短いのはお好き? 
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2003年08月22日(金)  小さい人通信






なななんとお風呂に浸かっている小さな人発見!





きょうはミルクの入浴剤の日で、白濁したお湯に洗面器を浮かべ、さらにその中の白濁したお湯に浸かる小さな人。





お椀の舟の一寸法師を思い出したりして…。



で、ぼくはまたも失敗をやらかしてしまったす。






ついついお背中流しましょうか?






と、親切心でいらぬことを言ってしまって、万事休す。 







小さい人はこちらを振り返りもせずに、ポッチャッと湯船のなかに飛び込んでしまったのでした。




ぼくも、思わず飛び込んでみたいなぁ。






なんて想わせるほどに、その飛び込みの上手だったこと!









まるでWater Boys!




なんてね。(ひとりだから、sじゃないっつーに)




でも、小さい人はなかなか水面から顔を出さないので、ぼくはおかしいなと思いはじめて、ああそうだ
まだぼくが覗いてるから警戒して出てこないんだと思ったけれども、いやそんなことじゃなくって今まさに溺れそうになっているんだから、一刻の猶予も許されない状況なんだとか考えているうちにも時間はどんどん経ってゆき、もうパニクって酸欠のカバみたいにタイルに四つん這いになってゼーゼーやっていると、とことこと駆けてゆく小さい人を目の隅に捉えた。





な〜んだ。




ま、よかった。よかった。





と思ったら、不思議と喘息の発作も収まってきたようだ。





ゆっくりと立ち上がり、後ろ手でドアを閉めようとしたそのとき、




トランスみたいなビートの効いた曲が流れだしたんだ。





思わずぼくは振り返る。





あああああああああああああぁあぁあぁぁあああぁあああぁおぁ!








ななななんと、小さい人たちが5人も。







それも、シンクロをやりはじめた!





ぼくは、なんかもうわけもわからず涙がでてきちゃって…。






だって。






か、かわいい。可愛すぎる。















2003年08月15日(金)   break point




もう寝なきゃと思いつつ
PCの電源を落せない
きみと繋がっていられるのは
ネットにつないでいるあいだだけだから




きみはもう夢のなかだろうね
どんな夢見てるんだろう
その夢のなかにぼくは出てくるのかな
出てくるわけないか




だってきみはぼくの存在なんて知らないものね
ぼくもきみのこと
知らないんだ
なにひとつ知らない




ただわかるのは
きみが助けを求めていること
きみが哀しみに打ち沈んでいること




でも
ぼくにできることは
なんにもありゃしない
こうして
ネットに繋ぎつづけることくらいしか




今夜もぼくはタイプしながら
ブラウジングしながら
いつのまにか
居眠りしてた




きみのこと
夢に見たよ
ほんの短いあいだだったけど
霧がかかったような紗の入った映像だったけれど
きみの横顔が見れたんだ




誰なのか
すぐわかったよ
オーラっていうか
醸し出してる雰囲気で








さっきまで
泣いてたんでしょ
目が赤かったもん…














2003年08月13日(水) Starless




玄関の壁に掛かっているルノアールの画の複製を何気なく眺めているうちに
なんとなく生きているのが厭になってきて
自分の部屋に入ってからすぐに手首を切った




どってことなかった
いつものことだし
あたしなんてどうなってもいい
誰も哀しみやしない




ベッドから突き出た腕から滴り落ちる赫い命
ちょっとやり過ぎたかもしれない
でもいいや
なんか気持ちいいし




あたまがもやもやしてたのがすっきりしてきた
もう恋愛なんてアホらしいんだよ
かんべんしてくれ




メールなんかしてくんな
とかいいながら待ってる自分が許せない
なんでケータイなんてあるんだろう
誰がこんなん考えだしたん?










はやく世界の終りがくればいい












2003年08月11日(月)   真希





いつもならば約束の時間に遅刻するのは直人の方なのに、今夜は逆に待つ身の辛さを思い知らされるのは直人だった。


今夜の待ち合わせ場所は、銀座のプリテンプス1Fの喫茶店。



実際にそんなプリテンプスなんて名のデパートは存在しないけれど、「プランタン」と直人が読めなかったことから、ふたりのあいだではプリテンプスなのだ。



そういった類いの間違いならば直人には前科が二つ、三つある。





その度に直人は言い訳するようにいった。



「おれってさ、語学の才能ないってか?」



「よくいうよ、あんたのはただのバカでしょ」





真希もその度にそういって笑った。






今夜も直人はいつものようにエスプレッソを頼んだけれど、やっぱり絶品だった。



香りといい味といい、どうしてこうも美味いんだろう。直人はいつもそう思う。







この店にきてはじめて一杯の美味しいエスプレッソがもたらす精神的な充足感を直人は身をもって体験した、なんていうとちょっと大げさだろうか。



つまりは、それだけ美味しいエスプレッソなりコーヒーと出遭えることは、海に落としたひとしずくの涙を掬い取るような僥倖であるということなのだ。





直人はきまってそんなことを考えながら一杯のエスプレッソを味わったけれども、今夜は真希のことが気になってなんとなく落ち着かなかった。





もう約束の時間を2時間も過ぎている。





いいさ、何時間だってまってやる。







直人は、窓辺の丸くて小さなテーブルを前にし、ガラス越しに道往く人たちを眺める。





この窓辺の席を、まるでショウウィンドーのようで居心地がわるいだろうなと思っていたけれども、いざ自分がこの場所に座ってみるとやけに落ち着いた気分になるのだった。





脚の長い黒いスツールにちょこんと腰掛け、アイボリーのお洒落な丸テーブルにおかれたエスプレッソを味わう。そして、真希がいればもう何もいうことはなかった。

















真希がいさえすれば…。

















2003年08月09日(土) doomsday




お元気ですか?





私はいま、あの幻の大陸アトランティスだったのではと噂されているサントリーニ島に来ています。





エーゲ海に浮かぶ真珠のような神秘的なこの島で、果てしなく広がる一点の曇りもないコバルト・ブルーの空、そして紺碧の海を眼前にして私は言葉を失いました。





震えるほどに美しいというものが、この世には存在しているんですね。






でも…。





この美しさは本当のものじゃないって気がします。


映画の書割みたいってゆうんじゃなくって、本来の自然の姿じゃないって気がする。






叫びたくなるほどに怖いです。




もう断末魔以外のなにものでもない、そんな美しさ…。






滅亡が、この世の終焉がもうすぐそこまでやってきている、そんな美しさなのです。






私は、世界の崩壊を鮮烈に思い浮かべて、両の耳を手で押さえ、滂沱の如く涙を流しながらおもいきり叫び声をあげます。





そんなことをしてもなんにもならないけれど、そうせずにはいられない。





さようなら…。











もうすぐ










すべての終わる日が来ます。



























2003年08月07日(木)  Fallin’ angel




桜木町で東横を下りた。


前をゆく女性の背が気になったのは、背中がすべて露わになっているからだけではない。


そこには天使の翼の「tattoo」が入っていた。


と、その女性が小さな白い翼を広げてホームから不意に飛び立った。




ぼくは、あっ、と声を上げていた。




彼女だけではなかった。


人々はつぎつぎにホームから飛び立ってゆく。



前を行くカップルの男が彼女に説明している。



「ワールド・ポーターズの屋上めざして飛んでゆくんだけれど、あれの殆どは撃ち落されてしまうんだ」


「撃ち落されるって!?」



「射撃の標的にされるんだ。クレー射撃のクレーだな、いってみれば。でも、仕方ないんだよ。罪は償わなければならない」


「いったい、なんの罪?」



「それは、彼ら自身でなければわからない」





「でも、この世に罪のない人なんているの?」



「そう、そのとおり。だから、ほら…きみも飛び立つときがきたようだよ」





そういって彼は先に飛び立っていった。






いったい、どうなってんだろう。





ぼくは、狙撃されて海に落下してゆく、文字通りの堕天使たちを想像した。


頭がくらくらした。



ゆっくりと階段を下りて行く。






不意に身体が軽くなったような感じがし、背後で羽ばたく音が聞こえた…。















2003年08月05日(火)  アダージェット



その日は朝からなんかちがってた。

ストラヴィンスキーなんか聴いちゃったりしてる。
かなりおかしい。


だって、ふだんは『武満徹』とか、『Arvo Part』とか、『Steve Reich』、『Philip Glass』、『Terry Riley』、『Alvin Lucier』、『Iannis Xenakis』、『Derek Bailey』、『Hans Reichel』、『Ornette Coleman』、『Robert Fripp』、『Andres Segovia』、『Dai Kimura』、『Larry Coryell』、『Pat Metheny』とかが好きでよく聴くんだけどさ。


世界の武満がストラヴィンちゃんに認められたことが、世界の武満になる大きな布石になったというのは、有名な話だし、そういう点からいうと恩義を感じないわけでもないんだけれど、なんかね。いまひとつ好きくないのですよ、これが。


出だしは、静かに始まってふむふむいい感じでないの、なんて思ってたら不意にドでかい音で、ガッシャーンとか鳴るの多くありませんか、このヒト。


『火の鳥』でも確かありましたよね? はじめて聴いた時、持ってたコーヒーを取り落しそうになったことを思い出します。




そこいくと、やっぱブラームスでしょうか、甘美ですよね。バッハも好きだけど。
グレン・グールドのやついいですね。









というところで、現実の音に夢想は切断されてしまった。





真理雄(まりお)は、朝食のあとソファにねっころがって新聞を読むことを日課としているのだが、それはなにも政治や経済の動向をいちはやく知りたいからではなく、単に活字を見ていると落ち着くからだった。




そして、活字を見ながら真理雄はさまざまなことを夢想する。





今朝は、自分がFM局のパーソナリティーになって生放送のON AIR中という設定だった。

BGMは、カラヤン指揮で。マーラー『adagietto』(交響曲第5番 第4楽章)






で、現実の音とは、ケータイの着信音だ。

フィリップ・グラスのヴァイオリン・コンチェルト第2楽章へと曲が移行した、ちょうどその時にケータイのデリカシーに欠けるピロピロが鳴り出したのだった。


そこでこちらもそれに対抗すべく即座に『String Quartet No. 4, Sz 91 - Allegro』を鳴らしはじめた。Bartokである。ざまーみさらせ!

この強靭な音塊の前では、ひしゃげた安っぽい電子音など問題外以外の何ものでもないのだ。




そう、真理雄は独りごちてチャリに跨ったまではよかったのだけれど、案の定、前が見えない。というのも、今朝は目を瞑ったままでお出掛けしてみようと思っていたからだ。

仕方なくチャリンコに乗ってゆくのは諦めた。


はじめから、ダメにきまってるのだが、そこは真理雄の悲しい性。実際にやってみないと諦めきれないのだった。


でもでも、真理雄はそれしきのことでは諦めない。
BGMは、Debussy『月の光』。



朝だというのに、全身に月の光を浴びて…。







真理雄はまっすぐ、まっすぐ歩いてゆく。


目を瞑ったまま…。




「さぁ、みなさんも目を瞑って歩いてみませんか?」



ON AIR
中だ。











2003年08月02日(土) evening star




「もうこんな時間になっちゃたねぇ」




いきなり、そう云われてびっくりした。

振り向くと、久々に小森くん登場!



ぼくは、マコちゃんとアツヒコと待ち合わせしてたんだけど…急にアツヒコが残業で来れないってメールが入って。

あ、花火大会ね。



マコちゃんがどんな浴衣着てくるのか、ほんとすっごく愉しみだったのになぁ、ちぇっ。


「そういえばさ、浴衣で思い出したけど例の全然リアル感の欠如してるタッキーの出てるドラマあるっしょ? まずさ、キョンてなによ、サイテーじゃん。いや、タッキーはサイコーすよ。ホン書いてる奴がなに考えてんだコイツと思わせるんだよな…」



↑って、云ったのは小森くんね。


「え〜! なんで? おれ今さ、声に出して云ってなかったはずなんだけど? もしかして人の心を読めるの?」



すると、小森くんはどんなもんだいってな感じでハンチングを目深に被りなおすと、


「ま、ね。おれ、ほらヨガマスターだからさ、なんでもわかっちゃうってえーの」




「そうか、そうだったね。久々の登場だからすっかりそんなこと忘れてたよ」




「で。なにさ? 今夜はやっぱ花火観にきたの?」




小森くんは、そんなのきまってんじゃん…みたいな顔をして、チビたタバコを、もの凄く重たそうな、これぞまさしくへヴィー・デューティのキワミってな感じのブーツの底でもみ消してから、携帯簡易灰皿のなかに入れた。



なんだよ、それ持ってんならわざわざ靴底で消す必要ないじゃん、なんて無粋なことぼくは云わない。

小森くんには小森くんなりの美学があるんだ。




「よし。じゃ、今夜はどうしよっか?」と小森くん。



「勿体つけてないで早くいえよ」




小森くんは、なにも言わずに上を指差した。







ぼくらは、ランドマークとクイーンズ・スクエアのあいだにある素敵なモニュメント? に登りはじめた。

まさか、こんなのに登るはめになるとは…。






地上は花火の見物客で芋を洗う状態で移動もままならない。ぼくらは、そこからいとも簡単に抜け出した。




空気が徐徐に澄んでゆく。浜風が心地よく頬をなぶってゆく。








誰かが気がついた。通報される前に登りきらないと…。
てか、ここはオマワリばっかっじゃん!



数人の警官が登ってき始めた。










早くも頂上に辿りついた小森くんは、こっちだと手招きする。
ぼくが、やっとチューブを通り抜け小森くんの横に顔を出したとき、



ちょうど花火がはじまった!



ドーン!!






ぼくらは、一斉に声を張り上げる。



「たまや〜!」



「かぎや〜!」








 


 


2003年08月01日(金) +++小さい人通信+++




きょう、はじめて小さい人の声を聞いた。



ぼくの部屋の壁に立て掛けてあるギターのハードケースのてっぺんにちょこんと彼は座っていた。それも、なんと小さなギターを抱えて。



これには、驚いた。



ていうか、思わず可愛いと呟いていた。




そのギターのヘッドは、オヴェーションにとってもよく似ていたんだけれど、こっそり後ろから覗いているだけだから、確かめようがないのが残念だった。



小さい人は、手馴れた手つきで弦をはじいてきれいなハーモニクスを奏でると、あっという間にチューニングを終えてしまった。耳がいいんだなと思った。(むろん、耳がよく聞こえるっていうことじゃなくって、いわゆる音感がいいということだけれど)




で、やおら彼はギターを弾きながら唄いだしたんだ!




曲がまた凄かった。




tATu だった…。




んなわけなかった。



小さい人が唄いだしたのは、『いちご白書をもう一度』なのだった。





この曲が大好きなぼくは、歌詞のなかに出てくるようにちょっぴり涙ぐんでしまった。




そうして。




感動してしまったぼくは、彼が唄い終えると自分が覗いていることも忘れて拍手してしまったのだった。




しくじった…。






小さい人は、空気のなかに拡散してしまうようにすーっと、また消えてなくなってしまった。








次はいつあえるかな…















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