流れる水の中に...雨音

 

 

みずきよければうおすまず - 2003年02月25日(火)


バクテリアが有機物を餌とするように
あちらこちらに常在するバクテリアのような汚れは
何処にでもすぐに繁殖し 侵略し 
数を増やし続ける
私のすぐ傍にもある その汚れは
私を遠巻きに眺めながら
まるで彼らが私を拒絶するかのような振りをしながら
侵略するチャンスを狙っている
私はそれに汚されないよう
口を噤むけれど
拮抗するバランスを崩せばほら
彼らは私のアキレス腱にはびこり
私のリンパに乗って
あちらこちらを腐敗させる

隔離されたこの部屋の中で
カーテンを閉ざして
私はそれらの汚れを
このスペースへ呼び込まないように
この無垢な空間を失わないように
過すけれど


みずきよければうおすまず


自滅するだけ




...

お菓子の本は子守歌。 - 2003年02月23日(日)



歳の離れた姉は 毎月送られてくるお菓子作りの本を
本棚に並べていた。
姉が家を出るときに それらは本棚に置き去りにされ
そしてその本棚ごと 私へ引き渡されることになったのだけれど
私はそこに並べられた本たちを 一冊一冊手に取りながら
姉がそこに残していった意識の残骸を感じ取っては
懐かしく感じていたりした。
まだ小学校3年生だった。

独りきりで眠る夜は 私にとって淋しいものだった。
皆が寝静まった真夜中 私は部屋の明りを消し
枕元のライトだけをつけて ベッドのなかで
その本棚に残されたお菓子の本のシリーズを
一つずつ開いては写真を眺めながら 読みふけった。
それは私の子守歌のようなものだった。

そこには 艶のある美しいキャンディーや 
ココアパウダーのほろ苦いアマンド・オー・ショコラ
幾筋もがぐるりと丸く取り巻くトリュフチョコレート
バターの香りが流れ来るようなサブレ
甘いものが大好物である私の好奇心をかき立てるような
そんな宝箱のような本たちだった。

独りの淋しさも 真夜中の静けさも 闇の暗さも
眠れない不安も 全て私から取り去り
温かなイメージの中で いつの間にか私は
眠りに就いていた。

 
眠れない今宵 久しぶりにその本に手をのばし
ページをめくってみるとそこには
あの頃私が それらに感じていた 
言葉に出来ない感情が溢れてきて 切なくなった。


 迷路の地図は 
 チョコレートに彫ってあるから
 ためらっていると 
 とけてしまう


チョコレートに彫られた地図を手に
今夜も眠りに就いてみよう。

明日には 何処かに辿り着いているかも
しれないから。


...

雨の音だけが聞こえていた - 2003年02月11日(火)




冷たい雨が降ってた

如何わしい繁華街も雨にくぐもり
車が傍を走り抜けるたびに
私の冷えた足を濡らした

傘をさしながら君がいうのは
余りにも冷たい言葉だったけれど
雨に凍えた私には
もうどこにも沁みなかった
何処かにある暗闇に仕舞われてしまった

体が震えていた
冷たい雨に濡れた体の
体温も情熱も奪っていった

冷えた体を前に歩かせるのは
思考を持たない私の足と
顔のない君の腕ばかり


冷たい雨を避けるように
何処かに入った

肩にまわされた腕に 温度などなく
破れかぶれな私のさまに
お似合いだった

雨の滴がパールのように
染み込むことなく
ぽろりと零れ落ちてた

濡れた髪を拭っても
何一つ 乾いたりなど
しなかった
私の顔にも 表情などなかった

冷たい雨は そんな私を
綺麗にしてはくれずに

雨の音だけが聞こえていた









...

恐怖。 - 2003年02月03日(月)





夜の闇を糧に 恐怖心は増殖する。
深層心理に内在する恐怖を
闇は剥き出しにするから。


夜中に暗闇で突然目覚める。
大抵 この寒い冬でも 汗に濡れている。
日常は 太陽の許に 行われることで
そんな現実の歯車の噛み合わせすら
本当の事でないように
私は怯えてしまう。


何が恐いのかと問いかけても
わからない。
動物的な感覚のレベルで
たぶん 怯えてる。


「豊かな想像力の代償は恐怖」だという
フレーズが心にとまる。
そしてその恐怖心を乗り越えるには
「馴れ」しかないらしい。



些細なことでも
そのリスク その恐怖を認識しながら
受けとめるのと
そのような恐れを 考えもせず
受けとめるのとでは 質が違う。

無知は 無想像は 
別の意味での強さだ。


一歩前に 歩き出すために
必要なのは「勇気」だけで
勇気を持てる人はきっと
自分を信じられる人なんだと思う。



雪山で一度遭難した彼が
ベースキャンプの回収の為に
再び山に登ったのは
とても勇敢だと 感動した。








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