土曜日生まれは腰痛持ち

2008年11月25日(火) 恥ずかしいと思わんのかっ/憧れの高校時代

厄介な仕事をやっと納品できました。
いつものように、某市議会の記録作成ですが、
議員の質問や意見はきちんと聞き取れるのに、
執行部の説明の録音状態が残念無念だったのです。

それよりも残念だったのは、
いい年をしたおっさん・おばさんであるはずの
議員さん方が、
自分の出番でもないのにまーよく口の運動をなさるので、
議長や事務局の方が都合4、5回
「静かにしてください」「静粛に」と注意しているのまで、
しっかり録音されていたことです。
傍聴等の経験はありませんが、
例えば中学生議会のほうが、もっと規律正しかろうと
容易に想像できます。

何だかもう……あ〜あって感じです。

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話題はがらっと変わりますが、
よしながふみさんの「フラワー・オブ・ライフ」全4巻を
一気に読みました。
既に「きのう何食べた?」「西洋骨董洋菓子店」
「愛すべき娘たち」などを読んでいたので、
好きな作家さんでした。
いわゆるBLをよく扱う方なので、
敬遠する方もいらっしゃるようですが、
もんのすごくおもしろかった。
ストーリー、作画、台詞回し、キャラクター、
どこをとっても、なかなかお目にかかれない傑作です。
どう頑張っても、齢40のこの期に及んで
高校生になんかなれっこないけれど、あえて、
「こんな高校に入って、※武田隈子(たけだすみこ)的キャラで
学校生活送りてー」
と、口に出さずにはいられません。

武田隈子
2巻で初出。ごく内向的な少女だったが、
ディープなオタク少年真島(1−D)により
まんがの才能を見出され、新しい世界が開ける。
「リング」の貞子ばりの長い黒髪の下には、
正統派美少女の顔立ちが……
70年代の少女漫画を手本に描いた傑作歴史ロマン
「ルイジアナにひな菊咲いて」
所属する1年A組の文化祭実行委員をして
「1−Aの宝」と言わしめる。

知性と冗談っぽさが同居したキャラクターで、
まんがの登場人物にしておくには惜しい人材である。
(まあ、まんがだからこそのキャラなんですが)



2008年11月14日(金) 「ゆうしゅうのび」

上の子が中学生のころ、成り行き上
PTAの広報委員長をやっていたことがあります。
年に1、2回のゆるゆる刊行ですから、
別にそう大変なこともなかったのですが、
名ばかりでも委員の実績をつくるのだけが目的らしく、
(そうすると翌年以降パスできるから)
1回もミーティングに来ないという度胸のいい方も
結構いらっしゃいました。
それでも人手は十分足りていたので、
最初からこの半分でもいいのになぁというのが本音でした。

担当の先生は、
3年生の国語を担当なさっている若いK先生で、
「オグシオのどっちか」という雰囲気を持った、
かわいらしい人でした。

ある日、3年生の女の子に頼んだ原稿に目を通していると、
文中にこんな表現がありました。

「……「優秀の美」を飾りたい。……」

ん?これは単なる間違いか?それともわざとか?
人に文章指南をする立場にある本多勝一さんだって、
「アメリカ合“州”国」ってわざと表記しているくらいだし、
何がしかのコダワリがあるのかもしれないし……
とまでは、さすがに考えなかったものの、
判断つきかねて、K先生に尋ねることにしました。
本人に確認するには時間的に微妙だったので、
この子にも国語を教えているであろう先生なら、
何かヒントをくださるのではと思ったのです。

「……どうですかね」
「この子ね、すごくまじめな子なんですよ。
だから、素で間違えたんだと思いますよ」
「はあ……」

まあ、K先生がそう言うならと、
「有終」と書き直したはいいのですが、
どうしても「」がついていたことにひっかかりを覚えます。
もう4年も前の話ですが、
あれはひょっとして「わざと」だったのでは?と。
K先生も太鼓判を押すまじめな子の一世一代のボケだったら、
直したことで、傷つけてしまったのではないか……と。
今となっては、確かめようもありませんが。

なぜこんなことを思い出したかといえば、
私が住む市には、中学3年生を対象にした文学賞があり、
その今年の受賞者が新聞に載っていたのを見たからでした。
男子向けが、久米正雄に由来する「久米賞」、
女子向けは宮本百合子からとって「百合子賞」といいました。

私も中学3年のとき出品し、玉砕したことがあります。
書きたくもない旅行記と、ぐたぐだのエッセーと、
私なりのアバンギャルドを目指した詩でしたが、
(文章創作を2、3本まとめて出すように指
導された覚えがあります)
今思い出すと、
あんなもんをまじめに読んで、
しかも寸評を与えなくちゃいけない審査員に
同情したくなる出来栄えでした。

旅行記は、400字詰原稿用紙30枚に迫る
中学生にとってはかなりの大作でした。
添削に当たった国語教諭の鼻息も荒く、
毎日赤ペンを加えられ、何度も何度も書き直したのですが、
審査員からいただいたのは、
「おっとり口調の酷評」だけでした。
こうなると、国語教諭の指導手腕も疑われるってものですが、
最初から字の誤りぐらい訂正して出したほうが
同じボロクソに言われるでも、まだ納得がいきました。
「残念だったね」「はい…」
でも賞の性質上、「来年頑張ろうね」とは続けられません。

ところで、直せるのは字の誤りくらい…とはいえ、
「ゆうしゅうのび」の件もあり、
これもまた判定しづらいことがなくはありません。
中学生ぐらいまでなら、何か間違っていたら、
まずそれはただの誤認と判断できるかもしれませんが、
中学生ぐらいだからこそ、
痛々しいほどの思い込みを抱えてもいます。
「そんなのおかしいよ」と大人から言われて、
「私の辞書ではこうです。放っておいてください」
と頑張る子と、
「はい…(ったく、頭かてぇんだよ、この年寄りがっ)」
と引き下がる子と、
どっちが多いかといえば、やっぱり後者でしょう。

ここまで引っ張っておいてナンですが、個人的には、
「有終」を「優秀」とこだわりを持って置き換える人がいても、
失礼ながら、別におもしろいとも素晴らしいとも思えないので、
くだんの女子生徒のアレが単なる間違いであったことを
願わずにいられません。



2008年11月13日(木) ちょっとだけ「言葉の専門家」ぶってみる日記

麻生首相の漢字誤読連発現象が
そこそこ話題になっていますね。

今のところ、
「踏襲 ×ふしゅう ○とうしゅう」
「未曾有 ×みぞうゆう ○みぞう」
「頻繁 ×はんざつ ○ひんぱん」
あたりがクローズアップされていますが、
首相になったから取り上げられるだけで、
過去にもいろいろお茶目なことをおっしゃっていただろうと
想像に難くありません。

もっとも、原稿を用意した上での読み間違いという意味では、
「ひんぱん」と「はんざつ」は、
読み間違いというよりも見間違いかもしれません。
んなこといっても、なーんのフォローにもなりはしませんが。
それに、前後のつながりなどでちょっと考えれば
まだ想像がついて解決する程度の間違いなので、
迷惑度の点でもそう高くないと思うのです。

そこいくと、地方議会はすごいっすよ。
読み間違い云々というよりも、
そもそもそんな言葉はあるのか??と思うようなものに
たびたび出くわします。
それも訛りがひどい地方の方だと、
まず何を言っているのか聞き取れずというのも日常茶飯。
定例会最終日に、各種委員会の委員長が報告を読み上げますが、
その報告書は、職員や委託業者が作成することもあり、
職員は、読み誤りやすい箇所にルビを振ることもあります。
(「“も”あります」の濫発が耳障りかもしれませんが、
実態は……いやいや、ここでは言いますまい)
でもって、ルビ振らなかったような
想像もできない箇所を読み誤るのが
議員さんたちの性癖のようです。

よくある間違いで真っ先に頭に浮かぶのは
「進捗 ×しんしょう(稀に「しんぽ」) ○しんちょく」
あたりですが、
前々から不思議で仕方ないのが「時期尚早」です。
これはもちろん「じきしょうそう」が正しいのですが、
間違っているのか、無意識なのか、
なぜか「じきそうしょう」と読む方が、
アナウンサーでも時々いらっしゃいます。
んじゃ漢字書けやと言われれば、
意外と正しく書く方が多い気がします。

なぜそう思うかといえば、以前いた職場のワープロに、
「じき“そうしょう”」が単語登録されていたのですが、
表記は正しく「時期尚早」となっていました。
辞書を引いたなら、「そうしょう」は誤りだとわかりそうなものだし、
とにかく何か見て字面はばっちりつかんでいた証拠でしょう。
「このワープロ、こんな言葉もでやしねえ」と
ぶつぶつ言いながら登録したと思われます。

ついこの間、「該当(がいとう)」を
「かくとう」と誤読している例に出くわしましたが、
正直、わかるようなわからんような間違いです。
誤読の多くは、旁(つくり)の読み誤り(思い込み)で
起こりますが、
そもそもこの漢字にそんな読み方ねーよと言いたくなる誤読にも、
ある種の規則性があるのは不思議です。
と、ここまで書いてきて、ローゼン麻生首相の誤読には、
「そんな読み方ねーよ」のツッコミが利かないことに気づきました。
「ふしゅう」にしても、音訓が無理にごちゃごちゃだけど、
まあ、「ふ・む」の「ふ」だし、
「ひんぱん」も「はんざつ」も、言葉としてある上に
用字が一つとはいえかぶっているし、
漢字が苦手というより、漢字がもう一息ということなのでしょう。

ところで、麻生首相が評価したことで話題になった
「ローゼンメイデン」…はよく知らないので、
私は何も言えませんが、
あの作品の作者PEACH-PITさん(たち)は、
これまた大人気の「しゅごキャラ!」でもおなじみです。
もしも首相が好きなのが「しゅごキャラ!」のほうだったら、
全国の女子小中学生(「なかよし」愛読)の親御さんは、
夕餉にテレビでニュースなど見つつ、
「この人、「しゅごキャラ!」が好きなんだって」
と小ネタを振り、
「えーっ、オジサンなのに〜」と
娘たちのテンションを上げたり下げたりすることでしょう。


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