KENの日記
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2013年06月17日(月) ハンガリー国立歌劇場「椿姫」

昨日16日ハンガリー国立歌劇場の日本公演「椿姫」を川口リリアホールで見てきました。今回のハンガリー国立歌劇場公演は15日の神奈川県民ホールが初日です。川口リリアホールは2日目なので、オーケストラと歌手の息があっているか、オーケストラの伴奏は大丈夫か少し心配でしたが、大変素晴らしい演奏だったと思います。

主役「ヴィオレッタ」は急遽変更となり、代わりに歌うこととなったのが「イリーナ・ドヴロフスカヤ」さん。イリーナさんは1981年生まれの32歳。ロシアのウスチイリムスク出身の若手ソプラノです。東京・大阪の有名劇場での公演は「エバ・メイ」「テオドシュー」といった有名どころがタイトルロールを歌うのですが、地方周りは別な若手が主役を演じます。しかし若くて意欲的なイリーナさんのヴィオレッタは非常に素晴らしかったと思います。

可愛そうな「ヴィオレッタ」の身の上を考えると、つい涙が出てしまうのが普通ですが、この公演でもイリーナさんの表現は素晴らしく涙を禁じ得ませんでした。ヴィオレッタと並んで大変難しいと思われるジェルモンですが、今日歌った「アナトリー・フカノフ」さんの表現は少し元気が良すぎのような感じでした。「ヴィオレッタ」にアルフレードと別れるように説得する場面では、ヴィオレッタが納得せざるを得ないような雰囲気が必要ですが、そこまでの説得力は無かった感じがしました。一方終幕でのヴィオレッタを認める表現は見事だったと思います。

3幕の舞踏会場面におけるバレエ及びその音楽は非常に躍動的で素晴らしかったと思います。終演後川口リリアの楽屋口で待ち構えて、イリーナさんジェルモン父子の「サボルチャ・ブリックナーさん」「アナトリー・フォカロフ」さんお写真を撮ってきました。



2013年06月16日(日) マンション北側空き地の「コ千鳥」




マンション北側には、以前ダイドードリンコ事務所や駐車場・梅畑があり、現在マンション建築のために広い空き地の区画になっています。その広い空き地で少し前から「可愛らしい声」でなく鳥が住み着いていました。昨日の土曜日の朝散の途中で通ってみたら小柄な鳥の親子がいました。昼過ぎにその鳥の鳴き声が嫌に大きく聞こえたため、もういちど見に行ってみると近くに住む野良猫が徘徊して雛を狙っている最中でした。急いで石を投げて猫を追い払いました。そして望遠カメラで親鳥を撮影してきました。

親鳥の姿・形から妻がネットで調べた結果この鳥は「コチドリ」であるらしいことが分かりました。野良猫が近くを徘徊した後に「雛鳥」を見つけることができなかったし、親鳥が雛鳥を探すような泣き声をしていたので、雛鳥はてっきり猫に捕まってしまったのだろうと思っていました。

今朝雨の降る中もういちど空き地を覗いてみると、「コチドリ親子」を発見することができました。それが上の写真です。コチドリの雛はほとんど動かずにじっとしているとのことですが、その通りでコチドリが動き出す前に撮影した写真にも石と間違えそうな雛が写っていました。現在雛を一匹しか確認できません・この雛の兄弟は猫かカラスの犠牲になってしまったかもしれません。



2013年06月06日(木) 従軍慰安婦問題(BSフジプライムニュース)

BSフジのプライムニュースで専門家をゲストに迎えての議論を放送しました。迎えるゲストによって「議論の盛り上がり」が違うし、生放送なので時には非常に重要なメッセージが発せられたりするので非常に気に入っている番組です。6月5日には以下のゲストを迎えて「従軍慰安婦問題」が議論されました。議論が少し噛み合わない部分もありましたが面白い内容でした。

ゲスト
秦郁彦:現代史家、橋下大阪市長の慰安婦問題認識の情報源となっていると思われる「慰安婦と戦場の性」の著者。
藍谷邦雄:弁護士(日本弁護士連合会日韓戦後処理問題共同行動特別部会長)意見を聞く限り、「従軍慰安婦問題に関しては明らかに政府に責任があり、日本は従軍慰安婦に国として賠償すべき」という論を展開している。
萱野稔人:津田塾大学国際関係学科准教授

議論が噛みあわない部分が大分ありましたが、「慰安婦の募集にあたり強制性はあったのか。またそれに国・軍が関与していたのか」という橋下市長が問題にしている部分については、結局曖昧なままで所謂「河野談話」をどう評価するのかという問題について最期まではっきりさせない議論となりました。

これは今の政府のスタンスと同じもので、米国を含む国際世論がこれだけアゲンストな状況下において、真実を訴えても理解を得ることは難しく、すでに確立された「河野談話」以上でもなく以下でもないという立場を採って暴風雨が収まるまで待つというものです。政府の対応方針も基本的にはこのようなスタンスに転向したみたいです。

問題は韓国がこの安倍首相(政府)のスタンスで矛を収めるのか、それとも更に輪を掛けて無理な要求をしてくるのではないかという懸念です。番組でもこの懸念は司会の反町さんから指摘されました。慰安婦問題における国の責任を明確に認めてしまえば次は賠償の問題が待っているでしょうし、従軍慰安婦問題に加えて他の戦争中の日本(軍)の行為を糾弾する動きを加速させるかもしれません。ここは政府がどのように韓国政府と折り合うのかがポイントとなります。

萱野さんが「スピード違反で捕まった日本が、他の国だって違反を侵していたのになぜ日本だけ責められるのかと世間に訴えても、世間は主張に耳を貸してくれない。」と発言したがそれはその通りだと思います。ただし他国が「自分もスピード違反をやっていたので、日本だけが責められるのもどうかと思う」と応援してくれるとすれば話は違います。

今日6月6日は「D−DAY」として連合軍がフランスのノルマンディーに上陸した記念日ですが、ちょうどその時期に合わせたようにアメリカで注目すべき本が出版されようとしています。それはアメリカの研究者の著作で「What Soldiers Do: Sex and the American GI in World War II France」という本です。これはフランス解放というヒーロー話の裏でアメリカ軍兵士はフランスで如何に酷いことをしたのかを抉り出した本なのだそうです。アメリカはこの本の出版を契機にしてもう少し現実の状況に直視した発言をして欲しいと思います。



2013年06月04日(火) 尖閣棚上問題

中国を訪問中の野中広務元官房長官が、1972年9月の日中国交回復協議の際、当時の田中首相、周恩来首相の間で、尖閣列島の領有権について「双方が棚上げし、そのまま静かにやっていこう」という話をしたことを田中首相から聞かされていたことを明らかにしました。日本で言わずに中国主脳との会談の中でわざわざ発言するのも如何なものかと思いますが、故田中首相に身近に接した政治家ならではのエピソードなので物議をかもしそうです。

官房長官と外務大臣は「日本政府には棚上げに合意したという記録は残っていない」として直ぐに否定しました。確かに外務省には記録が残っていないようです。外務省が開示している1972年9月27日の公式記録には次にように書かれています。

(田中総理)尖閣諸島についてどう思うか?私のところにいろいろ言ってくる人がいる。
(周総理)尖閣諸島問題については、今回は話したくない。今これを話すのはよくない。石油が出るから、これが問題になった。石油が出なければ台湾も米国も問題にしない。
(田中総理)コメントなし。

この議事録から「日本側は合意していない」という解釈なのでしょうが、田中首相はわざわざ周首相の意向を聞いているのも事実で、領有権が日本にはっきり属していると確信しているのであれば、そもそもこのような問い掛けること自体がおかしいことになります。

この議事録から推定できるのは、中国側は領有権問題を棚上げしようと提案した。日本側はそれを黙認した。その結果として最大の懸案だった日中国交正常化がなされたということだと思います。田中首相がもし当時周恩来の提案を否定していたら(現在の政府が主張のように)、日中国交正常化にはもう少し時間が掛かっていたと思われます。

周・田中の当時の両国主脳が「棚上げ提案、黙認」という知恵で難しい交渉を乗り越えました。さすがに歴史に残る政治家の解決方法だと思われます。その時から40年以上経過した現在、新しく選出された両国のトップはどのような知恵が出すのでしょうか。




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