恋文
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2007年05月31日(木) 夜に

雨と時計の
音が
分からなくなり

いつか
わたしの鼓動も
混じりあって

溶け出してゆく
夜のなかに


2007年05月30日(水) 夕方

風の
冷たさ
だけではない

光が
すこしづつ
ほぐしてくれる

夕方は
ゆっくり
暮れる


2007年05月29日(火) 霧のように

わたしは
どこまで
行こうか

霧のような
雨が
すこしづつ
ただよって

遠くまで
見えない



2007年05月28日(月) 間のあいだ

わたしは どこか
隙間に いる

こっそりと
身を 押し込んで

それは それで
わたしの 体温と
わたしの 香り

どこにも
出なくて いい


2007年05月27日(日) 雨だ

雨だ 雨だ
濡れて みんな

知らない
わたしも

濡れている


2007年05月25日(金) 夜明け

いくつもの
夢を たどって

しっとりと
湿った

朝の
からだ


2007年05月24日(木) 雨上がり

草のかおりを
たずさえて

木々の
あいだを
風が帰ってゆく


2007年05月23日(水) うえと したと

わたし
ひとつの 端っこ
ひとつの 真んなか

ぶらんこの
いちばん 
うえと したと

いったりきたり


2007年05月22日(火) 乖離

ここに
いても
いいのだろうか

こんなに
明るい街角で

自分を
みている
わたし


2007年05月21日(月) 日常

いつもの
空が見える

ここにある
日常

ここ以外に
ない


2007年05月20日(日)

海は 
ずっと遠いのに
海の匂いがする

岩のあいだを
白い波をたてて
流れてゆく

風が 運んでくる
綿毛が
ただよって

遠い海に
向かっている


2007年05月19日(土)

麦の穂が
まっすぐ
伸びている

なんだか
寂しい
いちにちの
夕暮れまえ

あんまり
まっすぐ
伸びているから


2007年05月18日(金) 後ろ

ひかりのほうに
伸びてゆくのね

わたしは
後ろにいる

だけど
そのまま
暖かいよ





2007年05月17日(木)

糸のように
細い根が張って

するすると
のぼるように
茎が伸びて

まっすぐ
生きてゆきたい

もうすぐ
花が咲くね


2007年05月16日(水) 頑な

わたしだって
頑なになると

ほんとうに
固いので

自分でも
どうにも
折り曲げられなくなって

痛くって


2007年05月15日(火) 日常

現実の日常も
夢の中の日常も
いっしょくたになって
いるみたい

雨の音は
どこから
やってくるのかしら


2007年05月14日(月) たずさえて

そこに
置いてきたとは
いわない

まだ
つながっているなら
たずさえてきたと

そのことが
いとおしい


2007年05月12日(土) 木漏れ日

どこに 
ゆこうか
ふり返っても

そこにも
揺れる
木漏れ日ばかり


2007年05月11日(金) 夢で

この人が
どうして って
でてくるのに  

どうして
あなたに
逢えないのかしら


2007年05月10日(木) 眠りにはいる

暗くして
いちにちを
紛れこませて
しまおう

わたしの
からだも
見えなくなって

じぶんの
重さで
しずんでゆく


2007年05月09日(水) 居場所

眠っているあいだ
どこに
いたのだろう

目が覚めても
どこに
行くのだろう


2007年05月08日(火) 揺れる

揺れるのは
なんでもない

しなやかに
揺れていよう

どんな風にも


2007年05月07日(月)

雨が
濡らしていった

みどりが
しんなりする

あのときも
そのときも
と 思い出している

灰色の
そら


2007年05月06日(日)

鳥の影が よぎると
どきり とします

すこし
陽が 翳りました

待っている間
鳥の数を
数えます

もう 何羽も
飛び去って
ゆきました


2007年05月05日(土)

地面から
じんわり じんわり

霧のように
たなびいていた

あれは
息吹


2007年05月04日(金) ことさらに

ことさらに と
わざわざ 言うのは
みずから 少し
なだめているような
気もするが

ことさらに
騒ぐことも
ないのだ と
やはり
なだめているのか


2007年05月03日(木) 後戻り

季節が
少し 後戻りする

振りかえると
木々が 揺れている
 
もう
空が 暮れそうだ


2007年05月02日(水) 寒い日

雨かと思う
風が
木の葉を
揺らしている
音が
聞こえて
くるみたい
空はいつか
灰色になって


2007年05月01日(火) なんでもないように

わたしの
足跡は
いらない

ちいさく
つけてしまった

消せないのなら

踏んでしまおうね

なんでも
ない
みたいに


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