気色悪い。自分のことを棚に上げて、と思う部分もあるが。

　セクシュアルな関係、恋愛関係を引きずることなくその後の人間関係に移行する。気色悪い。
　心だけなんてあるわけない。体だけなんてあるわけない。精神と肉体は同じものだ。
　過去と現在はつながっていて、切り離したり消し去ったり出来ない。新しい人間関係？どうやって切り替えるのだろう。友人カラ恋人、恋人カラ友人。恋人だったことはどうやって消し去るのだろう。
　己にはうまく出来ない。
　あの時己はこんな風に思っていたけれど、いま読み返してみると苦笑しか出ない。きれいごとにしたかった己の幼い思惑が透けて見えて、戻れると思っている己の甘さが今更ながら身にしみて。
　今わかるのは、大きな大きな傷をこうやって誤魔化していたということ。最初からずっと。
　お互いが同じように思っていなければ、新しい関係なんて築けない。己は忘れないでいたかった。でも相手は忘れようとしていた。関係なんてそんなものだ。

　貴女も出来ないのだね。そして私と同じように思っている。

　誤解などしていないよ。書き方が悪かったね。嫌うよりももっと、貴女は私への執着を絶ったのだと、少なくとも絶とうとしているのだと、分かっているんだ。大好きも、大嫌いもなく、無表情に、無関心に。
　泣きながら、貴女への言い訳を考えた。泣きながら、貴女に縋ろうとした。貴女の冷やかな視線が私を見つめる。さようならと貴女が言う。

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