太陽の国(墺西)

「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・なんやねん!来て早々不機嫌な顔すんなやー」
「・・・別に、不機嫌な訳では・・」
そう言いながらもふぅ、と息を吐く。額から汗が流れて頬を伝っていくのがとても不快だった。
外よりはマシだけれど家の中までもやはりスペインは暑かった。慣れない気候にオーストリアは少しぐったりしてしまう。
ソファに凭れかかり目を閉じていると左側が沈む気配がして視線を軽く向けるとスペインが座って口を尖らせていた。
「わざわざ人んちに来てだらけるなやー」
「あなたの家が暑すぎるのが悪いんでしょう」
そう言うとスペインからは「えー」と抗議の声が上がるが、無視してオーストリアはだらけることを止めない。
と、急に左側の気配が動いたのでオーストリアは目を見張って立ち上がったスペインを見上げる。
「ほなめーっちゃ美味い紅茶淹れたるから!そしたらしゃんとしてやー。なっ?」
満面の笑みでそう言われては、頷くしかないじゃないか。オーストリアは苦笑を浮かべる。
「美味しくないと許しませんよ」
「任せときぃー」
パタパタとスペインはキッチンの方へ走って行く。

美味しくなかったとしても、好意に免じて美味しいと言ってあげようか。と考えてオーストリアは少し微笑む。
2008年04月27日(日)

「きよらかな慕情」「私の心に哀しみを」(日+ロマ)

「もうすぐ母の日ですね。スペインさんの所にもそういう日があるのでしょう?」

「あー・・・そういえばあったな・・・」

「日本ではカーネーションを贈る風習があるんですよ」

「・・・何が言いたいんだよ」

「贈ってさしあげてはどうでしょう」

「はぁ!?だ、誰に!」

「スペインさんに。喜びますよ?」

「誰がやるかよ!つか母親じゃねー!」

「あぁ、では父親ですか?父の日というのもありますが・・・」

「だからなんで親なんだよ!」

「じゃあ、どういった御関係で?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫁?」

「・・・」

「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・ツッコめよ!なんか空しいだろ!」

「えっ、あっはい。すみません・・・」

だってあなた、目がマジだったじゃないですか。






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スペインでは母の日は5月の第1日曜日らしいです。
2008年04月26日(土)

これもまた幸せだとわかっているから(ロマ西)

「・・・なんだよ」
「んー・・・ふふっ」
「だからなんだよ!」
「いや、べつに〜?」
「・・・」

さっきから、ずっと、こんな調子だ。
楽しそうにこっちを見て、一人満足そうに微笑む。
なんなんだ。と、何度問いかけてもその返答は変わらず「別に?」と楽しそうに返される。
・・・本当に、なんなんだ。
「はぁ・・・」
思わず深いため息を吐いてしまう。
「なんや、疲れとんのか?」
不思議そうに顰められた眉が憎らしい、と心底思った。

誰のせいなんだ、誰の。

睨んだ所で、この空気の読めなさには定評のある親分には何一つ俺の気持ちなど伝わらない。
「・・・なんでもねぇよ」
「そうなん?」
きょとんとするこいつに俺は肩を下ろして諦めるしかない。
仕方がない。これもまた、いつものことだから。
2008年04月16日(水)

雑煮 / オレ君