流れる水の中に...雨音

 

 

バルネラビリティ - 2006年02月28日(火)




私の周囲にには 常に抑鬱傾向のある人物がいたように思う。
きっと それは珍しい事ではないのだろうけれど ある種の人間にとっては、それはとても迷惑なことで、そしてそれは私にとっても当て嵌まる事である。

『鬱』状態にある人間は まるで怯えた犬のようである。
人と目を決して合わせず、身体をびくつかせ、そして静かに唸っている。
ある一線を越えると 過剰に防衛本能が働き 狂ったように襲い掛かって来る。

私は そういう人を幾度も見て来たように思う。そして私は、そういう状態の人が発する目に見えない波動のようなものに共鳴しやすい体質で それはそのうち私へと伝染することになる。

鬱のメカニズムはまだ完全でないにしても、セロトニン濃度の減少が関係していると言う説が一般的である。それは充分にわかっているのだけれども、不思議と『鬱』は伝染する。

誰かがそこで波動を発すると 私はそれに 意に反して シンパシーを感じてしまう。仲間意識が介在するわけでも無く そうしようと自ら飛び込むわけでも無く。

今 私は脆弱である。
自分でもわかるのだ。どこかで拾って来てしまったようだ。あの日、あの時。








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ふたたび。 - 2006年02月23日(木)



何年ぶりだっただろうか。
彼の姿を遠くにみつけたとき 懐かしさよりも親しみに近い感情が溢れた。
時の経過に反して 彼は全く変わって無くて どこかちょっと拍子抜けした。
イタリア製のスーツにフランス製のシャツとネクタイ、イギリス製の靴。
それでいて 嫌味でないのは人懐っこい笑顔の所為だろう。彼は屈託なく笑っていた。

席に通され 話を始める。だけど 不思議と話す事柄が見つからない。
とても懐かしかったから 沢山はなすべき事柄があると思っていたけれど 意外に何も伝えたいことが無いと気づいて はじめて理解した。

「別れた男から得るものはない」と誰かがいってたけど 本当にその通りだ。伝えたい事もなければ、聞きたい事も特にない。
そんな思いを持て余しながら 時間を過ごしていた。

話の途中 ときおり彼の顔を眺めると 彼はまるで 何かを慈しむような、懐かしむような、そんな目で私をじっとみていたから 少し気になっていたけれど その答えを今朝のメールに発見した。

「それにしても 凄く幸せそうだったね」


ずっと 彼の事が気掛かりだった。心の何処かで 申し訳ないと ずっと思っていたから。だけどどうやら順調そうで 正直 肩の荷が下りた。
それを見届けられたから それだけでも会えてよかった。


別れ際 春に東京に来る時は連絡してくれと言われたけれど 多分 私からは連絡はしないだろう。
曖昧にうなずいたけど 今朝のメールの返信に「さよなら」のかわりに 「お仕事頑張ってね」と そう書いて送っておいた。






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昔の彼氏。 - 2006年02月17日(金)



夜 電話をかけて来たのは もう随分昔の彼氏だった。

昔と変わらない声が受話器の向こうから聞こえて来たから 私もまるで あの時の私のままであるかのような錯覚を覚えた。
「わかる?」と聞いて来たけれど 不思議と声を忘れていない。
必要なことは忘れて行くのに 不必要なことだけは 何故か忘れていなかったりするものだ。

彼は日比谷で公認会計士をしている。
一言でいうと まったくの「ボンボン」で そして私はそんな彼の「ボンボン」的性格がとても好きだった。
結果的に 彼を選ばなかったのは その大好きな「ボンボン」的性格ゆえだったけれど 彼の性質を否定するつもりは全くない。

「君はいま なにをしているの?」と、30を越えた女に尋ねる質問ではない。答えはおおよそ決まっているからだ。

「主婦よ。子供もいるしね。」

そう。。と暫くの沈黙ののち 彼はそう答えた。


結局 彼の用件は 来週、会計監査の為に大阪を訪れるらしい。
食事のお誘いだ。

とても懐かしいから 子連れなら 食事くらい構わないのだけれど それはきっと 彼の望んでいることでもないだろうし 私の望む方向性にも修正できそうにない。


いくつになったの?と尋ねると 「わかるだろう?」と。
どうだろう。 
最近 私は自分の年齢すら 忘れてしまうのだもの。


だけど もう 過ぎ去ってしまったことだけは事実なのだから。





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忍者ツールズ。 - 2006年02月16日(木)

この「エンピツ」サイトもブログも リンク元が判る機能がついているのだけれれど、以前、よくわからない隠しページから飛んで来ている軌跡があった。
その隠しページには私のサイトのアドレスが表示されていて、そのアドレスの前部分には忍者ツール経由でそうされていることが判るような表示があった。

忍者ツールのページを辿り、そこではどんなサービスを行っているのかを確認すると、ホームページやブログ、アフェリエイトはさておき、「中流アクセス解析」や「煙巻コントロール」などがあった。

中流アクセス解析とは、文字どおり、アクセスしてきた個人について解析する機能である。その人がアクセスしてきたリンク元から、時間、回数、最初に訪れて来た日時から何時間おきに訪れて来ているか、またその個人がどこのプロバイダをつかっていて、OSの種類とバージョンは何で、ブラウザの種類とバージョン、そして一番恐いことにその個人のIPアドレスまでが表示される。
正直ゾッとした。WEBの匿名性をあまり良いことだとは思っていなかったけれど、ここまで見ず知らずの相手にこちら側の情報を与えて良いものかどうか疑問である。

今の所、IPアドレスから、個人のアドレスを特定するのは面倒な作業を必要とするらしく、一般には判別し難いらしいが、業者に頼めばアドレスを取り出すことも容易いだろう。
個人情報はプロバイダを通してでないと、取り出すことができないだろうけれど、警察権力があれば、プロバイダは情報提供するだろうから、まったくもって、WEBは匿名なんかではないんだと。。

また、「煙巻コントロール」機能とは、指定した個人には、自分のサイトが閲覧不可能にする機能である。たとえば、自分のサイトにある人の悪口や個人情報を書き込んでも、その当の本人に対してアクセス制御をかけていたら、その人はずっとそのことを知らないでいる。知らないところで知らない自分の個人情報を公表されているかもしれない可能性。これは、本当に恐ろしい。

私がその以前、隠しページから飛んで来たことに気味悪さを感じて、忍者ツールズに苦情のメールを送った。自分の知らないところで個人情報をながされている危険性について指摘して。
するとまもなく、それが効を奏したのかはわからないが、新規の利用が停止になった。当たり前だ。

いま、あなたがたが御覧になっているこのページの左上に、手裏剣がまわっているアイコンがあるけれど、それが忍者ツールズを利用している印。無料版だから、このように表示されるけれど、有料版はこの表示を隠すことができる。
どうぞ 充分にお気をつけ下さい。







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彼女のこと。 - 2006年02月09日(木)



空は見せ掛けの青空で 硝子を引くと冷たい空気が流れ込んで来る。
立春も過ぎて もう春も すぐ隣にまで来ている。

彼女は日々成長し 歯も4本生えていて 一人前に口に食べ物を放り込むと 咀嚼の真似事のような動きまでするようになっている。
私は何よりも 彼女の安心しきった寝顔を眺める事が 一番幸せだ。
こんなに小さな子供でも 起きている間は 退屈や身動きの不自由さや
もどかしさや不安感などと 格闘しているようにも見えるからだ。
そんな全ての煩わしいことから解き放たれて まるで胎内に在ったときのように 何事にも煩うことなく 無心に眠っているその表情に きっと私自身が救われるのかもしれない。

先日 39度を上回る熱をだし 朝一番 雪の舞う中 病院へと車を走らせたのだけれど 結局はっきりとしない診断と薬を受け取り 家に戻った。
すると昨日から体中に発疹があらわれ 突発性発疹だったことがわかった。
彼と私はそれを確かめると安堵し そして彼女がひとつ成長したのだと悟った。
きっとこうやって ひとつひとつくぐり抜けて行き 彼女は大人になってゆくのだろう。
この季節も また来年も迎え 再来年も迎え ほんの20回ほど迎えると 彼女はもう成人するのかと思うと それはすぐ目の前のことのように思えて淋しくなってしまった。

まだ 歩んですら居ない彼女だけど 彼女は私のモノではないと 毎日忘れないように 心に刻み続けている。




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