009・2つの探検(2)

 
「それにしても凄いなこの城は」

 709号室の部屋の中、窓から外を眺め、ピエトロはそう呟く様に感嘆した。ラウンジからこの7階の部屋までエレベータを使ったが、その間に見ただけでもこの城の内装も外装も美術的な価値は相当なものになるだろう、と言う事は容易に判る。
芸術家なら感嘆するのもムリは無い。

「なんなら城の中でも探検してくるか?」

 皮肉っぽい笑みを口元に浮かべ、ソファに座り、背をゆったりと預けて寛いでいるジェイムスに、ピエトロもフッと笑顔を見せ、

「まさか、アルやサーマスじゃあるまいし、ーー、いや、今日くらい彼等を見習ってみてもいいかもね」

 と、言うと、いつものスケッチブックの入ったカバンを取り出し、コートを着ると、ドアのノブに手をかけた。

「外を散歩がてらスケッチでもしてくるよ、昼の約束の時間までには帰るから」

 ドアを開けて、出て行く時、ジェイムスが「気を付けてな」と言う声が聞こえた。

「うん、気をつけるよ」

 と、軽く言いドアを閉めると「ふうっ」と息をついて呟いた。

「やっぱり僕って信用されて無いのかな」

 苦笑いをして歩き出す。見るとも無しに、700号室の部屋が目に入ったが、ー心に浮かんだ事を振り切る様に首を軽く振り、エレベータの方へ向かった。

(さて!何所に行こうかな、中庭か‥、ライン河の方も悪く無い)

 外は寒いだろうな、とも思ったが、

(頭を冷やすには丁度いいかもね)

 などと、自嘲し、エレベータに乗り込む。一階のホールにつき、エレベータを降りて、ロビーへ出ると、ラウンジはもう随分と人がまばらになっていた。



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コメント。
あー!!ひさしぶりに‥‥もとい初めて1日で書き終えました!!(喜)右と左のページで全く違う場面を書いてしまってゴメンなさい;;;1度やってみたかったの〜〜!!次の人ゴメン!
都大路しろくま。


 2007年01月31日(水)
 009・2つの探検(1)

 
 『カチリ』と小さな音がした。「サーマスくん、開いたよ」少し声を潜めたアルの呼び掛けに、サーマスは拾った羽を手にしたままドアに向かった。

「こういう事はさすがだな。簡単に開けちまうんだから」
「えへへ、たいしたもんでしょー?‥あれ?サーマスくんなに?その羽?」

 サーマスは白い羽の軸を持ち、くるくると回してもて遊びながら、

「さあね、ただ、この部屋にありそうも無い品だろ?なんかの手がかりになるかもしれないし、拾っておいたんだ。‥それより、先に行ってみようぜ

 羽を、ズボンのポケットにしまう。ポケットには入り切らないがジャケットで隠れるので目立つ事無く持ち歩けそうだ。そしてーー
ドアのノブに手をかけ音をなるべく立てない様にゆっくりとノブ回す。
2人一緒に、ドアの向こうを覗き込むと、短い通路が見えた。

「アル、お前年上なんだから先行けよ」

 サーマスがアルの背中をつつく。

「えーーーっっ!‥別にいいけど、こんな時だけ年上あつかいするんだもん‥」
「ぶつぶつ言ってないで早く行けよ」
「‥わかった、それじゃ!ちゃーんとぼくの後ついてくるんだよサーマスくん!」

 そう言うと、急に、嬉しそうで楽しそうな笑顔で、ちょっと偉そうに前を歩き始めた。その後ろを歩きながらサーマスは呆れ顔で目を細め、

「いきなり年上ぶってんじゃねーよ‥」

 と溜息混じりにつぶやいた。
2人が進んで行く通路は薄暗く、端には部屋に入り切らなかった大道具などが置かれていて、殆ど一方通行だった。

「つきあたりにまたドアがあるみたい‥どうしようかサーマスくん?」
「カギが掛かって無きゃ楽なンだけど‥‥‥‥!!」

 そこまで言って、サーマスは息を飲んだ。
急に、だが、静かに、その突き当たりのドアがゆっくり開かれようとしている‥!

「サーマスくん!!こっち!!」

 アルが咄嗟に、サーマスの腕を掴んで、端の大道具の中に潜り込んだ。そこはカーテンの様なカバーを掛けられた机の下だった。



つづく。
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都大路しろくま。


 2007年01月30日(火)
 008・白き羽

 
 そのガードマン風の男は、眉をしかめた。

「はあ?何を言ってるんだお前ら。俺をからかってんのか?」
「えっ?!え‥‥そ、そんなつもりじゃあ〜」

 アルは狼狽えた。が、その横でサーマスは冷静に男の様子を分析していた。男の返答には役一秒の間があって、声には少々上ずった所があった。

「‥ごめんなさい。こんな古い城には幽霊話が付き物ですから。聞いてみただけです。じゃさよなら」
「サ、サーマスくん?!」

 アルの手を引っ張るやいなや、サーマスは男に軽く頭を下げて元来た廊下を引き返した。

「ね、ねぇねぇ何だよ〜、待ってよねぇ〜」

 ぐいぐいとアルは引っ張られるままサーマスに付いていく。
『関係者立ち入り禁止』の入って来た扉から出る手前にある角まで来ると、サーマスはちらりと背後の男がこちらを見ていないのを確認して、さっと角に身を隠した。

「ちょっ、ちょっとサーマスくん!!何だよせっかく‥」
「しーーーっ!!」

 サーマスは眼鏡の奥からアルを睨み付けた。

「‥あの男、何か知ってるぞ」
「ええっ?!」
「声が大きい!!‥あの男絶対何か知ってるぞ。幽霊について」
「えっ?!それがどういう‥」

 アルの追求の言葉を無視して、サーマスはそっと角から男の方を覗き込んだ。
男は昨夜幽霊を目撃した窓からじっと外を見ていた。しばらくして廊下を奥に進んで行き、ある扉の中に入った。
サーマスはアルを「行くぞ」と促して男が消えた扉の前にさっと陣取った。
耳を扉に当てると、話声が聞こえる。

”‥どうだ?抜かりは無いか?”
”ああ、手はず通りだ”
”わかった。じゃあ計画は続行だ”
”ああ”

 一人は先程のガ−ドマン風の男の声。もう一人はそれよりは年配っぽそうな男の声だ。

「な‥何?サーマスくん‥」

 アルの声はサーマスの手で防がれた。
会話の後、部屋の中で人の移動する気配がした。そして何かバタンと閉まる音。
一分程間を置いて、二人はそ〜っと扉を開けてみた。案の定その部屋にはもう一つ扉があって、男達(?)はそちらから出て行ったらしい。

「‥ダメだよ。開かない」

 アルが扉のノブをガチャガチャと回す。いつもの鍵開けツールを取り出してノブと格闘を始めた。
サーマスはふと何かに気付いて床に目をやる。この部屋はどうやら照明機具系の物置きらしい。そんな金属の物体の中にひとつ、白い風切り羽が落ちているのを見付けた。純白の羽だ。かなり長い。

「何だろ?これ‥」



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コメント。
執筆時間30分(笑)相変わらずネタふりまくりです。所でコナンと化すサーマス君。いいじゃん今日は月曜日♪真実はいつも1つ
伏水めじろ。


 2007年01月24日(水)
 007・疑惑

 
 挨拶を終えたラインツに歓声をあげる女性陣と周りの客人達、一方男性陣は『お願いだからやめてくれ』である。本人は気にしていないかもしれないが、された方が照れるのだ‥‥。

「で、何をもめてるんだ?」

 ラインツが尋ねると、

「いつものだよ。部屋割りでね」

 ピエトロが答えると、あーそーと言う様な顔で頷いた。
ブーイングを出している者もいたが、結局あっさりと決まった。
フランシスとユキ(当然ミシャエルは旦那さんと一緒なので除外)、ジェイムスとピエトロ、そしてアルとサーマス。
決まった事とはいえ少々不満なのはアルだ。先程サーマスに『誰が大親友だよ!』と言われたばかりだ。サーマスは気にする事無く、

「部屋はこちだから」

 と言い終えるとさっさと歩き出していく。言われたアルはボケっとしたままだったが、慌てて走り出していく。
 その後を歩いていく中、ピエトロがラインツに、

「変った事は無い?」

 と聞いて来る。焦ったのはラインツだ。内心『ど、どーしてそんな事を聞くんだー!まさか霊感で判ったとか!!』と思ったものの、ピエトロは、

「船の中で話を聞いたから、ね、ジェイ」

 とジェイムスに振る。彼の台詞を引き継ぎ、

「ああ、このホテルに劣らない程の城が昔建っていたそーだが、火災にあった後取り壊されたと言っていたが。何か聞いているか?ラインツ」

 問われたラインツは、

「いや、詳しい事は‥‥土台しか残って無かった所に建てたとしか聞いて無いけど‥」

 平静を装っているものの少々狼狽している。本業に集中したいのは当然だが、彼等に楽しんでもらいたい気持ちがある。なのにハンターの仕事で潰されては埋め合わせ名目丸潰れだ。
しかし彼の心配を他所に二人は、

「久に振りにラインツのオペラ観られるから、楽しみだよ」

 と、二人の会話が聞こえて来る。
ラインツは昨夜の事を頭から追い出し、彼等を部屋へ案内した。
7階、並びに取ったハズが一室離れているのに気付いたが、今更変更するのも面倒だと言う意見が出たので、そのままにしておく事にした。
内訳は、700号室にミシャエル夫婦、701号室にフランシスとユキ。702号室にアルとサーマス、709号室にジェイムスとピエトロとなった。
 昼食時に会う事を約束し、その場でラインツと別れ、各自部屋で寛ぐ事にした。しかしアルだけは寛ぐ事など出来無かった。
ラウンジでユキが言った事が気になったので、サーマスに聞いてみた。
サーマスは一瞬迷ったが、

「いいよ話してあげるよ」

 と、アルに昨夜の事話始めた。

「え!そんな事があったの。ぼくも見たいな、その首のない少女の幽霊」
「今から行ってみないか?出るか判らないけど」
「でもそこ、関係者以外入っちゃだめってラインツさんに言われたんじゃ‥」
「見つかったら、このホテルの中を探検してるんだって言えばいいだろ」
「それもそーだね。行こう!」

 二人は部屋を出て、探検(?)し始めた。

「ここで見たんだ。あの城壁の上にいたんだ」

 と指をさしながらアルに教える。

「ここからだと調べられないよ。開かないかなここ?」

 アルは窓を開けようとするが、鉤が高い位置に付いているらしく、手が届かない。
彼が何をしようとするのかが分ったサーマスが『呆れたやつだな』と呟くと同時に、怒鳴り声が聞こえた。
その声の主が二人に近付くと

「何をしてるんだ?ここは関係者以外は立ち入り禁止だぞ」

 男は二人を睨み付ける。

「ごめなさい。この中探検してたら迷って、ここに来たんです」

 疑いの眼差しで見ていたが「さあ早く出ていくんだ」と追い立てられる二人。
だが、サーマスが

「おじさん、首のない少女の幽霊、見た事ある?」



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コメント。
今回は本当に難産でした。続きも考えてありましたが、4P使って書くのも進展しなければ意味が無いのでやめました。こんな終り方で続き書くのは嫌かもしれないけど、がんばってくれー!!
八神楓。


 2007年01月17日(水)
 006・各々の思い

 
 アルはたたかれた肩ごしに振り返る。‥が、

「あれ?気のせいかな‥?」

 誰も居ない。するとまた反対側の肩をたたかれる。今度は身体ごと振り返ってみたが、やはり誰も居ない。気になった話はそらされるし、肩をたたかれるが、誰も居ないし。アルは何だか複雑な表情で頭に「?」マークを浮かべているとー。
後ろからクスクス笑う声が聞こえて来た。アルには聞き覚えのある声だった。確認しようともう一度振り返る。そこには、かがんでアルを見上げ、手をヒラヒラさせながら微笑んでいる女性の姿があった。

「やっほー。相変わらずそうねーアルちゃんv」
「ああーっミシャエルさん!!隠れてるなんてひどいです−っビックリしましたよぅ!幽霊に肩たたかれたのかと思ったー」

 アルはからかわれた事への一応の抗議をしているものの、再会の嬉しさの方が先に立ったらしく、ニコニコしている。ミシャエルも、ごめんねと言いながら無邪気に笑う。そしてメンバーに挨拶すべくまず、ジェイムスに声を掛けに行った。
 今し方のアルの言葉「幽霊」に反応した人間が約二名。一人はサーマスだ。彼は何やら思い付いたらしく、心の中でニヤリとした。勿論それは、少しは表情に出たかもしれないが、気付いた者は居ない様だった。
もう一人はラインツだった。そろそろ招待した皆が到着した頃だろうと、出迎えに来たのだった。そこでアルの声が聞こえて来て、最後の方だけしか聞き取れなかったのだが、幽霊とは色々穏やかでは無いと思い、何事か尋ねようと、近くに居たピエトロに近寄る。

「ピエトロ!良く来たな」

 声を掛けられたピエトロは吃驚した様子で振り返った。
ピエトロは少し前から、ぼんやりと突っ立っていた。ハタからはそう見えたが実は硬直していたのだ。原因は言わずと知れたミシャエルの事。まさか来ていたとは夢にも思わず。そして彼女は夫と二人で来ているらしかった。当然、二人並んだ姿はごく自然でー。
そこへの突然の呼び掛けだった。

「所でアルが今、幽霊がどうとか言っていたが、何事だ?」

 そんなピエトロに気付いてか気付かずか、ラインツは内心の焦りを隠し平静を装って話し掛けた。
盛大驚いたピエトロも人の事どころでは無いので、そんな事は知らず、自身の動揺を隠そうとして、失敗しながら答える。

「え?‥ああ、何か、からかわれてたんだよ。後ろから肩を叩いて、相手の死角に入って、脅かすって言うのを、‥ミ、シャエルに」
「ああ、成る程ね」

 ラインツは多少なりほっとして、サーマスにちらりと目をやる。それに気付いたサーマスはフイッとそっぽを向く。そして見えない位置で、半眼になってベロを出した。
ラインツは視線をピエトロに戻すと不意に不安になり、言い訳っぽく言う。

「ミシャエルも呼んだんだよ。埋め合わせ名目だからな。それで、ミシャエルだけ呼ぶのも何だし‥と思ってな。二人共誘ったんだ。‥‥大丈夫か?」
「えっな何が?全然大丈夫だよ!うん久し振りだし挨拶しないとね」

 ピエトロはそそくさと皆の居る方へ歩き出す。もしかするとピエトロは彼の想いが知られていない、と思っているのだろうか。アルですら薄々気付いているらしいのに。

「ま、強がれるんだから、大丈夫か」

 苦笑いをしながら、ラインツも皆の所へ足を向ける。
 ピエトロが皆の居るラウンジに着くと、ジェイムスが唐突に聞いて来た。

「お前はどうなんだ?」

 は?と気の抜けた様な声が出ても仕方ないだろう。気を取り直して、周りの会話に耳を傾ける。実際聞こえて来るのはアルの声だが。どうやら部屋がどうとか言う話の様だった。
シングルが無くてほぼ全室がツインになっている。どうやら、部屋割りに付いてもめているらしい。
それで、ジェイムスの一言。それならピエトロの答える言葉は決まっていた。

「僕はアル以外なら誰でもいいよ」

 その言葉に、アルが悲痛な面持ちで何か返そうとした時、ラインツが現れた。

「やあ!‥----皆様、我がオペラを観に、ようこそ----」

 ラインツは片足を引き、片手を胸へ引き寄せ、仰々しく、しかしスマートな一礼をして見せた。



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コメント。
今回は当初の目的、ミシャを出す事が出来て満足です。超々読み難くてごめん‥。あっ文中に招待者は揃ったとありますが、ある程度、なので、出したいキャラは出していって下さいね〜。
五条猫。


 2007年01月03日(水)
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