言葉のサラダ
黄と藍



 泳ぐ風船


潜ってみたら
意外と綺麗

泳いでみたら
気持ちいい

岩を見つけて
触れただけなのに
壊れて
バラバラになった

海面まで登った私は
空気に溶けて
飛んで行った

もう見えない
もう消えたから

2003年07月31日(木)



 白線


膨らむ膨らむ
大きな風船のように

溢れる溢れる
壊れた蛇口のように

爆発しそう
ゴミ箱はどこ?
ゴミ袋が足りない

破壊しそう
残りはどれくらい?
こんな小さな部屋だから

有り余ったのは
どこにしまおう
窓から投げ捨てようか

踏み切りが良く聞こえる

2003年07月30日(水)



 ざー子


割れそうに痛むのは
雨の所為

布団に蹲って
体温計を使うべし

みんな風邪引け
今こそ風邪引け
倒れてしまえ
倒れてしまえ

喉を押さえ込み
せきをして
身を震わせ
クシャミでもしてやれ

移せ
移せ
風邪菌飛ばせ
困って
困って
泣くまで
やるのだ

2003年07月28日(月)



 ゴミ箱


明日のことなんか
考えずに過ごせる
日曜日があったら

家族のことなんか
忘れられる部屋で
一日中篭っていたい

時計も光も無い
静かな部屋で
眠れる夜があったら

お金で買えるなら
買いたいものは
いっぱいあるのに

殴っても
蹴っても
投げても
壊れないところで
壊しつづけたい

坂を下る自転車の
ブレーキに一切力をいれず
どこかに逝けたらなぁ

2003年07月24日(木)



 帰宅


なみだで
ぐちょぐちょになった
コンタクトは
スルスルと
目玉から離れて
赤シートの上で
潰れた

口内に余る豆腐
食べきれずに
お皿に残した
席を立った夕食
伯母さんたちの
高い笑い声が
後ろから良く響いてた
話を右から左へ流されてて
脱線させられて
矛先をあたしに向けて
喋る気も
食べる気も
考える気も
失せた

鼻水が止らない

2003年07月21日(月)



 ふうせん


割れそうになって
叫び声をあげてた
両手で挟んで
空気が逃げる
ペンを持って
突き刺す
突き進むペン
高鳴る思い

両手の力を抜いた
遠くへ叩いて飛ばす

やっぱいいや

2003年07月20日(日)



 


全身をアリが這う
ゾワっとした

振り払って
目の端に見えた
黒い影

擦り潰れて
今は足元

足を伝う厭な感じ
まだずっと残ってる

2003年07月18日(金)



 


明日はまだか
家は何処か
時間は何時か
いつまで続くのか
いつに終わるのか
気になる薄箱
気になる老い人

聞こえる
アナログの音
頭痛に襲われ
眠気は行って
眩しさに耐え
息を深く吸う


何故こんなにも夜は長いのか

2003年07月12日(土)



 ウミ


泣きたくなってきた
悲しい
怒られたのかなぁ
辛い
予想はしてたのに
恐い

塊は崩さなくちゃ
破片は危ないんだよ
流れの所為にして
逃げてちゃいけなかったんだ

でも
叩かれるの恐くて
甲羅に頭隠してたのは
あたしなんだよね

2003年07月10日(木)



 夜の灯


元気が出ない
やる気が消える

火をつけたのが早すぎて
燃え尽きるまで短くて

安易な思いは
容易に崩れ
幼稚な脳へ
警告音

内へ篭り
外を塞ぎ
一人帰らず
待つ者ですらない

2003年07月09日(水)



 →←


矢印は向かい合っている
常に反発している
足した力は100になる

矢印は向かい合う
いつもなんども

2003年07月07日(月)



 ボール


頭を叩くのは簡単
足を踏むのは簡単

零れ落ちるデータ
崩れ行く足場

最初は拾おうと思っただけだった
最後まで診るつもりなどなかった

足跡は深く
永遠に残る

鳴る音に
振り返り
目を開いて
受け止めん

2003年07月06日(日)



 遊園


嘘を吐いちゃいけないよ
大人の言うことを守って
人の話は最後まで聞いて
食べ物は残しちゃだめだ
砂場へ一人で行かせない
毎日御本を読みなさいね
お友達をぶってはだめよ
寝る前には歯を磨こうね
朝起きたら布団は畳みよ

お母さんはそればっか
見上げて指を繋ぐ
跨るお父さんの肩
首を絞めたらどうなるかな


青ざめた顔
朱に染まる指
ただ、遊んで欲しかった

2003年07月05日(土)



 崩れ落ちる空の下で


花束を抱え
白い箱へ跪く
空は心地良い風が吹き
雲は伸ばした生地のよう

少年は手を見つめ
空を見上げ
地を見下ろし
白い箱を見つめ直す

やがて
空の生地は青くなり
重い粒を降り注ぐ

良く見たら
大したことでは無かった
大袈裟なのは少年だった

2003年07月04日(金)



 間抜け


足を振って
土を蹴って
決して振り返らず
決して騙したりもせず
大きく息を吸いなおし
深く息を吐き出して
数キロ先の箱を目指す

2003年07月03日(木)



 


理屈は簡単に理解できる
どうすればよいのかも分かる
手足さえ付いてくれば
この巣へ戻らぬツバメを
手に納めることが出来るだろうに

2003年07月02日(水)
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