恋文
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2006年11月30日(木) 朝に

いつも
雨に濡れたような


海の底を
歩くように
影と
いっしょ


2006年11月29日(水) どれほど

どれほどのことが と
いう

まるで
ぼうぼう と

ひろがった
景色のようで

どんなにも
はかれない


2006年11月28日(火) いちょう

いちょうの葉は
その色のまま
石畳の
模様のように

夜とともに
やがて
影のかたちになる




2006年11月27日(月) 失った

外れていって
戻れない

わたしを
失ったあいだ

なにを
しているの


2006年11月26日(日)

歩いていると
はらはらと

それは
美しい 色で

道は
どこかに
行き着くだろうう

歩いて
いたいと
思った


2006年11月25日(土) 終わった

失った
そのときに
終わった

ままなのに

どうしよう


2006年11月24日(金) 香り

あぁ いまから
わたしは
そとに でるのだ

鎧の ように
香りを 纏おう


2006年11月23日(木) 同じ色

曇り空のした
黙って
歩いている

空も
地面も
同じ色


2006年11月22日(水) 灯り

どこに
行きたいと
言えるだろう

ともる
灯りは
見え隠れして

どこまでも
続いている


2006年11月21日(火) 秋の小道

その
狭くて急な
坂道は

落ち葉が
吹きだまって
いるだろうか

いまは
様変わり
しているだろうと
不思議ではない

ありありと
見るように
たどっている


2006年11月20日(月) 暗がり

夜の
暗がりは
手探りで
夢に
帰ってゆきます

目を
閉じて
同じ
暗がりを
見ています


2006年11月19日(日) 木の葉

さぁざぁ と
雨かと思い
それは

一本の木は
すっかり
黄色い葉に
覆われて

突然の風に
渦のようにも
見え

降り注ぐのだった


2006年11月18日(土) 匂い

わたしが
ひるがえると

わたしの
匂いがする

抱いて
いてみたい


2006年11月16日(木) ほのおの木

小さな木
葉っぱが
真っ赤になって

ほのおが
立ってる
みたい

すっかり
暮れる
まえに


2006年11月15日(水)

靄に
かくれて
いた

見えなくても
いいと
思った

そのまま
わたしのものに
しておこう


2006年11月14日(火) 冬への道

赤く染まっていた
葉っぱも
半ばも
落ちてしまった

落ち葉を
積もらせて
通りは
まっすぐ
伸びている


2006年11月13日(月)

尖塔の上に
わずかに 灰色の空が
見え

黒い 厚い雲が
蓋をするように
覆っている

夜が
降りてきた


2006年11月12日(日) 雨のあとに

突然 雨が降って
風が 雨を散らして
草は ざわざわ流れ

雨のあとの
通りは
静かで

ほとほと
歩くと

風は
思ったよりも
暖かだった


2006年11月11日(土) 夕暮れ

さっきまで
降っていた
雨が
やんで

雲のあいだに
銀色の空が
見える

煙突から
するすると
煙がのびている

木の燃える
においがする


2006年11月10日(金) 隠しごと

話すことの
できないことを
積み重ね

いくつも
いくつも

置いてきてしまった
どこか


2006年11月09日(木) 思いもかけない

思いもかけず
と いうが

思い込みが
違っていた
だけだったのだ

それでも
ひっかかった
小さなものが
はなれない




2006年11月08日(水) 歩き続ける

ただ
来たように
歩いている

どこに
たどりつくのか
知らない


2006年11月07日(火) 夢で

あなたが
夢で逢えるよ と
言っていて

昨日 やっと
あなたに
逢えた

また
逢おうね


2006年11月06日(月)

少しづつ
明るくなる空

川面には
川のいぶき

曇った窓に
ぼんやりと

じぶんの
顔を映している


2006年11月05日(日)

きれいに
きれいに

指から
こぼれて
いったらいい


2006年11月04日(土) おと

足もとに
落ち葉を 踏む

木立に
葉の 擦れ合う

それだけに
なる


2006年11月03日(金)

振り返るのが
こわいから

ほとほと
歩き続ける

まっすぐ
行っても

こわい 道


2006年11月02日(木)

まだ みどりの
草むら

花が 咲いた
みたい


2006年11月01日(水) 観覧車

雲には
わずかに白く
ひかりの面影を
残して

もう黒い
影となってしまった
屋根の
うえ

光の輪が
流れてゆく
半円


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