ジョージ北峰の日記
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2004年03月21日(日) 自衛隊のイラク派遣

 最近スペインではイスラム原理主義者による甚大なテロ攻撃に屈して、イラクから撤兵するのではないかとの報道があり、続いてヨーロッパの数ヶ国も同調する可能性があるとの報道がされた。さらにテロリストが次の標的は日本だと発表したそうである。そこで、日本はどうすればよいのか、と又議論が蒸しかえされそうな雰囲気になってきている。
 もう一度日本は何故自衛隊をイラクに派遣したのかを明確にする必要があるだろう。
 それは日本がアメリカの同盟国だからと言うのも一つの理由だろうが、日本は国家間の紛争を武力によって解決しないというのが大前提である。したがってアメリカの軍事力を助けるのが目的で自衛隊は派遣されたのではない、との決意だけは明確に述べる必要があるだろう。アメリカの軍事力を持ってすれば、いかなる戦争も通常の戦争なら日本の自衛隊の力など借りる必要など全くないはずである。単なる戦争ならアメリカ単独で十分解決できると信じる。
 日本がイラクに自衛隊を派遣した理由は、自らが紛争の真っ只中に飛び込みこの紛争を如何すれば解決できるのかを日本のやり方で日本独自に考えるためだったとするのが正当だろう。
 K首相が9.11事件後、アメリカのテロリストに対する戦いを支持したのは間違っていなかったと私は今も信じている。ただ、しかし続くアメリカのイラク攻撃が正しかったかどうか、(その正当性については、今後歴史家が明らかにしてくれるだろうが)日本の対応があれでよかったのかどうか、と言う問題は残ってしまった。K首相は(彼の発言内容から推察すれば)アメリカの始めた戦争の大義(大量破壊兵器の破壊、フセイン独裁政治の打倒と民主主義政府の樹立)を最初は少なくとも信じていたように思う。私でさえ、最初はアメリカ、イギリスの情報収集能力をほとんど100%信頼していたので、大量破壊兵器はきっと見つかると信じていた。
 殊に9.11の事件を見てからは、仮に大量破壊兵器が密造されテロリストが容易に手に入れることが可能になり、世界中で使い始めたなら、それこそ大変なことになると誰もが考えたと思う。その意味でも、この時点でK首相がアメリカのイラク攻撃を支持したのは、やはり仕方がなっかたと考えられる。 問題はそれから後のことである。
 アメリカ、イギリスの指導層の口から、少なくとも大量破壊兵器はなっかたとの証言が出始め、アメリカの始めた戦争のもっとも重要な大義はなかったとされた(その真実はまだ不明かも知れないが)。そしてもう一つの戦争の大義、独裁者フセインによる恐怖政治は打倒された。ーーーつまり戦争の当初の目的はもう達成された様に思えるのである。
 これ以上戦争状態を望む者はいないはずである。にもかかわらず紛争は泥沼化しつつある。何故だろう。その本当の理由を日本は明らかにし、アメリカに対して適切なアドバイスをすること、そしてこの紛争を早く終結させることが今後日本が果たすべきもっとも重要な役割になると考える。日本はその為に自衛隊をイラクに派遣したと考えたい。
 口には出さないけれど、世界中の人々(イラク人も含めて)は、実はアメリカの大義を信用していないのではないか?それこそがこの紛争を長引かせている大きな原因の一つである。これまでアメリカは正義の国として(100%ではないにしても)信頼されていたのである。しかし今回の紛争はアメリカの一部の欲深い人間が石油の利権を独り占めしようとしているのではないかと疑っている。(そのことがこの紛争にかかわる国々の後ろめたさとなっているようにさえ思える)
 考えてみればB大統領も気の毒である。今、彼がどのようにアメリカの正義を演説しても、どうも説得力がないのである。私は、彼の側近の選び方に問題があったのではと考えている。このままいけば彼の功績(独裁政治家を震え上がらせた)も吹っ飛んでしまう可能性があるだろう。K首相も今、アメリカの間違った行為、国際政治であからさまに同国の利権をちらつかせることは、これまでのアメリカの栄光の歴史に汚点を残すことになる、と誠意を持って忠告すること、そしてアメリカの今回の行動が誰から疑われることなく、正義からなされたことと、国際的に支持されること以外、この紛争の解決の糸口は見つからないと強く主張する必要があるのではないだろうか。その為なら日本はアメリカを全力で支援すると約束すればよいのではと考える。そうであってこそ、派遣された自衛隊の人々の命がけの努力が報われるのではないかと思えるのである。


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