り出すような問い
二人は気づかず
「どんなって、完璧よ、完璧。あーぁタクトがうらやましー!私もあんな素敵な人ほしいー」
「ちとせも知ってる人だよ?」
「えっ?!」

ティーラウンジに到着したので、会話はそこで中断されてしまった。



2005年01月01日(土) 新年あけましておめでとうございますの日

新年あけましておめでとうございます
今年も一年、どうかよろしくお願いいたします(ぺこり)

2005/1/1/元旦
かみぃ拝



第7話「集合エンジェルサバ当たりつき」

「通信の解読ができたって?」

その日、おくれてブリッジにやってきたタクトは、開口一番にそういった
ブリッジにはすでに、ミルフィー、ランファ、ヴァニラとちとせがそろっている
タクトは司令席に腰かけてから
「それで、内容は?」
そう、解析担当であったちとせに声をかけた

「はい、先日宇宙クジラからもたらされた謎の通信ですが、あれはメッセージであることがわかりました」

それは、タクトがエルシオールにうつってからすぐのこと
宇宙クジラが頻繁に謎の通信を受信するようになったのがはじまり
解読不能とおもわれていたそれの解析を志願したのは、ちとせであった

報告書を読みながらの進言する
「発信源はわかるか?」
レスターの問いに
「はい…その、発信源なのですが、レナ星系の中心部かと思われます」
「レナ星系?それって…」
「今現在の目的地じゃないっ」
「メッセージの内容はなんと?」
ミルフィーとランファの声がかさなり、やや遅れて、ヴァニラの声がした
ちとせは、姿勢を少しただすと

「よみあげます…

EDENの子らよ。今、時をこえ大いなる災いが再来した。我が元へ急げ…
白き月よ。今こそ、有限と無限を結び。古より定められた使命を果たせ…
白き月よ、EDENの子らよ、急げ。我らに残された時は少ない…
己が使命を果たせ、世が災いに覆われる前に…

あとは、同じような意味が繰り返されていました」

「さっぱりわけがわからんな」
「レナ星系の中心で、誰かが俺たちを待っている…ってことだけはたしかだけどね」
「敵か味方かは、わからんがな」
「まぁ、ここで危惧していても仕方ない…」
タクトはそういうと
「ちとせ、解読ありがとう。おつかれさま」
にっこりと笑って、ちとせの労をねぎらった
「は、はいっ…少しでもお役に立てたのなら、光栄…です」
「もちろんだよ、とっても助かった」
そこに、ミルフィーユの声
「タクトさん」
「ん?」
「そのメッセージ、シャトヤーンさまにお伺いしてみたらどうでしょうか?」
「はぁ?いきなり何いいだすのよ」
「だって、白き月あてのメッセージなんだから、白き月の管理者、シャトヤーンさまならなにかご存知かも」
「…そうか」
タクトは、ぽんっと手をうった
「それだよ、ミルフィー!それはいい案だ」
「まぁ、打倒な判断だな」
レスターが珍しく賛成した
「それもそうよね、めずらしくさえてるじゃないミルフィー」
「すばらしい案です」
「流石、ミルフィー先輩ですっ」
全員の羨望のまなざしをうけて、わぁいとミルフィーユが無邪気に喜ぶ
そこに…

「ドライブアウト、しますっ」

ココの声とともに、視界が開けた



無限に広がる大宇宙
「もう少しで、ザッハ星系だな」
「ミントやフォルテともやっと合流できそうだな」
「エンジェル隊全員集合!です」
「はぁ、やれやれ、またさわがしくなるのか」
レスターが重いため息をついた
そこに

ビービービーッ

「警報?!」
「どうした?」
何度聞いても慣れない、嫌な警告音とともに、エマージェシーランプが点滅を繰り返す
「て、敵影ですっ!」
「しまった、まちぶせか…っ、みんな」
「了解っ」
タクトが全員に視線を投げる
返答もそこそこに、エンジェル隊は駆け足でブリッジをぬけていった
その横では、レスターがなれた指示で、第一級警戒態勢をしく
「マイヤーズ司令、敵艦から通信がっ」
「…あまりきがすすまないなぁ」
「そういうわけにもいかんだろうが、口先三寸はお前の得意分野だろ?紋章機がでるまで時間を稼げ」
「ちぇー」
パッ
二人の会話をよそに、司令席前のモニターに映像が浮かぶ
もうじき初老という感じのがたいのいい男と、どこかしら不気味な雰囲気をまとった女
男が口を開いた
『ふはははははっ、今日こそ貴様たちの最後だっ』
レゾム・メア・ゾムはどこからきているのかわからない自信たっぷりの声で宣言する
タクトは、はぁ…とあからさまにため息をついてみせた
『なんだ、その態度はっ』
「いやいや、エオニアの部下だったときから、ここまで変化がないのも珍しいなぁとおもいまして」
口調こそ丁寧だが、あからさまに侮蔑の言葉が混じっている
ぷっ
ブリッジのあちこちで、失笑が漏れた
『くぅーっ』
怒りで真っ赤にゆであがったタコのようになった、レゾムを止めたのは
『レゾム閣下、格下のモノのいうことにいちいち反応していてもキリがありませんわ』
ピクリッ
タクトがわずかばかり反応をした
それは、べつに”格下”呼ばわりされたからではない
本能的に
”本当に危険なのはあっちだ”
と警戒しているせいだ
一見は忠実な部下の態度をとっているが
その裏で、実権をにぎり、レゾムという操り人形を隠れ蓑にしている
今回の、本当の、黒幕は…
『…うむ、…そうだな、ネフェーリア。ふっ、エルシオールよ、今のうちに遺書のひとつでもかいておくことだっ』
通信は一方的にはいり
そして、一方的にきられた

ネフェーリア

それが、彼女の名
正体不明の艦隊をひきつれ
レゾムに”真・正統トランスバール”を名乗らせる、その真の目的はなんなのか…
「………」
ふいに
同じように、黒き月に操られていた彼のことを思い出す
高い理想を持った人
そして、その理想ゆえに、歩んではならない道を選んだ男…
「…」
「タクト」
「ん?」
「物思いにふけるのはあとにしろ。…エンジェル隊がでたぞ」
「………わかってるよ」
「ほんとーにわかってるんだかな」
「…」
いつも以上に冷たい物言いは、自分が今、誰のことを考えているか知っているからだろう
普段は冷静なくせに、そういうところでは直情的なのだ
タクトは愛想笑いでごまかすと
ピッ
エンジェル隊との、個別通信回線を開いた

「ミルフィーとランファはレゾムの旗艦を狙ってくれ!ヴァニラとちとせは二人の援護を」

『はいっ』
『了解っ』
『わかりました』
『がんばります』

4っつのかろやかな返事がして、次の瞬間
ギュンッ
光も音もおいていき、紋章機が星の海へ飛び出していく



「ふふ、かかった」
目前の艦隊を爆破しながら、一直線にこちらを目指してくる紋章機
それをみながら、ネフェーリアはひっそりと怪しい笑いをこぼした
「ネフェーリアよ、本当にこれでいいのか」
不服そうな顔をして、声をだしたのはレゾムだ
「えぇ、もちろんですわ。これで、あの邪魔な紋章機と、エルシオールを吊り上げてみせます」
「…そ、そうか」
その言葉に納得して、レゾムの表情から曇りがぬけた
「………ばぁか」
自分にすら聞こえない、小さな、つぶやき

「まずい…」
同じ頃
モニターをみながら、タクトは小さくこぼす
そして
「ランファ、ミルフィーっ、前にですぎだ、一度エルシオールまで戻ってくれ」
紋章機とエルシオールの空間がどんどん広がっていくのをみながら、急ぎの通信を打つ
『はーい、ラッキースター了解です』
『カンフーファイター、おっけー』
「ヴァニラ、ちとせ、戻ってくる二人の護衛を頼む」
続けざまに、残った二人にも次の指示をだした
ほっと一息
そこに
「タクト、やばいぞ…」
「わかってる」
足の遅いエルシオール
とりわけ、移動力の高い4っつの紋章機との差がおもったよりもあいている
二人が危惧するのは、同じ空間であった
そこに

「シャープシューター?ちとせっ」
ヴァニラのハーベスタ−とは違い、その場を動かないのは
「ちとせ、なにをしている」
レスターがモニターに回線を開いた
映し出された彼女は
『ぎりぎりまで私がここで援護します』
「駄目だ、戻れっ、これは命令だぞ」
一瞬、ひるむ
しかし
『私の上官は、マイヤーズ司令です』
「?!」
「へ?」
かたくなに、意志を変えようとしないちとせ
更に
『マイヤーズ司令、シャープシューターの移動速度、加速性能、射程距離を含めて考え、
ここから援護したほうが効率が良いと、提案します。お願いです、私にここで…』
「…ちとせ?どうしたんだ?」
タクトは、慌てず騒がず、静かな声で説いた
『え?』
「タクト、戦闘中だぞ」
すっ
右手が、レスターの前にゆっくりと差し出される。制止を意味する形で。
『…』
「なにかあったの?」
『わ、わたしは…ただ、効率の良い戦闘の方法を…』
「ちとせ、あせらなくてもいいんだよ」
『…っ』
「確かに、シャープシューターがそこで敵を食い止めてくれるなら、3人は比較的無傷でここまでこれる
でも、君はどうなる?シャープシューターは?自分の力を過信しちゃいけない」
『過信など、していません…わたしは…』
「うん、わかってるよ。でも、あせらなくていいから、みんなといっしょにエルシオールに戻っておいで」
『それは、命令、ですか?』
ぼりぼり
タクトは盛大に頭をかいた
そして
「うーん、俺、あんまり命令するの好きじゃないんだよね…だからこれは、お願い」
「…タクトっ」
砕けたものいいに、レスターから激が飛ぶ
それをのらりくらりとかわして
「ここにきて、俺たちと、エルシオールを護って欲しい」
『…わかり、ました』
プツッ
通信はきられた
ふぅー
誰からともなく、息がもれる
「どうしたっていうんだ?」
「もうちょっと、あとちょっとって、結構恐いんだよ」
「…」
「とくに調子のいいときや、新しい環境になじめないときなんかね、止めどころがわからないから
もうちょっと、あとちょっと…っていってる間に、戻れないところまできてたりする」
「ふぅん」
「問題は、間に合うか…なんだけどね」

そうタクトが呟いた、次の瞬間

ビービービー
「なんだ?」
「敵の増援ですっ」
「エルシオールと…紋章機の間に…」
アルモが青ざめた顔で、映像をモニターにまわした
その艦影を確認しながら
「くそっ、まにあわなかったか!」
ダンッ
珍しくコンソールパネルを叩くなどという、野蛮的な行為でレスターが地団駄をふむ
タクトは
「ランファ、ミルフィー、ヴァニラ、目の前の増援にはかまうな、まずはエルシオールと合流だ」

『わ、わかりました、なんとかよけてみますー』
『回避ならまかせなさいよっ』
『ハーベスタ−、了解』

3色の紋章機は、敵艦の間を踊るようにすりぬけて、エルシオールをめざす
「ちとせは?」

ちとせは、コックピットの中で青ざめていた
「うそ…」
増援にまで気が回らなかったのだ
「は、はやくおいつかなくちゃっ」
シャープシューターを加速させる
馬鹿だ
私は馬鹿だ、これがあるとわかっていたから、マイヤーズ司令は合流命令をだしたのだ
今ごろになってきづくなんて
自分を叱咤しながら、ぐんぐんスピードをあげる
かなりのスピードはでているはずなのに、いっこうに早くなった気がしない
いそがなきゃ
いそがなきゃ
「わたし、私…どうして…」
自分で自分がわからない
そこに

ビービービー
エマージェシーの赤いランプが鳴り響く

「え?」
モニターに目をやる
自分の若干、斜め上に更に敵の増援がきていた



「タクトっ」
レスターが叫ぶ
「わかってるっ」
めずらしく怒鳴り返してから
「…ちとせっ」


「うそ、うそ…ど、どうしたら…どうしたら…」
そこに通信がはいる
『ちとせっ』
「タクトさんっ、わたし…」
『ちとせ、おちついて』
「わたし、こんな、こんなつもりじゃ…」
あぁ
あぁ、こんなときまで
こんなときまで、彼の声は優しくて
その優しさが、パリパリにはりつめていた心をゆっくりとほぐしてしまって
駄目だ
駄目だと思うのに
『ちとせ、だいじょうぶだから、おちついて?』
やさしい、声
おもわず
すがってしまいたくなるような
「ちがうんです、わたしっ、わたしはただ、はやくみなさんのお役にたちたくてっ…わたし…」
『ちとせっ、目をつぶれ!!』
バッ
いきなりの大声
条件反射で目をつぶる
真っ暗
暗黒の宇宙よりも、尚暗く…
はぁ
空気が抜けるようにためいきが
『ちとせ、俺の声が聞こえる?』
「きこえます…マイヤーズ司令…」
不思議と
エマージェシー音や
戦闘の爆音
紋章機のわずかな音
そんな細やかな音でさえ、すべてが視界とともに閉じ込められてしまった
声だけが、きこえる
『よし、じゃぁ指示をだすよ。これは敵に勝つためじゃなくて、ちとせが俺たちのところへもどってくるための指示だ』
「…はい」
『まずは、その場にとどまること。そして、前の敵はいいから、新しく現れた増援のほうをそこから遠距離射撃で一機ずつ集中攻撃』
「はい」
『前の敵は、ミルフィーたちがやっつけてくれるからね。任せて、君はミルフィーたちのために、増援を倒すんだ』
「はい…わたしが、先輩たちの、ために…」
つぶやく
『じゃぁ、俺が3っつ数えたら目をあけて、戦闘開始だ…待ってるからね、ちとせ』



「かえる…わたしは…マイヤーズ司令や、ミルフィー先輩、ランファ先輩、ヴァニラ先輩のところへ…」



「すぅ…はぁ…すぅ…」



0…

息をピタリと止めたのと同時に、視界が一気に開けた
「烏丸ちとせ、参りますっ!!」
気合とともに、かけごえ

狙いを定めて1撃
あたった
2撃
3撃
とどめ

すっ
流すように次の機体に標準をあわせる
ピタリッ
中心があった瞬間に、1撃、2撃っ
続けざまにぶちこむ
3撃目が若干ずれた
4撃っ
微調整をして、とどめをさす

ギュンッ
テンションメーターがはねあがったのを横目で確認すると
「いきますっ、フェイタルアローっ」
長砲身レールガンから、青白い閃光が放たれる
バンッ
あたる
それは、爆破しながら、まわりの艦隊をまきむ
そこへ
「もう一撃っ、フェイタルアローっ!」
間髪いれずに、次を放つ
ドンッ
空間がきしみ、目前の増援敵艦が減っていくのがみえた
「つぎっ」
そう言って、次の標的へ狙いを定めた
その瞬間っ



ドンッ
音をたてて、標的が爆発する
「え?」
なにが…
そう、おもった、そのとき

『まってましたっ』

通信回線から、タクトの嬉しそうな声が、した




「ったく、なさけないねぇ」
足を組みなおして呟く
キラッ
爆破の光を反射して、モノクルが鈍く光りをみせた
「やっぱ、あたしがいないとしまらないだろう」
なぁ
「司令官サマv」
『フォルテっ、ひさしぶりっ』
GA-004、ハッピートリガーの内部に、嬉しそうなタクトの声が響く
それを心地よく耳にする


「真打はやはり、最後に登場するのがセオリーですからv」
おだやかな、声
ピクピク
白い耳が、嬉しさをあらわしている
「おまたせしました、みなさん」
そして
「おひさしぶりですわ、タクトさん」
『ミントも…あいたかったよ』
GA-003、トリックマスターの中でそんな会話がかわされる
ミントは、それに、にっこりと微笑をかえす
そして

「さぁ、どきなっ!いっちょ派手にやったろーじゃないかっ!」
「ふふ、残った獲物はわたしたちに、お・ま・か・せvですわっ」

青と紫
二つの紋章機は、螺旋を描くように飛ぶと
パッとわかれ、まずは挨拶代わりに一発ずつ

「ストライクバーストッ!」
「フライヤーダンス」

それぞれ、必殺技をたたきこんだ



「フォルテ先輩…ミント先輩…っきて、くださったんですね…」
ちとせは、ほぅとため息を、つく
どっ
体中から力がぬけおちていくのを感じた



銀河最強といわれる5色の紋章機
それが、宇宙を翔けるのを
後に、人々が軌跡と称えるその光景を
ちとせは、6色目の紋章機の中から、目の当たりにしていた



2004年12月31日(金) 今年も一年ありがとうございました…の日

今年も一年ありがとうございました
来年もどうか変わらぬ御愛顧をよろしくお願いいたします
それでは、皆様、よいおとしをv

2004/12/31 かみぃ拝


第6話「しんしん悩鍋」



月のような人だと思った


縁側に座り、ぼんやりと空(立体映像だが)を見上げる
手にはぬいぐるみ
亡父が買ってくれた、いわば形見の品だ
嬉しいとき、悲しいとき、悩んだとき…
ことあるごとに、このぬいぐるみには助けられてきた

「つき、きれいだなぁ」

ぼんやりとしゃべりかける
それは、自分にいいきかせるようでもあった
ぬいぐるみ
という、仮想の相手にしゃべりかけることで
自分で自分の思考を整理する

「私、どうしてランファ先輩にあんなことしてしまったんだろう」

嫌いなわけじゃない
むしろ、大好きだ
エオニア戦役鎮圧の立役者
GAー002、カンフーファイターのパイロット
格闘技の達人で、気が強くて、でもどこか女の子らしくて
あこがれている
尊敬もしている
エンジェル隊に配属された新人の自分に、いつも元気をわけてくれた
本当に、好きなのだ
けれど

「でもっ、じょ、上官にあんなことをするのは…」

エンジェル隊と、司令官であるタクトの仲の良さは聞いていた
それはもう、耳タコで
だから理解していたはずだ
だけど
平気でタクトを小突き回すランファをみて
そして
それを止めることもしないで、むしろ楽しそうに、小突き回されるタクトを見て
自分の中で何かが、ガラガラと音をたてて崩れていくような気がした
ランファが、タクトにちょっかいをだすたびに
心にヒビがはいっていくような感触
だから
止めてしまった
あのあと、ヴァニラや、ミルフィーユの説得で
あれは普段のコミニケーションのひとつだときかされた
ソレがかつてのエルシオールの中では当たり前だったのだと
だが、それが当たり前と思われる環境がすでに間違いではないのだろうか
疑問が尽きることはないのでやめた
しかし

「マイヤーズ司令も、マイヤーズ司令です…嫌なら嫌とはっきりいわないと」

彼はいささか、女性に対して甘い節があるようだ
だから、エンジェル隊にあんなに好き勝手させてしまうのではないだろうか
そこまで考えて、タクトのことに思考がうつる
ちとせの想像していたのとは全然違う
”皇国の英雄”
だが
自分だって理解している、想像のソレと、実際の人物は違うのだと
悪いのは自分だ
いや、悪くはない
だって
だって…

彼は想像よりも、ずっと、もっと…

「タクト・マイヤーズ司令…」

名前を口にする
トクン
胸が鼓動を刻んだ

「不思議な…ひと…」



月のような人だと思った



ちとせは、エンジェル隊にはじめてあったとき
全員を太陽のようだと思った
自己主張が激しくて
何千人の中からでも一発で見つけてしまえるような存在感をもっていて
どこにあっても自分を見失うことなく
平等に光を振りまいて
輝いていられる
太陽のようだと、思った
彼女たちが、そうだから
タクトもきっと、そうなのだと
太陽のようなひとなのだろうと思っていた
写真や、映像でみる彼は、そんな感じのする人であったし
周りの誰からの評判も、そういった類のものだったから

だけど、違う
彼は、ちがう…
そう、たとえるなら月
それも
「そうだ、白き月…」
言葉にしたとたんに、ヴィジュアルが鮮明に自分の脳内に浮かぶ
月の巫女
月の天使
とよばれる、自分たちエンジェル隊よりも、もっと白き月そのものを思わせる
そう、いうなら
月の聖母…シャトヤーンさまのような
そんな、印象

笑顔が柔らかいと思った
月光のように、柔らかく降り注ぐような笑顔
声が優しいと思った
ちとせ、と酷く自分の名前を優しく呼んでくれた
子供のようだと思った
シャープシューターをみて、月兎のようにはしゃぐ姿をみて
月のような人だと思った
紋章機を優しく見上げて
大好きだと、いってくれた
戦いの道具でしかない戦闘機を
そんなことのために使いたくはないのだと
戦争がなければ、自分の存在価値はないというのに
戦いなんてこなければいいのだと、いった
優しくて
でも、どこか悲しい
それでいて
決意に満ちた眼差しのひと

月は自ら輝かない
太陽の光を反射して、地表に届けるだけだ
でも
いつだって、それは、そこにある
彼はそういう人なんだ

そこまで考えて資料のことを思い出す
タクトの士官学校時代のモノだ
其の持ち前の、戦略的頭脳で
数々の功績を残しながら
表に名前がでるようなことは、一度もなかった
そして、その性格や評判とは裏腹に
友人と呼べる存在が、副官である、レスター・クールダラス以外にはいないという事実

納得、する。

「マイヤーズ司令…」

気がつけば、彼のことばかり考えていた
もっと知りたいと思う
そして
もっと自分を知って欲しい、とも
「私ったら、なに、考えてるんだろ…」
あわてて、考えをうちけす
それでは、まるで…
まるで…


そこまで考えて、寒くなってきたので、ちとせは部屋へと引き上げた



2004年12月30日(木) 今年もあと一日となりました…の日

今年もラスト1日
どうか、最後までよろしくお願いいたします



第5話「純正レスタクのラブラブサンド」

「そういえば、けっきょくどうなったんだ?」
「ほぇ?」
ミルフィーユが作ってくれたサンドイッチを食べる手を止め、タクトは顔をあげた
報告書の作成が終わったらしいレスターは、端末を片付けている
「エンジェル隊の新人だよ」
「あぁ、うん…」
もぐもぐ
サンドイッチを食べつつ
「あのあと、ヴァニラが事情を説明して、納得したみたいだよ」
「ふぅん」
「しっかし、びっくりしたなぁ、まさかまだ”マイヤーズ司令”なんて呼ばれるなんて」
「びっくりするところがソコか!」
ツッコミがはいった
「だってぇ、エンジェル隊のみんなには最初から”タクト”って呼ばれてるし、
レスターだって、クーデター前は公私区別してたけど、今じゃ全然だし?」
ガチャっ
冷蔵庫から牛乳をとりだす音
「なら、戻そうか?マイヤーズ司令」
「…ゴメンナサイ」
コプコプッ
牛乳がグラスに注がれる
二つあるグラスのうち、片方をとって飲む
「あー、おいしい」
ぷはっ
その様子を眺めながら、レスターがタクトの向かいに座った
「ん、流石に疲れるな…」
「はは、おつかれさん。サンドイッチ美味しいぞ」
サンドイッチの皿を差し出す
レスターは、それをひとつ手にとって
パクッ
タクトはその様子を微笑んで眺める
「なんだ?」
レスターが不信そうにたずねれば
「なんでもなーい」
なんとも…
良く言えば幸せそうな
悪く言えば気の抜けた
表情で返事がくる

もぐもぐ

「しかし、大丈夫かな」
付け合せの海老のカルパッチョを食べながらレスターの呟き
「へ?」
「ちとせだよ」
「ちとせがどーかした?」
「ちょっとばかり、期待が大きすぎるんじゃないかとおもってな…」
「あー…」
レスターの言わんとしていることを読み取って、タクトも言葉を濁す

烏丸ちとせ
センパール士官学校を主席で卒業した才媛
タクトが受け取った報告書には、彼女がエリート中のエリートである経歴がびっしりと書き連ねてあった
白き月の封印区間から発掘された6番目の紋章機との相性を認められエンジェル隊へ配属

ここまでくれば、エリートを軍の特殊部隊へ配置
という、いかにも順当な話
だが、エンジェル隊は別の意味で”特殊”部隊なのだった
真面目一本、といった感じのちとせがなじめるかどうか
更に、困ったことに、彼女はタクトとエンジェル隊に憧れと期待を抱いている
それは悪いことではない
だが、過度の期待は過度の失望につながる
レスターはそこを危惧しているのだ
「うーん」
「はぁ…彼女に同情するよ」
比較して、性格的にちとせと同類のレスターは、心底同情したふうにぼやく
タクトはコクコクと牛乳を飲みながら
格納庫で見たちとせのことを思い出していた
シャープシューターから舞い降りた、黒髪の天使
6番目のエンジェル隊
清楚で、おしとやか、どこかの島国の言葉でいうなら”大和撫子”
自分の前でカチコチに緊張していた
でも、時と場合によっては、ランファにむかっていくだけの芯の強さもあって
”あれは、びっくりしたもんなぁ”
結局、あれは二人のコミニケーションの一環だと説明するまで大変だったのだ
配属1週間
しかし、その素直な性格のせいか、みんなからはかわいがられてる印象を受ける
まぁ、もともとかまいたがりのエンジェル隊だから、それは当然といえば当然なのだが
きっとじきになれるだろう
という、タクト特有の楽観とともに
”でも、そもそも、紋章機のパイロットって他にはいないもんな”
そうなのだ
最悪の事態として、ちとせがエンジェル隊になじめなかったとしても
GAー006:シャープシューターのパイロットは他にいない
紋章機は、その性能のせいか、乗り手を選ぶ
”…あ、そうか”

「大丈夫だよ」
そうだ
ふと、その考えにおもいあたって、タクトはにっこりと微笑んだ
「は?」
「紋章機が…シャープシューターが彼女を選んだんだから、きっと大丈夫」
「ふぅん…」
もくもく
レスターは、最後のサンドイッチを口にはこんだ

「はやくミントやフォルテとも合流したいなぁ、二人とも元気かなぁ」
「エンジェル隊が元気のない姿っていうのは、想像つかないがな」
ぷっ
飲みかけた牛乳を少しだけ噴出してしまった
「あははははは、ひどいこというなぁ」
「ほんとーのことだろうが、…ほら、口元ふけ」
「うー」
ぐいぐい
自分で”ふけ”といいながら、レスターはさっさとハンカチをとりだすと、タクトの口元を拭う
そして
「タクト…」
「ん?」

タクトが目をあけたのは、すでに、レスターの唇がかぶさった後であった

「んぅっ」
びっくりして、退こうとした体を、先につかまえられる
「…っ」
予告なしのディープキスに、息ができない
しばらくのち
レスターが解放するのと共に、タクトはその場に崩れた

「はぁ…はっ、レスターっ、たのむから前振りをしてくれよ…っ」
息を整えながら抗議
「わかったわかった」
レスターは適当な相槌をしながら、食器を片付け始めた
「…あれ?」
カチャカチャ
備え付けの流しに、皿やらコップやらを運ぶ
「レスター?」
もってきたフキンで、机を拭くレスターに疑問符
「なんだ?」
「…いまので、終り?」
言ってから

”って、俺、なにいってるんだよぉぉぉっ><;”

無意識のうちにこぼれた、素直な欲望に、自己嫌悪
「ふぅん」
レスターは興味深そうな声とともに、腕を組むと
可笑しそうに笑いながら、タクトをみている
その視線にたえきれず…
「うー、うー、うー…レスター、続き…」
「してほしいのか?」
笑いを含みながら囁かれた言葉に
タクトは耳まで真っ赤になっているのを感じながら
「…はい」
コクリとうなづいた
すると…
「じゃぁ、タクト…俺がこれからする質問に、正直に答えろ」
「………なに?」
タクトが顔をあげた
それを確認してから

「ちとせがくる直前に、居眠りしてたろ?」
「う、うん…」
「そのとき、誰の夢をみてたんだ?」

ドキリ
心臓がはねあがる音が、した
ドキドキする
それが、まるでレスターからの答えであるように耳に聞こえて
「な、なんのことか…」
ごまかそうとした
だが、言葉はとまる
いつのまにか、かなり近くにまできていたレスターの目がごまかせなかったからだ
「うー…な、なんでそんなこと、きくんだよ」
苦し紛れに一言
あんなもの、なんでもないことじゃないか
任務中にうたた寝することなんてよくあることだし
うなされることだって、誰にだってあることだし
なんで、そんなことを、こうも言及されなくちゃいけないのか
いや
どうして、自分は正直に夢の内容をいえないのか
言ってしまえばいいんだ
それで、丸く収まる
言ってしまえばいい
夢の中にでてきた人は…
ひと…

「あ、れ?レスター、どうして俺が”誰か”の夢を見てるって知ってるんだ?」

ふいに、そこに考えあたった
そうだ、たしかに
レスターは
”そのとき、誰の夢をみてたんだ?”
と、きいた
何の夢をみてたんだ
では、なくて…

「どうして、だと、思う?」
にっこりと笑顔
サァ…
真っ赤だった、顔から、血の気が引いていくのを感じる

「お前が寝言で、”誰か”の名前を呼んだからな」
「う、そ…ぉ」

ヤバイ、と思った
しまった、とも思った
遅かったけれど

「俺、エオニアの名前を…?」
「ご丁寧にも、”様”付きでな」
致命的
「で、エオニア様は夢の中でどうしてくれた?」
「うー…」
「俺にいえないような、楽しいことをしてくれたのか?」
「ち、違うよっ」
慌てて否定する
そして、夢の内容を説明した
説明といっても、タクト自身ですらその意味を理解してはいなかったけれど
宇宙から何かがくるという警告
ノアを…という断片的な情報
一通り説明し終わると
「なら、なんであのとき、そう説明しなかったんだ?」
レスターはあきれた声でそういった
まったくもってそのとおりだ
でも、まさか寝言が聞かれていたなんて
タクトは自分自身を恨めしく想いながら
「それは…」
「それは?」
ここまできたら
もう、観念するしか、なかった
「その、お、終り間際に…キ…キス、されて…」
「………」
「うーっ」
レスターの反応を、見を縮めて、まつ

ふいに、何かが頬に触れた
手だ
そう、認識する間もなく
もう一度、唇が触れる
「んっ」
「…」
どちらからともなく、離す
名残惜しそうに、糸が一筋煌いた

「じゃぁ、これでチャラな」
「…え?」
「ったく、死んだあとでも、人の仲かきまわしやがって…」
レスターはめずらしくブツブツと声にだして愚痴をこぼしながら
さっさとベットルームのほうに移動すると
「ほら、タクトっ!さっさとこい」
「あ、ま、まって」
あわてて、タクトもそのあとを、追った



2004年12月29日(水) 今年も残り…の日

今年も残りあと少しですね
がんばりますよー


第4話「エルシオール前菜・2人抜き」

儀礼艦・エルシオール

「うはぁ、懐かしいなぁ…この感触」
タクトは司令席に頬ずりをしながら、呟いた
そこに
「馬鹿なことしてるんじゃないわよ、ちとせがびっくりしてるでしょ!」
パカーン
ランファの激しいツッコミが炸裂
「いったぁ…もう、やったらめったら痛いよランファ…ひどいや」
「そうだよ、ランファ…大丈夫ですか?タクトさん」
「治療します…」
ぱぁっ
ヴァニラの手が輝き、ナノマシンでの治療が終わる
「ありがとう、ヴァニラ。ミルフィー」
「いいのよ、そいつが悪いんだから」
「ら、ランファ先輩…っ」

ここ、エルシオールの艦橋では、再会を喜ぶ間もなく
半年前と同じ光景が繰り広げられていた

「でも、またみんなとあえて本当に嬉しいよ」
「私たちもですっvみんなこの日を楽しみにしていたんですよ」
「ミントさんとフォルテさんがいないのが残念です」
「大丈夫よ、二人もすぐ合流するもの」
タクトとミルフィーユの会話
そこにヴァニラが言葉を足し
蘭花がかたっぱしからツッコミをいれていく
そして
「ほら、お前ら…いつまでも喋ってるんじゃない」
レスターの一言で
「はーい」×3
「はい、了解しました」
終了

ココやアルモをはじめとした、ブリッジスタッフは、いつもの光景には見向きもせずに
黙々と自分の業務をこなしている

「ったく、おいタクト…再会を喜ぶのもいいが、任務のことも忘れるなよ」

ここでいう”任務”というのが”ちとせがタクトを迎えにきた理由”である
ちとせと合流後、白き月にはいかずエルシオールへ移ったタクトとレスターを待っていたのは
ミルフィーユ、蘭花、ヴァニラの3人の天使と、皇国軍宰相ルフトであった
(ルフトは、エオニア戦役後、女皇シヴァの相談役として宰相に納まっている)
再会を喜ぶタクトたちに与えられた、新たな任務とは
謎の強奪船団の調査・鎮圧。である
第3方面レナ星系に出現する正体不明の艦隊
最初はただの海賊行為だっただけのソレは
じょじょに力を持ち
また、その艦隊の仕様しているという戦艦が、先のエオニア戦役の
無人戦闘艦と酷似している、という理由から
ついにトランスバール皇国軍に正式な任務として下ったのだ

「わかってるよー」
「本当にわかってるんだか…」
やれやれと、レスターは肩をすくめて業務に戻った
その様子を見守って

くすくすくす

小さな笑い声
「ん?」
タクトが顔をあげると、ミルフィー、ランファ、それに珍しくヴァニラまでが笑っている
「おふたりもあいかわらずなんですね」
ミルフィーがそう口を開いたのをきっかけに
「安心、しました」
ヴァニラは普段はなかなか読み取れない表情をにっこりと崩して
そして、ランファが
「ったく、なんかかわったかなぁとかおもったら全然かわってないんだし!」
グリグリ
期待はずれよー、と意味不明なことをいいながら、タクトの頭に拳をあてた
「あははは…」
タクトが笑ってごまかそうとした、そのとき

「ランファ先輩っ!やめてくださいっ」

パシ

「へ?」

普段の恒例行事を中断させて不思議な声に、全員の視線があつまる
そこには
ランファとタクトの間に、わって入るちとせの姿
「ち、ちとせ?」
疑問符つきの言葉は誰のものだったのか
ちとせは、少しだけ緊張したおももちで
「マイヤーズ司令に失礼ではないですか」
「へ?」
「司令、大丈夫ですか?」
「え?あ…うん…」
つられて、タクトは、コクリとうなづく
その様子で、はっと我にかえったランファは
「ちょ、ちょっとどうしたのよ、ちとせ…」
怒るでもなく、あきれるでもなく、ただただ、事情が飲み込めない様子でたずねた
ちとせは、はっと我にかえると
「え、あ…す、すみませんっ」
「どうしました、ちとせさん?」
取り乱すちとせに、ヴァニラが穏やかな口調で語りかける
「すみません、ですぎたまねを…で、ですが、いくらなんでもそのような行為はマイヤーズ司令に失礼だと思います」
真っ赤になりながら、そう、きっぱりとランファに宣言し
「し、失礼いたしますっ」
ばたばたと、ブリッジを駆け出していった

プシュ

扉が閉まる音で、全員が我にかえる
「な、なんだ…?」
レスターが、いつもの”これだから女はわけわからん”という顔で一言
「もう、いったいなんだっていうのよ???」
なんで自分が怒られたのか、全然理解できずにランファ
「様子をみてきます」
ヴァニラが、すたすたとちとせのあとをおって、部屋をでた
その間も、当の本人…タクトは放心状態だ
いまだに自分になにがおこったのか認識できないらしい
全員が呆然とするなか
ミルフィーユが一言

「あ、マイヤーズ司令って誰のことかとおもったら、タクトさんのことかぁ」


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