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2004年04月01日(木) 恋のトライアングル(意味不明)

今日は、跡部と氷帝学園の、バレンタインキッスの収録日です。
プロモーションビデオの撮影も兼ねているため、みんなそれぞれ楽器を持っていました。

「お前ら早く準備しねえか。グズグスしてんじゃねえぞ」
「ちょ、ちょっと待てよ」
「跡部はマイクの前に立つだけやしなあ。そら早いわ」
「でも早く始めないと、芥川さん寝ちゃいますよ…ってもう寝てる!」

準備も終わって演奏にうつろうとした時、樺地が何か言いたそうにしているのに跡部は気付きました。

「どうした、樺地」
「ウス」
「…?」

樺地が指差した方を見て、跡部は仰天しました。
そこには、手塚が立っていたのです。

「て…手塚!お前、一体何してんだこんなとこで!」
「今日、お前達の演奏の収録があるから、手伝いに行くように言われたんだが」
「誰がそんなことを…」
「不二だ」
「何ぃ!?」

その時、手塚の携帯電話がピロピロピロ…となりました。

「俺だ。…不二か。跡部?ああ、いるぞ。代わる」

手塚が差し出した携帯を受け取って跡部が耳を当てると、
それはそれは楽しそうな不二の声が聞こえて来ました。

『やあ、跡部。今日は収録だったよね』
「…てめえ、何でそんなことを知ってやがる」
『そんなの、うちのネットワークを使ってちょっと調べれば…ね。フフ』
「…」
『それはおいといて、青学からのせめてものお祝として、手塚を送らせてもらったよ』
「いらねえ!」
『彼の技は絶品だよ…じゃあ』
「あ、こら!待て!」

無情にも携帯電話は向こうから切られてしまいました。

「跡部、俺はどこに立ったらいいんだ」
「立つな!」
「ま、まあまあ跡部。いんじゃねえの、せっかく来てくれてんだしよ」
「面白そーやんか。夢の共演っちゅうやつや」
「ジロー寝てるし、ちょうどいいじゃん。代りに入ってもらおうぜ」
「あ、手塚さん、俺の隣にどうぞ」
「すまない」
「お前ら、俺をさしおいて勝手に話をすすめてんじゃねえぞ!」

跡部の怒りも空しく、手塚はちゃっかりとメンバーにおさまってしまいました。

「チッ…仕方ねえ、時間もねえし、行くぞ!」
「オウ!」
「ちょお待ち!ところで手塚は、何の担当なんや?」
「そういえば…」

メンバーが一斉に手塚に注目すると、手塚は誇らしげにぴかぴかのトライアングルを取り出しました。

「俺の楽器は、これだ」
「…」
「えー…っと」
「ギャグ?」
「いや、手塚にギャグはありえへんやろ」

フルフルと小刻みに震えていた跡部は、手塚に詰め寄りました。

「手塚ぁ!てめ、ふざけてんのか!」
「俺は本気だ。大体これはただのトライアングルじゃないぞ。特注品だ」
「知るか!」
「お前達!何を騒いでいる!」
「あ、監督」

その時、スタジオに場違いなスーツの榊が入って来ました。
手には、これまた場違いなタクトを持っています。
みんなは、嫌な予感がしました。

「すみません監督。でも…」
「ん?手塚君。なぜここに」
「青学の代表として、氷帝学園のお手伝いに」
「そうか」

頷く監督の姿に、みんなの嫌な予感は一層強まりました。

「昨日の敵は今日の友。よろしい、手塚君の参加を許可する」
「か…監督〜!」

嫌な予感があたってしまい、みんなはがっくりと肩を落としました。
でも、監督が決めた以上は従うしかありません。

「くそっ、もういい始めるぞ!樺地、音だ!」
「ウス」

前奏が流れて、収録が始まりました。

♪シャラララ〜素敵にキーッス〜
 
 チーン

♪シャラララ〜素直にキーッス〜

 チーン


「…ストーップ!」

突然、スタジオに榊の声が響き渡り、みんなは演奏を止めました。

「手塚君、おかしいぞ!」
「そうですよ、だから最初からそう言って…」
「そこはもっと強く!」
「…ええ!?」
「わかりました」
「…」

演奏が再開され、今度は滞りなく進んでゆきます。


♪私ちょっと最後の手段で決めちゃう〜

 チン チーン チン

♪バレンタインデー・キッス
 
 チーン チーン

♪バレンタインデー・キッス

 チーン チーン

♪バレンタインデー・キッス

 チン チーン

♪……



「跡部?」
「ど、どうしたんだよ突然」
「ひょっとして歌詞忘れちゃったんですか?」
「…手塚」
「なんだ」
「ケータイ貸せ…」

手塚の携帯電話を奪い取ると、跡部はリダイヤルをしました。

『もしもし?』
「不二ぃ!!誰でもいいから、早くこいつ引き取りに来い!」
『あれ、不評だった?手塚のトライアングル』
「そういう問題じゃねえ!ふざけんのもいい加減に」
『君達の曲だって、充分ふざけてると思うけど』
「…もういい…頼むから、迎えよこしてくれ…」
『ダメ、僕達全国大会の練習で忙しいから。じゃあね☆』

半分涙声の跡部の後ろでは、メンバーがそれぞれ勝手なことを言っていました。

「えー、俺はちょっといいと思ったけどな」
「おもろいやんなあ」
「どうせ最初からふざけてんだからよ…こんな曲…」
「跡部。続きはやらないのか?」

結局、その後も演奏に参加した手塚は、楽しくトライアングルを叩いて御満悦。でした。



終わり。


そういうわけで「バレンタインキッス」は、
よーく耳を凝らすと手塚のトライアングルの音が入ってるんだよ☆
持っている人は、今すぐ聞いてみよう!



















エイプリルフールですから(さいあく!)







hidali