恋文
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2012年07月27日(金) 夕日

燠火のような
夕日とともに
溶ける一日


2012年07月26日(木) 夢のように

山が重なり
道は丘に続き

川が流れ
草原は茂り

そんなところに
いたい


2012年07月25日(水)

いちご色の空が
ビルの間から
のぞいている

小鳥が
巣に帰ってゆく


2012年07月24日(火)

もつれた夜に
からまって
眠りにおもむく


2012年07月23日(月)

少し
傷のある手

ときに不器用で
あるいは不注意で

奥底に滞ったような
痛み


2012年07月22日(日) 林のなか

木々は雨を溜めるから

ぽつり ぽつりと
しずくが落ちてくる

みどり みどり

小鳥の声と
雨の音

じぶんの
息を聞いている


2012年07月21日(土)

風が 冷たくなった

草が 揺れている

空を 仰ぎ見ると

まだ 曇っている


2012年07月20日(金) アガパンサス

アガパンサスの
花の傍らを歩く

風が冷たくなる


2012年07月19日(木) わたし

離れるわたしを
繋ぎとめている

真ん中のわたし

夜の風のなか


2012年07月18日(水) 夕日

消えてゆく
夕日の光

おきびのように


2012年07月17日(火) 熱帯夜

どろりと
沈む闇

音も鈍くなる


2012年07月16日(月) 夏空

空が
あまりに青いので
見とれていた

雲が
白くて
めまいがした


2012年07月15日(日) 夏日

ツバメが
飛び交う空

滲む汗に
風がふれる


2012年07月14日(土)

カーテンを
膨らませる

夜のざわめき


2012年07月13日(金) 花火

どこか遠くで
花火のあがる
音がして

やがて 静かになる

夜の風になる


2012年07月12日(木)

空全体が
流れてゆく

風に抗って
歩く


2012年07月11日(水)

じっとりする

風がまとわりつく

払っても 払っても

ぐるぐる巻きになって

絞ったぞうきんのようになる


2012年07月10日(火) 救急車

けたたましく
救急車が走っていった

毎日の不安を
連れてゆく


2012年07月09日(月) 通り

色あせた
紫陽花の花

ほこりっぽい
夕方の通り

熱気がこもる


2012年07月08日(日) 夕暮れ

暗くなる前がいい

雲が薄墨のように
流れて
山並みと重なっている

風の音を
聞いている


2012年07月07日(土) もうすぐ雨

雨になる
直前の空

鳥が
ひらひらと
飛んでいった


2012年07月06日(金) 雨の夜

暗い部屋に入る

カーテンの向こうに
透けている
町の明かり

ぼやけている
雨の夜


2012年07月05日(木) 夏日

みどりが
くすんでいる

熱気の残ったままの
よどんだ空気


2012年07月04日(水) 暑くなる

月もない
夜の空の淀み

音も積み重なる


2012年07月03日(火) 雨上がりの夜

いつか
雨があがっている

湿った道路を
行き交う車の音がする

なめらかに
黒い夜


2012年07月02日(月) ゆび

昨日のやけどだろうか
人差し指の根元に
赤いしみ
インクをこぼしたみたい


2012年07月01日(日) 火事の夜

消防車の
サイレンの音が
いくつも いくつも
重なる

ベランダから
赤い回転灯が
どんどん過ぎてゆく

ざわざわする夜

雨は
静かに降っている


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