ちょっと前から、私はこれに嵌っています。けっこう日記で騒いだので、そちらを見た方には、もう私の嵌りっぷりはわかっていただけていると思いますが。紹介せずにはいられない。
久しぶりに首の痛くなる本でした。時間を忘れ、体勢の不自然さも忘れて読みふけった結果です。
児童文学よりも描き込まれた、いわゆるヤングアダルトという分類になるこの本。あさのあつこさんのゾーンですね。ゾーンだと思っています。だって『バッテリー』があるもの。 そもそもわたしはあさのあつこさんが好物ですが、それでもこの『NO6』一気にトップに躍り出た感じがします。
とりあえず読んでくださいと、言いたいところですが、人の嗜好はそれぞでれすのでそんなことも言えず、ゆったりとお勧めするにとどまります。
舞台は近未来というか、ちょっとパラレルな感じもする、多分日本。戦争で傷ついた世界の中、何者にも脅かされない理想都市『NO6』が生まる。理想都市として誕生した『NO6』であるがゆえ、この都市を理想としない、この都市で幸せと感じないものは存在しない。いや、存在してはいけない。 その存在してはいけない存在となる少年が、この物語の主人公。紫苑である。そしてその思を気づかせる一端となったのが、台風の日、窓を開けたためにやってきた少年、ネズミ。彼の来訪で、エリートだった紫苑は一転、都市の最下層に組み込まれることになる。 やがて少年は青年に近い年になり、公園で働くようになっていた。ある日、その公園で変死体が発見されることで、二度目の歯車が回り始めた。老人にしか見えなかった死体が、実は三十代の男性であることから、事件に興味を持つ紫苑。その紫苑の前で、同僚の男性が見る見る老い、死んでいった。かつて見た変死体と同じような姿となって。そしてその首からは……
読みやすいです。本をあまり読まないという人にも、とっつきやすいとは思います。個人的には、ところどころにちりばめられた写真が……ちょっと目につくかな。これはあまり文章中にイラストやら絵やらを見ていないせいだとはおもいますので、そんなに気にならない人もいるのではないでしょうか。 この作品では、ストーリーはそんなに複雑に交差しません。基本的には主人公の視点で進みます。時折、都市に残してきた母親や、陰謀の中にいる男達、そして紫苑を案じる少女に視点を譲りますが、大本がどこなのかがしっかりしている生で、良い刺激になるだけ。もちろん伏線でもあるのでしょうけど。
現在は#3まで出ています。図書館にはあるかしら。もしかしたら児童書に組み込まれているかもしれません。ぜひ探してみてください。お勧め!
2004年11月26日(金) |
天は赤い河のほとり(漫) |
篠原千恵女史の、長期連載でした。初めて読んだときにはまだ完結しておらず、かつ長期連載だったために、一度は出端してしまったコミックスを数年経って一気に買い揃えたのを覚えています。 篠原千恵氏自体は、それ以前から知っていました。さらに言えば、少女コミックで『海の闇 月の影』を連載を追うように読んでいました。小学生くらいだったかな。 何故、この『天は赤い河のほとり』を選んだかと言うと、私の目指すファンタジーの一片がこの作品にあると思うからです。ただの恋愛ではなく、かといってただのファンタジーではない。歴史モノだといえばそうかもしれないけれど、この話にはしっかりと『人間』が書かれている気がしたのです。 舞台は紀元前のトルコ。いわゆるメソポタミア文明のあたりです。古代文明というとエジプト、中国に先行されがちなのですが、メソポタミア。正直、私も詳しくは知りませんでした。多分楔形文字とかだろうな……という知識しか。
少女向け漫画と侮るなかれ。もちろんデフォルメも、都合のよい解釈も有ります。創作だから。けれど、歴史に忠実に出来るところは、忠実に描いてあるのではないかしら。研究者に言わせればまた違う意見も出そうですが。 ストーリーは王道。現代から太古の世界に召還された主人公の女子中学生は、たまたまその国の皇子に命を救われます。その皇子こそが、主人公の命を狙う王妃の一番の敵で、自然主人公とつながりを持っていくことに。 現代に帰りたがる主人公も、だんだんとその皇子に惹かれ、さらに主人公の持つ魅力はヒッタイトをひきつける…… という、王道。
脇役も立っています。一人一人にしっかりと過去をつけている感じがします。正直なところ、私はこの話を読んでからメソポタミアに興味を持ちました。そして、この話にあるものを資料で見つけるたびに喜んだものです。
幾つモノ軸を複雑に絡めながら、それでも根幹を見失わずに、最終的に収束させる手腕はいつもながら見事です。結構お勧め。とはいえ、長いので……どこかで読めれば読んでみてください。(漫画喫茶とか?……行った事が無いのでわかりませんが、読めるんですよね)
個人的には書記官が素敵です。イル・バーニが。
2004年11月25日(木) |
マスター アンド コマンダー(映) |
宣伝と内容に差があったのは、何故なのでしょうか。私はてっきり金髪の坊やがけなげに戦争に向かう話だとばかり思っておりました。見ている間も、いつラッセルクロウ演じる船長が死ぬのかと、そんなことを考えていたのですよ。 考えてみれば、軍隊に入る良い家柄の子供達はみな、10歳になるあたりから船に乗り始めますものね。彼くらいの子供は別に珍しいことではなかったはず。見ている間はそんなこと考えもしませんでしたが。
私のお目当ては、P・ベタニー。最近一押しの俳優さんです。結構いろんな作品に出ています。ロック・ユーとか。見つけたら「この人か」と呟いてやってくださいませ。 彼の今回の役どころは、船長の友人かつ船の船医。しかも結構な腕前。この設定だけでも私を酔わせるには十分なのに、配役にベタニーが!これは私に見ろと言っているようなものです。もちろん公開直後に見にいきました。
私の友人達は私を「軍隊フェチ」だ「制服フェチ」だといいますが、確かにその通りだと、最近やっと認める決心がつきました。決してそれは嗜好に偏ったものではなく、現代になかなか見ることの出来ない「所属精神」が好きなのかも知れません。 自分の居場所に誇りを持っていそうで……もちろんうわべだけでの推測ですよ。この「マスターアンドコマンダー」にはあまり軍服云々を語る場所は少ないと思います。それでも仕官の着用する服装には、やはり歴史と思いを感じるし、帽子一つ、掛け声一つをとっても、生き方を見る気がします。
映画は、フランスとイギリスの対立有る、帆船時代。捕鯨時代。イギリス軍艦の船長であるラッセルは、ある日霧の中に船を見たという報告で起こされます。そして、そこからイギリス艦対フランス艦の戦闘が始まるのです。不意打ちに近い襲撃、傷つく乗組員。苦悩する仕官、そして腕を失う少年。それでも船長は船を追うことを決心します。その決心に従いながらも、親友としての立場を忘れないベタニー(贔屓しています)そのベタニーの負傷。さらに最終決戦と、別れ。
言葉にすると簡単かつ、ありきたりに思えるかもしれませんが、結構お勧めできる映画だと思います。かといって買えとはいえませんから、借りて見て下さい。お気に召さない場合は、ベタニーを見て「この人がリョウが好きだ好きだといっている奴か……」と生ぬるく笑ってやって下さい。
2004年11月24日(水) |
パイレーツ オブ カリビアン(映画) |
ジョニーデップが大好きなんですもの! いや、ジョニーデップのはまり役と言えば、なんと言っても『シザーハンズ』だったとは思っているんですよ。思っているけれど、これを見ちゃったらもうジョニーはジャック以外の何者でもないわ。 舞台は……って、堅苦しく紹介するのもむしろ失礼に当たりそうな、あの『カリブの海賊』 時代設定は多分航海万歳な、あの時代あたりなのでしょう。基本的に服装や、船のつくりなどは中世ヨーロッパの様式を踏んでいます。
ストーリーはいたってシンプル。解りやすいのがハリウッド映画の基本ですよね。何せイタリア移民向けの娯楽だったんですから。金貨を奪ったために呪われ、死ぬことも無く、かといって生きている喜びを味わうことも無い『ブラックパール』の面々。彼らは月の光の下では、その肉体を失いいきる屍と化す。そんな『ブラックパール』の元船長「ジャック・スパロウ」が、降り立った港、そこで出合った鍛冶屋と領主の娘。町が襲撃を受けたとき娘がブラックパールにさらわれ……鍛冶屋はその救出に向かう。ジャックとともに。そしてその鍛冶屋こそが呪いを解く鍵であった……と、まぁ、そんな感じです。
ディズニーではおなじみのあのアトラクションのシーンも再現されています。たとえば、箒を持ったおばさんが、襲ってきたはずの海賊を追っかけているシーン。それに、鍵を銜えた犬を懐柔しようと、囚われている海賊達が骨なんかを持って牢の隙間から振っているシーン。 そんなシーンごとの感覚はあれど、あのアトラクションに明確なストーリーはあるのかどうか。あの、のろわれた金貨は……いや、アトラクションに金貨はありますが、そんな設定だったとは露知らず。なんて言っておいて、映画オリジナルかもしれません(笑)
ウィル・ターナー役のオーランド・ブルームも大好きです。彼はレゴラスって言ったほうがピンと来る方が多いと思います。そういえば友人は彼の通常のスナップを見て幻滅していましたが、失礼な!彼は素でも結構よろしいのですよ!最近は『トロイ』にも出ていました。ウィル君、最期のシーンでは目立っています。一人だけいいとこ取りな気がします。あんな三銃士みたいな帽子(イメージです)
ジャック・スパロウ役のジョニー・デップはまるでいつも酔っ払っているような動き。酔拳?と思わず突っ込みを入れてしまいたくなる私です。身体のあちこちに力が入っていないような……やる気の無さが素敵です。戦闘シーンも……へらへらしている気がするのは何故でしょう?しかも置いていかれているし……悲しそうだし……うう。そんな彼ですが、次は「シークレットウィンドウですね」キングとジョニー……不思議な組み合わせだ。
2004年11月23日(火) |
ハウルの動く城(映画) |
日記にも書きましたが、公開初日に観てきました。まだ観ていないという方には原作を読んでから観ることをお勧めします。
もちろん映画だけでも楽しめるとは思います。けれど原作のある映画、それも長編の原作のある映画は、なかなかに難しいと思います。原作にちりばめられている伏線をどこまで採用するか、それをどうやって見せるかなど。どうしても拾いきれないだろうし。
ハウル素敵でした。私に多分に腐女子要素があるとしても、これはジブリが狙ったとしか思えない(笑)確かこの映画ワーナーが製作に乗り出そうとしていたところをジブリが取ったとか取らないとか。ジブリ万歳です(笑)だって日本の会社だもの。ほら版権とかさ。とはいえ原作者は海外の人だから、二次創作とかには渋い顔をしそうだわ。私は二次創作ってのはあまりやらないんですが、それはそれで面白いとは思っているんですよ。ハリーなんかはちょっと厳しくなっているじゃないですか。作者も製作会社も方向としては「パロディなし」の方向だし。取り締まる姿勢だし。児童書だからもしかしたら児童ポルノになってしまうかもだし。
内容に行かなくては(笑)既にハウルの顔は知っている方が多いでしょう。ハウス食品関係だとかCMとかで。最初は金髪の良い男として登場するハウル。物語が進んでいくにつれていろいろ外見は変わります。前髪が長く、全体的に肩の辺りまで伸びた髪で完全ジュリエッタ……失礼、よろしい感じです。
もう私にはマルクルもソフィーすら要らない。うそです。あの3人、ちょっと大目に見て荒地の魔女と案山子のカブも仲間に入れて……忘れてた炎の彼も入れて6名(一部人ではないけれど)で「ハウル世界」が出来ているとは思います。
続くアブダラ〜も映画化してくれないかしら。なんならその前にクレストマンシーでも良いけれど。
帽子屋の長女ソフィーは、家を出て働く妹に会うために祭りの日に家を出た。戦火迫る町には軍人の姿も多く、ソフィーは裏道を好んで妹のいる店へと急いでいた。そんな時、軍人に声をかけられる。ソフィーはその男たちの誘いを断るが、彼らはしつこく食い下がってくる。 そんな時、ソフィーの背後から声が。声の主は不思議な力で軍人達を追いやると、そのままソフィーを連れて歩き出した。彼は追われているという。確かに彼の後ろからは不気味な影が迫ってくる。前にも後ろにも影、すると彼はソフィーを抱えたまま地を蹴った。高く、高く持ち上がる体。歩くように中をすべり、ソフィーは妹のいる店にたどり着いた。彼が少女の心臓を食べるという魔法使い、ハウルだろうか。確かにソフィーの心臓は食べられてしまったかのように、彼女はぼんやりとしている。その夜、店に戻ったソフィーの元にやってきたのは荒地の魔女。 彼女はハウルにつながるソフィーに魔法をかけた、いや、呪いを。鏡を見たときにそこに映っていたのは十代お見知った顔ではなく、90歳にもなろうかという老婆の顔。「落ち着かなきゃ、落ち着かなきゃ……」誰にもいえない、誰にもわかってはもらえないだろうそんな呪いを。ソフィーは決意した。のろいを解くために行かなくてはならない場所が、合わなくてはならない人がいることを……
個人的には案山子のカブがちょっとかわいそうです(笑) 好きな映画です。
やたら滞っております。申し訳ない。今のところ読むものがたくさんあり、嬉しい悲鳴を上げています。のんびり待っていてやってください。基本的に愛しか叫びません(笑)以下忘れないようにメモ(ごめんなさい)
<気になる作品>
カン・テーギュさんの『アンレアル』 猫柳映夜さんの作品。 猫目娘さんの『GROUND ZERO』 うひょさんの『ねじ巻きカプリス』 うっぴーさんの『魔法のスナイパー朋美』 五地しぃさんの『異聞シリーズ、奇憚シリーズ』 月葵さんの作品 ほたるさんの作品 bonoさんの『born again』 大友出海さんの『A2Z』
<紹介文を書くだけだという作品> 姫川唯史さん『セラフィム サマー』 八樹さんの『河童探偵』 葉月陽さんの『梅を咲かすもの』 水島奈美さんの『RED INK』 うひょさんの『月光〜シロシヒカリ〜』 姫川唯史さんの短編作品 TTさんの『スピーシーズオブアーミー』 実は、以前ネットに出没していたときから(途中ネット環境に無かった時期があったため、その頃にお世話になった方にはご迷惑をおかけしました……)すごく好きなサイトさん。1年以上経ってからネット復帰し、一気に読んだのです。
どうなるんでしょう……すこしずつでも紹介したいと思います。だってみんな面白いかつ面白そうだから。たまに覗いて見てください(笑)
2004年11月21日(日) |
姫川唯史さんの『直脳時代』(小) |
姫川唯史さんのサイトはこちら 作品直通アドレスはこちら
大好きなのです。特に短編は今まで出合ったウェブ作家さんの中でも、上位に入るくらい大好きです。放っておくと、ここの短編は姫川さんの小説で埋めつくされることになるでしょう……自粛しながら……でも、増えそう。
*『直脳時代』……「直脳ダウンロードで頼む」。客の言葉は、私を混乱させた。
そもそも「直脳ダウンロード」にひかれてクリックしました。なんとなく字面から意味合いはわかるものの、その後の話が読めない。短編なので内容のほうにはあまり触れないでおきますが、この世界、人間は「直脳ダウンロード」という素敵なものを手に入れています。そこにやってきたのは「旧時代的」なやつら。紙でのやり取りを望むやつらと、「直脳ダウンロード」を望む人間。さて、何故「直脳ダウンロード」なのか。最期まで読んでちょっとひやりとさせられました。だって……ねぇ。 世の中進化していくけれど、甘んじてそれを受け入れていると、自分自身が退化していることに気づくことすら出来なくなるのかしら……。
ウィットの効いた短編が読みたいヒトにお勧めです。
2004年11月20日(土) |
ブログからこちらに。(知) |
電脳小説紹介所をブログからこちらに移します。 運営の単純化を目指したところ、二転三転しながらもこうなりました。これからもよろしくお願いします。日記を二つ書くなんて無理だったのさ……すみません。
ちなみに今月は鬼のような忙しさ。きっと私の要領が悪いだけなのだろうけど、感想かけなくてごめんなさい。
今月末には……むしろ来月の頭には……きっと感想を書きます。
スターリンクスと姫川さんの短編をはじめとする作品群にです。私から言い出したことなのに……ごめんなさい。
忙しいと言っている割には映画観てるじゃんとか、目をつぶってやってくださいませ。
はじめましての方も、そうでない方もこんにちは。リョウと申します。ウェブ小説界の片隅も良いところ、端っこの方で壁に向かって小説を書いております。
ここでは、私が日々嬉々として読んでいるウェブ小説について、独断と偏見で語らせてもらおうと思っています。つまりは書評もどきの感想文を書かせていただこうということです。
文章に関しての著作権やら、文責やらは放棄しておりません。
紹介所ということですので、紹介したいと思う作品に関しての記録です。つまりは愛たっぷりの感想文です。ご了承下さい。
個人的に自分の作品に批評をいただけるのは嬉しいです。私もまた、自分を棚に上げた批評を違う方法で行わせていただいています。興味のある方はメールにてその旨をお伝え下さい。
追記。
映画や本に関しての感想も書いています。タイトルにつけたカッコの中に分類を書いておきますので参考にしてみてください。個人的な感想ですので、ご了承下さい。
参考 (小)……オンライン小説 (本)……オフライン小説を中心に書籍全般 (漫)……漫画(一部アニメ) (映)……映画 (旅)……旅行 (雑)……その他雑多なもの
(知)……お知らせ
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