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| 2004年01月31日(土) | 迷子 |
いつのまにか
知らないところにいた
誰もかれも
知らない人たちばかり
あ、声にならない
いつか
泣き叫んでいた
| 2004年01月30日(金) | 過剰 |
たどりつけないのなら
いつまでも 溜まってゆく
満たされなかった
思いのかず
たどりつくことを 忘れて
思いを積むことだけに
なって
溢れつづける
| 2004年01月29日(木) | 鳥たち |
こんな雪の中
鳥たちはどうしているのかしら
まだ暗くもならない 木々の陰から
思いもかけないような おびただしい数の鳥たちが
飛びたっていった
幻のような夏
いま もう暗く沈んだ木々には
雪ばかり
| 2004年01月28日(水) | 雪のけはい |
ずっと昔のことも
つい昨日のことも
おぼろげな記憶のように
まだ 暗いベッドの上で
考えるでもなく
思い出している
窓の外に
聞こえる それは
思い出のように
かすかだ
| 2004年01月27日(火) | かなしい夢 |
めまいと一緒に
しがみついてくる
奈落に落ちてゆくように
一緒に
こわかった
泣いていた
わたしの傍にある
| 2004年01月26日(月) | 冬日 |
雨にぬかるんだ道は まっすぐに続いていた
ゆっくりと歩いている
驚くほどに川の流れは早い
立ち止まった橋の上で 見る
裸の手が どんどん冷たくなる
空には また雲がやってくる
二人で帰る道
距離は遠くもなく 近くもない
| 2004年01月25日(日) | 空 |
少なくすること
小さくなること
空になること
そうすれば
きっと
満たしてもらえる
| 2004年01月24日(土) | 無垢 |
あなたが 美しいと言えば
みんな 美しかった
あなたがいなくなると
みんな 真っ白になった
| 2004年01月23日(金) | 忘れなかった |
夢に見るように
どこかしら 霞んだように
わたしがいる
泣いているのに わたし
そのまま ずっと
いたかった
| 2004年01月21日(水) | 涙 |
泣きたいと 思ったら
涙が滲んだ
本当は
悲しかったのかしら
| 2004年01月20日(火) | 雪 |
草を隠してくれるなら
わたしも蔽ってくださいな
木々を装うなら
わたしも装ってくださいな
夜が更けるあいだに
| 2004年01月19日(月) | ひとり |
ひとりだった
雨はひとりで 降っている
草はひとりで うなだれる
ひとり 浴室にいる
肩を滑り落ちる 髪を
濡らす
その音も
ひとりで 流れる
| 2004年01月18日(日) | 半身 |
ろくでもない半身は
くるりと丸めて
捨ててしまおうか
いつも一緒の
わたし自身
| 2004年01月17日(土) | わたし |
どんなにも変われないから
ただ あなたの前でいた
そのままで いたい
わたしのなかの
なかから
装いもなく
にじみ出てきた
わたしだったから
| 2004年01月16日(金) | トラムで |
風が戻ってきて
窓にはいく筋も
雨が流れる
わたしの姿を
いくつにも分ける
流れのまえで
髪をほどく その
ひとすじを
もてあそんでいる
もう 家が近い
| 2004年01月15日(木) | 馴染む |
ふと よそよそしい
この空気も
いつか 馴染むのだろうか
ほんの少し
安心できる時のために
ここにいてもいいかしら
| 2004年01月14日(水) | 時が経つ |
その時
楽しいことばかりではなかったのに
懐かしい友人と会う
今日は風すら暖かい
| 2004年01月13日(火) | 風 |
強い風が
雨を運んで
わたしは
目を開けられなくなる
剥ぎ取られてゆくのは
わたしの記憶でも
わたし自身でもない
なのに
髪がざわざわと
顔をかすめると
失ってしまうものを感じている
| 2004年01月12日(月) | わたし |
知られなくていい
わたしだけが知っている
わたしだけの わたし
あなたにすら
知られなくていいよ
わたしだけでいい
| 2004年01月11日(日) | 心地よいこと |
心を荒立てないこと
誰かのために働くこと
わたしであること
自分のために働くこと
あぁ、これって
どっちも一緒にできたら
| 2004年01月10日(土) | 海 |
ここに海はないのに
海の夢を見る
わたしのいた海
わたしの産まれた海
ただの小魚だったの
なにも知らないうちに
食べられてしまっただろう
だけど 夢を見る
わたしがいたはずだった海
| 2004年01月09日(金) | バランス |
失ったものと
得たものと
天秤にかけられるのだろうか
どちらが重いといって
悔やみも
喜びも
してどうなるのか
今のわたしを
大切にしていたいよ
| 2004年01月08日(木) | 留める |
いつかの瞬間に
わたしだった と
そんな時があればいい
なのに 気づくと
ずれていってしまう
どうやって留めようか
| 2004年01月07日(水) | 知らないままに |
鏡の中には いつも
わたししかいない
あなたから見えない
わたしからも
時が こんなに
移って わたしは
このまま
老いてしまうのだろう
| 2004年01月06日(火) | 見知らぬ人 |
わたしのような
見知らぬ人
そのまま そこに留めておいて
わたしだけ
ここではないどこかに
消えてしまおうか
| 2004年01月05日(月) | 遠くない |
一人で森にいる
凍った地面は
音を立てて崩れる
ふいに木々から雪が降りかかる
誰からも
遠く離れているというだろうか
いちばん
わたしは近くにいるよ
| 2004年01月04日(日) | 冬森 |
獣たちも 鳥たちも
きっと眠っているのだろう
木々から風に乗って
雪が降りかかるばかり
凍った道を踏みしめる
暖かい部屋に
帰ろう
| 2004年01月03日(土) | 未練 |
どうせ、女じゃないのに
まだ
髪を装う
ばかみたい
ばかなの
だって
このままに していたいよ
いつか
自分に戻ろうよ
| 2004年01月02日(金) | 凍葉 |
ねぇ あの枝の先の光を取ってくださいな
この雪が止まない間に
あれは凍った雪なのかしら
朝に静かに凍てついて
きっと 忘れてしまった
今も ずっと朝のまま
| 2004年01月01日(木) | 雪 |
みんな隠してしまおう
地面の下に
凍った花の下に
誰にも知られない
秘め事
もうすぐ埋れてしまうだろう
