言霊

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2004年02月29日(日) ◇ 花と枝

人生ってのは、よく花に喩えられる。
夢を叶えることを“咲く”とか。
まぁ、そういう比喩は嫌いじゃない。ってゆーか、私もよく使う(笑)
ただ全ての人間が“花”で、だから誰でも花開く時がある…なんて考え方にゃ、賛成できない。

その辺、ちょっと“自由”を主張したいんだ。

いつ咲いてもいい。それも自由。
咲かなくてもいい。それも自由。
華やかな場所にいるから偉いわけじゃない。
輝いてる人がトップなわけじゃない。
夢を叶えた人が勝者だなんて、その価値観がまず間違ってる。違うかい?

桜の色が柔らかい春色をしているのは、その前に樹が枝が、全身で紅を作り出しているからだ。
ちょうどこの季節だよ。晴れの日の桜を遠くから見つめてみて。
蕾がふくらむ前の桜並木は、慎ましやかで力強い紅色。
気付いても、それを「美しい」と言う人は少ないのかもしれないけれど。

短い時を鮮やかに咲き誇る桜の花が、夢の象徴ならば。
その前の紅色は、優しさや愛情の象徴なのだと思う。

さだまさしの【春雷】って歌に
♪例えるなら女は枝
 例えるなら男は花
という詞がある。
そう。大和撫子って、たぶん花じゃなくて枝なんだよな。
こんな時代だから、別に咲くのが男である決まりはないけどさ。
有名人同士の結婚が長続きしない原因。そうじゃなくとも年々離婚率が高くなっている要因。
それがこの辺にある気がしてならないのよ。

だって、みんな自分が咲くことばかり考えてる。

何か夢を持って、それを叶えることが人生の意義であると。
そんな馬鹿げた価値観に洗脳されちゃってることに気付きもしない。
だから「夢がない」なんて途方に暮れて、身勝手に死んでいくわけだ。ああ、恥ずかしい。
夢があるのならば、黙々と努力して勝手に叶えりゃいいのよ。
それは、そいつの手柄で。だから「よかったね」とは思うけど、別に偉くなんてない。
夢がないのなら、ないままでもいい。
世の中の歯車になりたくないから、夢を見ているフリをして現実逃避する。
そんな卑怯者に、何かを成せる力なぞあるものか。
みんな大切な場所で生きてる。
そういう意味では、全員、歯車なのだ。有名であろうが無名であろうが。
意固地に錆び付く必要なんかない。
胸張って、アナタはアナタであればいい。

人生の中で自ら輝こうとする時も、あっていいと思う。
なにも一つに決めなくても。短いようで結構長い一生なのだから。
ただ“花”じゃない時。咲いていない時。
不本意な順番待ちじゃなくて。
アクティブな“枝”になってみるのも、なかなかカッコ良いんでないの?って。
要するに、ま、そういうことデス。

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