『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2007年10月31日(水) シトリン。


うすくらやみが霧になってうしろから駆けてくる
たくさんの暗いことを囁きながら腕を捕らえて脚を掴んで


わらいごとと思わせる性分を嘲りながら
あたしは、それから出ていけない
打ち立てた檻は意外と強固にできていて
つくりわらいも冗談もキャンディみたいに
人工的に甘く甘くそこらじゅうにころがっているので…ころがしているので


白い服で
白いしかくい部屋のなか
のびた髪をたらして
ころがる甘い色をみている

飴も風船もいろがみも
うつるだけは目にうつり
網膜をとおりすぎて
あのカラフルは、いつ、なにに反響したの


あなたの声がききたかった
やすらぎじゃなくても
おしまいにする前にのぼるべき階段みたいに
その気持ちだけがふかくふかく
とうめいに飴色の化石になっているんだと告白したら
あなた、どんな顔をするだろう

……想像をはばたかせるのはやめました
ただできるだけたくさんの楔をうちながら此処にいる
……いなくてはならない



2007年10月25日(木) 13才。


だれかいませんか

……たずねた。

のばした片手がくうをかきまわすのを
片目のあたしがぼんやりみていた

そうだ忘れたらいけないあたしは
通りすぎていかれるものだから

たとえば、想い出なんかの冷凍庫。


冷凍庫は、ものを言わない
ときたま
だれかの背中のよりかかる場所になったり
たくさんのヒトリゴトを
聞くともなしに、聞いてる

仕舞われてるのは
きりはなされた「時間の花」なの
あなたのもあなたのもあのひとのも
みんな
あたしあずかってる

要らなくなったけど
枯れてない


想い出なんて堆積してゆく
いつかきれいな地層になる

冷凍庫がひめいをあげたら
だれが
それをききつけてくれるんだろう


あかがほしい。



2007年10月08日(月) 独白、訪問者。


きみが眠りに落ちると

ぼくはひとりになる



ぬくもりは、触れることのかなわないものへ

したしみは、息をひそめて部屋中へちらばる

ぼくの、みえないところへ



夜があんまりばらばらに訪れるから、ぼくは

そのリストからもうずっと外されたような気がするんだ

きてしまう朝を横たわって待ちながら

(ほんたうは待ってなどいないがけれど)

厚い雲や雨が掻き消してくれることを

いのって、いて



2007年10月02日(火) 恋しいものごと。

錠剤が、トモダチに、なった。

口をひらいても
意味あることは
出てこない……混濁

泣けたらよかった
泣けたらいい

そんな確信はあるのだけれど
ずっとたしかな核として沈んでいるのだけど
なのに
あたしは泣きかたを、忘れたらしい
涙の出しかた、とか

笑いや冗談はいくらも出せるのに
そしてそのたび
へたな釘打ちのよに、わずかずつ
沈み込んで、ゆくのに

しっかりと捉らえられたよ
どこかよく知らないこの場所に叩き打ち込まれて

……トモダチ。

あなたに頼る理由はいくらもあり
それを禁じる理由はどれも
力弱い、と真夜中にヒトリ感じてしまった


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真火 [MAIL]

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